離乳食の食材形状チェック、離乳食+アレルギー対応の「家で食べてね」(2025/3/16、3/25加筆

 まず、整理しましょう。
〔離乳食〕 5を加筆
1)離乳食は、子どもに合った形で食を進め、かつ誤嚥窒息を防ぐため、口腔機能の発達と変化に合った形状(=調理の程度)であることが重要。
2)食事による誤嚥窒息リスクはゼロにできないため、離乳食は保護者が主導すべきであり、園が先に進めるべきではない(保護者がまったく進めない場合は、園医や自治体から介入すべき←園に対する抵抗感を育てないようにするための役割分担)。※1
3)保護者が離乳食の進め方(食材の形状と調理の程度等)の正確な知識を持っているかはわからないので、1の情報を園から渡したほうがよい。
4)2の理由から、家でその形状のその食材群を何度も食べているべき(←ここが食物アレルギーと混同されている。この話は個々の食材ではなく、形状と食材群)。
!2025/3/25 加筆 5)早産児の場合、園は修正月齢も考慮に入れて口腔機能の発達を考える。早産児の保護者が修正月齢を考えずに「〇か月だから、離乳食」「〇か月だから完了食」と、機能の発達に合わない形で先に進めている場合には、保護者に修正月齢について情報提供する(早産児でなくても、保護者が0歳児におとなとまったく同じものを食べさせているなど、リスクを伴っているとみなされる場合は情報提供する)。ただし、保護者と園の関係に支障をきたしそうな場合は、園医などから情報提供する。


〔食物アレルギー〕
1)基本、保護者が必要に応じて受診して、検査結果に従って園に伝達するもの。園が見つけなければならないものではない。
2)家で複数回食べていても、ずっと食べ続けていても、ある時、初めて、外から見える食物アレルギー症状を呈することはある。「(家で)複数回食べているから/ずっと食べているから、アレルギーを発症しない」というわけではない。
3)惣菜等に含まれ、現実には家で食べている食材は多いと考えられる。
4)2と3から、「家で複数回、食べているかどうかをチェック表で伝えて」という方法(※2)は、現実的に無意味と理解した上で、指導表が出ていようがいまいが、食物アレルギー発症が疑われた時にはすぐに対応(受診または救急要請)をする。
5)アレルギー食材を少しずつ摂食するのは、あくまでも家庭で。園は「除去」か「普通食」か、のみ(※3)。摂食した場合は園に伝えるよう、保護者にはっきり伝える(救急対応を必要とするリスクを考えると、家庭で朝食として摂食するのが望ましいのだから、園に「食べた」と伝える義務が保護者にはある)。ひな型はこちら
6)食物アレルギーの原因になりやすい食材は詳細にチェックすべきだが、すべての食材をくまなくチェックすることはそもそも不可能であり、2と3の点を再度考えれば、ここで労力を割きすぎることは意味が薄い。


 以上を踏まえて…、あさひがおか保育園(郡山市)さんのお手伝いをしたのが下の書式です(あさひがおかさんの書式は、他にもひな型として公表しています。感謝感謝)。これまで使っていたチェック表はアレルギーのチェック表も兼ねて一般的な食材が群ごとに並んでいましたが、離乳食の時期ごとの食材の形状、調理の程度は明示されていませんでした。

●離乳食の形状チェック表(食材群別)(クリックするとPDFが開きます)



●離乳食の献立と使用食材:離乳食を進める+アレルギーのチェック
 こちらは作り直しの過程で、まず「来月の離乳食で使う食材」を並べた一覧表が出てきたのですが、「食物アレルギーをもつ子どもの保護者にチェックを依頼する時同様、献立と食材を並べて、1か月(以上)前に渡せばよいのでは?」とお伝えしました。理由は、以下の通り。
・献立と食材表は園にあるのだから、そのまま使える。
・食材は多いものの、離乳食は(この園の場合)2週間ごとに繰り返す献立なので、さほど巨大な表にはならない。
・食材の名前を一覧表に並べて「食べたものにチェックして」では、保護者のチェックに抜けが生じやすい(園が一覧表を作る段階で転記抜けが怒るリスクも)。
・保護者が家でアレルギーのような症状に気づいた時、その日の献立を確認することができる。食材の名前の一覧表だけでは、これができない。
・献立ごと知らせることで、保護者に離乳食の献立のアイディアを渡すことにもなる。上の「離乳食の形状チェック表」と一緒に見れば、献立(食材)は1か付き先と同じでも、形状をもっと手前にすればいいと保護者にはわかる。

(保護者は、献立の中の食べた食材にチェック印を付ける)



※1:しおり等の「離乳食」の所に、以下の内容を書き加えることをお勧めします。
 「離乳食は、ご家庭での進みぐあいに合わせて進めます。誤嚥窒息等のリスクに鑑み、園が先行して進めることはしません。お子さんの口腔機能の発達について情報交換をこまめにしていきましょう。たとえば、乳を飲むための反射や舌の動きが消えていく様子や、口を閉じてする遊びの進展といった情報です。 」

※2と※3:食物アレルギー対応を保護者に伝える時には、以下の「保育所における食物アレルギー対応ガイドライン」を引用/参照する(=証拠を示す)ことをお勧めします。
・「園では、家庭で何度も食べている食材を出します」と書くため(オマケ:現実には、調理済の食事等からたいていの食材は摂取しているのでしょうけど…)。
・「園では、普通食か完全除去のどちらかのみです」と書くため。
・アレルギー対応のひな型は、コミュニケーションのB-2に2つあります。