A-5. かみつき、ひっかきのパターンを理解して予防につなげる(0歳~2歳クラス)
(2021/7/17)

 以上児になれば、他児に対する意図がはっきりしてきますが、0歳、1歳に意図はありません。「友だち」という認識もありません。「お友だち」と言っているのは、おとなだけ。まだまだ、「自分」を確立するのに手いっぱいの人たちです。だからこそ、かみつき、ひっかきには「生き物」としてのその子のパターンが見られるはずです。「なんか、目の前を通った」「なんか、目の前にいる」「いやだ」「眠い」…。もちろん、かみつかれる側、ひっかかれる側にも行動のパターンがあるはず。それを見つければ対応は容易になるはずです。

 ということで、エクセル・シートを作ってみました(クリックすると、開かずにダウンロードされると思います)。なぜ、エクセル? 紙じゃダメなの? 紙ではパターンがわかりません。「並べ替え」をしてみることができないからです。下の例では、「誰が?」で並べ替えた結果を表示しています。「誰が?」だけではなく、「誰を?」で並べ替えてみたりも…。ここで大事なのは、かみつきやひっかきが起きた時だけでなく、止められた時にも必ず入力しておくこと。止められない時の特徴と止められた時の特徴を比べられるかもしれませんし、どの保育者がどの子を止められているかがわかるかもしれませんから(おとなだって生き物ですから、「この子の今の状態はよくわかる!」という人がいて当然)。

 入力のしかたは下の図。エクセルの基本ですけど、数字は絶対に半角入力。名前は常に同じ名前で入力してください。そうしないと、並べ替えがうまくいきません。





 とにかく、まずは単純に打ち込んでいきましょう。ある程度入力したら…、使う機能は「並べ替え」だけ。たくさん入力すればするほど、おもしろい結果が出てきます。複数の項目(縦の項)で「並べ替え」を繰り返せば、「〇〇ちゃんと△△ちゃんは午前中が多い」とか、「〇〇ちゃんは、目の前に誰かくると手が出る」とか、「☆☆先生がいる時は、〇〇ちゃん、何もしないのに、◆◆先生だといろいろ落ち着かなくなる」とか、そういうパターンが見えてくるのです。複数の項目で「並べ替え」をしていく時の順番は、使っていけばだんだんわかっていきますので、まずはとにかくシートを作って入力! 「何件、入力すればいいの?」…、とにかく気づいたぶんだけ全部!

 と言っていたら、ある園の先生が「こんな感じでいいのでしょうか?」と送ってきてくださったので、並べ替えてみました。すると! たったこれだけのデータなのに、それなりにパターンが見えるではありませんか。「日付や内容を多少変えて載せていいですか?」とお尋ねしたら、いいですよとのことでしたので、載せます。ありがとうございます!(★「誰を」で並べ替えてから「誰が」で並べ替えると、「誰が→誰を」の組み合わせパターンを見ることができます)





 ケガもこのようにしてみたらよい? ケガについて、曜日や時間の記録をとって集計しているのをよく見ますが、ケガは集計するまでもありません。活動の切り替え時や、金曜日がたいてい多い。誤食は、新しい子どもで多いし、担任じゃない先生が配膳をしている日が多い。パターンはどこの園でもほぼ同じですから、集計して予防に役立つと思ったこと、掛札はありません。じゃあ、ケガや誤食、事故の記録をどう活かす? それは、リモート園内研修でお伝えしています。一回の研修じゃ無理ですけど。

 エクセルのシート自体は5歳まであります。以上児にだって、未満児とは違う意味でパターンがあるだろうから、です。0歳から記録していれば、4歳、5歳になった時にそのデータが活かされるかもしれません。記録したシートは決して捨てないでくださいね。大事なデータ、大事な財産ですから。

 この内容については2021年2月28日、Facebookページ(動画配信)でも解説しています。