2012年年度途中からのニュース
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事故、傷害、ヒヤリハット

▶〔給食に針金混入〕高松市は12月19日、市立保育所の給食に針金が混入していたと発表した。見つかった針金は長さ約3センチ。4歳児がビーフンサラダをおかわりした際に見つけた。他の園児はほぼ食べ終わっていたが、健康被害はなかった。 園内の調理室では食材の水洗いにザルを使っており、調理の過程でザルが破損し、一部がサラダに混入したと市ではみている。(産経等、12月20日)

▶〔個人情報書類紛失〕横浜市保土ケ谷区は12月11日、区内の私立認可保育所の園児54人分の個人情報が記された書類を紛失した、と発表した。 書類はその保育園の「2013年度保育所入所継続予定者リスト」。54人分のクラス名、児童名、ふりがな、生年月日が記載されていた。10月26日に実施した同区の保育園長会において、各園の担当者にリストを配布したが、同園にリストがないことが11月28日に判明。同区では対象となる園児の保護者に事情を説明し、謝罪したという。

▶〔熱湯の浴槽に転落、死亡〕愛知県稲沢市で、小学4年生児が12月9日、熱湯の入った風呂の湯船に落ちて全身の90%をやけど、入院していた病院で22日に敗血症性ショックで死亡した。 同児は父親と共に父親の友人の家に遊びに来ていた。頼まれて風呂のガス・スイッチを止めようとして湯船に落ちたという。通常、30分で適温になる風呂であったが、この日は50分以上スイッチが入った状態だったという。転落に至った経緯は調査中。(各紙、12月22日))

▶〔エア遊具によるケガ〕空気でふくらませるタイプの大型遊具によるケガについて、米国の報告をまとめた記事。(日本でも同様のケガは起きています。)

▶〔足指の骨折で市の責任認める〕 2008年、静岡市立保育園で当時1歳の女児が骨折したのは市の過失だとして、両親らが約245万円を求めていた訴訟の和解協議が12日に開かれた。市側が責任を認めて20万円を支払い、後遺症が発症した場合などにも賠償について協議することで和解。 この事故では、保育士が開いた折り畳みテーブルの足に女児の左手中指が挟まり、骨折。骨が遊離して痛みが残る後遺障害と診断された。市は保険の災害共済給付金などで約95万円を支払ったが、両親は市がさらに賠償責任を負うべきだとして11年に提訴していた。(毎日、12月13日)

▶〔白玉誤嚥・栃木〕市立保育園で起きた白玉誤嚥事故について、第三者による事故調査委員会が11月26日、報告書をまとめ、市長に提出した。事故原因として、情報共有の不徹底と職員間での責任の所在が不明確だったことを指摘。平成22年、真岡市で小学生が意識不明の重体となる白玉誤嚥事故が発生したにもかかわらず、委員会の聴取に対し、栄養士らが「真岡の事故を知らなかった。知っていれば白玉は使わなかっただろう」と回答。事故の情報が市教育委員会にとどまり、保育を担当する市こども課に伝わっていなかったことなどから、「教育現場での情報共有体制や給食を納入している学校給食会からの注意喚起があれば事故は生じなかっただろう」とした。記事はこちら(産経、11月27日)

▶〔子どもの死因検証システム〕子どもの死因をきちんと究明し、虐待の予防・早期発見、事故死の予防につなげるためのシステムづくりに日本小児科学会が取り組んでいる。まず、東京都で試験的に死因究明システムを運用する。朝日新聞(11月9日)の記事はこちら

▶〔学童保育の事故〕全国に2万1000か所余りあり、約85万人の小学生が利用する学童保育に関連して、9月までの1年間に子ども1人が死亡、大ケガが226件起きていたことが明らかに(厚生労働省調べ)。 死亡事故は今年5月、大阪・中央区で指導員の先導により、小学校から学童保育施設に向かう途中、列に突っ込んできた車に小学1年生児がはねられたもの。この他、遊具からの転落、球技中の衝突等による骨折が182件と全体の80%を占めている。 指導員の配置などには法的な基準がないことから、同省は今後、議論を始めて新たに基準を設けたいとしている。(11月13日、各紙)  

▶〔白玉窒息事故で8人懲戒処分など〕栃木市立保育園で2歳児が白玉により窒息、死亡した事故で、園長ら8人が地方公務員法に基づき停職と減給の懲戒処分、臨時職員ら8人が訓告処分。▽園長は停職6月(同日付で依願退職)▽市保健福祉部長は減給(10分の1)3月▽担任保育士は停職1月▽調理員は同15日。役職はいずれも当時。同市長は「全面的に市に落ち度がある」と改めて認め謝罪し、自らも12月から減給(10分の1)3月とする方針。また「のどに詰まりやすいものを漫然と出し続けたことが直接の原因」と述べ、職員の注意義務意識の欠如や各公立保育園の連携不足も事故の背景にあるとした。(毎日11月1日)  〔掛札コメント〕仮に、「職員に注意義務意識があり、公立保育園の連携が十分だったら」起きなかった事故なのでしょうか? 「のどに詰まりやすいものを漫然と出し続けた」ことが原因であり、その意味では、どこでも起きうる事故です。ところで、東京・あきる野市の白玉窒息死亡事故(今年2月)は、その後どうなったのでしょうか? 処分どころか、何が起きたかすら、わからないのですが…。

▶〔歯磨き中のケガ〕近年増えている歯磨き中のケガについて注意喚起の記事。4歳児が高さ約50センチのソファから転落、くわえていた歯ブラシの破片(約2.5センチ)が喉の奥に刺さっていた事例など。(読売、11月7日)

▶〔子ども服の安全〕 子ども服に付いているヒモ類、フード、ファスナー等によるケガ、重大事象を防ぐための統一した安全基準づくりをめざし、経済産業省は国の検討会を設置した。米国やEUでは、子ども服のデザイン上の安全基準が定められているが、日本には業界団体の団体の自主基準が存在するのみ。記事はこちら。記事に引用されている、パーカーのフードによる窒息事例はこちら。(産経、11月2日)

▶〔歯磨き中のケガ〕保育園では、歯磨き中に子どもが立ち上がって歩き回る、遊び回るということがどうしても起きます。「大丈夫だから」とついつい思ってしまいがちですが、東京消防庁のデータをみてみると、この5年間で200人以上の子ども(5歳以下)が歯磨き中のケガで救急搬送されていることがわかります。子どものケガを含む日常生活の安全に関する東京消防庁のページはこちら。保育園における安全を考えるだけでなく、保護者に家における安全を伝えるうえでも役立ちます。

▶〔ソーセージ等、食物による窒息〕輪切りソーセージによる窒息の可能性についてお問い合わせを受けました。調べたところ、2009年8月、イギリスの保育園で、輪切りにしたソーセージ(日本で販売されているのと同じ太さのソーセージ)を食べていた幼児が窒息死する事故が起こっています。その子を含め6人の食事をみていた保育士は、ソーセージを吐き出させようとしましたが成功せず、結果、死に至りました。

▶[自動ドア、全面ガラスでの事故〕自動ドアでの子どもの事故について、注意喚起の記事。1)自動ドアに気づかず、激突。消費者庁によると、2012年4月までの2年9か月で5件の事故情報、うち2件が5歳以下。(掛札コメント:全面透明な一枚板ガラスを壁や窓として使っている保育園もありますね。そのような場所では同様の事故が起こり得ます)。2)自動ドアにはさまれてケガ。ドアのレール上にはセンサーの死角もあり、立っている子どもに向かってドアが閉まってしまうことも。

▶〔ミルク誤嚥で死亡、告訴〕神奈川県横須賀市で、市認定「家庭保育福祉員(保育ママ)」宅に預けられていた4か月児が死亡した事故で、母親が業務上過失致死容疑で女性福祉員を告訴した。同児は2010年9月27日午後、福祉員宅でミルクをのどにつまらせて死亡、約1時間後に発見された。司法解剖で窒息死と判明。母親側は「睡眠時の呼吸確認など注意義務を怠った」と主張。保育中の乳児が死亡する事故が相次いでいることを指摘し、「適切な捜査で事故原因が検証され、二度と尊い命が奪われることがないよう告訴に至った」としている。同市によると、福祉員は「捜査に全面的に協力し、遺族には誠意を持って対応したい」と話しているという。(産経、9月11日)

▶〔保育ママに有罪判決〕静岡県富士市で2010年12月、当時1歳11か月の女児が大けがをした事故で、同市委託の「保育ママ」として女児を預かっていた被告(43歳女性、アルバイト)に対し、静岡地裁富士支部は10日、禁錮2年、執行猶予5年(求刑・禁錮2年)の判決を言い渡した。裁判官は「保育ママとして注意義務の一つでも果たしていれば被害は生じなかった」と述べた。被告は携帯電話の疑似恋愛ゲームにのめり込み、当日も車に女児を乗せて量販店駐車場に停車中、ゲーム相手の男性と携帯電話で話していた。その間、後部座席にいた女児に注意を払わずにパワーウインドウを操作したため、女児の首を窓枠に挟み、重い後遺症が残る傷害を負わせた。女児の両親は11年9月、被告と富士市を相手取り、1億9000万円の損害賠償を求めて提訴、同市は和解方針を示している。(9月25日、10月11日、読売)

▶〔おやつ中の窒息死で要望書〕愛知県碧南市の保育園で起きた窒息事故事故で、県と市が5月に設置した第三者委員会に対し、両親が要望書を提出した。要望は、(1)事故後の行政対応に関する検証、(2)乳児室・ほふく室の面積基準について、昨年10月の厚生労働省通知の前後で政府の解釈に変更がなかったか照会、(3)委員会の開会回数を制限せずに十分に検証を、の3点。要望書によると、これまでの委員会では、「事故の公表が遅れた」「園児の食事時間における見守りが不十分だった」「0歳児クラスの面積の約半分が一時保育クラスに転用されていた事実が見過ごされた」などの検証が行われていないという。また、県は「乳児室は1人当たり1・65平方メートル、ほふく室は同3・3平方メートルが必要という政府基準は、昨年10月の厚労省通知で初めて示された」としているが、政府は「01年から同様の解釈をしている」と説明しているという。事故当時の保育園は乳児室をほふく室として使っており、面積が基準を満たしていなかったと両親は訴えている。(詳しい内容は7つ下の記事をご覧ください。毎日新聞、10月19日。)

▶〔乳児死亡の園で複数の基準違反〕宮崎県延岡市の認可外保育施設(廃園)で7月、2か月児が死亡した問題で、施設が昨年6月、認可外保育施設指導監督基準違反を県から指摘されていたにもかかわらず、半年以上にわたり改善報告書を提出していなかったことがわかった。県は今年2月、抜き打ちで施設を調査し、その後、改善報告書を提出させた。 同児の死亡後、施設代表者は、乳児をうつぶせの状態で寝かせていたことや、昨年10月以降、保育士の資格を持った職員がいなかったことを説明している。いずれも厚労省の指導監督基準違反だが、保育士の数などは調査対象でなく、抜き打ち調査の時点では把握できなかった。  
 厚労省によると、昨年、全国の保育施設で起きた子供の事故は89件、うち死亡は14件で、12件が認可外保育施設で発生。死亡した14件はすべて睡眠中に異常が見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。(読売新聞、10月10日他)

▶〔うんていで小4児が死亡〕10月12日午後1時半ごろ、北九州市の小学校校庭のうんていで4年生児が首をつった状態でいるのがみつかった。同児は16日死亡。うんてい中央の頂点部分(高さ2.08メートル)に上着(長袖パーカ)の両袖が結びつけられており、その間に男児の首がかかって宙づりの状態になっていたという。いじめ等の示唆はないという。

▶〔登り棒から転落。4歳児。古い記事ですが、発見したので掲載〕2003年、尼崎市の公園で、私立保育園の4歳児が登り棒の地上約2mの高さから転落。同児はコンクリートで腹を打って痛みを訴え、園長が自分の車で近くの診療所に運んだ。その後、転院先で手術を受けたが多臓器不全で死亡。翌年、両親は、保育士4人と園長、保育園、公園を管理する尼崎市に計約5500万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。両親は「園は必要な人員配置や保育士らの指導を怠り、市は遊具の適用年齢を明示せず、登り棒の下にコンクリートをむき出しにしておくなど安全を確保しなかった」と主張。(共同通信、2004年6月9日)

▶〔おやつ中の窒息〕愛知県碧南市の保育園で起きた窒息事故により亡くなった栗並寛也くんのご両親が、その後の取り組みを報告なさっているブログです(リンクの許可をいただきました)。ご両親が第三者調査委員会でなさった意見陳述はこちらの記録の11ページから。調査委員会へのリンクはこちら。この事故の報告書はこちら。最低基準等についても、ご発言を続けていらっしゃいます。子どもたちの命を守り、より豊かな保育を作っていくため、「保護者」「園(公立、社福、企業)」「行政」といった枠組みを越えて、協力していく形が広がっていけば、と思います。この件については、のちほど「保育園における安全」に加筆します。

▶〔製品による家庭での事故〕製品評価技術基盤機構(NITE)は20日、家庭内での子どもの事故について注意呼びかけ。2011年度までの5年間で同機構に報告された、(製品が関与しており、かつNITEに報告があった)家庭内で発生した14歳以下の子どもの事故は500件。内訳は死亡が7件、重傷67件、軽傷295件(9月20日のTBSオンライン・ニュースから)。NITEのプレスリリースはこちら

▶〔交通事故〕9月15日午前9時ごろ、幼稚園送迎バスとワンボックス車が衝突。バスに乗っていた園児9人のうち4人とバス運転手が軽傷。バス同乗の保育士(?)、ワンボックス車乗車の2人にケガはなかった。場所は、埼玉県八潮市の信号機や一時停止標識がない交差点(毎日新聞)。

▶〔グリーフ・ケア〕事故で子どもを亡くした家族を対象にした、電話相談始まる。記事のpdfはこちら

▶〔1歳6か月。食物による誤嚥窒息〕 2012年2月、東京都あきる野市の認可保育所で、1歳6か月児が白玉にて誤嚥窒息、死亡。都への報告は8月。事象の説明は、まったくない。

▶〔3歳。溺水〕 2012年8月23日午後4時40分ごろ、茨城県五霞町の認可外保育所「東関東子育てサポートセンター」で、3歳児が家庭用プール内に倒れていた。意識不明の重体(現状は不明)。一人で遊んでいたが、保育士が目をはなした間におぼれたとみられる。水深20cm以上。

▶〔2歳。食物による誤嚥窒息〕 2012年7月20日、栃木市立「はこのもり保育園」で、2歳児がおやつのフルーツポンチに入っていた白玉で誤嚥窒息。8月に死亡。同じ冷凍白玉では、2010年9月、栃木県真岡市の小学1年生が給食で誤嚥窒息、意識不明の重体。8月に死亡。

▶〔2歳。溺水〕 2012年7月2日午前11時30分ごろ、無認可施設「バディスポーツ幼児園世田谷園」で2歳児が溺れ、一時、意識不明(障害等の現状は不明)。通常は約15人の園児に2人の職員で水泳指導を行うが、この時は45人を2人でみていた。

▶〔1歳4か月。食物による窒息〕 2010年10月29日、愛知県の社会福祉法人「かしの木保育園」で1歳4か月児がおやつを喉につまらせ、死亡。調査報告書はこちら。

▶〔3歳児がベランダ柵に自分で登り、転落。窓の鍵も自分で開けた可能性〕 5月15日午後4時25分ごろ、東京都内のマンション11階のベランダから3歳児が転落、死亡。ベランダ柵の内側、低い位置に物干し竿が2本設置されており、児はこれを階段のようにして登り、柵の上付近に行き、誤って落ちたとみられる。「ベランダの窓の鍵は閉めていた」と説明されており、一人で留守番をしていた児が自分で鍵を開けた可能性もある。

〔子どもの誤飲の現状〕 東京消防庁から、子どもの誤飲事例に関する最近のまとめが発表されました。まとめはこちら

▶〔バンボチェア、米国でリコール〕 日本でも輸入販売されている「バンボベビーソファ」が、8月15日、米国でリコールされた。テーブル等の高所に置いて使っている際に、子どもが転落、重傷を負うケースも報告されたため。日本でも、正規輸入代理店が専用腰ベルトの配布を開始。(「日本では同様のケガの報告はない」と正規輸入代理店サイトにあるが、「報告がない=ケガ事例がない」ではない点に注意。また、腰ベルトを装着したとしても、高所に置いて子どもが動けば転落は起こりうる。)


保育全般

▶〔行政別に保育力チェック〕 「保育園を考える親の会」(東京)が、政令指定都市や首都圏の主要市区の保育の実施状況を調べ、冊子「100都市 保育力充実度チェック」にまとめた。認可保育園の定員、待機児童数のほか、延長保育や休日保育、病後児保育の実施状況などを自治体別の一覧表にしている。また、認可保育園に入園を申し込んで実際に入園できた人数を「入園決定率」として表記している。1冊600円(送料別)。「保育力充実度チェック送付希望」と書き、郵便番号、住所、氏名、連絡先、希望冊数を明記し、電子メール(hoikudesk@abeam.ocn.ne.jp)で申し込む。問い合わせは、事務局(03・6416・0721)へ。(読売、12月18日)

▶〔最低基準、60年以上改定なし〕「児童福祉施設最低基準」について、東京新聞(11月29日)が報道。専門家も「狭すぎる」と指摘。

▶〔子育て体験授業〕寺田清美・東京成徳短期大学教授が続けている「子育て体験授業」が読売新聞で取り上げられました。

▶〔保育士による事件〕勤務園で就寝中の男児の股間を触ったなどとして、宮城県警少年課等は、強制わいせつと児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で愛知県豊橋市の元保育士(男性、29歳)を逮捕した。逮捕容疑は、昨年7月13日頃から約2カ月間に計7回、同市内の保育園で就寝中の6歳男児の股間を撮影、同8月23日、同児の股間を触るなどした疑い。保育士は、「タイプの子だった」と容疑を認めているという。(9月19日、時事)
 同様の事件は、富山市でも今年6月に発生。元保育士(男性、27歳)は、3月下旬ごろ、保育中の女子園児を触るなどし、強制わいせつ容疑で逮捕。同保育園で身体測定中の女児を動画撮影したとして逮捕されていたが、こちらは処分保留で釈放されていた。「幼児に興味があった」と供述。(6月26日、毎日)

▶〔保育士による事件〕香川県丸亀市立保育所の女性保育士(56)が8月、1歳男児に体罰を加え、依願退職。市によると、所内トイレで泣いていた男児の尻に、手形が残っているのを職員が見つけ、所長がこの担任にただしたところ、「排便させようとしたら暴れたので、2回たたいた」と認め、2日後に退職した。同職員は30年以上、正職員として勤務した後、09年からは臨時職員として復帰。2年前にも1歳児2人に体罰を加えたところを保護者に目撃されたが、ケガはなく、「反省している」として処分は見送られた。(9月21日、読売) 

▶〔学童保育〕今年の5月1日現在、全国の学童保育利用児童数は過去最多の846,919人(1993年調査開始。全国学童保育連絡協議会)。学童保育設置数も過去最多の20,843ヵ所。利用児童71人以上の大規模施設が増加、前年より101ヵ所多い1,352ヵ所。100人以上も277ヵ所。大規模化は、特にケガや事故の増加につながると懸念(読売新聞


アレルギー、食

▶〔アレルギー、肥満といじめ・米国〕 マウント・サイナイ病院の医師らがアレルギーを持つ子ども251人(8~17歳)とその保護者を対象に調査したところ、32%が「アレルギーのためにいじめにあった」と回答した。また、イェール大学の研究者が「体重減少プログラム」に参加している子ども361人を対象に調べたところ、3分の2が「体格が原因でいじめられた」と回答した。 ロイターの記事で、マウント・サイナイ病院の医師は、「アレルギー、過体重、肥満などの健康課題を持つ子どもの保護者は、子どもとの会話をかかさず、いじめの早期発見と対応を」と話している。(ネットニュース多数。ロイターの原文はこちら)。

▶〔アナフィラキシーへの認識低い〕 ファイザー株式会社が実施した調査から、食物アレルギーを持つ小学生の母親の87.6%が「アナフィラキシーを起こす可能性は低い」と思っていることが明らかに。子どもの食物アレルギーについて「特になんの対応もしていない」と答えた母親は44.4%だった。アレルギーの子を持つ母親の29.8%が「子どもが友だちの家に行く時の食事」について不安に感じている一方、子どもの友だちに食事を出す際にアレルギーの有無を聞く割合は、アレルギーのある子どもの母親が51.9%であったのに対し、アレルギーのない子どもの母親の35.9%と差があった。全体のまとめはこちら。ファイザー社の報告書はこちら

▶[食物アレルギーによる死亡に賠償命令] 横浜市の児童相談所で2006年、一時保護中の3歳児が死亡した事故をめぐり、両親が「保護中に食物アレルギーで死亡した」などとして起こした訴訟の判決があった。判決は同所の食事を食べたことによるアナフィラキシー・ショックが死因と判断し、市に約5100万円の支払いを命じた。同児は生後6カ月で食物アレルギー体質がわかり、通院中に栄養不足による「くる病」と診断され、入院。退院時、病院から「栄養ネグレクトなどの疑い」と通告を受けた児童相談所が児を一時保護。保護先の児童相談所が朝食にあやまって卵を含むちくわを出し、児はその日午後に死亡した。 (朝日、10月30日)


感染症

▶〔ノロウイルス〕遺伝子変異を起こした新型ノロウイルスが全国で検出されており(国立医薬品食品衛生研究所などの調査)、変異型への免疫を持たない人を中心に流行の拡大が懸念されている。国立感染症研究所によると、全国3千カ所の小児科で11月19~25日に確認された感染性胃腸炎の患者数の平均は13.02人と、2週連続で10人を超えた。多くはノロウイルスが原因とみられる。変異型ウイルスは10月、新潟県内で見つかり、その後、各地に拡大している。(朝日、12月8日)

▶〔ノロウイルス集団食中毒〕 兵庫県小野市の社福園(園児145人)で、ノロ・ウイルスによる集団食中毒が発生した。同市健康福祉事務所によると、発症者は園児89人と職員10人。うち児1人が一時入院したが、現在は全員快方に向かっている。10月25日未明から症状が出始め、26日に多数の欠席者があったが、園からの報告は26日午後3時半ごろだった。(毎日、10月30日)

▶[マイコプラズマ肺炎流行中!] 全国の指定医療機関からの報告患者数は10月15~21日に600人。これまでの合計患者数は昨年1年間の報告数をすでに上回った。患者の8割が子ども。熱や頭痛がおさまっても咳が長く続くのが特徴。予防はマスクの使用や手洗い。(朝日、10月31日)

▶〔RSウイルス〕国立感染症研究所は19日、RSウイルス感染症患者が、1~7日の1週間で5007人報告され、2003年の調査開始以降で最多となったと発表。例年12月から1月に感染のピークを迎えるが、今年は9月の段階で昨年のピークを上回っていた。感染研によると、都道府県別では東京が548人で最多。福岡(476人)、大阪(362人)、埼玉(220人)。29道府県で、前週より患者数が増加した。(日本経済新聞、10月19日))

▶〔日本脳炎摂取で死亡〕岐阜県の診療所で10月17日、10歳の男の子が日本脳炎の予防接種を受けた約2時間後に死亡。死因等は不明。(各ニュース)

▶〔感染症〕厚労省は有識者検討委員会を開き、インフルエンザ発症時の保育園出席停止期間について、「発症後5日を経過し、かつ熱が下がった後3日経過するまで」とする修正案を提示した。予防接種や保育現場での感染防止策をより詳細に書き込むことも提起。11月中にも新たなガイドラインを示す。(10月2日、産経)

▶〔感染症〕マイコプラズマ肺炎の感染者が子どもを中心に、統計開始以来最悪のペースで増えている。9月3日~9日に全国約500の医療機関から報告された患者数は501人で、 2011年の同じ時期と比較すると1.8倍。 このうち8割は14歳以下の子ども。近年、抗生物質が効かない型も増えている。(9月19日、FNN)

▶〔感染症〕RSウイルス流行が例年より早く始まり、患者が急増(国立感染症研究所まとめ)。例年は10月に患者が増え始めるが、今年は7月から増え、既に例年の11月並み。全国約3000か所の小児科からの報告では、今月上旬の1週間あたりの患者数は2785人で、2004~11年の同時期平均の6倍強。東京都や大阪府、福岡県、宮崎県で患者が多い。RSウイルスは1歳未満で感染すると、肺炎や細気管支炎を起こしやすい。(9月25日、読売)

▶〔感染症〕3月19日のNew York Timesによると、ノロ・ウイルスによる感染症死亡が米国で増えているとのこと。高齢者を被害の中心とする院内感染菌Clostridium difficileの次に死亡が多いのがノロ・ウイルス。年間800人の死亡の大半は高齢者だが、約30人は5歳以下の子どもと推定されている。ノロ・ウイルスが強毒化している可能性も示唆されている。冬に向けて、予防と起きた時の適切な対応の徹底が必要。


その他の子どもの安全、健康

▶〔学童で暴力事件〕板橋区教育委員会は21日、区立小学校の「放課後子ども教室」(都内の人材派遣会社が委託運営)で、60代の男性指導員が5年生にけがをさせたと発表した。指導員は解雇、傷害容疑で書類送検された。11月15日午後、校庭で遊んでいた同児が取り損ねたドッジボールが男性指導員の顔に当たった。下を向いていた指導員は、わざとぶつけられたと思い込み、大声を出して児に詰め寄り、トイレの仕切り板に押しつけた。通りかかった児の母親が止めに入り、男児を病院へ連れて行ったところ、首をねんざしていた。 児や母親、まわりで見ていた児童らは「仕切り板に何度もたたきつけられ、拳であごを殴られた」と話したが、指導員は「威嚇はしたが寸止めした」と否定した。区では、これまでも別の指導員について、巡回した区職員が問題を感じたことがあったが、委託のため直接指導できず、人材派遣会社から注意してもらっていたという。同児はショックのため、現在もあまり登校できない状態にあるという。(東京新聞、12月22日)