2013年のニュース
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事故、傷害、ヒヤリハットの事例

▶〔1歳児が食事中に心肺停止〕 札幌市北区の無認可保育所で12月24日、食事中に心肺停止状態となり治療を受けていた1歳児が27日、死亡した。児は自宅から持参した弁当を園長に食べさせてもらっていたが、園長が他の子どもの弁当箱を台所に運ぶため、一時的(園長は「1分程度」と説明)に離れ、戻った後に苦しみだした。園長が背中をたたくと、児は食べ物をはき出したが、間もなく意識を失った。弁当にはチャーハンやウインナー、かまぼこが入っていたという。当時、保育所には園長ら職員3人が付き添い、園児14人が食事をしていた。警察は、業務上過失致死容疑に当たるかどうか慎重に調べている。(各紙、12月27日) その後の司法解剖の結果、死因は低酸素脳症と確認。

▶〔ボタン電池が目に入り、入院・手術〕 2009年に国民生活センターが報告した事例ですが、ボタン電池の入った小物や玩具が多い現在、どこでも起こりうる事故です。ボタン電池のケースは内部にバネがついていて、電池が飛び出すものが少なくありません。そして、ボタン電池は単なる金属ではなく、通電しているものであり、人体内に入ると短時間で炎症を起こします。保育園でも、1)子どもがいる場所では絶対に蓋を開けない、電池を交換しない、2)蓋がネジどめされていても安心せず、養生テープでとめておくなどしてください。

▶〔クレーン車が横転し、幼稚園直撃〕 11月26日昼ごろ、横浜市内の電柱交換作業現場で、高さ15m、重さ約1.8トンの電柱をつるしていたクレーン車がバランスを崩し、横にあった学校法人営幼稚園の敷地内に横転した。幼稚園の建物2階ベランダの柵などが電柱の直撃によって壊れたが、けが人はなかった。クレーン車の転倒防止用固定具が湾曲したことが原因とみられる。事故当時、園児約70人や職員は卒園記念写真を撮るため園庭にいたが、大きな混乱はなかったという。(産経、11月26日)

▶〔無届保育施設で死亡事故〕 児童福祉法に違反して無届け営業をしていた群馬県の託児所で昨年12月28日、死亡事故が起こった。夜間保育に生後4か月児を預けたが、深夜に母親が迎えに行った際、異変に気づき救急搬送、29日に死亡が確認された。死因は不明。県の事故報告書によると、ぐずって泣きやまない児を施設はベビーラックに寝かせており、午後10時以降の保育従事者は施設責任者のみで、荷物の整理などをしていたという。同施設では受け入れ可能人数が12人だったが、14人を預かり、夜間従事者も2人必要なところ1人しかおらず、保育士を1人も雇っていないなど、基準を下回っていたという。事故後に届け出をし、保育人数や保育従事者数などの改善を報告し、運営をしている。施設責任者は「届け出が必要だとは知らなかった」と話している。一方、母親は「まさか無届けの施設で、基準も満たしていないとは思わなかった。元気だった娘に何があったのか知りたい」と語り、近く施設側を提訴する。(読売、12月6日)

▶〔給食に12ミリのネジ〕 松阪市の民間保育園(社福)で12日、5歳児の給食(麻婆豆腐)の中に長さ12mmの金属製ネジが混入していた。子どもが気づき、ケガはなく、体調不良などの報告も入っていないという。調査の結果、調理室にあったフードプロセッサーのフタにあったネジと同じ部品だったことが判明した。(伊勢新聞、12月14日)

▶〔死亡事故の報告漏れ、31件〕 自治体が国に報告していなかった保育施設での死亡事故は、2004~12年に31件であることが、厚生労働省の調査から明らかになった。同省が10月末、全国の109自治体に調査したもの。21自治体で計31の報告漏れがあり、この間の死亡事故は93件とこれまでされていたものが、124件となった。内訳は認可9件、認可外22件。0歳1人、1歳7人。睡眠中の事故が27件と多く、SIDSまたはその疑いが8件、窒息3件など。17人は、死因が特定できなかった。報告漏れは、自治体が「病死」「睡眠中」のケースを「事故」と認識していなかったのが原因。(各紙、12月11日)

▶〔緞帳(どんちょう)落下で園児ケガ〕 12月4日お昼ごろ、群馬県伊勢崎市の文化センター大ホールで、同県玉村町の保育施設の園児13人がクリスマス発表会のリハーサルをしていたところ、緞帳(どんちょう、舞台用の厚い幕)が落下し、近くにいた児4人が風圧で転倒した。児は腰などを打撲し、軽傷とみられる。市によると、緞帳は年に4回検査しているが、11月29日の検査では異常なかったという。(産経、12月4日)

▶〔飛行機内に乗客、置き忘れ〕 ユナイテッド航空の飛行機で、米国ルイジアナ州からカリフォルニア州に家族を訪ねにいったワグナーさん。ぐっすり眠っていたところ、乗り換え地のヒューストン(テキサス州)でなぜか誰にも気づかれず…。目が覚めた時には、鍵のかかった真っ暗な飛行機の中だったそうです。ユナイテッド航空は、「なぜアテンダントも掃除係もワグナーさんに気づかなかったのかわからない。調査中」とのこと。(National Public Radio, 12月9日) 
〔掛札コメント〕2007年、送迎バスの中にお子さんを残してしまい、その子が熱中症でお亡くなりになった事故をふと思い出しました。たくさんの人が見ているはずの飛行機で、おとなが見落とされるのですから、ましてや子どもは…です。

▶〔
12月3日追加。1歳7か月、うつぶせ寝で死亡〕 横浜市で11月28日、女性家庭保育福祉員が預かって保育していた1歳7か月児が死亡した。当時、福祉員は計3人の乳幼児を保育、福祉員が午後4時ごろ、布団で寝ていた児の呼吸、顔色、退院などを確認した際、児はうつぶせで顔を横にした状態だった。くちびるが青く、声をかけたが反応がなかったため119番通報、搬送されたが死亡が確認された。市によると、当日は補助員がいたが一度帰っており、発見時は福祉員一人だった。児は午前8時半に登園、午前11時半に持参した昼食を食べ、午後0時40分ごろから他の子どもとともにそれぞれの布団で寝ていた。午後2時40分ごろ、児は一度起きたが、福祉員がもう一度、寝かしつけた。福祉員は10分おきに子どもの口に手をあてて呼吸を確認、記録していたという。3時40分ごろに確認した際、児は体も顔も横向きで寝ており、異常はなかったという。児の体温は登園時37.4度、昼に37.1度だった。福祉員は保育士の資格があり、児は生後4か月から週6日、通っていた。家庭保育福祉員は3歳未満の乳幼児を保護者に代わって、主に自宅を保育場所として保育する制度。横浜市内では、保育士などの資格を持つ58人を認定し、199人の乳幼児が利用している。(カナコロ他、11月29日) 12月3日に追加:神奈川県警による司法解剖の結果、死因は急性肺炎と判明したと12月2日、横浜市は発表した。女児は約1カ月前から風邪気味の状態が続いていたという。(産経、12月2日)

▶〔ベビーカーからの転落多発〕 消費者庁の「子ども安全メール」(11月21日)で、ベビーカーの安全ベルトを装着していなかったことが原因となる子どもの転落に関する注意喚起が行われています。

▶〔富士宮市の溺水事故、児が退院〕 10月16日、静岡県富士宮市の私立保育園で、1歳4か月児がプールの中で意識不明の状態で発見された事故について、同保育園のFacebookは、「11月10日、児が退院した」と報告している。(記事は下の10月16日を参照)。 
〔掛札コメント〕 園長の会見内容が正確であったとすれば、この児は40分間、見守りのない状態にあったようです。退院できた(=プールで溺れたのが発見直前だった)というのは、まさに不幸中の幸いです。この事故は、私がいつも申し上げている「ヒヤリハットや軽傷(症)から、起こりうる最悪の事態を予測し、もしその事態が深刻であると考えられるならば、深刻な結果だけは防げるように対策をとっておく」という点を典型的に示しています。詳しくは「安全に関するトピックス」をご覧ください。

▶〔賞味期限切れ牛乳を提供〕 岡山県津山市の市立保育所は11月16日、2週間前に賞味期限が切れていた牛乳を3~5歳児20人におやつとして提供していた。調理員が気づいた時には、全員が牛乳を飲み終わっていた。健康被害は確認されていない。事前に保育士が検飲したが、コップに移し替えていたため期限切れに気づかなかった。市こども課によると「廃棄し忘れ、冷蔵庫に保管したままだったことが原因」。(山陽新聞、11月18日)

▶〔駐車場で6歳児死亡〕 11月17日お昼ごろ、神奈川県伊勢原市の鶏卵販売場の駐車場で、祖父母と一緒に買い物に来ていた6歳児(保育園児)が、約3メートル離れたところに駐車しようとした乗用車にひかれ、死亡した。伊勢原署は車を運転していた78歳男性を自動車運転過失致死容疑で逮捕した。この男性は左にハンドルを切りながらバックしていたが、アクセルとブレーキを踏み間違えた可能性もあるという。(各紙、11月17日)

▶〔2歳児、母親運転の車にひかれ死亡〕 11月12日、佐賀県唐津市で2歳児が母親の運転する車にひかれ、死亡した。3歳児と一緒に保育園に送ろうと車に乗せる直前、母親の死角に児が入った可能性があるとみている。(佐賀新聞他、11月12日)

▶〔おやつに金属片〕 高松市のこども園で11月13日、おやつに長さ1.4センチの金属片が混入していた。おやつにだされた「かえり」(カタクチイワシの稚魚)を手に取った3歳児がみつけたもの。一部の子どもはおやつをすでに食べていたが、ケガはなかった。調査の結果、金属片は千葉県の製造業者が調理時に使ったアルミ製せいろ網の一部とわかった。(毎日、11月14日)

▶〔サンルーフと高架橋の間のすき間は4センチ〕 9月30日、山口県萩市でワンボックスカーのサンルーフから顔を出していた6歳児が、高架橋で頭部を打って死亡した(記事は下参照)。この事故が起きた高架橋、鉄枠の高さは1.97メートル、ワンボックスカーの車高は1.93メートルで、すき間は4センチしかなかったことがわかった(この高架橋には「けた下制限高1.8M」と表示されている)。また、車のシートからサンルーフまでの高さは約100センチ、児の身長は約110センチということで、警察署は「児がジャンプしたか、肘掛けに乗ったのではないか」とみている。サンルーフは、運転席でもロックできる仕組みになっていた。(朝日、11月24日)

▶〔町名表示板倒れ、小1児ケガ〕 福井市内の市道交差点で町名表示板(鉄製の支柱3.5mの上に、約40cm×約50cmのアルミ板。倒れた部分の重さは8kg)が支柱ごと倒れ、校外学習のため、横断歩道を渡っていた小学校1年生児の頭に当たった。児は頭部に1週間の外傷を負った。表示板は設置から最低14年たっており、支柱の根元が腐食していたものとみられる。(福井新聞他、10月22日)

▶〔睡眠中の死亡、6割がうつぶせ〕 保育施設で2008~12年(5年間)に発生した死亡事故のうち8割が睡眠中に起き、うち6割近くが「うつぶせ寝」の状態で発見されていたことが読売新聞の調査で明らかになった。第三者を交えた事故の検証が行われたのは全体の1割に満たず、厚生労働省の「うつぶせ寝を避けるように」との指導にもかかわらず、事故が繰り返されていることがわかった。調査は5年間の62件について、自治体を対象に9~10月に実施、事故発見時の子どもの状況や死因などを聞いた。その結果、62件中49件が睡眠中の事故、発見時の姿勢はうつぶせ寝28件、あおむけ12件、横向き5件、その他4件だった。記事はこちら。SIDS、うつぶせ寝に関する厚生労働省の解説ページはこちら。一番下に、印刷して掲示できる「啓発用ポスター」もあります。
〔掛札コメント〕うつぶせ寝については、「体勢を変えると子どもが起きてしまうから」「保護者が『うちの子はうつぶせ寝のほうがよく寝る』と言うから」といったご意見を保育士の皆さんからよく聞きます。けれども、うつぶせ寝はSIDSの最大リスク要因であると同時に、窒息の要因でもあることは明らかになっています。「保育園」という組織にとってのリスク、保育士さんという働く人の心と仕事のリスクと、「うつぶせのままにしておく」ことを天秤にしっかりかけて判断してください。極端な話、SIDSや窒息の危険を説明した上でも保護者から「とにかく、うつぶせ寝のままにしておいて」と言われたなら、「はい」と答えて、実際には体勢を変えればよいのです。子どもがもしも保育施設で亡くなったら、「うつぶせ寝のままにしておいて、と私(僕)が言ったのだから」と保護者は言ってくれるでしょうか? 情報提供をしてもなお納得しない保護者を説得することは、保育園の責任ではありません。でも、(とにかく預かっている間は)子どもの命を守ること、そして、保育士の心と仕事を守ることは、保育園の責任です。(あおむけ寝でも、吐瀉物の誤嚥窒息やタオル等が顔にかかることによる窒息は起こり得ますので、午睡チェックの実施を…)

▶〔幼稚園プールの溺水事故・調査報告〕 神奈川県大和市の幼稚園(学校法人)の屋内プールで2011年7月、3歳児が溺死した事故に関する消費者安全調査委員会の調査結果はこちら

▶〔追加:1歳4か月、保育園プールで意識不明の重体〕 10月16日午後4時ごろ、静岡県富士宮市の民間保育園で1歳4か月児が屋外プールに浮いているのを職員が発見。病院に運ばれたものの、意識不明の重体。プールは縦約4m、横約8m、深さ約1mで、その時の水深は約50cm。保育園によると、他の園児と遊んでいたところ、この児の姿が見えなくなったため、捜していたとのこと。プールの周囲は子どもが入り込まないよう高さ1mのフェンスで囲まれていると保育園は説明している。(NHK他、10月16日)
以下は追加:園長は記者会見で、プールの鉄製扉(両開きの2枚扉。幅2m、高さ1m)のかんぬきが老朽化して施錠が不十分だったことを説明した(押すと簡単に動き、低くなっているプール側との間に、子どもがくぐれるだけのすきまができる)。当時、保育士5人が園庭(「15mほど離れた所」と園長は説明)で子どもたちを見ていたが、「別の子どもがケガをしたため、全員に目が行き届かなかったかもしれない」と。この児は3時半頃までは園庭で遊んでいたようで、同50分頃になって、児がいないことに保育士が気づき、園内を捜索。約20分後にプールで発見した。10月でも暖かければ使用するため、プールには水が張られていた。(読売、10月18日) 〔掛札コメント〕 「うちは屋外プールがないから大丈夫」「なんで水をためてあったの?」ではありません。「いないこと」にたとえ数分間であっても気づかなければ、他のさまざまな事故(交通事故、誘拐、転落など)も起こりうるという点を考えてください。

▶〔市民体育祭でテントが倒れる〕10月13日、大阪府摂津市の小学校で開かれていた市民体育祭で、テントひと張が倒れ、その場にいた4歳の幼稚園児、小学4年生児、64歳の女性が頭や顔を打撲する軽傷を負った。テントは風にあおられて倒れたとみられる(FNN、10月13日)

▶〔祭りのみこしで6歳児が骨折〕 10月13日、兵庫県市川市の神社で行われていた祭りで、境内に置かれていたみこし(高さ約4m、重さ約2t)が倒れ、そばにいた6歳児(保育園児)がみこしと地面の間に太ももをはさまれ骨折。中学生数人が手すりに乗って記念撮影をしていたところ、みこしが倒れたもの。中学生一人も軽傷。(MBSニュース、10月13日)

▶〔ペットボトルのラベルを誤飲する事故が多発〕 消費者庁の「子ども安全メール」(10月3日)で、ペットボトルのラベルによる誤飲や窒息に対する注意喚起が出されています。ペットボトルをおもちゃ代わりに使うことは保育園でもよくありますが、家庭ではラベルを外さずに渡し、誤飲(誤嚥の危険)につながっているようです。ペットボトルのラベルだけでなく、シールでも誤飲・誤嚥の危険はありますので、保育園でも点検を!

▶〔オオスズメバチが猛威:中国〕 日本にも生息するオオスズメバチによる被害が、中国で広がっているとのことです。陝西省の3都市で6月以降、42人が死亡、1675人が傷害を負い、なお37人が重症とニュースは伝えています。オオスズメバチの毒はアナフィラキシー反応の引き金となりやすく、日本でも刺される事象が報告されています。林業・木材製造業労働災害防止協会が予防と対策をまとめています。

▶〔サンルーフから頭を出し衝突、死亡〕 9月30日午後6時ごろ、山口県萩市の市道でワンボックスカーが走行中、同乗の6歳児がJR山陰線高架下のガードパイプに頭を衝突させた。児は頭を強く打ち、死亡。県警によると、児は母親の運転する車で保育園から帰宅中、後部座席でサンルーフから頭を出していたもよう。高架の高さ制限は1.8メートルだった。(毎日、10月1日)

▶〔
29日追加・抱っこヒモからの転落事故〕 東京の国立成育医療研究センターに搬送されたケースだけでも、過去6年半に「抱っこヒモからの転落事故」が50件あったことが産業技術総合研究所の検討から明らかになりました。転落した子どもの9割は1歳未満。抱っこヒモから子どもを降ろそうと片足を外したり、抱っこした状態で親が前かがみになったりした時に滑り落ちる形で発生していました。頭のケガなどにつながっています。(NHK、9月24日) 〔掛札コメント〕 私の元職場である研究チームからの発表です。「前かがみにならないで」と言っても、日常の中ではつい、してしまいますよね。「抱っこヒモ自体のデザインも考える必要がある」と担当研究員もニュースの中で言っていますが、その通りだと思います。 追加:その後、この分析をした元・同僚に聞きましたところ、「抱っこ」専用ヒモだけではなく、「抱っこ/おんぶ」兼用ヒモ、最近売られているおんぶヒモでも、転落事故が起きているとのことです。「抱っこ状態からおんぶに移そうとして」や「立ったまま、おんぶをしようとして」子どもを落としているとのこと。保育園でもおんぶひもからの子どもの転落が起きていますので、保護者だけでなく、保育園にも関連する話題です。追加:抱っこひもやスリングに関して、平成22年に国民生活センターが出した報道資料はこちら

▶〔給食のつみれで食中毒〕 東京都清瀬市内の7保育園で9月19日、計92人の園児が赤みや発疹などの症状を示した。現在は全員、回復している。保健所が調べたところ、給食に出たイワシのつみれから化学物質「ヒスタミン」が検出され、これによる食中毒とみられる。不適切な管理のため、魚に多く含まれる成分が変化し、ヒスタミンが発生した可能性があるという。材料のイワシのすり身は市内の水産会社から仕入れた。(朝日、9月19日)  
〔掛札コメント〕ヒスタミンはアレルギー発症の際に体内でも生成される「かゆみ物質」のひとつです。食中毒については、横浜市のこの資料が簡単にまとまっています

▶〔母親の車にひかれ、4歳児死亡〕 三重県松阪市内のファミリーレストランの駐車場で、4歳児が母親の運転する車にひかれ、頭を強く打ち、1時間半後に死亡した。児は母ら4人でレストランに着き、母親以外が先に降りた直後、前進した車の前輪でひかれたという。警察署は、降車後、児が転んだことに母親が気づかず、駐車場に向かおうと車を前進させたとみている。(朝日他、9月22日)

▶〔廃棄された冷蔵庫で子ども3人死亡・南アフリカ〕 南アフリカのアタメラングで9月13日、廃棄された冷蔵庫の中から窒息死した子ども3人の遺体が発見された。2人は4人、1人は3歳だった。遊んでいるうちに身動きがとれなくなったとみられる。(AFPBB、9月16日)
〔掛札コメント〕最近の日本では聞きませんが、以前はよくありました…。

▶〔降園中、はねられ死亡〕 8月30日午後6時過ぎ、大阪府吹田市の市道を歩いていた2歳児が後方から来た乗用車にはねられ、病院に運ばれたが死亡した。児は母親と一緒に保育園から帰宅中で、母親は児の少し前を歩いていたという。児をはねた運転手は市道に右折してきた直後とみられ、「(児に)気づかなかった」と話している。(毎日、9月1日)

▶〔給食に金属片混入〕 高松市の市立保育所で21日、給食に出た卵の千草焼に金属片2個(長さ3cmと1.5cm)が混入していた。6歳児が口に入れた際に気づき、ケガはなかった。給食は園内調理室で約200人分を調理。みつかった金属片は、洗浄用ステンレス製タワシの形状と一致した。(8月22日、四国ニュース)

▶〔総合公園で遊具やフェンスのボルトはずす悪質な行為〕 和歌山県田辺市の新庄総合公園などで、遊具やフェンスのボルトを外すなどの悪質な行為が続き、市は「絶対にやめてほしい」と警告している。外されていたのは、フェンスを接続するボルトや、遊具の支柱にあるボルトで、複数回、外されている。ボルトは強く締められているため、器具を使わない限り、外れたりすることはないといい、他のいたずらと合わせ、人為的な行為とみられる。
〔掛札コメント〕 真似た事例も起こりえますので、公園などで子どもを遊ばせる時は、しっかりと事前チェックを!(8月2日、紀伊民報)

▶〔公園で2トンの岩が落下〕 岡山市内の「こどもの森」で、大型滑り台(幅約30m、高さ約3m)横の岩場から重さ2トンの岩が落下した。近くで10人前後の親子連れらが遊んでいたが、けが人はなかった。岩は、滑り台下をくぐる洞窟の入り口に積み上げられている。高さ約1.6mの場所にモルタルで固定されていたはずのこの岩(長さ1.2m、幅1.2m、厚さ0.6m)が落下しているのを、8月5日午後3時ごろ、巡回中の管理人がみつけた。落下の原因は未特定。5月の点検でモルタルのヒビをみつけ、補修したところだという。(山陽新聞他、8月6日)


▶〔溺水の児、無事に退院〕 茅野市営プールで溺れ、意識不明になっていた4歳児が意識を取り戻し、後遺症もなく13日に退院した(ニュースは8月8日、信濃毎日。下にあります)。県立子ども病院の医師団によると、「児の母親がすぐに人工呼吸をしたこと、病院間の連携がうまくいったことが奏功」と述べている。溺水時、この児は自発呼吸と心拍があり、脳機能の回復を助ける低体温療法を4時間以内に始めたことも成功の理由。(中日新聞、8月15日)

▶〔足入れ浮き輪禁止の自治体も:長野県〕 長野県茅野市の市営プールで8月1日、4歳児が溺れて意識不明になった事故を受け、長野県の複数の自治体で「足入れ型浮き輪」使用禁止の動きが出ている。この型の浮き輪は転覆すると脚が抜けにくく、危険との判断。(記事と浮き輪の写真はこちら。信濃毎日新聞他、8月8日) 〔掛札コメント〕この種類の浮き輪(浴槽用、プール用)については、これまでも日本小児科学会 Injury Alertに報告があり、危険性はわかっています。

▶〔1歳児溺れる。人工呼吸で救命〕 宮崎市の保育園のプールで1歳児があおむけに浮いているのを保育士がみつけ、119番した。児は当初意識不明だったが、保育士の人工呼吸で間もなく意識を取り戻し、病院に搬送された。命に別状はない。当時、保育士2人が8人の1歳児を水遊びさせていた。プールはプラスチック製で、縦6m、横3.7m、深さ67cm。水深は43cmだった。(毎日、8月9日)

▶〔プールの排水口に足を吸い込まれる〕 長崎市尾戸小学校のプールで8月8日、低年齢児用プールの水の中をかがむようにして歩いていた2年生児の足が吸い込まれ(吸着された状態?)、そのまま動けなくなった。消防がプールの水を抜いて救出、命に別状はない。このプールには、吸い込み防止金具が適切に設置されていたということで、原因を調べている。(8月8日、FNN他)

▶〔プール下敷きの3歳児、死亡〕6月15日、秋田県内の幼稚園でプールの下敷きになって重体となった3歳児が8月2日、脳挫傷のため死亡した。(8月3日、各紙)(記事は6月分に掲載しています)

▶〔入浴施設3階から小3児が転落、重傷〕 埼玉県嵐山町の入浴施設に宿泊していた小学校3年児が3階の部屋の出窓から転落。1階の露天風呂の屋根にあたってから石畳に落ちたとみられ、背中を強打する重傷。事故当時、児は友人とかくれんぼをしており、出窓部分に隠れようとしたところ、足を滑らせて網戸を突き破り転落。出窓には、転落防止用の柵などはついていなかった。(7月31日、日テレNEWS)

▶〔子どもの食物誤嚥の実態(非致死、米国)〕 全米小児科学会誌(Pediatrics)に、米国における14歳以下の子どもの食物誤嚥(非致死)の検討論文が発表された。2001~2009年の間に米国では毎年約12000人(1日平均にすると34人)の子どもが誤嚥窒息により救急受診/搬送されており、うち1割が入院を必要とした(ここでの検討例はすべて、死に至らなかったもの)。全体の3分の1が1歳未満だったが、受診/搬送の平均年齢は4.5歳で、誤嚥は必ずしも乳児の問題ではないと指摘されている。論文によると、0歳が誤嚥する食物の第1位は乳、次いで果物と野菜、ついでビスケット/クッキー/クラッカーだった。1歳台になると、1位は果物と野菜、2位はナッツ/タネ類、3位は柔らかい飴。2~4歳のトップは飴(柔らかいもの、堅いもの)、次いで肉や骨だった。ちなみに米国では14歳以下の子どもが毎年60人弱、誤嚥窒息により死亡している。誤嚥窒息による死亡原因として、米国でよく話題にのぼるホットドッグのソーセージは今回の非致死例の中では全体の11位であった。これは、ホットドッグのソーセージが気管をふさいだ場合、死亡の確率が高いためと論文は説明している。 〔掛札コメント〕 あくまでも、非致死例の検討です。「誤嚥しやすい食物」と「(誤嚥のしやすさにかかわらず)誤嚥した場合には死亡することが多い食物」は、明確に分けて考える必要があります。

▶〔ドア下のすきまによる足のケガ〕 消費者庁の「子ども安全メール」の2011年の記事ですが、NEWSポストセブンが取り上げていたので、こちらにもリンクを貼っておきます。ドア(引き戸よりも、蝶番で止められた開き戸や蛇腹の折り戸)のすきまに足の指をはさんで指をケガする、あるいは爪をはがしてしまうという事例は保育園でも少なからずみられます。すきまがある場合は、ドアの一番下の部分にクッション材を垂らすようにして貼り、すきまが隠れるようにするのも一策です(すきまが非常に大きい場合は、クッション材をドアの底面に貼ることも)。最近の「子ども安全メール」はこちらから。

▶〔機械式立体駐車場での子どもの死傷事故〕 機械式立体駐車場での子どもの死傷事故が相次いでいることから、注意喚起の記事。昨年は3歳児、4歳児が死亡しているという。事故を防ぐ注意点も記載。(7月11日、東京新聞)

▶〔エスカレーターに髪の毛を吸い込まれる:ニューヨーク〕 エスカレーターの階段部分は物がはさまると止まる構造になっているようですが、髪の毛のような細い(薄い)ものでは、検知されないかも…という話です。7月3日、ニューヨーク市内の地下鉄のエスカレーターで30代の女性が昏倒、長い髪が階段にはさまったまま、からだごと引き込み口にひきずりこまれそうになったそう。近くにいた人がエスカレーターを止めたということですが、目撃者によると、女性は額と足から出血していたとのことです。

▶〔水泳授業中に4才児死亡〕 7月2日午後1時40分ごろ、愛知県豊橋市の私立幼稚園の室内プールで、水泳学習中、4才児がうつぶせに浮いているのを発見され、搬送されたが約2時間後に死亡した。プールは校舎3階にあり、幅3.3m、長さ7.5m、水深は約27.5cmだった。水泳学習は1時半から始まり、年中児と年長児計27人が参加。教諭2人がプールサイドにいた。同幼稚園には36人の子どもがおり、常勤職員は5人だった。(7月2日、各紙)

▶〔プラムの種で死亡〕 札幌市の市立小学校で6月27日、特別支援学級の2年生が給食に出たプラムの種をのどに詰まらせ、窒息死した。種を食べようとした児に教諭が「種は出すんだよ」と声をかけたが間に合わず(12時55分ごろ)。その後、背中をたたいたり、口の中に手を入れて吐き出させようとしたが種は出なかった。到着した救急隊員が1時20分ごろ、吸引器で取り出し、搬送したが、2児過ぎに死亡が確認された。(6月28日、各紙)

▶〔げた箱倒れ、ケガ〕 6月26日、山形県の市立小学校で、3年生が倒れてきたげた箱の下敷きになり、後頭部を切るケガ。げた箱は縦約180cm、横約150cmで固定されていなかった。登校時だったが、周囲に他の児童はいなかった。「靴を出し入れしていたら、急に倒れてきた」という。(6月27日、読売)

▶〔ペットボトルが破裂、5歳児ケガ〕 6月8日、浜松市の市立小学校の校庭の遊具の上に置かれた500ミリリットルのペットボトルが破裂し、付近で家族と遊んでいた5歳児が手や顔にケガをした。現場では同市内の男子中学生2人がペットボトルにドライアイスと水を入れてフタをし、破裂するかをみていた。10分ほどして変化がなかったため、ペットボトルを放置して帰ろうとしたところ、突然破裂したという。(6月9日、静岡新聞)

▶〔空中スライダー、事故で注意喚起〕 安全ベルトを装着し、地上数メートルに張られたロープで滑空する「空中スライダー」(全国45施設に設置)で2月に起きた落下事故を受け、消費者庁は17日、注意を促すニュース・リリースを出した。起きた事故は成人(6mから落下して腰の骨を骨折)だが、4才以上の子どもが使用している施設もあるため、要注意。(6月18日、各紙)

▶〔5歳児、うんていから転落。頭蓋骨にひびの重傷〕 山形県の町立保育園で5月9日、散歩中の公園のうんていから5歳児が転落する事故が起きた。児はうんていに飛びつこうとして落下したが、4人いた保育士はこれを見ていなかったという。変調がみられなかったことから、園は児を夕方、保護者に引き渡したが、夜になって嘔吐したため受診したところ、脳内に血液がたまり、頭蓋骨にもひびが入っていることがわかった。園は翌日に受診と傷害の事実を保護者から伝えられたが、症状が軽いと判断して、頭蓋骨のひびがわかった13日まで町に報告していなかった。町は園児がケガで受診した場合、報告を求めている。(6月20日、読売他)

▶〔プールの下敷きで3歳重体〕秋田市の幼稚園の2階バルコニーで、強化プラスチック製子ども用プール(2.6m×1.7m、約50kg)が倒れ、3歳児が下敷きとなり、外傷性くも膜下出血で意識不明の重体。バルコニーでは親子行事が行われており、園児と保護者70人ほどがいた。プールは柵にたてかけられ、同児はプール裏側の突起などに手足をかけてよじ登っていたとみられる。プールは2、3日前に使った後、バルコニーに置かれていた。参観日で室内にいた園児と保護者は、蒸し暑かったため、バルコニーに出たところ。事故は移動中に起こった。バルコニーの床はゴムチップで弾力性があるため、ケガはプールが頭を直撃したためとみられる。(6月17日、読売)


▶〔迎えの保護者の車が園児を轢く〕埼玉県狭山市の幼稚園で、迎えに来た保護者の車が4才児2人をひいた。1人は重傷、もう1人は軽いケガとみられる。2人はグラウンドで遊んでおり、2人の保護者も近くにいた。運転していた保護者は駐車しようとしたところだったという。(6月14日、各紙) 
〔掛札コメント〕送迎時の駐車・発進、特に迎え時は視界が暗いこと、保護者も仕事帰りの状態であること(急いでいる人もいる一方で、おしゃべりがはずむ人もいる)などから、危険が高い状況となります。送迎時の車のルールは保護者の責任と位置づけ、明文化して掲示などをしましょう。

▶〔屋内遊戯施設のケガで注意喚起〕商業施設の中などにある屋内遊戯施設(トランポリンやすべり台、ボールプールなどがある施設)でのケガについて、国民生活センターが注意喚起をしています。こちらの報告には事例なども掲載されていますので、ご活用ください。

▶〔小学生が保育園送迎車から転落〕 鹿児島県志布志市で学童保育のために小学生を乗せていた保育園の送迎用ワゴン車の背部ドアから小学生2人が転落、軽傷を負った。運転していた男性が叫び声を聞いてミラーを見たところ、背部ドアから2人が落ちていたという。(朝日新聞、6月6日)

▶〔プールを浅くするための可動床に足をはさむ〕 静岡市の総合運動場屋内プールで、9歳児が右足親指をプールの底のすきまにはさみ、2針縫う切り傷を負った。プールは長さ25m、深さ1.3mの8コース。うち3コースの床は可動式で、子どもが泳ぐ時などは床を50cm上げることができる。当時、上がった状態にあった可動床2基の間にある約1cmのすきまに指が入ったとみられる。事故後の点検では、すきまに鋭利な部分などはみつからなかった。(中日新聞、5月28日)
〔掛札コメント〕足の指で不幸中の幸い。万が一、すきまに水着などがひっかかる部分があり、子どもが潜水遊びなどをしていたら…?

▶〔ゼロ歳児、うつぶせ寝で呼吸停止〕 5月8日、神戸市の市立保育所で昼寝をしていたゼロ歳児が呼吸をしていないと、職員から通報があった。児は搬送先の病院で自発呼吸が回復(その後の回復状態は不明)。児はうつぶせの状態で横を向いて寝かしつけられ、約15分後、見守りにきた保育士が呼吸をしていないことに気づいた。その部屋は園児9人に対し保育士2人。市は「うつぶせの方が寝付きやすい子どもは寝入ってからあおむけにする場合もある」として、詳しい経緯を調べている。(5月9日、産経)

▶〔5歳児、エスカレーターに手をはさまれる〕 名古屋市の商業施設のエスカレーターで5歳児が右手をはさまれ、約20分後に搬送された。ケガは軽傷。児は保護者とともに手すりベルトにつかまり2階から1階に降りたが、ベルトから手を離さず、ベルト収納口に手を引き込まれたとみられる。(5月17日、各紙)

▶〔保育園での死亡(厚労省のプレスリリース)〕2013年1月に報道された内容(2012年の保育園における事故事例)の厚生労働省プレスリリースです。ちなみに、2011年はこちら

▶〔37の公園遊具で異常を発見〕愛知県稲沢市の県営公園で起きた頭蓋骨陥没骨折(下記4月3日のニュースをご覧ください)を受け、県は再発防止策をまとめた。公園の運営者は「ボルト・ナット類の突起」「鋭利な尖端・角・縁」等の必要6項目の点検を実施しておらず、今回、この点検を年1回以上実施するよう指導が行われた。また、事故後の県の調査から、都市公園の767遊具のうち37で、ナットの突起やロープの老朽化等の異常を発見、23は改修、14は使用停止とした。(日経、4月27日) 〔掛札コメント〕公園遊具は点検・整備がされているもの、と思い込んではいけないようです…。

▶〔ウォーターサーバーの温水でやけど〕 国民生活センターは、株式会社ナックが扱っているウォーターサーバーの温水コックがはずれ、子どもがやけどを負う事例が複数報告されていることから、部品交換を呼びかけている。写真入りの文書はこちら。 〔掛札コメント〕この機種でなくとも、ウォーターサーバーによるやけどは起きています! 「チャイルドロックがあるから大丈夫」? 東京都の実験では、子どもたちがチャイルドロックを解除できることがわかっています(実験の動画はこちら)。設置状態に合わせた対策を立ててください(例:温水レバーは、牛乳パックで覆うなど)。

▶〔回転遊具で頭部に大ケガ〕 4月15日、大分県九重町の小学校で1年生が校庭の遊具にはさまれ、顎と鼻の骨を折る大けがをした。遊具は直径約1.6m、高さ約1m。中央の支柱上部にある円形ハンドルを回すと、腰掛け部分が回転する仕組み。事故当時、スピードが出て男児は前のめりになり、ハンドルと腰掛け部分の約16cmの隙間に頭を挟まれた。この遊具は老朽化が激しく、町教委が3月に「使用禁止」としていたが、小学校側はこれを誤認、別の遊具を使用禁止にしていた。この事故を受け、大分市は市内5か所の公園にある回転遊具を使用禁止にした。(4月17日、各紙)


▶〔2歳児がベランダ柵を乗り越え、3階から転落〕 4月19日午後6時50分ごろ、名古屋市内のマンションの3階から2歳児が転落、意識不明の重体。警察によると、児は7人暮らし。帰宅した祖母がベランダに児がいるのを見つけ、急いで3階に上がったが、ベランダに出た時、児はすでに玄関先で倒れていた(ベランダの状態、家族の在宅の有無等は不明)。

▶〔歯ブラシによるケガに注意〕 消費者庁と国民生活センターは、ケガの情報を集める医療機関ネットワークのデータから明らかになった「歯ブラシによるケガ」について、事例も入れた報告をまとめた。平成22年12月から25年1月末までに調査対象となっている全国の医療機関で扱った歯ブラシのケガは50件で、うち49件が6歳以下の子どもだった。(3月28日)

▶〔遊具から露出したボルトで頭蓋骨陥没骨折〕愛知県稲沢市の県営公園で、老朽化した木製丸太橋遊具のボルト(直径10mm)が露出、丸太を渡る途中に転倒した8歳男児が頭をボルトにぶつけ、全治1年の頭蓋骨陥没骨折(重傷)を負った。県の基準では遊具の表面に出るボルト長は「3mm未満」と規定、3mm以上の場合はキャップなどで覆うよう求めている。事故が起きた遊具は木材が劣化して表面がはがれ、本来は表に出ていないナットが露出、ナットからボルトが5mm浮き出た状態だった。県が実施した安全点検でも見逃されていた。(4月3日、各紙)

▶〔衣類用スプレーによる中毒、肺障害に注意〕 汗ジミ防止、UVカット、静電気防止等の名目で販売されている衣類用スプレーによる中毒、肺障害について、国民生活センターは注意を喚起しています。これまでも防水スプレーによる中毒は指摘されてきましたが、他の衣類用スプレーにもフッ素樹脂、シリコーン樹脂等を含むものがあり、室内で大量に吸い込むと危険です。最近は、親御さんが子ども用の衣類にこうしたスプレーをすることもあると思いますので、注意喚起をお願いします。

▶〔「保育園に送ったつもり」。子ども2人、車内で死亡〕15日午後3時頃、埼玉県小川町の駐車場の車内で1歳児と2歳児が亡くなっているのがみつかった。母親が発見して119番したもので、死因は脱水とみられる。保育園に連れていくため、午前9時半頃、女性の夫が一人を乗用車に乗せ、女性がもう一人を車に乗せた。お互いが子どもたちを保育園に送り届けたと思い込み、そのまま外出してしまったという。2人ともチャイルドシートに座り、外傷はなかった。 小川町に近い寄居町の最高気温は13.7度で平年並み。(読売、3月16日)

▶〔公園のブランコでケガ〕 大分市は2月28日、高江中央公園でブランコ座板とチェーンをつなぐシャックルのボルトがはずれ、遊んでいた6歳児が左足打撲のけがをしたと発表した。発生は22日。1週間、周知しなかったことについて市公園管理事務所長は「同様のブランコの数を調べ、撤去する再発防止策を優先した」と説明。 市は「軽傷で家族の意向もない」として県警に事故通報もしていない。同市は11年に他の公園で小学生3人が骨折などけがをしたタイヤブランコ事故でも県警に通報せず、公表が1日以上遅れたことがある。 ブランコは1993年設置で、児が1人で遊んでいたところ、突然座板が落ち、高さ約50センチから転落した。シャックルの軸の脱落防止ボルトが緩んでいたのが原因だが、なぜ緩んだかは不明。(3月1日、各紙)

▶〔花粉防御用子どもメガネによるケガに注意〕 花粉防御用のメガネは、通常のメガネよりも張り出し部分が顔面に近く、そのためにケガが起きているという。国民生活センターが事例を挙げて注意を呼びかけている。

▶〔巧技台が崩れ、人差し指切断〕 山形県庄内町の町立保育園の保育室で今年1月、3歳児が巧技台(すべり台)で遊んでいた際に指を切断する大ケガを負った。21日、町議会全員協議会で町側が明らかにした。保健福祉課によると、児が木製すべり台(高さ約50cm)に登った際、すべり台が崩れ、右手の人さし指が斜面板などの間に挟まれ、指の先端から7mmを切断。すぐに病院で縫合した。児は通園を再開している。  当時、室内には保育士ら4人がいたが児から目を離していた。町は治療費を全額負担する方針。(読売、2月22日)

▶〔アルコール性手指消毒液に静電気が引火〕 米国オレゴン州の病院で、入院していた10歳児が上半身を中心に体の20%に3度の熱傷を負った。その場にいた父親、看護師などの情報を総合すると、服が火に包まれる直前、その子はアルコール性手指消毒剤(日本でもよく使われているもの)でベッドのテーブルを拭いていた。また、午前中、ベッドのシーツで静電気を起こして遊んでいたという。発火の原因は、手指消毒剤のアルコール成分に静電気が引火したものとされている。(英語各紙、2月19日)

▶〔「首かけ除菌」でやけど。使用中止を〕 首にかけることで除菌ができるとうたい、保育園などでも保護者からの要望が聞かれる「ウイルスプロテクター」(中国製。金沢市の企業が1月25日から販売)でやけどの報告が6件あったことから、消費者庁は使用中止を呼びかけている。なかには、化学熱傷による重傷例も。国内ですでに約70万個販売されており、自主回収を求める予定。プレート内の次亜塩素酸ナトリウムが汗に触れると、皮膚に刺激を与えるとみられる。(共同通信、2月19日)

▶〔スライサーによるケガに注意〕 国民生活センターは、スライサー(調理器具)によるケガについて注意を呼びかけ、安全ホルダーなどの使用を推奨している。包丁よりも一見安全そうに見えるためか、調理を手伝っていた10歳未満の子どものケガも。報告書はこちら。(2月7日)

▶〔ダンス関連の子どものケガが増加・米国〕 ネイションワイド小児病院(オハイオ州)の研究から、米国におけるダンス関連の子ども(3~19歳)のケガは、1991年の年間6175件から2007年の8477件へ、37%増加したことがわかった。この17年間にダンスに関連してケガをし、救急を受診した子どもの数は計11万3000人だった。転倒が原因の45%を占め、ケガは捻挫等が52%、骨折が14%、アザ等が14%。41%のケガが15~19歳だった一方で、3~5歳のケガも4%、6~10歳は17%だった。 早期からダンスを始める子どもが多いなか、未成熟の子どものからだに対する影響を懸念する意見も、研究者からは出ている。記事はこちら(2月11日)。ネイションワイド小児病院がイラストでまとめた調査結果はこちら。

▶〔給食に包丁の破片が混入〕 米子市の市立保育園(101人)で7日の給食から金属片(長さ5mmミリ、幅0.2mm)1点が見つかった。保育士が自分のマカロニサラダに混入しているのを見つけた。給食は園内調理室で委託業者が調理しているが、野菜専用のステンレス包丁1本の刃先が欠けており、検査で金属片の形状と成分が一致した。今のところ、健康被害は報告されていない。市内の小中学校、保育園では、給食への異物(ネジやビニールテープ、針金、卵パックの一部等)の混入が相次ぎ、2010年末から今回で8件め。(毎日、日本海新聞、2月9日)

▶〔3歳児が転落、重体〕2月10日午後1時40分頃、大分市のアパート敷地内に、4階に住む3歳児が倒れているのを母親が発見した。搬送されたが意識不明の重体。児は母親と姉妹と一緒に自宅にいたが、児の姿が見えないことに母親が気付き、べランダから下をのぞいたところ、敷地内で倒れていたという。べランダには高さ1m余りの柵があり、同署は誤って転落したものとみて事故原因などを調べている。(各紙)

▶ 〔親子3人乗り自転車で死亡事故〕 2月4日午前7時半頃、川崎市幸区で前後に幼児2人を乗せた自転車が転倒、後部座席の5歳児が路上に投げ出され、通りかかったトラックの後輪にひかれて死亡した。 保護者は子ども2人を保育園に送る途中、幅1.3mの歩道を走っていて、「正面から別の自転車が来たため、よけようとスピードをゆるめたところ、バランスを崩した」。自転車の前後に幼児を乗せる「3人乗り」は、4年前、安全基準を満たした自転車に6歳未満の子供を乗せる場合に限って認められ、今回はこの基準を満たしていた。(NHK、2月4日)

▶〔エレベータでの事故に注意〕 子どもが一人でエレベータに乗り込み、「閉」を押してしまう危険(行方不明やケガの可能性)、ドアにはさまれるなどの事故に注意喚起する記事。なによりも、「子どもと手をつないでいる」ことの重要性を保護者に伝えることが重要と指摘。(マイナビニュース、1月28日)。記事の中で紹介されている消費者庁の「子ども安全メール」はこちら

▶〔色鉛筆が目に突き刺さり、脳を貫通〕 米国ニュー・ハンプシャー州に住む1歳8か月児が子ども用ソファから転落、床にあった色鉛筆が右眼窩から脳を貫通、左耳後ろまで抜ける(レントゲン写真1、レントゲン写真2)事故が起きた。空路で運ばれたボストン小児病院で、医師団が慎重に鉛筆を抜き、45分後、鉛筆は無事に取り除かれた。幸運にも、鉛筆が血管や脳の重要な部分を傷つけなかったため、児には後遺症は残っていないが、医師団は「奇跡的」と話している。(英語各紙、1月27日) 
〔掛札コメント〕 これは本当に「奇跡的」なケースです。鉛筆だけでなく、先端がとがっているものはとにかく子どものまわりに置かないこと!です。




▶〔8か月児、就寝中に死亡〕 25日午前2時ごろ、福島市にある認可外保育園から119番通報があり、救急が8カ月児を病院に搬送したが死亡が確認された。園は児を24日午後6時半ごろ預かり、同10時に布団で就寝した。午前2時ごろ、迎えに来た保護者が布団の中でうつぶせになっていた児の異変に気付き、園長が119番通報した。当時、園長は隣室で仮眠中だったため、保育士資格を持たない男性職員だけが部屋にいたという。県子育て支援課によると、この施設に昨年8月、立ち入り調査をした際には、問題はみられなかった。(福島民友他、1月25日)。
▶〔白玉で窒息の男児、死亡〕 栃木県真岡市で2010年、給食の白玉を喉に詰まらせ、その後、意識不明の重体になっていた当時小学校1年生の男児が亡くなった。男児の父親は「息子はよく頑張ってくれた。再発防止のために事故原因の究明に向けて闘っていきたい」と話している。男児は、人工呼吸器や胃瘻を通じた食事など24時間の介護を必要とする状況が続いていた。父親は、原因究明と再発防止策の徹底を求めて第三者委員会の設置を真岡市教委に要請し、市教委は設置に向けて協議している。2012年夏、栃木市の保育園で白玉による窒息死が起こった際には、真岡市の事故の情報が保育現場に共有されていなかったことも明らかになった。(産経、1月16日)

▶〔保育施設での死亡、18件〕 昨年1年間に自治体から報告された保育施設における乳幼児の事故は145件で、前年の89件から1.6倍に増えた(厚生労働省の集計)。うち死亡事故は4件増えて18件。 死亡事故は睡眠中が14件、団子をのどに詰まらせたケース2件等。年齢別では0歳が10件。けがは127件で、遊具からの落下や転倒などによる骨折が96件で最多。施設別では認可保育所が116件、認可外29件。発生場所は施設の室外が65件、施設の室内が64件、施設外が16件。負傷は計127件で、うち110件は認可施設。(1月18日、各紙)

▶〔バス扉にはさまれるケガ〕 長崎新聞(2012年12月30日)によると、県内の路線バスで過去5年間に起きた全治11日以上のケガ(骨折等)は、計11件にのぼった。安全装置が装備されていない後ろ乗り型のバスで、はさまれる、ドアにはじき飛ばされるなどのケガが主。記事によると、後ろ乗り型の旧型バスには安全装置の設置が義務つけられていないという。
〔掛札コメント〕 記事でも指摘されていますが、子どもの場合、運転席からの目視はいっそう難しく、重傷になる可能性があります。また、子どもがカバンを首にかけていたり、フードやヒモのついた服を着ていたりすると、はさまれて引きずられる可能性もあります。保護者向けに注意喚起をお願いします。

▶〔11年度の子どもの誤飲事故〕 子どもの誤飲事故は2011年度、5都県の7病院から計348件報告された(死亡0件、入院32件。厚生労働省発表)。3歳と2歳のきょうだいが薬を計25錠飲み、入院した事例も。同省は「甘くて口の中ですぐ溶ける薬は、お菓子と間違えて大量に誤飲しやすいので注意が必要」としている。 誤飲の最多はたばこ(105件)、次いで医薬品(73件)。ほかはプラスチック製品32件、玩具22件、金属製品22件、硬貨15件など。具体例では親が消毒剤を溶かして哺乳瓶に入れた後、そのまま5カ月児に飲ませた事例、仕事用に保管していたペットボトル入りのシンナーを2歳児が飲んだ事例も。(日経他、2012年12月28日)



事故:予防や訴訟、調査委報告など

▶〔保育事故の報告義務づけ〕 政府の「子ども・子育て会議」は12月26日、保育施設に対し、事故発生時の保護者と市町村への速やかな報告などを義務づけることを決めた。2015年度からの新制度スタートに合わせ、施設の運営基準に盛り込む。このほか、事故状況、処置の記録や必要な場合の損害賠償、事故防止のための指針づくりなども義務付けた。(各紙、12月26日)

▶〔無認可保育施設における死亡で提訴〕 千葉県東金市の保護者が12月20日、個人が運営する無認可保育施設を相手どり、損害賠償を求める訴えを起こした。訴状などによると、生後4か月の児は2011年12月22日、うつぶせで寝かされた約2時間後、呼吸がないことわかり、搬送されたが死亡が確認された。この施設は6人の乳幼児を預かっていたが、届け出ていなかったという。また、昨年12月に起きた無届け施設での死亡(12月6日のニュースを参照してください)についても、同日、保護者が訴えを起こした。 (朝日、12月20日) ここから加筆:この2施設は、保育の民間資格「チャイルドマインダー」(NPO法人「日本チャイルドマインダー協会」)の取得者が運営するもの。講習などを行うのは「エヌシーエムエ―ジャパン」(東京渋谷区)。どちらの施設も無認可で、自治体への届け出もしていなかった。原告側は、窒息死などの危険があるうつぶせ寝を避けるなどの注意義務を怠ったことが死亡につながったと主張。「こうした教育や指導を徹底することなく、資格取得を推進した」として、会社側の責任も追及している。(産経、12月20日)

▶〔子どもの医薬品誤飲も調査対象に〕 消費者安全調査委員会は20日、子どもによる医薬品の誤飲事故を新たな調査対象とすることを決め、1年以内に調査結果をまとめたいとしている。日本中毒情報センターによると、5歳以下の子どもの医薬品の誤飲相談は昨年1年間で約8000件にのぼり、うち837件になんらかの症状があったという。死亡事故はなかったが、入院事例はあった。(毎日、12月20日)

▶〔無認可保育施設における死亡で提訴〕 千葉県東金市の保護者が12月20日、個人が運営する無認可保育施設を相手どり、損害賠償を求める訴えを起こした。訴状などによると、生後4か月の児は2011年12月22日、うつぶせで寝かされた約2時間後、呼吸がないことわかり、搬送されたが死亡が確認された。この施設は6人の乳幼児を預かっていたが、届け出ていなかったという。また、昨年12月に起きた無届け施設での死亡(12月6日のニュースを参照してください)についても、同日、保護者が訴えを起こした。(朝日、12月20日)

▶〔天童市の死亡事故訴訟で和解協議〕 山形県天童市の認可外保育施設で2007年11月、生後4か月児がうつぶせ寝の状態で死亡した事故をめぐる民事訴訟で、遺族側と被告(元園長及び元保育士の計3人)の間の和解協議が進められていることがわかった。遺族は「危険なうつぶせ寝をさせ、睡眠中に観察する注意義務を怠った」などとして、損害賠償を求めている。原告側代理人は和解協議に入った経緯について「これまでの審理で、うつぶせ寝にされた状況や保育の実態が明らかになり一定の成果があった」などとしている。一方、指導や監督責任を問われている被告の県と天童市はいずれも「死亡には無関係で和解には応じない」として争う姿勢を示している。(山形放送、12月17日)

▶〔窒息事故から子どもを守る方法〕 アメーバニュースに「毎年20人以上が死に至る窒息事故から子どもを守る方法7つ」。よくまとまっています。豆類は、3歳児までではなく、未就学児にはあげないほうがいいのですが…。

▶〔保育園事故、報告・再発防止へ〕 保育中の死亡事故増加を受け、政府は2015年から新たな仕組みを導入することを決めた。事故発生時には、1)保護者と市町村へ速やかに報告する、2)状況や処置などを記録、3)賠償すべき事故では損害賠償、などの実施を徹底する。これを運営基準に明記することで、施設には順守義務が生じることになる。さらに、死亡事故などの重大事故については、自治体や国で報告を集約、分析したうえで公表することが検討されている。(読売、12月16日)

▶〔幼稚園プール溺死で、元教諭、過失を認める〕 神奈川県大和市の幼稚園(学校法人)の屋内プールで2011年7月、3歳児が溺死した事故で、業務上過失致死罪に問われた元担任教諭は12日、横浜地裁で開かれた初公判で起訴内容を認めた。起訴状によると、被告はプール(直径4.75m、水深20cm)で水遊び中の園児11人を1人で見ていたが、監視を怠ったため溺死が起きたとされる。検察側は冒頭陳述で、当日の園側の安全対策に関し、国が定めた「プールの安全標準指針」の通知を受けながら、教諭らに教育をしていなかった、と主張。被告も事故防止訓練を受けておらず、遊具の片づけをしていて被害児から目を離したと指摘した。この事故では、元園長も同罪で在宅起訴されているが、公判は分離。(各紙、12月12日)

▶〔文部科学省、重大事故で第三者委員会設置〕 文部科学省は来年度、幼稚園、小中高校、特別支援学校の管理下で起きた重大事故について、再発防止に向けた第三者委員会の設置を検討する方針を決めた。今後、全国の市区町村教育委員会から事故後の対応の実態を聞き取り、保護者への説明責任など、学校の危機管理のあり方を示したい考え。日本スポーツ振興センターによると、学校での事故などで子どもが死亡し、災害共済の見舞金が支払われた件数は、2011年度で82件。死因別にみると、突然死38件、頭部外傷13件、溺死6件など。(毎日、12月12日) 

▶〔後部座席シートベルト着用率、低迷〕 自動車の後部座席のシートベルト着用は2008年に義務づけられている。今年の調査によると、一般道の着用率は35.1%、高速道路は68.2%にとどまっている。警察庁によると、シートベルトを着用していなかった場合の後部座席の死亡率は、着用時に比べ、一般道で2.9倍、高速で4.6倍。(共同通信、11月25日) 
〔掛札コメント〕 ひとつ下のサンルーフの事故も、お子さんがシートベルトをしていたら防げたのではないかと記事で示唆されていました。

▶〔うつぶせ寝による死亡で提訴〕 2010年11月、大阪府八尾市の「ファミリー・サポート・センター事業」を利用し、預けられた生後5か月児が低酸素脳症となり、3年後の今月10日に意識不明のまま死亡したのは、うつぶせ寝による窒息が原因だったとして、両親が市と預かった女性らに計約7900万円の損害賠償を求め、地裁に提訴した。訴状によると、母親は自身の通院のために事業を利用、紹介を受けた女性宅に1時間の約束で児を預けたが、託児中、うつぶせ寝の状態であり、預けてから約50分後に心肺停止状態で発見された。同事業は、育児の援助を受けたい人と援助を希望する人を自治体や委託を受けた社会福祉協議会などが仲介するもの。厚生労働省によると、2012年度は全国の699自治体が実施している。同事業の事故で行政側が提訴されるのは初めてだという。
〔掛札コメント〕この方は、9月中旬のシンポジウム(下記事参照)でお話しになった方と拝察いたします。保護者が訴訟を起こすことに対しては、保護者の周囲でもいろいろな心ないことを言われるそうですが、保育園・幼稚園事故で保護者が訴訟を起こす最大の理由は、「訴訟(特に刑事訴訟)を起こさない限り、日本では死因が明確にならないため」です。子どもの死因をきちんと調査するシステムができれば、保護者がさまざまな重荷を背負った上に「我が子が死んだ理由」を知るために訴訟を起こす必要はなくなります。(日経他、11月29日)

▶〔子どもの睡眠モニター60万台、リコール〕 日本にも並行輸入されている子どもの睡眠モニター「Angelcare Movement and Sound Baby Monitors」の全タイプ、約60万台が米国でリコールされました。マットの下に置くセンサー・パッドのコードを子どもがマットの下からひっぱり出すと、首にからまり、窒息の可能性があるためです。実際、これまでの2件の死亡がこのコードによるものと報告されています(その他にも、ニアミス事例あり)。Angelcare社ではリコールに対応し、コードを固定するための器具を無償配布しています。米国CPSCのリコール情報と商品写真はこちら

▶〔SIDSに関する情報:特に家庭向け〕 SIDS対策強化月間に合わせて、「対策の基礎知識」

▶〔園長夫妻は「うつぶせ寝させないと指示」〕 2010年1月、福島県郡山市の認可外保育所(東北ラサール幼知園)で1歳児が死亡した事故で、第15回口頭弁論が10月29日、地裁で開かれた。園長夫妻が初めて証言し、「うつぶせ寝はさせないように保育士に指示していた」と直接の責任を否定した。児は担当保育士にうつぶせに寝かされ、頭に四つ折りの大人用の毛布をかけられた上に2つの「抱き枕」を乗せられて放置され、心肺停止に陥った。これについて園長夫妻は「うつぶせ寝は危険。日常的にさせないようにと指示し、見回りもしていた」と説明。うつぶせ寝は保育士の判断だったと述べた。事故直後、現場に行った夫妻は毛布や抱き枕に気づかず、約2週間後にようやく保育士から聞かされた、とも。事故が起きた経緯をすぐ保育士に聞かなかった理由については、「他の園児を帰宅させることでパニックだった」などと説明した。(朝日、10月30日)

▶〔パワーウインドウでの事故、和解〕 2010年、静岡県富士市委託の保育ママが、乗用車のパワーウインドーに預かった子どもの首をはさみ、児に後遺症(低酸素による中枢神経障害)が残った事故で、両親らが1億9000万円の損害賠償を求めた訴訟が和解として成立する見通しとなった。市が3624万円を支払う。保育ママ(44歳)は駐車中、携帯電話で話しながらパワーウインドウを操作した。業務上過失傷害罪で起訴され、禁錮2年執行猶予5年の有罪判決が確定している。(毎日、10月4日)

▶〔真岡市の白玉窒息事故、第1回口頭弁論〕 栃木県真岡市の小学校で2010年2月、当時の1年生が白玉を詰まらせて死亡(2013年1月)した事故の第1回口頭弁論が宇都宮地裁で開かれた。被告の市側は、「明らかな過失は認められない。安全配慮義務違反には当たらない」等として争う姿勢。父親は、再発防止の徹底や市への不信感などについて意見陳述を行い、「県や市が再発防止の努力を行っていれば、2012年7月に保育園で起きた白玉窒息事故は防げたはず」と強調した。(下野新聞他、10月3日)

▶〔「保育事故予防と検証制度導入」シンポジウム〕 保育施設における死亡事故について行政が検証し、情報を蓄積するシステムの導入を呼びかけるシンポジウム(9月15日)について(10月4日、中日新聞)。
〔掛札コメント〕このシンポジウムは山中龍宏先生たちが進めているChild Death Review(子どもの死亡の全検証制度。先進国の大部分で行われている)導入の流れと歩調を合わせるものです。子どもの死因検証は容易ではありませんが、死亡事例から学ばなければ、次の深刻事例を予防することはできません。それは保育施設でも同じです。 一方、シンポジウムの中で寺町東子先生も指摘していらっしゃいましたが、死因検証システムの導入は、保育士を守るものでもあります。口裏合わせや口止めによって保育士が長期的に被る可能性のある精神的な被害を防ぐためにも、事実を速やかに明らかにするシステムが必要です。

▶〔栃木の白玉窒息で和解〕 栃木市立保育園で2012年7月に起きた白玉団子による窒息事故(2歳児、8月に死亡)で市は9月27日、損害賠償金約7100万円で両親と和解する議案を議会に提出、可決された。事故後、市は白玉を細かくするなどの対応に不備があったとして、全面的に責任を認め、遺族側との交渉を行っていた。(9月28日、各紙)

▶〔うつぶせ寝死亡で検察審査会に審査申し立て〕 大阪市都島区の認可外施設(閉鎖)で2009年、4か月児をうつぶせに寝かせて死亡させたとして、業務上過失致死容疑で書類送検された施設経営者ら4人の不起訴処分を不服として、両親が9月13日、大阪検察審査会に審査を申し立てた。両親は、施設側と市に計約6400万円の損害賠償を求めて提訴しており、地裁で係争中。(毎日、9月14日)

▶〔園児の溺死で在宅起訴〕 2011年7月、神奈川県大和市の私立幼稚園の屋内プールで3歳児が溺死した事故で、横浜地検は8月30日、当時の園長と担任保育士を在宅起訴した(業務上過失致死罪)。プールは直径約4~4.5mの楕円形で、事故時の水深は約20cm(関連記事は下記「事故、傷害」の項の一番下から5番目)。発見時、保育士は園児11人を1人で監視、プールサイドで片づけをしていた。起訴状などによると、元・園長はプール事故を防ぐ対策や救護措置などの教育・訓練を怠り、新任で知識や経験が十分ではない保育士(23歳。当時か現在かは不明)に監視をさせた。その結果、担任は園児の監視を怠り、児を溺死させたとしている。(神奈川新聞、8月30日)

▶〔ブランコ事故で市が賠償金〕 佐賀県唐津市が管理する市内の児童遊園で5月4日、小学校5年生が乗っていたブランコの鎖の上部が切れ、児が転落、顔に打撲などのケガをする事故があった件で、市は損害賠償金2万1110円を支払う。ブランコは20~25年前に設置されたもの。(各紙、8月27日)

▶〔事故に関連する法律事例集〕 「電子母子手帳 Babys!」というサイトに、子どもの事故に関連する法律事例集が掲載されています。「幼稚園の遊具で娘が窒息死、園の責任は?」「子ども同士の事故。責任は誰が負う?」など。

▶〔ブラインドやカーテンのヒモの事故で調査実施〕 ブラインドやカーテンのヒモが子どもの首にかかり、窒息する事故があいついでいることを受け、東京都は事故の実態を把握する調査を実施し、事故防止対策の検討を始める。(8月24日、読売、NHK)
〔掛札コメント〕このニュースはすでに7月11日に掲載しています。欧米では、各種のヒモ付きブラインドはすべてリコールとなっています。保育園の場合、ブラインドはあまり見ませんが、暗幕のヒモなど、隠れた所にヒモがあります(ひもは、「輪」になっていなくても窒息の原因となります)

▶〔白玉による死亡事故で両親が市を提訴〕 栃木県真岡市で平成22年、小学校1年生が白玉で窒息、意識不明の重体となり、今年1月に亡くなった事故で、両親が7月26日、同市に約8400万円の損害賠償を求める訴えを起こした。遺族側は、白玉の直径が2cmだったことから「直径1cm以上の団子は提供すべきではなく、誤飲の可能性が高かった」「救急車の手配や救命措置も不適切」と主張している。父親は記者会見で、昨年夏の栃木市での白玉窒息事故に触れ、「真岡市が原因を究明していれば、栃木市の事故は防げた。市の対応は納得できない。息子の命の重さをわかってほしい」と語った。(産経、7月27日)

〔園児の溺死、「人災」と提訴〕 愛媛県西条市の加茂川で昨年7月、同市の私立幼稚園の宿泊保育に参加した5歳児が川遊び中に溺死した事故で、遺族らが、運営する学校法人を提訴することが明らかになった。学校保健安全法で義務づけられた安全計画を園が策定していなかった点を指摘、「おとなでもけがをする恐れのある危険な場所で子どもを遊ばせ、死なせたことは明らかに人災」と遺族は主張している。また警察も、学校法人の前理事長と引率教員8人を業務上過失致死容疑で書類送検する。(7月11日、各紙)

▶〔カーテン/ブラインドひもで検討会〕 東京都商品等安全対策協議会は、ブラインドやロール・カーテンのひも、あるいはカーテンをとめるひもによる子どものケガ、ヒヤリハットが発生していることから、安全対策の検討に着手する。
〔掛札コメント〕欧米では死亡事故も多発していることから、子どもの首がかかるような形状のひもが使われているブラインド等はすでにリコールの対象となっています。

▶〔子どもの自転車衝突で9520万円賠償命令〕 2008年、神戸市内で、下り坂を下ってきた小学校5年生の自転車にはねられて、67歳女性が意識不明の状態となった。女性の夫と、保険金を支払った損害保険会社が、少年の母親を相手取って起こした損害賠償訴訟の判決が7月4日にあり、地裁は母親に9520万円の賠償を命令した(1億0590万円の請求に対し)。裁判官は「少年の前方不注視が事故の原因」と認定、自転車が時速20~30キロのスピードだったことから、「母親の指導は奏功しておらず、監督義務を果たしていなかった」と指摘した。(読売、7月5日)
 〔掛札コメント〕子どもの過失認定の判決です。8件下の事例と合わせてお読みください。

▶〔愛知県が事故対応指針を発表〕 2010年、愛知県碧南市の保育園で起きた、栗並寛也ちゃんの窒息事故をきっかけに同県が作成してきた事故対応指針が発表されました(7月2日)。栗並さんご夫妻のブログから指針へのリンクが貼られています。深刻な事故の予防に向けた一歩です。

▶〔車内での熱中症予防〕 日本自動車連盟(JAF)は、子どもが自動車内にいる状態でのドアロック(JAFが出動したもの)が2012年7月と8月の2か月間で全国で470件あったことを発表し、熱中症の危険について注意喚起をしている。470件中24件は、緊急性が高いと判断し、ドアガラスを割るなどして子どもを救出したという。また、昨年8月にJAFが行った実験によると、気温35度に駐車した車の熱中症指数は、窓を閉め切った状態でエンジンを停止後、15分で人体にとって危険な状態になることがわかった。このテスト結果や動画が載ったページはこちら。

▶〔幼稚園バス運行会社がISO取得〕 幼稚園送迎バスの運転手派遣/運行管理請負業の(株)みつばコミュニティは、業界初となるISO39001(道路交通安全マネジメントシステムの国際規格)認証を取得した。プレス・リリースはこちら。

▶〔子どもの過失に対する損害賠償について〕 雑誌『プレジデント・オンライン』が2004年に起こった死亡事故を取り上げ、ネット上で話題になっています。保育園にとって無縁とは言えないできごとなので掲載します。  事故は2004年2月、愛媛県の公立小学校で子どもが蹴ったボールが門扉が飛び出し、これを避けようとしたバイク(87歳男性が運転)が転倒、男性が翌年死亡したもの。子ども側は個人賠償責任保険に加入していたが、示談が成立しなかったため、訴訟となった。そして、2011年の判決は「蹴り方によっては道路に出ることを予測できた」として、子どもの両親に対する賠償責任を認め、請求額5000万円に対して1500万円の支払いを求めた。
〔掛札コメント〕 送り迎えや散歩時の子どもの飛び出し、あるいは上の事故と同様の事象は保育園でも十分に起こり得ます。「子どもだから」と責任を免れることはできない可能性もあり、両親に対する注意喚起(登降園時は手をつなぐ)だけでなく、園側の安全行動も不可欠でしょう。

▶〔保育ママ、窒息死で書類送検〕 神奈川県横須賀市で2010年、当時4か月の子どもが死亡した事件で、保護者の刑事告訴を受け、同市の家庭保育福祉員(保育ママ)が業務上過失致死容疑で書類送検された。この福祉員は自宅で児にミルクを飲ませた後、別室に寝かせ、呼吸の確認を漫然と行ったため、容体の急変に気づかなかった。児は吐いたミルクにより窒息死。(6月10日、各紙)

▶〔子どもの死因解明システムづくりへ〕 日本小児科学会と国立成育医療研究センターは、子どもの死因を詳細に調査し、不慮の事故や虐待などの予防につなげるため、東京都など計4自治体の医療機関の協力を得て死因分析を開始した。先進国の中でも1~4歳の死亡率が高い我が国の現状を改善するのが狙い。この活動の中心となっている「チャイルド・デス・レビュー研究会」(代表・山中龍宏医師)は7日、内閣府と警察庁に対し、子どもの死因登録制度確立を求める要望書も提出した。(各紙、6月7日) 
〔掛札コメント〕オーストラリアには全国規模の死因解明システム(明らかな病死以外のおとな、子どものすべての死亡が対象)がありますし、米国の大多数の州にも子どもの死因を検討するシステムがあります。起きた事例から学ばない限り、同じ原因で死亡が繰り返されますから、このようなシステムは必須です。

▶〔子どもの転落事故について〕 読売新聞が注意喚起の記事。記事によると、東京消防庁が2011人に救急搬送した7890人の子ども(0~4歳)のうち28.4%が転落事故によるもので、最も多かった。転落した場所は階段、ベッド、ソファ、イス、自転車、ベランダなど。(読売、5月31日)
▶〔うつぶせ寝で賠償命令〕 沖縄県中城村の保育園で2008年に7ヵ月児が死亡したのは、うつぶせ寝と注意義務違反(15~20分程度目を離した)によるとし、那覇地裁は当時の園長らに約1500万円の支払いを命じた(請求額は約7900万円)。園側は気道感染症が死因の可能性もあると主張したが、鼻水の症状はあったものの重症化の兆候はなかったとして退けられた。(4月30日、47News他)

▶〔乳幼児の救急蘇生等を学ぶキット〕このウェブサイトの「リンク」でも紹介している「乳幼児の救急法を学ぶ会」の学習用・実用キットや、実際に乳幼児向け心肺蘇生法を学ぶためのキット(レールダル社の「ミニアン」「ミニベビー」)などが47Nwesで紹介されました。 (3月26日)

▶〔真岡市の白玉窒息事故で第三者委員会〕 2010年、栃木県真岡市の小学校で当時の1年生が給食の白玉で窒息、2013年1月に亡くなった事故を検証する第三者委員会が開かれた。両親と代理人が出席、事故当時の状況や搬送される前後の様子など事実経過を明らかにすることなどを求めた。この事故の後、昨年には栃木市で保育園児が白玉で窒息死しており、父親は「二度と起きないようにきちんと検証を」と話した。(下野新聞、5月3日)

▶〔「子どもの事故を防ぐ家」のモデルハウス〕子どものケガ・事故予防の工夫を施した家のモデルハウスが東京・八王子に完成。10月まで公開、見学は予約制(積水ハウス広報部、03-5575-1740)。(NHK、5月3日)

▶〔詰め込み保育のリスクを検証〕 全国保育団体連絡会は4月28日、都内の保育園で面積基準緩和による影響を検証した。各地自治体で待機児童対策のための基準緩和を進めようという動きに対応したもの。検証では、ゼロ歳児の1人あたり面積が5平方メートル、3.3(国の最低基準)、2.5(規制緩和案)のそれぞれの条件で比較。最も面積が狭い条件では、保育士の目が行き届かないことが明らかになったという。(東京新聞、4月29日)

▶〔誤嚥等の対策マニュアル〕 昨年、保育園で白玉による誤嚥事故が起きた栃木市は、常時携帯用の危機管理マニュアル(A6、43ページ)を「保育手帳」として作成し、公立保育園の全職員に配布した。誤飲・誤嚥時の対応、食物アレルギーへの対応などを記している。(4月下旬、各紙)  〔掛札コメント〕冊子の最後には直径39mmの円と「これに入るものは赤ちゃんの口に入ります」という記述があるようです。誤嚥チェックの基本ではありますが、どうぞ誤解なさらないでください。「直径39mm以上の物なら、子どもの口に絶対入らない」ということではないのです!。

▶〔規制緩和による待機児童対策に対し、保護者が意見書〕 待機児童対策として保育士の配置基準を「特例的・時限的に」緩和する案が政府の規制改革会議で検討されている。これに対し、保護者のグループが17日、規制緩和に反対する意見書を内閣府に提出。意見書を提出したのは、愛知県の保育園で事故によりお子さんを亡くした栗並さんご夫妻や、待機児童の解消を求めている東京などの保護者で作る5つのグループ。規制緩和によって安全がおろそかになる、保育士の負担が増えるなどを指摘している。(18日、各紙) 〔掛札コメント〕 栗並さんともお話ししましたが、今は保護者の皆さんと保育園、先生方が力を合わせる時だと思います。待機児童解消を求めている保護者の方は「危なくてもいいからとにかく預かって」と言っているわけではありません。そうではなく、今の保育のあり方そのもの、子育てに対する社会の態度そのものに警鐘を鳴らしているのだと思います。今ここで、保護者、保育園、社福、公立、企業の壁にこだわっていたら、安全な保育も豊かな保育も保障されなくなってしまうのではないでしょうか。

▶〔送迎バスのベルト義務づけ見送り。より安全なベルト開発を要請〕保育園・幼稚園の送迎バスについて、シートベルト使用の義務化を検討していた国土交通省は、子どもの体格の違いや、緊急の時に逃げ遅れる可能性などを鑑み、義務化を見送ったが、自動車メーカーに対し、3~5年後をめどに専用のシートベルト開発するよう要請した。緊急の際には、ひとつのボタンを押せばすべての座席のシートを外せる仕組みや、子どものからだを締め付けないようなデザインの開発を求めている。(3月末、各紙)

▶〔10歳と9歳が心肺蘇生法教える〕 米国ジョージア州の男子小学生2人(9歳と10歳)が、生後12週の乳児の命を救ったと話題になっている。2人が道路で遊んでいると、近くの母親が「赤ちゃんが息をしていない!」と家から飛び出してきた。混乱のあまり携帯をみつけられなかったのだという。2人の男の子は家に入り、一人が母親に心肺蘇生法の方法を伝えた。母親が指示通りに心肺蘇生を始めて数分後、児は息を吹き返し、その後、救急車が到着した(その後、睡眠時無呼吸と診断された)。2人は、小学校のカフェに貼ってあった心肺蘇生法のポスターから方法を学んだという。(3月、英語各紙)

▶〔川遊び中の溺死で告訴〕 2012年7月、愛媛県西条市の加茂川で幼稚園児(5歳)が川遊び中に溺死した事故で、遺族は3月15日、業務上過失致死容疑で引率教員8人と学校法人(ロザリオ学園、松山市)の前理事長を告訴した。幼稚園は事故当時、学校保健安全法で義務づけられている安全計画を作成しておらず、園児にも浮き輪を使わせるなどの安全策を怠り、増水した川で事故が起こったとされている。遺族は、損害賠償を求める民事訴訟の提訴も検討している。(スポニチ、3月15日)。

▶〔重大事故の検証を:厚生労働省〕 厚生労働省は8日、認可保育所で重大事故が起きた場合には、再発防止のための検証を行政が行うよう求める通知を都道府県等に出した。また、認可・認可外にかかわらず、施設が速やかに事故報告を自治体に行うよう求めた。いずれも初めての通知だが、法令による義務ではなく、認可外については検証に関する言及がない。ちなみに、昨年の死亡事故18件中12件が認可外で起こったものである。(3月9日、各紙)。

▶〔保育園事故の報告義務化など、検討へ〕 2010年、おやつのカステラによる窒息で死亡した栗並寛也君の両親が4日、厚生労働省を訪れ、事故の報告義務化や事故が起きた際の検証システムの設置などを要望した。窒息が起きた保育園では、国の基準を超える「詰め込み保育」が行われていたことも明確に指摘した。田村厚生労働大臣はこれを受け、4月に発足する審議会「子ども・子育て会議」でも、こうした内容を議論する見通しを示した。(3月4日、5日、各紙)

▶〔幼児同乗用自転車、使用のポイント〕 3人乗り用自転車での死亡事故(2月・川崎市、下欄に記載)を受けて、特に多くの親御さんにとって「乗り始め」時期となる4月のポイントを(マイナビニュース、3月3日)。この問題の他の情報はこちら。自転車産業振興協会消費者庁。   〔掛札コメント〕「保育園の外で起こることだから」とお思いならず、入園・進級の季節、ぜひ、保護者の皆さんに情報提供をお願いします!

▶〔安全のための整理整頓術〕 日経新聞(2月23日)に「家に潜む危険を点検 安全生活のための整理整頓術」

▶〔リコール情報の周知を・消費者庁〕 長崎市のグループホームで4人が死亡した火災は、リコールされた加湿器(TDK製)が原因であったことを受けて、消費者庁は、リコール情報を周知徹底していく方針を固めた。消費者庁のリコール情報サイトはこちら。  

▶〔うつぶせ寝死亡で両親が処分不服の申し立て〕 福島県郡山市の認可外保育所「東北ラサール幼知園」で2010年1月、1歳児が死亡した事故で、両親は18日、業務上過失致死容疑で書類送検された理事長ら4人を不起訴とした地検の処分を不服として、郡山検察審査会に審査を申し立てた。申立書によると、保育士2人が児を布団にうつぶせに寝かせ、頭部に大人用の毛布を乗せたまま安全を確保せずに一定時間放置し、理事長と園長が保育士への指導を怠ったことから児が死亡したとしている。地検は昨年、死因がうつぶせによる窒息死と断定できなかったことなどから、過失との関連について容疑不十分として不起訴処分とした。代理人弁護士は「死因は毛布によるものだった。亡くなった真相を明らかにし、責任を負わせるのが大切だ」と話した。(毎日、2月19日)

▶〔『うつぶせ寝だった』と証言〕 山形県天童市の認可外保育施設「みんなのベビーホーム」(閉鎖)で2007年11月、4カ月児が死亡した問題で、遺族が元園長、保育士2人、市、県を相手取り4600万円の損害賠償を求めた訴訟の第4回口頭弁論が19日、地裁で開かれた。第一発見者の保育士が証人尋問で、「児は顔を真下に向け、うつぶせ寝だった。ひっくり返したが既に呼吸はなく、顔全体が紫色だった」と述べた。証言によると、同日、正午ごろから約30分間、乳児室に10人を寝かせた状態で、職員全員が別室で食事をとった。午後1時20分ごろ別の保育士から乳児室を引き継ぎ、しばらくした後、児の異変に気付いた。「死後1時間半は経過していたと思う」と述べた。同保育士は、日ごろ施設内で不適切な保育が行われていた実態も明らかにした。同年2月には県児童家庭課(当時)に虐待通報。「昼の弁当を子供の人数分そろえることや、散歩などの外出をさせる指導を要望した」と話した。県警は2010年、うつぶせ寝による窒息死の可能性が高いとして、被告の元園長らを業務上過失致死容疑で書類送検。地検は翌年、「突然死の可能性も捨てきれない」と不起訴処分とした。遺族は訴訟を通じ真相解明を求めている。(毎日、2月20日)

▶〔「保育手順の確認不十分」と報告書指摘〕 愛知県碧南市の保育園で起きた、おやつによる窒息死について、第三者委員会が報告書を提出

▶〔おんぶひもからの落下で懲戒処分〕 川崎市の市立保育園で2011年4月、生後7カ月児が床に落下した事故で、市はおんぶをしていた元保育士(50代)を停職1カ月の懲戒処分にした。この保育士は事故後、事務職に異動、昨年末に業務上過失傷害罪で罰金40万円の略式命令を受けた。 市によると、保育士が泣き出した児をあやすため、同園の備品のおんぶひもを使っておんぶしていたが、中腰になってひもをゆるめた際、女児が約70cmの高さから床に落下したもの。女児は一時意識不明になり、現在も通院治療を受けている。市はおんぶひもの構造に問題はなかったとしているが、事故を受けてより安全性の高いひもをメーカーと共同開発。昨年4月から63市立保育園全てで使用している。(毎日、2月9日)

▶ 〔保育所における死亡事故、事実解明に壁〕法による報告の義務づけがない、保育所における事故について、事実解明に対する厚い壁を解説した記事。(中日新聞、2月7日)  
〔掛札コメント〕事実が解明されなければ原因はわからず、原因がわからなければ次の同じような事故を防ぐことはできません。死亡事故であれ軽傷事故であれ、私たちはすべてから学んで予防に活かす必要があります。そのためには、事実解明のためのシステムづくりが不可欠です。

▶〔東京都で、事故の少ない区は?〕 歩行者の事故、子どもの事故、自転車の事故、全事故について、どの区が少ないかを比較した記事。(マイナビニュース、2月1日) 
〔掛札コメント〕 このような記事は、「数字について考えるトレーニング」として最適です。「へえ、この区・市って安全なんだ」とうのみにする前に、「あれ、こういう計算をしていいのかな」と考えてみてください。この記事では、すべての事故が「住民一人あたりの発生率」になっていますが…。子どもの事故なら、各区市町村の子どもの数を分母にしなければいけませんし(市区町村によって、人口に占める子どもの割合は違います)、自転車の事故なら、区市町村ごとの住民一人あたりの自転車の保有台数なども考えに入れる必要があります(都心区部では周辺市町村よりも自転車保有率・台数が多いと思われる)。これ以外にも、いろいろな要素が関係しているはずですから、考えてみるとおもしろいと思います。

▶ 〔タイヤ・ブランコの事故で書類送検〕愛知県長久手市の岩作児童遊園で2009年6月、ロープでつられたブランコのタイヤが脱落し、遊んでいた子どもが重傷を負った事故で県警は23日、ブランコを製造、販売した「コトブキ」(東京都)の事業部の元課長と維持管理を担当していた町の専門員を業務上過失傷害の疑いで書類送検した。元課長の容疑は、製品に不具合があった際の初期対応にあたる業務を担当していた02年5月~05年4月、千葉市で同種の遊具でボルトが抜ける事故があったにもかかわらず、リコールなどの措置を怠り、未改修のまま放置した疑い。(産経、1月23日)

▶〔おもちゃカステラによる死亡で要望書〕 愛知県碧南市の認可保育園で起きた窒息死亡事故の第三者委員会に対し、遺族が県の責任を明確にするよう要望書を提出した。委員会の最終報告書案について、保育園の指導監督権限を持つ県の責任や対応が不十分であったことなどが盛り込まれていないとし、改善を求めている。亡くなった寛也ちゃんの母・栗並えみさんは「(委員会は要望を)真摯に受け止め、内容を反映して下さるよう願っております」と話した。(中京テレビ、1月21日)  
〔掛札コメント〕 この事故と同様の深刻なケースは、毎日の食事、おやつで十分起こり得るものです。報告書をお読みいただき、現場でお役立てください。ただし、「気をつけよう」「注意しよう」「よく見守ろう」といったあいまいな対策では、「対策をしているつもり」(=「偽りの安心感」の強化)になるだけで、かえって危険です。毎日の食事、おやつの内容に合わせた具体的な対策をお願いします。

▶〔保育園、幼稚園をチャイルドシート・モデル施設に〕 長崎県平戸署は17日、市内すべての幼稚園と保育園をチャイルドシート使用のモデル施設に指定。28園は催しなどで保護者に着用の重要性を説明する。警察庁と日本自動車連盟(JAF)が昨年4月に実施したチャイルドシートの使用状況調査では、県内の着用率は1歳未満が68.4%で全国平均77.6%を下回り、1~4歳も67.1%、5歳も42.9%にとどまっていた。(読売、1月18日)

▶〔プールでの死亡に消費者庁と警察庁が協働調査〕 消費者安全調査委員会(消費者事故調)は、2011年7月に神奈川県大和市の幼稚園の室内プールで発生した死亡事故について調査を始めた。事故は、水遊びをしていた3歳児がうつぶせで浮いているのを教諭が見つけ、病院に運ばれたが間もなく死亡したもの。プールは直径4.75mの円形、深さは65cm、水深は20~30cmだった。消費者庁と警察庁は2012年11月に覚書を交わし、警察が捜査中の案件について消費者事故調から情報提供の要請があった場合、「支障のない限り応じる」とした。消費者事故調は、幼稚園の管理体制や安全に関する制度上の不備がなかったかなど、再発防止策の提案に向けた調査を進める。(日経、12月26日)

▶〔乳児死亡で訴え〕 宇部市の認可外保育施設で11年10月に起きた乳児死亡事故で、両親側弁護士は調査を目的に行った情報公開請求が一部非開示とされたのはおかしいとして県を相手取り、決定取消などを求める訴えを山口地裁に起こした。 非開示とされたのは、同施設に関する県の「指導監督調書」や同施設の「業務報告」など9文書にあった乳児の氏名と施設の職員の氏名など。事故は、施設に迎えに行った母親が、うつぶせ寝でぐったりしていた児(当時5か月)を発見、搬送先で死亡が確認されたもの。両親は12年2月、施設代表者らを業務上過失致死容疑で宇部署に告訴した。(毎日、12年12月31日)

▶〔おやつ中の窒息事故、最新の報告〕 愛知県碧南市で起きた死亡事故について、第7回目の第三者委員会の報告と記事



保育全般、保育士や園の不祥事等

▶〔保育園選びで優先される条件は?〕 子どもを持つ会員286人にマイナビニュースが尋ねたところ、「保育園を選ぶ際に最も重視したポイント」は、「通園の利便性」(58.1%)だった。その後、「費用」(7.7%)、「保育・教育の方針」(6.0%)、「保育士の質」(5.1%)、「園児の様子」(5.1%)と続いた。また、「通園の利便性」を2番目の優先条件に選んだ人も33.8%いた。「利便性」には、自宅からの距離だけでなく、子どもを預けられる実家との距離が勘案されていたケースもあったという。(マイナビ、12月6日) 〔掛札コメント〕「安全」がまったく入ってこなかったのは、もともとの質問票に項目がなかったからなのか、それとも順位に入らなかったのか…。

▶〔学童保育の新基準まとまる〕 厚生労働省の専門委員会は、2015年春からの学童新制度の基準をまとめた。職員2人(以上)・定員40人以内とし、職員2人のうち1人には指導員の資格を求める。指導員資格も新設のもので、都道府県の研修を受けた人が得られる。定員40人は義務付けではなく、超える場合はクラスや施設を分けるよう努めることを求める。開所日数は「年間250日以上」、開所時間は「平日3時間以上、休日8時間以上」が原則。今年5月現在の学童保育施設数は2万1482ヵ所、利用児童数は9205人で過去最多。一方、待機児童は2年連続増加の8689人。全国学童保育連絡協議会は、「潜在的な待機児童」は40万人を超えると推測。(12月12日、各紙)

▶〔発達支援児認定をめぐってトラブル〕 栃木県宇都宮市の認可私立保育所が2歳児の保護者に対し、「発達支援児の認定を受けるつもりがないなら転園を」と求めていたことが、2日までにわかった。2歳児クラス13人中9人に発達障害の疑いがあり、「学級崩壊状態で通常の保育ができない」と園側は説明、9人の園児の保護者に市子ども発達センターへの相談や診断、支援児認定を受けるよう促していた。クラスでは、じっとしていられない、他の園児を突き飛ばすといった行動が目立ち、園外活動では安全確保が難しい状況もあったという。市は「二者択一を迫るのは不適切」と慎重な対応を促している。男性園長は、「保護者は感情的になり、協力してくれなかった。排除する意図はなく、補助がついて保育士が配置できれば保育する」と説明している。(下野新聞、12月3日) 
〔掛札コメント〕支援児認定をめぐるトラブルは、外にはほとんど見えないだけで、あちこちで起きています…。

▶〔コンビニ強盗で、保育士逮捕〕 千葉県印西市と白井市で9月に起きた連続コンビニ強盗事件で、印西市の男性保育士(27歳)が再逮捕された。この保育士は、11月に起きた別のコンビニ強盗事件で逮捕されていた。(千葉日報、12月2日)

▶〔社会福祉法人にネットで財務公表の義務づけ〕 厚生労働省は11月18日、介護や保育などに携わる約2万の社会福祉法人すべてに、財務諸表をネット公表するよう義務付けることを決めた。2014年度から実施する。政府の規制改革会議が、社福の経営透明化に向け、公表を求めたものに応じた。法人がホームページを開設する場合はそこで公表するものとし、ホームページを持っていない法人(3割強)については、所轄省庁のホームページ上で好評する。(日経、11月18日)

▶〔安全確保しない保育施設名、都が公表〕 東京都は武蔵村山市にある認可外保育施設について、複数回の指導にもかかわらず、子どもの安全性が確保されないとして施設名を公表した。同施設は平成18年の開設以来、6人の定員(職員が2人必要)にもかかわらず代表のみが勤務している状態が続いていた。また、今年7月には、車が通る道路近くに簡易プールを設置、十分な監視を付けずに子ども3人を遊ばせていた。都はこの施設に対し繰り返し指導と改善勧告を出してきたが、改善がみられないため、11月25日、児童福祉法に基づいて施設名を公表した。保護者にも市役所などを通じて施設の状況を伝えたものの、他の施設は費用が高いなどの理由で、今も6人が入所している。都は施設に対し、新たに子どもを受け入れないよう要請すると共に、今後、事業停止か閉鎖命令の措置をとる方針。(NHK、11月25日)

▶〔お絵かき用紙の裏に個人情報〕 網走市の市立保育園で、お絵かき用として再利用した古紙の裏に個人情報が記載された公文書(一般には公表しない)が数枚、誤って紛れ込んでいたことが11月14日、明らかになった。市などによると、昨年秋ごろ、保育園から「古紙の裏面を再利用したい」との申し出があったことから、古紙に個人情報がないと判断したうえで許可した。しかし、今年10月下旬、お絵かきの紙を持ち帰った園児の保護者から数件の指摘があり、今回の混入が発覚したもの。(北海道新聞、11月15日)

▶〔補助金過大請求で3323万円、返還請求〕 社会福祉法人「福治会」が補助金を過大請求していた問題で、市川市は15日、3323万円の返還請求と、市長を含む職員17人の処分方針を明らかにした。昨年度までの5年間で同法人に過大に支出された補助金は7218万円にのぼった。(千葉日報他、11月16日。先行ニュースは下の11月2日付)

▶〔園長、飲酒運転等で行政指導、厳重注意〕 福岡県久留米市の私立保育園の男性園長(49歳)が7月に行われた職員親睦研修の際、飲酒運転、定員超過運転(一人はトランク内に乗車)、さらに禁猟区でサザエやアワビ等を採ったとして処分を受けた。市は園を行政指導、県警久留米署は園長を厳重注意、社会福祉法人は園長に7日間の出勤停止と副園長への降格処分を決めた。市は、匿名の情報提供を受けて、9月に法人理事長から事情を聞いた。日頃から人権軽視の言動があったことも認めたため、行政指導、改善計画書を提出するよう求めた。(各紙、10月31日)

▶〔補助金過大請求、市がずさん対応〕 千葉県市川市内で2保育園を運営する社会福祉法人が時間外保育に対する補助金を過大に請求していた問題で、非常勤職員設置費補助金でも、月額上限を超えて市が支出する不適切な事務処理(上限を超えた請求があった月を、上限に達しない月に付け替えて支払)が慣習的に行われていたことが10月9日、取材から明らかになった。市は過大請求を4月に把握していたが、不正流用ではないとして口頭指導にとどめていた。(千葉日報、10月10日)
〔追加〕 市監査委員会は11月1日、同法人への不適切な過大支出が過去5年間で7218万円にのぼったとする監査結果を公表した。市は今後、私立保育園補助金制度の大幅な見直しを迫られる見通し。(千葉日報、11月2日)

▶〔「賃金が希望と合わない」が半数〕 保育士資格を持つにもかかわらず、保育士の仕事を希望しない人(潜在保育士)を対象に、今年5月、厚生労働省が理由を尋ねるアンケートを実施したところ、「賃金が希望と合わない」(47.5%)、「他の職種に興味がある」(43.1%)、「責任の重さや事故への不安」(40%)という結果が得られた(ハローワークを訪れた人を対象。回答数は958人。複数回答可)。保育士の平均賃金は約21万4000円で、全職種の平均を10万円あまり下回っている。(NHK他、10月21日)

▶〔保育士確保に向けた取り組み〕 厚生労働省は10月16日、「保育を支える保育士の確保に向けた総合的取組」について発表した。発表内容はこちら

▶〔厚労省、保育所と求職者を仲介へ〕 厚生労働省は、公共職業安定所(ハローワーク)を活用した保育士確保に乗り出す。求人を出しても集まらない保育所に対してハローワークが条件見直しなどの助言をする、働きたい人に向けて説明会や合同面接会を開く、などが内容。(各紙、10月16日)

▶〔保育所利用要件を拡大〕 政府の「子ども・子育て会議」は3日、新基準案をまとめた。保育所を利用できる人として「パートや自営業、在宅勤務などすべての就労」「求職活動中」「就学中」「DVや虐待のおそれ」なども含むこととした。また、保育士の子どもも優先利用の対象とすることで、保育士不足解決の一助としたい考え。(各紙、10月3日)

▶〔保育士、強制わいせつ罪容疑で再逮捕〕 横浜市の元・保育士(男性、36歳)が、強制わいせつ容疑で再逮捕された。今回の再逮捕は3月下旬、勤務していた都内の保育園で6歳女児の下半身を触るなどした疑い。女児の訴えから発覚し、辞職。8月には別の強制わいせつ容疑で逮捕されていた。(各紙、9月25日)

▶〔保育園長、殺人未遂容疑で現行犯逮捕〕 横浜市旭区に住む保育園園長の男性が9月21日、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。自宅で10歳児の首を絞めて殺害しようとしたもの。児は再婚した妻の子どもで容疑者の養女。容疑者と児で口論となり、首を絞めたところ、妻が119番通報した。「なつかなかったので、殺そうとした」と供述している。(カナコロ他、9月21日)

▶〔2歳児に対して「苦痛を与える行為」〕 紋別保育所で保育士が2歳児に対し身体的・心理的苦痛を与える行為をしたとして、オホーツク総合振興局が指導監査を実施。虐待性はないものの、両足を持って回転させたり、押入れに閉じ込める、乱暴な言葉がけをするなどがあり、市は防止対策や指導計画の策定を命じた。市では保護者から6月に電話通報を受け、独自の聞き取り調査を行った後、同振興局や警察署に通報、その後、保育所への調査などが行われた。保育士は7月末に依願退職。保育所側は、同僚からの指摘をもとに5月下旬に保育士を指導、その後は問題となるような行為はみられなかったとしているが、9月5日に行われた保護者説明会では、保育内容などについて新たな苦情や要望も寄せられたことから、市では再調査を行う。(北海民友新聞、9月18日)

▶〔保育士の不祥事2件〕 自転車に乗っていた女子中学生の体にさわったとして、9月11日、奈良県天理市の市立保育所の男性臨時保育士(26歳)が逮捕された。一方、奈良県大和郡山市の社福保育園に勤務する20代男性保育士が8月、更衣室内にビデオを設置して女性保育士の着替えを盗撮したとして8月27日に懲戒解雇され、警察の捜査対象となっている。

▶〔元保育士に実刑(5月13日の記事の後追い)〕 26歳の男性保育士に対し、京都地裁は9月10日、懲役3年6か月の実刑判決を言い渡した。同被告は2011~13年、当時の勤務先で3歳の女児が寝ている間に服を脱がせて携帯電話で撮影したり、自宅で9、10歳の女児の下半身を触るなどしたもの。裁判官は「常習的犯行で、女児らが受けた精神的影響も危惧される」と述べた。(読売、9月11日)

▶〔待機児童、3年連続減少〕 認可保育所の待機児童は、2013年4月1日時点で2万2741人、前年同期より2084人少なく、3年連続の減少と厚生労働省が発表。一方、全国の保育所定員は、前年同期より4万8641人増の、228万8819人。都道府県別では東京が最多8117人で、3年ぶりの増加。次いで沖縄2216人、神奈川1462人など。(時事、9月12日)

▶〔保育士不足と待機児童問題〕 ベネッセ教育情報サイトに、「保育士不足が待機児童ゼロを阻む(前編):5割の保育園で既に『保育士の確保が課題』」。

▶〔「小規模保育」の基準案が決定〕 政府の子ども・子育て会議の部会で29日、「小規模保育」の基準案がまとまった。2年後の本格実施だが、先行整備の自治体に対しては本年度中から国が補助をすることになっている。(東京新聞、8月30日他)

▶〔国家資格者「半分で可」に懸念〕 東京新聞で「小規模保育、質低下の懸念。無資格者半数で認可も」。国が2年後に始める「小規模保育」に関する記事。(8月28日)

▶〔パワハラで110万円支払い命令〕 福島県須賀川市の社会福祉法人が経営する保育園の園長からパワーハラスメント等不当な待遇を受けたとして、勤務していた保育士、看護師12人が法人と園長を相手取り、慰謝料など約1200万円を求めた訴訟の判決が16日、地裁であった。裁判長は原告の主張を大筋で認め、慰謝料約110万円の支払いを命じた。園長は平成21年頃から特に理由もなく、日常的に暴言を吐き、理事長に改善を求めるなどしても応じなかった。裁判長はこれに対し、「法人には職場環境配慮の義務違反があった」と指摘した。また、同園を解雇された元主任保育士の解雇不当の訴え(地位保全と未払い賃金の支払い)に対する判決もあり、裁判長は解雇を無効とし(「懲戒解雇にあたる事実があったとは認められない」)、賃金の支払いを命じた。(福島民報、8月17日)

▶〔幼児教育・保育の現状〕 前編「進む幼稚園の保育園化」と、後編「教室化を加速させる幼稚園」(ベネッセ教育情報サイト、8月9日、12日)

▶〔公務員宿舎を使う「保育ママ事業」拡大〕 2011年4月に決まった民主党の新成長戦略に基づく国有財産有効活用の一環として、国家公務員宿舎の空き部屋を使った「保育ママ」事業が広がっている。この7月末時点で8都府県19か所(定員計142人)。政府は今後、宿舎の活用をさらに進める方針。(共同通信、8月16日)

▶〔待機児童解消加速化プランに351市区町村が参加希望〕 同プランについて厚生労働省は2013年6月から、自治体の参加を呼びかけてきた。これに対し、7月までに東京23区と全国の政令指定都市を含む351自治体から参加希望が寄せられた。この参加状況で、2014年度までに12万人分の保育環境が整備される見込みと厚生労働省は試算している。厚生労働省の加速化プランはこちら。(8月8日、各紙)

▶〔保育士が知的障害児に強制わいせつ〕 愛媛県警新居浜署は、市内の保育園に勤務する31歳の男性保育士を強制わいせつ容疑で逮捕した。3月26日、当時勤務していた民間障害者福祉施設で軽度の知的障害のある9歳男児を全裸にさせ、下半身を触るなどした疑い。4月、児が家族に打ち明けたことから発覚した。(読売、8月12日)

▶〔企業内保育園の規制緩和〕 厚生労働省は、企業内保育所の規制を緩和する。4階以上の建物に避難用屋外階段を設置するよう求めていた条件を撤廃、屋内階段等による安全確保に改正する。これにより、オフィスビル内での企業内保育所を増やす狙い。 
〔掛札コメント〕保育の選択肢が増えることは歓迎すべきですが、屋外避難階段のように物理的に効果的な安全方法を確保しないとなると、安全はよりいっそう「ヒト=保育士」の肩にかかることになります。そこをどう保証していくのかを考えることが不可欠だと思います。(7月21日、日経他)

▶〔経団連の企業23%が育休3年認める〕 経団連が7月29日に発表した「女性活躍支援・推進等に関する調査結果」によると、81社(23%)が3歳までの育休を認め、このうち23社は3歳以上でも取得可能としていた。また、3割の企業が役員に女性を1人以上、登用していた。調査は今年6月から7月にかけて実施された。1)調査結果はこちら。2)調査結果の追加はこちら。3)事例集はこちら

▶〔待機児童ゼロに期待高く。ケガ増加への懸念も〕 メディケア生命保険が実施した「育児休業3年化と待機児童問題に関する意識調査」の結果が発表された(7月29日)。「未就学児の母親3人に1人が就業」「就業形態の5割弱がパート、アルバイト」「未就学児の母親の8割以上が就業を希望」「フルタイム正社員の母親2割強が時短を希望」「未就学児の母親の7割強が育児休業3年に賛成するも、復帰の難しさなどに不安」「2017年度末までの待機児童ゼロ化に、未就学児の母親の76%が期待するものの、保育士不足による事故の増加(68%)や保育士の質の低下(67%)に懸念」など。

▶〔「保育士から虐待」で提訴〕 秋田県由利本荘市の保育園に通っていた園児の家族が、同園の元保育士と園を運営する学校法人を相手どり約373万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。訴状によると、2011年に退職したこの女性保育士は、2010年4月から約1年、当時1~2歳だった児を1人で排泄させるべく、トイレに何度も閉じこめ放置するなどした。児はトイレでパニック状態となり頭を便器や床にぶつけ、後に便秘や不眠を発症。現在も服薬と心理療法を続けているとのこと。母親によると、複数の同僚が虐待の事実を認めているというが、園側は「保育士が暴力をふるった事実はない」としている。(秋田魁新報、6月26日)

▶〔厚生労働省の保育等児童福祉事業調査結果〕 厚労省が毎年行っている、各種児童福祉事業の調査結果。年度別のリンクはこちら(各年のテーマが書かれていないのは不親切ですが)。調査結果のトップページはこちら

▶〔保育士、昼寝中の園児の下着を脱がす〕札幌市の男性保育士(26歳)が、昼寝中の5歳女児の服を脱がせた疑い等で逮捕された。容疑者は保育園に私物のカメラを持ち込んでおり、別の職員が確認したところ、女児の裸の写真が保存されていたため、警察に通報されたもの。昼寝時には2人で子どもを見ているが、同僚が他の子どものトイレの世話等で保育室に1人になった機会を狙ったとみられる。容疑者は容疑を認めており、余罪もある模様。(5月13日、各紙)

▶〔保育士が住居侵入〕 埼玉県ふじみ野市の主任級男性保育士が4月13日、のぞき目的で女性会社員のベランダに侵入、住居侵入容疑で逮捕され、5月7日、略式起訴された。事件後市総務部に異動、この8日から停職6か月の懲戒処分。(埼玉新聞、5月8日)

▶〔新小学1年生女子の将来の夢、第3位が「保育士」に!〕 ランドセルの素材などで知られる化学メーカーがクラレが毎年行っている調査から、新小学1年生女子の「将来の夢」の第3位に初めて「保育士」が挙がったことがわかった。結果はこちらの報告書の3ページめ

▶〔横浜市の保育園で床面積基準下回る〕 横浜市南区の市立保育園で5年以上にわたり、園児一人あたりの床面積が基準を下回っていたことがわかった。昨年9月の増築時に発覚、現在は解消。これを受け、市は市立保育園全93園で面積基準の調査を始めた。面積不足は、増築工事に伴う昨年9月の設計段階で発覚した。各保育室の床面積を把握しないまま、受け入れ数を拡大してい結果たという。(読売、3月26日)

▶〔乳幼児の医療費援助調査の結果〕各市町村が実施している、乳幼児の医療費にかかわる援助について厚生労働省が実施した調査の結果がまとまりました。

▶〔全国厚生労働関係部局長会議資料〕 3月19~20日に開催された平成24年度全国厚生労働関係部局長会議(厚生分科会)の資料です(厚生労働省)。14番目に雇用均等・児童家庭局の保育関係の資料が掲載されています。

▶〔全国児童福祉主管課長会議資料〕 3月15日に開かれた全国児童福祉主管課長会議の資料(厚生労働省)。職業家庭両立課、保育課だけでなく、内閣府の資料にも保育関係の資料が含まれています。

▶〔平成24年度全国厚生労働関係部局長会議(厚生分科会)資料〕 2月19~20日にかけて開催される局長会議の資料です。ページの下から2番目、(14)に雇用均等・児童家庭局の資料が掲載されています。

▶〔足立区でも、保護者が異議申し立て〕 希望者の4割以上にあたる1600人が認可保育所に入れない現状の足立区でも、保護者が行政不服審査法に基づき、入園を認めなかった区の決定に異議を申し立てた。(各紙))

▶〔保育園も規制緩和の対象〕 政府の規制改革会議は、規制緩和最優先の4案件について、検討を急ぐ方針を決めた。4項目の中に、保育サービスへの株式会社の参入や保育所の設置基準の緩和も含まれている。(テレビ朝日、3月26日)  
〔掛札コメント〕「2009~2011年首都圏『待機児童』レポート」(2012年1月)。また、「首都圏・地方市部ごとにみる乳幼児の子育てレポート」(2011年2月)では、2割以上の母親が、「平日、自宅で母子だけで過ごす平均時間が15時間以上」と回答。同シリーズのサイトはこちら

▶〔2002年の園児虐待事件〕 香川県の無認可保育所で起きた虐待死事件。虐待死がSIDSとして処理された経緯についても。リンクはこちらこちら

▶〔資金着服で前保育園長を刑事告発〕 新潟県糸魚川市の保育園前園長が園の運営資金を着服したとされる問題で、園を運営する社会福祉法人は30日までに、前園長を業務上横領の疑いで刑事告訴することを決めた。前園長が着服を認めた約2300万円のうち、返還期限として合意した昨年12月25日までに返金されたのは600万円。法人側は、損害賠償を請求する民事訴訟についても準備中。(新潟日報、2月2日)

▶〔守秘義務に抵触で懲戒免職〕奈良県生駒市は1月16日、こども課主任の市立保育園の女性保育士を戒告の懲戒処分にしたと発表。この保育士は昨年8月と9月に交通違反をした際、対応した警察官に対し、担任の園児の保護者に警察官がいることを具体名を挙げて話し、この行為が守秘義務に抵触すると判断。昨年末、市に匿名の投書があり、調査を進めていた。(毎日、1月17日)

▶〔空き教室を保育所に・課題も多く〕 小中学校の空き教室を保育施設に転用することについて、国立教育政策研究所(東京)は全国の先進事例(13市区町23例)を調べ、報告書にまとめた。保育所基準を満たすための改修費用や、関係者の合意形成の難しさが課題として明らかになった。同研究所の報告書はこちら(朝日、1月23日)

▶〔保育士が出産後、遺体遺棄〕 神奈川県警藤沢北署は15日、藤沢市の24歳保育士を死体遺棄容疑で逮捕した。同保育士は、出産した男児の遺体を箱に入れ、自宅の自室に遺棄した疑い。出産後に体調を崩し、市内の病院に運ばれたが、病院から「堕胎したような形跡のある女性を治療した」と通報があり、発覚。(読売、1月15日)

▶〔保育士が女児を監禁容疑〕 山口県警下松署は15日、周南市嘱託職員の25歳男性保育士を未成年者誘拐と監禁の疑いで逮捕した。同保育士は14日午後7時半頃、下松市内のレジャー施設で、5歳女児に声をかけ、トイレの個室に誘い入れ、監禁した疑い。(読売、1月15日)

▶〔保育士の給与増額へ〕厚生労働省は7日、私立保育所勤務の保育士給与を4月から引き上げる方針を固めた。具体的な額は各施設が個別に決めるが、最大月1万円程度上乗せされる見込み。2012年度補正予算案に計上する保育士確保対策費438億円の中から必要経費を捻出する。都道府県に設置している「安心こども基金」に積み増し、各保育所に運営費として支給する。(各紙、1月7日、8日)

▶〔保育士がひき逃げ〕 軽乗用車でバイクをひき逃げしたとして、千葉県警柏署は6日、道交法違反などの疑いで同市立保育園の保育士を逮捕した。本人は「事故は起こしていない」と否認。衝突された小型バイクに乗っていた2人は骨折などのけが。 付近にいた車の運転者が逃走する車のナンバーの一部を目撃。また現場に残されていた車の部品などから、容疑者を特定した。(産経、1月6日)

▶〔0歳児保育を見直す動き〕 待機児童が多い地域で特に広まっている0歳児保育抑制と、関連する問題について、読売新聞(2012年12月30日)が取り上げました



アレルギー、食

▶〔乳製品アレルギー児にバター入り給食〕 横浜市の市立保育園で12月18日、乳製品アレルギーがある3歳児にバターとベーコン入りのソースが入った魚のホイル焼きを誤って食べさせる事故が発生した。アレルギー症状は起きなかったという。配膳後、男児が本来使うべき除去食用の皿を使っていないことに保育士が気づいたという。(毎日、12月18日)

▶〔食物アレルギー調査結果:文部科学省〕 文部科学省が小中高校を対象に行っている調査の速報が発表されました。各紙報道によると、現時点で回答があった85%の学校に所属する生徒で、食物アレルギーを訴える数は4.5%(45万3962人)。エピペン所持者は0.3%、病状や対処法をまとめた管理指導票を学校に提出していたのは3割。また、抽出調査した579校のうち、6%で誤食が発生していた。昨年度、少なくとも40件の誤食事故が起きている。

▶〔エピペン携帯は15%〕 民間調査機関「トレンド総研」の調査によると、アナフィラキシーと診断された子どもの保護者のうち、15%のみが自己注射薬(エピペン)を携帯していることがわかった。調査は、食物アレルギーと診断された子ども(3歳~小学校6年生)がいる母親1600人を対象に、11月に実施された。子どもが医師から「アナフィラキシー」と診断された経験のある人は13%、その中でエピペンを携帯しているのは15%、小学校や保育園にエピペンを預けている人は8%と少数だった。結果について、国立病院機構相模原病院の小池由美医師は、「アナフィラキシーを発症する危険がある場合は、医師に相談して自己注射薬を携帯しましょう」と話している。(読売、12月10日)

▶〔卵アレルギー児に誤配膳〕 横浜市保土ヶ谷区の市立保育園で12月3日、卵アレルギーのある1歳9か月の園児1人に卵を使ったハムが入った大根サラダを出す事故が起きた。園児が口に入れた直後に保育士が気づき、飲み込む前に食品を口から出して口をすすがせたということで、アレルギー症状は出ていない。この園では、アレルギー除去食のある給食を、色や材質の異なる食器で出しているが、この日は調理担当職員が、この園児のトレーに誤ってサラダを入れてしまい、他の職員も見落としたという。(NHK、12月3日) 〔掛札コメント〕本ウェブサイトでは紹介していませんが、このニュースの前に小学校でのアレルギー(誤配膳。ピーナッツを食べてしまって救急搬送など)の例が複数出ています。「横浜市」と聞いて、いろいろとお考えになる方もいらっしゃるかと思いますが、そこで止まってしまっては、同じことが皆さんの園でも起こります。食物アレルギーは、命を奪う可能性もあるもの。他施設での事故を教訓に、「声出し指差し・複数人での確認」を徹底してください。また、「食べてしまっても口をゆすげばよいのかな」と思われるかもしれませんが、食物を吐き出して口をゆすいでも発症を止められない場合はあります。アナフィラキシーを起こす可能性の高い食材に関しては、「口にさせないこと」が原則です。(かく言う私も、成人発症の各種食物アレルギー持ちです)

▶〔カバノキ花粉症の人は豆乳アレルギーに注意〕 国民生活センターは12月5日、白樺などカバノキ科の花粉症の人が豆乳を飲むと、唇が腫れるなどのアレルギーが起こる可能性があるとして注意を呼びかけた。春に飛散するカバノキ科の花粉は大豆のアレルゲンと似ており、豆乳の摂取でアレルギー症状を発症する恐れがある。中でも、成人女性に起こることが多く、アナフィラキシーショックを起こした例もあるという。国民生活センターの情報はこちら。(読売他、12月5日)

▶〔調布市の「食物アレルギー事故再発防止に向けた取組方針」〕 昨年12月に起きたアナフィラキシー死亡事故を受けた東京都調布市の「食物アレルギー事故再発防止に向けた取組方針」が11月25日、発表されました。方針のpdfはこちら。重点的な取組のpdfはこちら。8月に出された「調布市食物アレルギー事故再発防止検討結果報告書」はこちら

▶〔小1、食物アレルギーで救急搬送〕 静岡県磐田市の市立小学校1年生が11月21日、給食後、アレルギー症状を発症した。エピペンを打ち、搬送後、快方に向かっている。児は乳製品アレルギーがあり、学校も把握していたが、給食センター(小中学校4校と幼稚園3園に配食)が献立表のアレルギー原因物質を表示する欄に「乳製品」を表示し忘れたため、児はチーズやバターを使った「ポテトのホイル焼き」を食べてしまった。食後1時間40分後に学校側が症状に気づき、偶然近くにいた保護者が児が持参していたエピペンを打った。配食先には他にも4人の乳製品アレルギー児がいたが、症状は出ていないという。(毎日、11月22日)

▶〔学童保育のアイスで卵アレルギー〕 神奈川県相模原市内の学童クラブで11月11日、おやつのアイスを食べた小学校2年児がアレルギー症状を起こし、救急搬送された。児は卵アレルギーがあり、アイスには卵が含まれていた。児はアイスを食べた後、耳のかゆみを訴えたため、職員が保護者に連絡、投薬後、帰宅させた。自宅で過呼吸になったため搬送され、治療を受けて同日帰宅した。クラブは子どもたちの食物アレルギーを把握していたが、アイスを配った職員が成分を確認していなかった。(産経他、11月17日)

▶〔食物アレルギー児童・生徒の実態:福岡〕 福岡県内の公立小中学校と特別支援学校の児童・生徒のうち8062人に食物アレルギーがあり、その数は前年度より1588人(24.5%)増えて過去最多であることが明らかになった。うち、エピペン等を処方されている子どもは230人。アレルギーのある子どもの在籍割合は、小学校の87.9%、中学校の86.1%、特別支援学校の76.5%。数の急増は、昨年のアナフィラキシーによる死亡を受け、申告が増えたためとみられている。(西日本新聞、11月9日) 
〔掛札コメント〕各地の教委が同様の調査を実施していますが、未就学児についての最新データは…?

▶〔「学校給食における食物アレルギー対応会議」議事録〕 「学校給食における食物アレルギー対応に関する調査研究協力会議」(第3回)の議事録が掲載されました。

▶〔食物アレルギーについて指針:米国〕 米国CDCが定めた食物アレルギーのガイドラインを、メディカル・トリビューンのサイトが紹介。国としてこのようなガイドラインを作るのは初、という。「食物アレルギーの表現」一覧も。

▶〔アナフィラキシーで亡くなったお子さんのお母さんの声〕 東京・調布市でアナフィラキシーによって死亡したお子さんのお母さんの声が記事になっています。(〔上〕は 西日本新聞、10月9日) 連載の〔中〕、「学校現場の模索 確認や注射 態勢は?」は10月16日。連載の〔下〕、「有識者会議座長・西間三馨氏に聞く 原因や治療法 まだ混沌」は10月23日。

▶〔ミックス粉の中のダニによるアレルギー〕 お好み焼き粉や菓子用ミックス粉などの中で繁殖したダニが原因となる全身アレルギー症状報告が増えているという。開封後の粉製品を常温で長期保管した結果とみられる。実態を調べた高知大のグループによると、2011年に受診した12歳児の場合、開封後、長期常温保管されていたたこ焼き粉(賞味期限切れ)を食べた後、じんましんなどの皮膚症状やせき、息苦しさを訴えた。調べると、粉1グラムあたり9000匹前後のコナヒョウダニがみつかった。同グループが高知大学病院の小児科アレルギー外来を受診している保護者54人にアンケートした結果、65%が「ミックス粉を開封後、常温保存している」と答えたという。他の調べによると、ミックス粉は小麦粉単体よりもダニが繁殖しやすい可能性があり、特にダニアレルギーの人は「開封後は早めに食べきる」「冷蔵保存する」「袋に小分けされた製品を買う」ことが推奨されている。(毎日、10月13日)

▶〔食物アレルギーで親と念書〕 山形市の市立小学校が2012年3月、食物アレルギーを持つ児童1人の保護者と校長の間で、学校で発作が起きて後遺症が出ても学校は責任を負わない、エピペンは教職員ではなく保護者が打つ、などとする念書を交わしていたことが明らかになった。市教委は昨年4月、これを不適切として学校を指導。校長は「アレルギー対応の経験がなく、発作時の対応を保護者と相談するうちに不安になった」と話している。(毎日、10月7日)

▶〔保育園における食物アレルギー対策〕 読売新聞で、「どうする食物アレルギー保育園編」の(上、10月11日)(下、10月12日)。

▶〔学校における食物アレルギー対策〕 神奈川県のコミュニティサイトで、「食物アレルギーはいま(上)学校、再発防止へ情報共有」(9月16日)

▶〔ゴマ、カシューナッツもアレルギー表示に〕 消費者庁の調査から、最近のアレルギー症例約3000件中に、ゴマ関連が12件、カシューナッツ関連が18件みつかった。このため、2品目を「できるだけ表示する品目」に加えることが27日に決まり、同庁は今後メーカーなどに、この2品目を1年以内にできるだけ表示に含めるよう指導する。(NHK、8月27日) 現行のアレルギー表示品目はこちら。

▶〔アレルギー救命でホットライン設置〕 昨年12月のアレルギー死亡事故を受けて、調布市と隣接の狛江市は8月20日、東京慈恵会医科大学付属第3病院(狛江市)と救命対策に関する覚書を締結した。今後は、重いアレルギー症状発症に際して、保育園、幼稚園、学校等231施設は同病院の医師から専用電話でエピペンの打ち方等の指示を受けることができる。また、救急搬送先も同病院となる。同病院の小児科診療部長は「ショック症状に陥れば秒単位で悪化していく。ホットラインで救える命を救いたい」と話している。(8月20日、毎日)

▶〔ちょっと古いですが。保育園・幼稚園のアレルギー疾患調査〕 東京都福祉保健局が平成22年度に出した、初めての「アレルギー疾患に関する児童施設調査」。2009年9月、都内の認可・認証保育所、幼稚園計3206施設を対象に実施、2089施設が回答した(有効回答率65.2%)。9割以上の施設に喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーの子どもがおり、75%の施設にアナフィラキシーの子どもがいた。報告書では、それぞれの施設の対応・配慮の取り組みも集めている。

▶〔保冷材などの誤飲/食に注意〕 保冷剤(持ち帰りアイス等についているもの)の中で、溶けた時に弾力のあるもの(ポリアクリル酸ナトリウム等)や、冷やしても硬くならないもの(エチレングリコール)は、身体に害を及ぼす可能性がありますので、子どもが口に入れた場合は対応が必要です(内容物の名前は表示されていなくても、「食べられません」「食品ではありません」と外装に明記されています)。特に、エチレングリコールは甘みがあるため、溶けたものを子どもが飲む危険があります。また、発熱時等に貼るシート状のもの(不織布にゲル状物質を塗布)は、大量に口にすると下痢や嘔吐を起こします。袋をたたくことによって冷却が始まる瞬間冷却材に含まれる硝酸アンモニウムも、特に子どもには影響があるとされています。対応などくわしくは、京都府消費生活安全センターにまとめられています。

▶〔学校給食におけるアレルギー対応〕 文部科学省から、「学校給食における食物アレルギー対応に関する調査研究協力者会議中間まとめについて」が発表された(7月29日)。

▶〔USJ、アレルギー表示無しでクッキーを販売〕 大阪市のユニバーサル・スタジオ・ジャパン内の売店で販売したスヌーピーのクッキー26箱に、必要なアレルギー表示(「乳等を主要原料とする食品」)がなかったことが明らかになった。他の商品のラベルを誤って貼ったのが原因という。USJは自主回収をしている。(8月2日、琉球新報他) USJの自主回収ウェブサイトはこちら

▶〔エピペンを3本打つも、ピーナッツ・アレルギーで死亡〕 カリフォルニアで、13歳の子どもがピーナッツによるアナフィラキシー・ショックで死亡した。家族と参加したサマー・キャンプでデザートを口にしたものの、「これは食べちゃダメだ」と吐き出した。そのデザートにはピーナッツ・バターが含まれていたが、知らされておらず、口に入れるまでわからなかった(注:ピーナッツ・バターは味でわかりやすいので、本人も吐き出したのだと思われる。アレルギーのことはよくわかっており、普段から気をつけていた)。吐き出して20分ほどは変わりがなかったが、その後、吐き始め、呼吸困難と心不全を呈し、救急搬送されたが死亡した。この間、3回にわたってエピペン注射が行われたが、アナフィラキシー・ショックを抑えることはできなかった。(8月2日、CNN International

▶〔重要:エピペン、「症状がひとつでもあったら打って」と日本小児アレルギー学会〕 日本小児アレルギー学会は、エピペンを打つべき「症状」を一覧にして7月24日、発表した。保育園、幼稚園、学校などのガイドラインは、今後、この一覧に準拠することになるという。この一覧を作った作業班委員長の国立病院機構相模原病院・海老澤元宏医師は、「エピペンはほとんど副作用がない上、威力は強い。ひとつでも症状が出たら、迷わず打ってほしい」と話している。アナフィラキシーショックを起こしても、30分以内にエピペンを打つなどの対応をすれば、多くの場合、救命できる。

▶〔調布市、アレルギー児は暫定的におかわり禁止〕 昨年12月、小学校でアナフィラキシーによる死亡が起きた調布市では、食物アレルギー事故再発防止のための最終報告書をまとめた。食物アレルギーのある子どもは当面、おかわり禁止とすること、事故が起きた時の体勢整備、ピーナッツやソバなど重い症状を呈する食材は学校給食では使用禁止とする、等の対策を示している(7月20日以降、各紙)。

▶〔文部科学省の食物アレルギー専門家会議、第1回議事録〕 文部科学省の「学校給食における食物アレルギー対応に関する調査研究協力者会議(第1回)」議事録はこちら

▶〔水筒による「金属中毒」に注意〕  乳酸菌飲料、果汁飲料、スポーツ飲料など酸性(乳酸、炭酸、ビタミンC、かんきつ類に多く含まれるクエン酸等)の飲み物を水筒に入れておくと、水筒に使われている金属が溶けだすことがあり、金属によっては中毒を起こす可能性もあるとして東京都福祉保健局が注意を求めています。特に、容器に傷がついていたり、酸性飲料を長時間保管するなどすると金属が溶け出す可能性が高くなるそう。同局のページには、注意点、事例、注意を呼びかけるリーフレットも掲載されています。保育園でも、家庭でもご注意を。

▶〔食物アレルギー対策で有識者会議〕 調布市の小学校で起きたアナフィラキシー事故を受けて、文部科学省の有識者会議が発足、来年3月をめどに再発防止策をとりまとめることとなった。会議のメンバーは医師や養護教諭など11人。全国では毎年、学校給食による食物アレルギー関連の事故が300件程度起きているという。(NHK、5月23日) 〔掛札コメント〕これは文部科学省の有識者会議なので、保育園には関係が…??

▶〔食物アレルギー対応、母親も苦慮〕 日清オイリオは、食物アレルギー疾患と診断された子ども(0~5歳)を持つ母親100人を対象にしたアンケート結果を発表した。外食時だけでなく家庭でも、対応に苦慮している姿が明らかになった。報告書はこちら。

▶〔カフェイン入りの菓子、飲み物に注意〕 日本でも炭酸飲料、ガムなど、子どもが口にする多くの食品にカフェインが含まれています。米国では先日、コーヒー1/2杯分と同じ量のカフェインが1粒に含まれているガム(「25歳以上を対象としている」と製造元は主張)が発売されたことから、カフェインが子どもに与える影響について議論が始まっています。米国小児科学会は、子どものカフェイン摂取が神経系や心臓血管系の発達に影響するとして警鐘を鳴らしていますが、今のところ、日本にも米国にも摂取量の規制値等は存在しません。もとにした記事はこちら。

▶〔エピペン、専門の処方医もタイミングを誤解〕 厚生労働省研究班の調査から、エピペン処方医(日本アレルギー学会専門医の中で処方医として登録)の25%が使用のタイミングを誤解していることが明らかになった。すなわち、「血圧低下や意識消失等のタイミングに使用」と回答した医師は75%のみ。同じように患者に指導している医師は64%に過ぎず、患者にも「手遅れ」となりかねない誤った情報が発信されていることがわかった。(朝日、5月2日)  〔掛札コメント〕調査に対する専門医の回答率は7割以下です。研究班はきちんと検討したのかもしれませんが、現時点の情報ではこの75%が、回答率100%だった時の割合と同じかどうかはわかりません。たとえば、「自分が正しいかどうか自信がない」という専門医がより「回答しない」傾向があるとすれば、実際の正答率は75%よりもずっと低くなるでしょう。ニュースは、このような「統計学的エラーの幅」をきちんと報道の中に入れるべきだと考えます。

▶〔アレルギー食品誤食で一時入院〕 北海道千歳市の市立保育所で、一時預かりの3歳児にアレルゲンの含まれたメニューを提供、児は一時入院した。児は12食品にアレルギーを持つため、小麦粉、固形コンソメ、シチューの素を使った「ポテトコーンシチュー」に代わるメニューを調理する必要があったが、調理員がアレルギーを認識せず、調理をしなかったもの。(苫小牧民報、3月22日)

▶〔キウイでアレルギーか〕 川崎市教育委員会は28日、2月8~26日に給食を食べた市内35校の小学生計61人が、じんましんや腹痛などのアレルギー症状を訴えたと発表した。うち15人が病院で処置を受け、1人が一時入院。原因はキウイ(国産、1人あたり半個提供)の可能性が高いという。キウイに関して保護者からの事前連絡はなかったとのこと。(28日、各紙)

▶〔アナフィラキシー発症までの経緯、明らかに〕 昨年12月に起きた、乳アレルギーによる5年生児の死亡について、読売新聞(1月27日)が市教委の調査結果から経緯を検証。当日の給食中、担任教諭がおかわり用のチーズ入りじゃがいものチヂミを持って教室内を回ったところ、「ほしい」と本児が声をかけた。担任が「大丈夫か?」と尋ねたところ、本児は、保護者によって「食べられない料理」にピンクの線が引かれている献立表を見せた。 「じゃがいものチヂミ」には線がなかったので、担任はお代わりを渡した。だが、担任が栄養士から渡されていた本児専用の献立表「除去食一覧表」には、この日のチヂミでは除去食が児に提供されており、通常の「じゃがいものチヂミ」をお代わりできないことが、「×」印で示されていた。 給食終了後の清掃時間中に体調不良を訴えたため、担任がランドセルからエピペンを取り出し、「これを打つのか」と尋ねたが、児はアレルギー食材を食べたことに気づいていなかったようで「違う、打たないで」と答えた。その後、養護教諭が駆けつけて救急車を要請。児は立てない状態で、約10分後に校長がエピペンを打ったが、まもなく救急隊員から「心肺停止」を告げられたという。

▶〔卵アレルギーで9月にも事例〕 昨年12月、乳アレルギーで5年生児が死亡した東京・調布市の小学校で、9月にも卵アレルギーの1年生児が誤ってオムレツを食べ、救急搬送されていたことがわかった。学校では、アレルギーのある児童の保護者と事前に話しあい、除去食もしくは弁当持参を決め、栄養士が調理師に伝えている。除去食材等の情報は調理場内のホワイトボードに書いて共有するルールだが、その日はおかずを持参することを調理師が書き漏らし、児には他の児童と同じオムレツが配られた。(東京新聞、1月23日)

▶〔節分でまかれたピーナッツによるアレルギー〕 リスク・コミュニケーション用の掲示を書いている中で、新潟・福島以北では、節分に殻つきピーナッツをまく家庭、園があることを発見しました。その件に関して、ピーナッツ・アレルギーの危険と節分時の症例を説明したウェブサイトはこちら。宮城県多賀城市でクリニックを開業する角田和彦医師のサイトです。

▶〔アレルギーを持つ子どもの増加〕 東京都が5年ごとに実施している「アレルギー疾患に関する三歳児全都調査報告書」(2009年度版)によると、3歳児の食物アレルギー罹患率は過去10年で2倍以上に増加。食物アレルギー罹患率は1999年度が7.1%、2004年度が8.5%、2009年度は14.1%。アレルギー性鼻炎も同様に倍増している。一方、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、ぜんそくは大きな変化がみられず、アレルギー疾患全体の罹患率は、この10年で2%増にとどまっている。(東京新聞、1月11日)

▶〔アナフィラキシーによる死亡〕 東京都調布市の小学校で昨年12月、5年生児が給食を食べた後に死亡した問題で、経緯が教育委員会への取材からわかった。担任も児の乳製品アレルギーを把握、最初はチーズを抜いたものを提供したが、児がおかわりを希望した際、誤ってチーズ入りを渡してしまっていた。 (共同通信、1月8日)



感染症

▶〔インフルエンザの流行がスタート〕 インフルエンザの定点当たり報告数が2013年第43週以降増加、第51週には定点当たり報告数が1.39(患者報告数6,824)に。全国的な流行開始の指標である1.00を初めて上回りました。インフルエンザ流行レベルマップはこちら

▶〔ノロウイルス感染症について、わかりやすい資料です〕 10月30日に開催された薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会で配布された資料です。スライドの10枚め以降、いろいろな所で使えそうなものが揃っています。

▶〔ノロウイルス対策は、次亜塩素酸ナトリウムが第一選択〕 このところ、ノロウイルスにも効果があるとされるアルコール系消毒剤が出ているようですが、基本、「ノロウイルス対策は、次亜塩素酸ナトリウム、加熱、熱湯、高温スチームで」、という議論が公衆衛生の中で出ていますので、お伝えします。手指は次亜塩素酸で洗うわけにはいきませんから、手洗いを。大阪府感染症情報センターのこの情報が役立ちます。前半はややこしい話なので、最初の赤字の行以降をお読みください。

▶〔RSウイルス感染症、拡大中〕 国立感染症研究所によると、11月25日~12月1日に全国指定医療機関から報告された患者は4266人。3週連続の増加で、同時期としては、調査を始めた2003年以来最多。(各紙、12月8日、9日)

▶〔保育士の視点からみた風疹予防〕 出産したお子さんが先天性風疹症候群と診断され、現在、啓発活動を進めている西村麻依子さんの「保育士の予防接種歴及び抗体価確認を行うことの重要性」が掲載されました。ぜひ、お読みください。西村さんのブログはこちら

▶〔先天性風疹症候群、19人に〕 妊娠中の女性が風疹に感染し、子どもの耳や心臓に障害が出る先天性風疹症候群が増えている。30日現在で19人。昨秋の風疹流行以降、報告が続いている。女性が風疹感染に気づかないと障害が見落とされて治療などの対応が遅れ、発達に影響が出る恐れが指摘されている。(各紙、9月30日)

▶〔BCG接種時期について〕 新しい話題ではありませんが、念のため。平成25年3月31日までは「生後6ヶ月までに接種」とされていましたが、平成25年4月1日以降は「生後1歳までに」となりました。厚生労働省の「Q&A」の問10が該当します。

▶〔小児肺炎球菌ワクチンの切り替えについて〕 小児肺炎球菌ワクチンが切り替わることに関して、Q&Aが厚生労働省のサイトに掲載されました。

▶〔カメによるサルモネラ症に注意喚起〕 厚生労働省によると、子どもがカメに触ることを介してサルモネラに集団感染する症例が米国で広域に、繰り返し起きている。カメ等の爬虫類は、生息場所を問わず、50~90%がサルモネラ属菌を保有しており、接触により感染すると、胃腸炎症状や、まれには重篤な症状を引き起こす。厚生労働省の注意喚起、情報はこちら。動物を介する感染症全般の一般向け資料はこちら。

▶〔手足口病、昨年の10倍〕 国立感染症研究所によると、今年の手足口病患者報告数は2万1927人。7月第2週は、小児科がある医療機関1か所あたり患者が7.01人で、昨年同時期の10倍。10週連続して増えているとのこと。年間で35万人罹患の大流行となった2011年に次ぐ増加の勢い。(朝日、7月23日)

▶〔予防接種法改正〕 改正予防接種法が4月1日から施行される。未就学児に関連する内容としては、乳幼児の細菌性髄膜炎の原因になるインフルエンザ菌b型(ヒブ)と小児用肺炎球菌のワクチン。これらは2010年度から暫定的に公費助成されてきた。ヒブと小児用肺炎球菌は生後2~60カ月が定期接種の対象となる。また、副作用情報を早く集めるため、医療機関に副作用の情報提供を義務づけている。(各紙、3月30日)

▶〔風疹の予防接種を呼びかけてください〕 東京都内では、風疹の流行が続いているようです。患者は20~40代の男性が多く、女性では20代が多いとのこと。特に、妊婦や妊娠の可能性のある方については注意が必要であることから、東京都がデータを発表し、予防と対策を呼びかけています。園でも(東京都以外でも)注意喚起をお願いします。

▶ 〔ワクチン耐性百日咳の症例、米国で報告される〕 米国で、ワクチン耐性とみられる新型百日咳菌による症例が複数、報告された。新型菌は、フランスで最初に発見されていた。米国で今冬、百日咳が流行している理由は、この新型菌が原因ではないかとみられている(英語各紙、2月6日)

▶〔ノロウイルス感染症予防に「ハッピーバースティ」〕 CDC(米国疾病対策予防センター)等は、ノロウイルス感染症予防のための手洗いマニュアルを示しているが、石けんで手、指の間、爪などを洗う時間について「ハッピーバースディを2回歌う」とするわかりやすい目安を示した。広く使われているアルコール消毒が効かず、数十個のウイルスでも発症するノロウイルスの場合、普通の石けんを使ってでもウイルスを物理的に手から洗い流すことが非常に効果的として、この目安を示したもの。今年は新型のウイルスが猛威をふるっているので、予防行動は特に重要。

▶〔ヒブワクチンの接種について〕 昨年12月20日に出されたヒブワクチンの追加接種に関する改正です(表の左側が改正後)。改正に伴う周知と接種の遅れについて、質問があったらしく、それについての回答も厚生労働省から出ています。保護者の方から質問があった時などにお役立てください。

▶〔ディート製剤、蚊よけの効果は最初の1回だけ〕 蚊よけ、虫よけ製品に使われているディート製剤(ジエチルトルアミド)は、一度、臭いに曝露した蚊には効果が下がるという研究結果を、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院の研究者が発表した。一度曝露すると、成分への感度が下がり、(簡単に言うと)「蚊は気にしなくなる」ことがわかった。ディート製剤を含む蚊よけ、虫よけ製品の子どもへの使用については、厚生労働省のこの文書の5ページ目を参照。



その他の安全、健康

▶〔厚生労働省の各種資料〕 子どもの健康に関する情報、および、平成24年度母子家庭の母及び父子家庭の父の自立支援施策の実施状況

▶〔母乳育児専用の発達曲線〕 日本母乳哺育学会が、母乳育児専用の発達曲線を発表しました。

▶〔子どもの虐待の総コスト、年間1兆6000億円〕 日本子ども家庭総合研究所の和田一郎主任研究員は、子どもの虐待による国内の総コストが、2012年度で少なくとも年間1兆5336億円にのぼるとの試算を発表した。含まれたコストには、直接費用(対応する児童相談所や市町村の費用、児童養護施設などの費用)と間接費用(自殺による損失、精神疾患を被った場合の医療費、学力低下などによる賃金への影響、生活保護受給費、各種の反社会的な行為による社会負担など)があり、試算の結果、直接費用は1000億円にとどまり、長期的な影響となる間接費用の大きさが明らかになった。虐待コストの試算は欧米では広く行われているが、日本で行われたのは初めて。(朝日、12月9日)

▶〔乳幼児揺さぶられ症候群の予防ビデオ〕 厚生労働省は11月28日、「乳幼児揺さぶられ症候群の予防と赤ちゃんの“泣き”への対処に関する動画『赤ちゃんが泣きやまない』」をウェブサイトに掲載しました。保育園でもぜひご覧いただき、保護者の皆さんに伝えていってください。ゼロ歳児の親御さんへの情報提供もお願いします!

▶〔1964年東京オリンピックの時と、2012年の日本を比べると…〕 次の東京オリンピック開催が決まったことから、総務省統計局が10月16日に出した一覧表です。(掛札、1964年生まれなので…)

▶〔柔軟仕上げ剤のにおいに関して:国民生活センターから〕 芳香性の強い柔軟仕上げ剤が増えてきたことを受け、においに関する相談や、健康被害を受けたという報告が増えているようです。子どもに関する被害例は示されていませんが、注意してみていきたいところです。国民生活センターのウェブサイトはこちら(ページ下に詳しい文書がpdfで掲載されています)。

▶〔亀岡市が「セーフ・スクール」認証へ〕 京都府亀岡市は、市内の1小学校、8市立保育所、1私立幼稚園の10施設で、国際認証ISS(インターナショナル・セーフ・スクール)を目指す。同市は2008年、日本で初めて「セーフ・コミュニティ」の認証を得ており、10施設でもISSの2013年度末の認証を目指す。取得には、安全計画の策定、安全のための連携組織設置、ケガや事故のデータ化などが求められており、すでに10施設では、交通安全教室開催や通学路の見守り、安全に配慮した施設改修等に取り組んでいる。(朝日、9月12日)

▶〔警察から児童相談所への通告、1万件超す〕 今年上半期に警察が児相に通告した児童数は10061人で、上半期としては過去最多、前年同期の1.4倍。このうち5割強の5670人が心理的虐待を受け、うち3804人は、子どもの前でDVを行うタイプの虐待。虐待にかかわる関連法令、法令改正等、指針、子ども虐待対応の手引き、児童相談所、訪問事業、その他の資料一覧はこちら(厚生労働省)

▶〔若者の意識に関する調査結果〕 今年3月に厚生労働省が実施した、若者(15~39歳)の意識調査結果が発表されました。日本の未来について「明るい」と回答したのは、全体の19.2%。

▶〔21世紀出生児縦断調査の最新データ〕 21世紀最初の年に出まれた子どもたちの出生後の経年変化を縦断的に見た調査の結果です。第10回(2010)、第11回(2011)が公開されました。生活のさまざまな側面が、200近い項目で記述されています。

▶〔犯罪に関連する「子どもの安全」のアンケート結果〕 内閣府が7月に実施した「子どもの安全」(防犯関連)に関する世論調査の結果が発表されました。子どもがスマートフォンを利用することに対して、71.9%の回答者が「不安」と答えるなどしています。

〔2歳児の約2割が「ほぼ毎日」スマートフォンを使用〕 ベネッセ教育総合研究所が7月11日に発表した「乳幼児の親子のメディア活用調査」の結果(速報版)によると、母親のスマートフォン(スマホ)所有率は、0歳児の保護者で約7割、所有率が最も低い6歳児の保護者でも5割を超えている。また、2、3歳児(子ども自身)は2割以上が「ほぼ毎日」スマホを使用しており、4~6歳になるとスマホではなくゲーム機の使用が増える。テレビやビデオ、DVDは「親が家事などで手を離せない時」スマホは「外出先での待ち時間」に、子どもたちが主に使用していた。一方、子どもたちの外遊び時間が「0分」「30分以下」という回答は、2歳で18%、5歳で14%あった。調査対象は、首都圏在住の保護者3234人。速報版レポートはこちらプレスリリースはこちら

▶〔改訂:子ども虐待対応の手引き〕 8月23日付で改正された「子ども虐待対応の手引き」の改正後の全文が掲載されました。また、7月25日に開催された平成25年度全国児童福祉主管課長・児童相談所長会議資料はこちら。虐待対策、貧困対策、女性の健康支援などの資料が掲載されています。

▶〔虐待、子ども自身が連絡〕 富山県が2012年3月に作った子ども向けの冊子「子どもの権利ノート」がきっかけとなり、同年度中、社会養護関係施設で保育士による虐待を受けた子どもからの報告が2件あったことがわかった。同冊子は、児童養護施設、里親委託、児童自立支援施設向けの3種類があり、子どもの権利や職員による体罰・虐待の禁止などを解説、「困った時は一人で悩まないで」と児童相談所の電話番号を掲載し、切手ナシで県に出せる封筒も添えてある。虐待の報告を受けて、県では施設職員を対象にした研修にも取り組んでいる。(中日新聞、7月30日)

▶〔児童手当、3割は日常生活費に〕 厚生労働省が実施した調査から、児童手当を受け取った保護者の29.4%が手当を「家庭の日常生活費」に充てた(充てる)と回答していることが明らかになった。使途は複数回答なので、全額を生活費に充てた(充てる)とは限らない。その他の回答では、44.2%が「子どもの教育費など」、33.8%が「子どもの生活費」など。「おとなのこづかいや遊興費」に使った(使う)という回答も1.8%あった。調査は昨年11月から今年2月にかけ、インターネットで実施され、中学3年生以下の子どもと同居する18歳以上の男女9973人が対象。(7月27日、読売新聞他)

▶〔平成23年度の児童虐待による死亡、58人〕 厚生労働省によると、平成23年度の児童虐待死は58人(56件)、心中による虐待死(こちらは未遂を含む)は41人(29人)だった。合計99人で、前年度の98年度とほぼ同じ。詳しくはこちら。報告全体はこちら 〔掛札コメント〕日本では、子どもの死因をきちんと検討していません。私自身がお手伝いした厚生労働省の班研究でも、明らかに虐待と思われる死亡が他のカテゴリーに入っているケースを複数みています。この数は過小評価であると考える必要があります。

▶〔子どもの数、32年連続の減少〕 2013年4月1日現在の15歳未満人口は前年に比べ15万人少なく、昭和57年(1982年)から続く減少を更新、過去最低下図となった。総人口に占める割合も39年連続の低下で12.9%。2012年10月1日現在の統計でみると東京都と沖縄県でのみ、前年に比べてこの層の人口が増えている(ただし、沖縄県は全国で最も子どもの割合が高い一方、東京都は秋田県に次いで子どもの割合が低い)。総務省の資料はこちら。この資料の参考表によると、日本は世界で最も15歳以下の割合が低い国(もちろん「長寿国」ということも一要因)。

▶〔出産直後の母子のためのケア・センター〕 子育てのスタートを支援するケア・センター整備を、政府が6月の「経済財政改革の基本方針」に盛り込む。来年度はモデル事業に取り組むという。「産後ケア・センター」には助産師らが常駐、母子の健康チェックのほか、沐浴や抱き方などの指導、育児相談も行う。(読売、5月26日)

▶〔最新・日本の人口推計〕 平成24年10月1日現在の日本の人口、増減率の推移、現在の人口ピラミッド、都道府県別の人口増減率、都道府県別の年少人口/生産年齢人口/老年人口の割合などがまとめられています(総務省統計局)。ちなみに、このページの左側真ん中には、1920~2060年の日本の人口ピラミッドの変化アニメが掲載されています(国立社会保障・人口問題研究所)。

▶〔児童虐待摘発、過去最多〕 2012年、警察が児童相談所に虐待として通告した児童数は1万6387人で前年の1.4倍。通告とは別に警察が摘発(逮捕、書類送検)した虐待も472件で、いずれも過去最多。通告の内訳は、心理的虐待8266人(うち66%が親のDV)、身体的虐待5222人、ネグレクト2736人、性的虐待が163人。(3月8日、各紙)  〔掛札コメント〕ご存知とは思いますが、こうした増加の背景には、虐待そのものの増加もひとつの要素としてあると同時に、社会的関心が高まり、通告が増えているという要素もあります。不慮の事故の研究者の間では既知の事実ですが、事故予防や傷害予防に取り組み始めると、事故やヒヤリハット、ケガ(の報告数)が突然増えます。これも、不慮の事故に対する意識が上がるために起こるできごとで、その後、対策をとっていくと減少していきます。