2015年のニュース
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災害

▶〔園児死亡で「津波情報伝えた」〕 東日本大震災の津波で宮城県山元町の私立幼稚園の園児が死亡したのは園が安全配慮を怠ったためだとして、園児6人の遺族が経営者らに計約2億5000万円の損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が7月21日、仙台地裁であり、幼稚園の男性理事(70歳)が「防火管理者の女性教務主任らに大津波が来ることを伝えた」と証言し、幼稚園として津波情報を把握していたことを明らかにした。
 幼稚園側はこれまで、「教諭らは津波襲来の危険性を全く認識できず、園児を避難させるのは不可能だった」と主張している。男性理事は幼稚園側の主張と異なる証言をしたことになるが、「本当のことを話さなければならないと思った」と説明した。また、津波に巻き込まれた送迎バスの運転手2人の尋問も行われ、1人は「男性理事から津波の話は聞いたが、半信半疑だった」と述べた。
 訴えによると、園児51人が2011年3月11日の地震発生後、教諭の誘導で幼稚園そばに止めてあった送迎バス2台の中に避難。津波で2台とも押し流され、訴訟対象の園児6人を含む8人が死亡した。(河北新報、7月22日)

▶〔震災で死亡の保育園児の訴訟〕 河北新報の記事「園児犠牲訴訟、和解断る、『後悔したくない』」(3月18日)。 〔掛札コメント〕 要約できる内容ではないので、リンクのみを貼ります。

▶〔津波被害で保育園児遺族が町と和解〕 東日本大震災の津波で亡くなった宮城県山元町立保育所の園児3人のうち、2遺族が町を相手取って訴えていた訴訟の控訴審で、1遺族と町の和解が成立した。町が園児の死について哀悼の意を表明し、和解条項に「町側が園児らの安全な保育に努める」と明記し、両親に300万円の和解金を支払う。残りの1遺族については来年3月20日に判決が言い渡される。保育所は地震発生後の午後3時半ごろ、町総務課長の指示で園児らを園内に待機させた。職員が4時ごろ津波に気づき、車で避難したが、園児3人が逃げ遅れて死亡した。1審の判決は「海から約1.5キロの保育所への津波到達は予見できなかった」として訴えを退け、遺族側が控訴していた。 〔掛札コメント〕 「町から県への報告が3か月遅れた」というこの事例については、当時の新聞記事も含め、こちらにくわしく書かれています。(12月24日、毎日新聞他)



事故、傷害、ヒヤリハットの事例

(園バス事故はケガがあった時のみ)
▶〔保育士を暴行し、逮捕〕 12月22日1時30分ごろ、福岡市東区内の保育園で40歳の男が女性保育士の首あたりを手でつかみ、壁に押し付けるなどの暴行を加え、静止しようとした男性保育士の胸を肘打ちする暴行を加えた。男は、暴行容疑の現行犯で逮捕された。警察が動機を調べている。(西日本新聞、12月22日)

▶〔県が過去6回、違反を指摘〕 12月6日に4か月児が死亡した施設は2008年以降、「乳幼児の在籍時間帯に保育士1人の時間帯がある」「有資格者が3分の1以上いない」など、6回にわたって県から違反を指摘されて、2009年と2014年には改善勧告も出されていた(神奈川県の「私設保育施設指導監督基準」に基づく年1回の立ち入り調査)。2014年の改善勧告に対し保育所側は、保育士の配置については「勤務時間の延長で対応する」、有資格者の数については「ハローワークで求人募集する」との改善報告を県に提出したが、その後も違反状態が繰り返された。基準違反で同様に指摘を受けていた認可外保育所は県内で他にもあるが、神奈川県は総数を集計していない。これに対し、調査制度が形骸化しているという意見の一方、認可外保育施設は、指摘を受けても財政的に改善が難しいという指摘も。(毎日、12月12日)

▶〔追加12月10日・保育所で4か月児が死亡〕 神奈川県平塚市の無認可保育所から12月6日午前4時半ごろ、「子どもが息をしていない」という119番通報があり、4か月児が搬送されたが死亡が確認された。児は5日夜から預けられており、目立った外傷はなかったが、脳に損傷を負ったことが原因で死亡した疑いがあり、警察が調べている。県は7日、緊急の立ち入り調査をし、この時に預かっていた子どもは5人、職員は30代の男性保育士1人だったことを確認した。施設側は「当時、児はあおむけの状態で、定期的に様子を確認していた」と説明しているという。施設は1998年に開業、届け出ている受け入れ人数は20人で、24時間対応で一時保育をしている。県は以前からこの施設に立ち入り調査を行い、複数の職員を配置していないことなどを問題視、行政指導してきたという(12月9日、各紙)。 〔追加〕 司法解剖の結果、脳に損傷を負った疑い。保育所の所長を名乗る男性は9日の取材に対し、「当時の様子を録画した映像があり、児はうつぶせでもなく、職員が落下させたわけでもなく、死亡した原因はわからない」と話した(日経、9日)。 〔12月10日朝追加〕 児の頭の骨が折れていたことが捜査関係者や県への取材から明らかになった。県警は外部から強い衝撃が加わったとみて調べている(朝日、12月9日)

▶〔園バス事故3件〕 11月2日午前9時40分ごろ、愛知県豊橋市内の市道で、交差点を進行してきた幼稚園バス(園児20人と引率教諭ら)と乗用車が出合い頭に衝突した。バスに乗っていた園児3人が負傷。乗用車は一方通行を逆走して交差点に進入したとみられる。乗用車の運転者は「うっかり逆走してしまった」と供述(CarView、11月6日)。 ●11月12日午後1時15分ごろ、宮城県栗原市内の市道で、交差点を進行していた幼稚園バスと軽トラックが出合い頭に衝突、園児ら4人と同乗していた職員、運転手(70歳)、軽トラックの運転者が軽傷を負った。現場は信号機のない直線区間で、両者は減速せずに交差点に進入した(レスポンス、11月16日)。 ●12月2日午前9時20分ごろ、静岡県浜松市の信号機のない交差点で幼稚園バスと軽自動車が出合い頭に衝突、乗っていた園児17人中4人が軽いけがをした(静岡第一テレビ)。 〔掛札コメント〕一時、子ども用バスにもシートベルトを付けるという話が出ましたが、いつの間にか立ち消えになりました。体格が多様、ひも状だとかえって危険、事故や火災などの時に子どもは自分でシートベルトをはずせない等の理由が挙げられていましたが…(最後の項は、運転席やバス後部にボタンを付けて一斉解除するシステムは作れるはず)。大事故が起きてからでは遅いのですが…。

▶〔ビルからガラスが落下、歩行者がケガ〕 12月4日午後3時ごろ、中央区銀座の4階建てビル4階の窓ガラスが割れて落下し、下の歩道を歩いていた男性に当たった。男性は前頭部を5ミリ切る軽傷。割れた窓は外開き式で縦横約1メートル、ガラスの厚みは約5ミリ。窓が強風で勢いよく開いた衝撃で割れたとみられる(時事、12月4日)。〔掛札コメント〕 割れるのも落下するのも瞬時のことですから、予測も予防も非常に難しいとは思いますが、ビルの外壁が落ちたり、強風で看板が落ちたりという事例もありますので、ついつい前方ばかりを見がちなお散歩の時も、ビルや工事現場の横を通る場合は少し上の方にも視線を向けておきましょう。

▶〔19ヵ月児がオーブン内で熱傷死〕 テキサス州ヒューストンで11月16日、19ヵ月児がオーブンの中で熱傷死。3歳の双子と5歳の3人のきょうだいがオーブンで遊んでいて、この児を中に入れ、温度を上げたとみられる。その後、レンジ全体が倒れ、児はオーブンの中に閉じ込められた状態になったもよう。警察は、子ども4人を家に置いて2時間、外出していた母親と母親のパートナーを訴追(子どもを危険においやったとして)。(英文各紙、11月17日以降) 〔掛札コメント〕 「なに、その親、子ども」「そんな大きいオーブン、うちにはない」…ポイントは、そこではありません。未就学児を自宅に置いていく危険性がポイントであり、このできごと自体は事故(きょうだいに殺意はない)だとしても、保護者は責任を問われるのです。そして、子どもは親がしていることを(意味も危険もわからず)真似します。米国のオーブンは、キッチンカウンターの下にありますから、そこに親がいろいろ入れて温めたり焼いたりしているのを見れば、子どもは真似をするでしょう。「自分の保育園(家)では、子どもはおとなのどんな行動を真似するかな? 何が危ない『おとなの真似』かな」と考えてみてください。

▶〔焦げた臭いで一時避難〕 東京都福生市の保育園で11月17日午後1時半ごろ、「トイレから焦げた臭いがする」と通報があり、東京消防庁がポンプ車など15台を出動させた。園児66人を含む88人全員が一時避難したが、火災はなく、臭いの原因は換気扇のモーターの過熱とみられる。(TV朝日、11月17日)

▶〔園バス事故〕 11月2日午後2時40分ごろ、さいたま市内の市道で幼稚園の送迎バスが乗用車と衝突した。乗車した14人のうち7人が頭や腰などの痛みを訴えたため、全員を病院へ搬送した。現場は信号機のない見通しの悪い交差点。バス運転手(66歳)が直進する際、右から来た男性(67歳)の車と衝突したという。運転手は「一時停止をしたが、右をよく確認しなかった」と話しているという。運転手、バスに同乗していた園職員、乗用車の運転者にけがはなかった(埼玉新聞、11月3日)。〔掛札コメント〕園バスの事故は頻繁に起きているのですが、頻繁すぎるくらいなので時折掲載しています。

▶〔高層マンションから落下物〕 神奈川県川崎市の武蔵小杉駅周辺の高層マンション地域で7月以降、ペットボトルや皿が落ちてきたという通報が続いている。9月28日午後4時前には、マンションの向かいにある商業施設で破裂音がした後、ガラス片のようなものと液体が地面に広がっているのが見つかった。警察では「危険性が高い」として、軽犯罪法違反の疑いで調べている。(日刊スポーツ他、9月28日) 〔掛札コメント〕 保育園と直接関係のある内容ではありませんが、どこででも起こりえますから。

▶〔道路標識でケガ〕 新潟市内で10月4日午後0時過ぎ、駐車禁止の道路標識が倒れ、近くを歩いていた5歳児が頭に軽傷を負った。現場には長さ2.2メートルの標識が根元から折れて、道路上に倒れていた。児は母親と一緒に幼稚園から帰宅する途中だった(日テレ、10月4日)。新潟東署はこの事故を受け、10月5日、管内の標識の緊急点検を始めた。標識に交換時期の目安はなく、目視と手作業で調べていく。同署管内では、古いもので30年前の標板が確認されている(新潟日報、10月6日)。〔掛札コメント〕2013年のニュースを「町名表示板」で検索していただくと、福井市で起きた同様の事例が出てきます。標識には交換時期の目安がないんですね…。

▶〔吸水性ポリマーのボールで腸閉塞〕 ボール状の吸水性ポリマー製品が体内でふくらみ、十二指腸閉塞を起こして開腹手術となった事例を国民生活センターが報告、注意喚起しています。〔掛札コメント〕 2年以上前に、本サイトではこの件を紹介しています(上から4つめ)。

▶〔10段の組体操が崩れ、6人重軽傷〕 大阪府八尾市の中学校の体育祭(9月27日)で、10段の組体操(男子生徒157人)が崩れ、1年生が右腕を骨折の重傷、5人が打撲などの軽傷を負った。(NNN、10月1日) 〔掛札コメント〕 骨折1人で済んでよかった…じゃありません! ニュースの中では生徒が「練習では一度も成功していない」と言っているようですが…。「八尾市 組体操」でビデオを検索すると、崩れる画像が出てきます。

▶〔石灯籠の下敷きになり死亡〕 9月21日午後2時40分ごろ、新潟県長岡市の神社境内で幼稚園児(6歳)が石灯籠の頭頂部分の下敷きになってうつぶせに倒れているのを、一緒に遊んでいた兄がみつけ、近所の人が119番した。児は搬送されたが、胸を強打し、外傷性ショックで間もなく死亡。石灯籠は高さ約2メートル、頭頂部分は円錐形で直径約19センチ、重さ約14.5キロ。警察は、児が一人で石灯籠に登って遊んでいて落下したものとみて調べている。(各紙、9月22日)

▶〔歯磨き中のケガ〕 東京消防庁のまとめによると、管内において2014年1年間に歯ブラシによるケガで搬送された5歳以下児は40人。半数以上が1歳児。2010~14年の5年間では207人。うち入院が必要な中等度症と診断されたのは全体の15%で、生命の危険があると診断された事故もあった。年齢別では、1歳児(97人)と2歳児(61人)で全体の76%を占めた(9月24日、時事)。〔掛札コメント〕東京消防庁が発表した内容はこちら。グラフでわかりやすくなっています。事故防止のポイントも掲載されていますので、園で行っている歯磨きの実践も伝えつつ、「家庭でも注意なさってください」と伝えてください。ちなみに、最初のグラフは搬送人数の年次推移になっていますが、もともと発生確率の低いこのようなできごとで、「1人増えた」「3人減った」と論じることには(疫学的には)意味がないということも頭の片隅に置いておいてください。それは、保育園内の事故でも同じです。特に、保育園内のケガは、その年の子どもの特徴や月ごとの活動内容、保育士のスキル等に大きく左右されるでしょうから、数例の「数の変化」だけを論じることには意味がありません。

▶〔ウズラの卵で窒息〕大阪市の市立小1年生が給食のおかずを喉に詰まらせ、意識不明の重体であることが17日、市教育委員会への取材でわかった。児は11日午後0時40分ごろ、給食の「鶏肉と野菜のうま煮」を食べた際、呼吸困難になった。異変に気付いた教諭が児の背中をたたいて、食事を吐き出させたりしたが、回復しないため同45分に119番し、病院に搬送された。搬送中、救急隊員が喉からウズラの卵を取り出した。17日朝の段階で容体に変化なし。市教委は再発防止に向け、給食をよくかんで食べることを児童らに指導するよう市立小中学校に通知するとしている(共同、産経、9月17日)。〔掛札コメント〕ウズラの卵…。白玉同様、つるん、ストンが起きる典型食材です。「よくかんで食べるよう指導」、この子がかんで食べなかったからだ、ということでしょうか? この時期は、歯の生え変わり時期でもあります。かもうと思ったけど、抜けた歯のすき間から…。あるいは、つるんつるんとした感触で遊んでいたのかもしれません。でも、大事なのはここです。この事例を「子どものせい」と言えたとしても、危険な典型食材である以上、きっとまた起こるでしょう。 「ウズラの卵は出してないから大丈夫」…? つるん、ストンの食べ物はありませんか?

▶〔ケガめぐり恐喝未遂〕 7月下旬、当時5歳の子どもがケガをしたことに関して、「ケガは保育園のせいだ」などと言い、園長から現金を脅し取ろうとしたとして、和歌山県警かつらぎ署が26歳男性と24歳女性を9月9日に逮捕した(恐喝未遂容疑)。2人は現金を要求したことなどを否認しているという(産経、9月10日)。 〔掛札コメント〕 類似事例は私のまわりでも耳にします。「自分たちが悪いのだから」「怖いから」とガマンをしてしまうようですが、言葉の暴力程度であっても自治体や警察に相談しておくべきです。自治体は、「そんなこと、園で解決して」と無視しないでください。他の子どもに被害が及んだりする可能性もあるのですから。

▶〔6階から1歳児転落〕 8月29日午後9時過ぎ、愛知県岡崎市の集合住宅の6階からここに住む1歳児が転落、死亡した。物音がしたため母親が寝室をのぞくと、窓の網戸が半開きになっており、児が1階に倒れていた。児はきょうだい2人と寝室におり、ベッドが窓側にあって、窓に鍵はかかっていなかった。父母は他の部屋にいた(時事、8月30日) 〔掛札コメント〕 「窓に鍵をかけないのが悪い」「ベッドを窓際に置くのが悪い」「子どもたちだけにしておくのが悪い」とお思いになりましたか?(「その親(子ども)が悪い=私(たち)は大丈夫」という、人間のいつもの認知バイアスです!) 人間誰でも鍵のかけ忘れをしますし、親は24時間、子どもを見守ることができるわけではありません。日本に高層住宅が多く、なおかつ、窓の鉄枠などを嫌い、開放されたベランダが大好きな文化である以上、多発する子どもの転落死予防に社会として、企業としても取り組むべきではないでしょうか。保育園で窓や子どもの状況を見ている私からすると、対策はそれほど難しくなさそうなのですが…。

▶〔4歳児、プールで意識不明の重体〕 8月22日昼ごろ、埼玉県川越市にある水上公園のプールで東京都内の4歳児が沈んでいるのがみつかった。搬送されたが、意識不明の重体。児は母親、きょうだいらと遊びに来ていたが、事故の時は人工の波が出るプールで一人で遊んでいたとみられる。近くにいた客が沈んでいる児に気づいて連絡したもの。児が沈んでいたのは、深さ1メートルほどの場所(TBS、8月23日)。〔掛札コメント〕「深さが1メートルもあるところで、4歳児一人を遊ばせるなんて」とお思いになりましたか? 「沈んでいるのがみつかったその場所で、その子が遊んでいた」とは、記事のどこにも書いてありません。個人(被害者であれ、加害者であれ)の責任にして、「私(たち)は大丈夫」と思おうとする人間の楽観バイアスの働きをお忘れなく。

▶〔周遊車両にはねられ、死亡〕 8月14日昼前、岩手県奥州市の観光施設で、家族と一緒に埼玉県から帰省して遊びに来ていた4歳児が、施設内を周遊する車両にはねられ、約2時間後に死亡が確認された。事故を起こした車両は蒸気機関車をかたどった3両編成の乗り物。施設が込み合う時期には運転手の他に1人を助手席に乗せて安全を確保しているということだが、この日は雨で客が少なかったため、60代の男性スタッフ1人が運転していた。(各紙、8月14日)

▶〔2トンの石にはさまれ、死亡〕 8月6日午後2時過ぎ、新潟県湯沢町の魚野川で「川遊びをしていた子どもが倒れた石に挟まれた」という通報が消防にあり、東京都の小学1年生の死亡(脳損傷による)が確認された。児童は大手予備校の系列塾が開いた野外教室に参加、他の児童32人、引率教諭9人とともに同町を訪れていた。6日は昼にバーベキューをした後、川遊びをしていたが、児童が岸にある岩に手をかけたところ、突然倒れてきたという。岩は縦1メートル80センチ、横70センチ、厚さ60センチ、重さ約2トン。県南魚沼地域振興局地域整備部は同日、河川の現状を確認した。現場は川遊びの場所になっているが、担当者は「大きな石が落ちた経験がなく、何がどうなったのか分からない」と話した(各紙、8月8日)。〔掛札コメント〕 「大きな石が落ちた経験がない」のではなく、「大きな石が落ちたことに気づいたことがない」または「落ちた石はあるが、それを(今回のような事故の)リスクだと考えたことがない」です。大きな石がこれまで一度も落ちたことがないはずはありませんから…。人間は自分が気づいていなかったことは「起こったことがないこと」「起こらないこと」だと認知ミスをしますが、人間が気づかないところで、人間の命を奪いかねなかったできごとは多々起きているのです。これが「ヒヤリハットとニア・ミスの違い」です(詳しくは参考資料にある『保育界』の連載第1回をご覧ください)。

▶〔靴袋のヒモで指先を切断〕 7月7日午後3時ごろ、埼玉県白岡市の市立中学校の校舎内で起きた事例。松葉づえを使っている生徒と、その補助をしていた別の生徒が、(特別に使用を許可されていた)エレベーターに乗って1階から2階に移動。2人の生徒がエレベーターから降りる際に、補助をしていた生徒の靴袋のヒモが扉にはさまれた状態となり、ヒモをはさんだまま下降したエレベーターに引っ張られ、ヒモで右手中指の先端をを切断した(産経、7月8日)。〔掛札コメント〕 エレベーターに限らず、自動扉類の多くは、ヒモぐらいでは反応せず、そのまま閉まってしまう可能性があります。欧米で子どもの服のヒモが禁止されている大きな理由は、車やスクールバスのドアにヒモ等がはさまってひきずられる危険があるためです。エレベーターやエスカレーターのように動くものも同様です。ニューヨークの地下鉄のエスカレーターで昏倒した女性が、髪の毛からひきずりこまれそうになったというニュースもありました(2013年7月3日)。「すぐ、ヒモから指を抜けばよかったのに」と思いますか? エレベーターの扉は触ったり押したりすれば開くものだという意識がありますから、引っ張ったりドアを開けようとしたりしていたのではないでしょうか。焦っている状態の人間に、冷静な判断を求めるのは酷です。この事例から私たちが学べることは、「ヒモぐらいでは開いてくれるものではないんだ」「ヒモで指が切断できるんだ」という点でしょうか。同じことが、小さい子どものパーカーのフードや、首にかけていたカバンで起きたら?

▶〔琵琶湖で小学2年生が死亡〕 7月12日午後3時半ごろ、大津市の琵琶湖岸の水泳場で保護者が「息子が見当たらない」とパトロールしていた県警署員に届け出た。付近を捜索したところ、湖岸から約10メートル先の水中(水深約2メートル)で児を発見。救急搬送されたが、まもなく死亡した。児は大阪市内から両親らと遊びに来ていた。両親に「もう少し泳ぎたい」と言い残し、その後、行方がわからなくなったという。(産経、7月12日)

▶〔飛び込みで中3男子、頭打つ〕 岐阜県多治見市は6月27日、市立中学校3年生が26日の体育の授業中、プールに飛び込んで頭を打ち、負傷したと発表した。現在も全身がしびれた状態。この生徒は飛び込み台からプールに飛び込み、頭を底に打ったとみられる。様子がおかしいことに別の生徒が気づき、救急搬送された。水深は1.1メートルだった。担当教諭は他の生徒の指導にあたっており、事故を見ていなかった。学習指導要領は、小中学校の授業で飛び込みをすることを禁じており、担当教諭も指示していなかった(産経、6月27日)。 〔掛札コメント〕 「水深を浅くすれば溺れないのではないか」という(正しくない)理由で、保育園でも水深を非常に浅くしているケースがあります。スイミングに行っている年長児などは飛び込みの真似をしかねません。

▶〔保育園バスの事故〕 8月3日午前9時ごろ、青森県六戸町の国道(片側1車線の直線)で大型トラックと保育園の送迎バスが正面衝突した。バス運転手と保育園職員、園児の計3人(他に乗員なし)とトラック運転手がケガをして病院に運ばれた。命に別状はない。(朝日、8月3日)

▶〔5歳児、プールで死亡〕 8月2日午後2時半ごろ、愛媛県四国中央市の市が運営する運動公園プールで市内の保育園児(5歳)が深さ1.2メートルの造波プールで沈んでいるのがみつかり、搬送先の病院で死亡が確認された。現場には監視員が4人いたが、異常に気づかなかったという。(各紙、8月2日)

▶〔小1児、プールで死亡〕 8月1日昼前、奈良県橿原市の市総合プールで、東大阪市の6歳児が溺れ、(監視員の蘇生処置を受け)搬送されたが死亡した。午前9時ごろ、家族・親戚7人でプールに来た。子どもたちだけで深さ約1.3メートルの所で遊んでいたところ、姿が見えなくなり、近くにいた女性がプールの底に沈んでいるのを発見。プールの深さは1.1~1.3メートル。年齢や身長制限はない。当時、このプールには監視員が1人だった。児の身長は約120センチ(産経WEST、8月1日)。 〔掛札コメント〕 「小1男児、プールで溺れ死亡 身長より深い所、監視員は1人」というニュースのタイトルですが、あたかも「身長より深い所にいたこと」も悪かったかのような書き方です。こちらに書いている通り、足がつく位置、おとなが見ている目の前でも、子どもは(おとなも?)溺れます。「水深が浅ければ安全」は誤りです。もちろん、足がつかなければリスクは上がりますが、このプールは一番浅くても1.1メートルだったわけですから…。また、屋外のかなり大きなプールです。ここで監視員一人というのは…。深さからすると、このリストの中の、レジャープールの「正形プール」でしょうか。

▶〔屋内プールでガラス落下〕 6月27日午後4時ごろ、神奈川県茅ケ崎市の屋内温水プールで、3メートルの高さ(壁面)に設置されたガラス1枚が割れ、破片がプールに落ちた。約120人がプールを利用しており、小学校1年生と4年生のあわせて5人が、ガラスの破片で腕を切るなどの軽いケガをした。割れたのは、縦2メートル38センチ、横90センチ、厚さ6.5ミリの強化ガラスで、監視カメラでは、窓になにかが当たった様子は映っていないという。市は、プール内の同じガラス76枚を飛散防止フィルムが入ったものに取り換える予定。(TBS、7月11日) 〔掛札コメント〕 軽いケガ程度で済まなかった可能性も十分にある事例です。

▶〔親権のない父親、園から子どもを連れだす〕 札幌市内の25歳男性が、親権を持つ元妻に無断で娘を保育園から連れ出し、軽乗用車に乗せて市内を連れまわしたとして、未成年者誘拐の疑いで現行犯逮捕された。連れ出したのは7月9日午後8時ごろ。警察によると、容疑者は元妻に「娘を連れていった」と連絡、元妻からの通報で警察が発見した。復縁を迫る目的で連れまわしたとみて調べている。(産経、7月10日) 〔掛札コメント〕「お迎え者リスト」(できれば写真入り)を作り、定期的に保護者に確認しましょう(いつ、離婚協議等が始まるかはわかりませんから)。誰かから子どもの様子を尋ねる電話が園にかかってきても、相手が「お迎え者リスト」に載っている本人であると明らかに確証できない限り、該当の子どもが「いる」とすら答えてはいけません。DV等で保護者と子どもが身を隠している場合、これで居場所がわかってしまいますから。

▶〔食べ物を詰まらせ、死亡〕 6月16日、宮崎県都城市の認定こども園で1歳6か月児が食事をのどに詰まらせて死亡した。同市が7月8日に明らかにした。同日午前11時ごろ、保育士が昼食の介助を始めたが、泣きだしたため中断。午後0時半ごろに介助を再開すると再び泣き始め、あやしていたところ突然、泣き声が止まった。 保育士は気管に食べ物が詰まったと疑って背中をたたいたほか、看護師も加わって応急措置をしたが反応がなかった。女児はその日の夜、病院で死亡。喉から食べ物が見つかった。この日の昼食は、ごはんや豆腐と豚肉のみそ炒めなどで、細かく刻んであった(7月8日、産経新聞) 〔掛札コメント〕この事故で食物が詰まった過程自体は明らかになりえないと思いますが、子どもが急に息を吸い込む瞬間(笑っている時、泣いている時、驚いた時の吸気時、それ以外でも、たとえばからだにちょっとした衝撃が加わった時)は、食べ物や異物が気道に入りやすいということを理解して、食事介助などをしてください。また、「細かく切っているから安全」ではありません。「トピックス」の「誤嚥と誤飲」の一番上にある事例もご覧ください。

▶〔浴槽死亡事故で立ち入り調査結果〕 つくば市は7月3日、認可外保育施設の浴室の浴槽で1歳5か月児が死亡した件(6月18日)で、県と合同で行った立ち入り調査結果を発表した。保育従事者は69歳の女性経営者1人で、保育室として用いていた自宅の部屋は12畳と基準を満たしていた。一方、事故当日の利用は1歳児2人、3歳児2人、小学校1年生1人(保育基準外)の計5人。利用状況は月~土曜の常時利用3人(うち1人は小学生)に加え、一時預かりの利用もあった。厚生労働省の基準では、24時間保育は乳幼児が1人の場合を除き、保育従事者を常時2人以上配置しなければならない。5人以下の乳幼児を保育する場合は、従事者1人に対し乳幼児3人以下と定めている。市によると、いずれも守られておらず「改善指導の対象」だった。児童福祉法では、1日5人以下の乳幼児を保育する場合、県への設置届け出の義務はない。(東京新聞、7月4日) 〔掛札コメント〕 「この施設が悪かったんだ」「そんな所に預けるなんて」とお考えになると思います。それはそうかもしれません。でも、そこで終わってしまっては、保育施設としての学びはありません。体制がどうであろうと、本当に数分でも目を離せば子どもは水死するのです。

▶〔保育園放火で逮捕〕 今年2月、高知県宿毛市に建築中の市立保育園が全焼した件で、同市の27歳男性(窃盗罪で起訴拘留中)が6月4日、非現住建造物等放火の容疑で逮捕された。(高知新聞、6月8日)

▶〔保育所に爆破予告で一時避難〕 6月16日午後2時ごろ、千葉市役所保育運営課に「(市内の)保育所に爆弾をしかけた。15時に爆発する」という電話があり、この保育所の園児ら約195人が一時、近くの公園に避難した。警察が捜索したが、爆弾は発見されず、警察は威力業務妨害事件として捜査している。(産経、6月16日)

▶〔無認可施設の浴槽で死亡〕6月18日午後8時10分ごろ、茨城県つくば市の無認可保育施設の浴槽で、1歳5カ月児が倒れているのを女性経営者(69歳)が見つけ、119番通報した。児は病院に搬送されたが19日午前9時半ごろに死亡。児は湯が張られた浴槽内で倒れていたとのことで、女性経営者は当時、保育室として使われている自宅1階の部屋と風呂場を往復して、死亡した児を含む4人を入浴させていた。児がいないことに気づいて風呂場に行ったところ、児が服を来たまま浴槽に浮かんでいたという。女性は2000年ごろから自宅で保育所を経営していたが認可は得ておらず、6人以下の施設のため、県に施設の届け出を出していなかった。(各紙、6月19日)

▶〔宿泊学習でケガ、保護者に報告せず〕 6月10日、福島県郡山市の市立小学校が「郡山自然の家」で行った宿泊学習でアスレチック遊具のロープが切れ、4年生が転落。学校と施設は保護者や県教委に報告せず、翌日に帰宅した女児が吐き気を訴え、翌12日に受診した病院で頸椎捻挫による1週間のケガと診断された。児の父親がメールで施設側に抗議、施設所長と校長らが13日に謝罪した。宿泊学習には4年生96人が参加、10日午後2時55分ごろ、はしご状に組んだ木材を麻製ロープ(直径2センチ、長さ8メートル)をつかんで登っていた児が、高さ1メートルから落ちた。出血や外傷がなかったため、施設職員と引率教諭が問題ないと判断。遊具を使用禁止にしただけで宿泊学習を続けた。ロープは劣化していたが、2か月おきの点検は目視のみで、気づかなかったという。県教委は「頭を打っており、医療機関や保護者にすぐ連絡すべきだった」と謝罪、遊具についても点検方法を改善するという。(読売、6月14日)

▶〔小学校の遊具ロープで事故〕 6月1日午後4時40分ごろ、静岡県沼津市の市立小学校の校庭で、4年生が遊具に備え付けのロープで首つり状態になっているのを、一緒に遊んでいた児がみつけた。児はドクターヘリで病院に搬送された。救急隊が駆け付けたときには意識があり、うなずくなど意思表示ができたという。遊具は、木製の斜面を上り下りするアスレチック。左右両側にロープが備えられているが、児は高さ2.5メートル前後の頂上付近で、輪になっていたロープに首がひっかかった状態だった。児は午後2時半に下校し帰宅した後、再び学校へ遊びに来ていたとみられる。遊具は放課後や休み時間に児童が自由に使っていたといい、これまで事故はなかったという。(毎日、6月2日)

▶〔バンジートランポリンでケガ〕 岐阜県各務原市の県営公園「世界淡水魚園」に設置された遊具で5月16日、10歳児が2週間のけがを負った。遊具は、トランポリンの両脇に立てた鉄製支柱2本とゴムのワイヤでつながったベルトを腰に装着し、ゴムの伸縮とトランポリンの弾力で跳ぶ遊具「バンジートランポリン」。遊んでいる間にゴムワイヤ4本のうち1本が切れ、児はバランスを崩し、顔や首を支柱にぶつけ、2週間のケガを負ったもの。また、今回の事故で、指定管理者から県に事故の連絡があったのは、発生の2日後。市の担当者は「事故後、利用者の安全対策を万全にするためにも、迅速な連絡を徹底してほしい」として、遊具での事故や来園者の救急搬送があった時はすぐに報告するよう求めた。(中日新聞、5月22日)

▶〔14階から4歳児転落〕 7月3日午後6時半ごろ、川崎市内の15階建てマンションで、「子どもが上の階から下に落ちていった」という119番通報が住民からあった。14階に住む4歳児が転落したもので、まもなく死亡が確認された。警察によると、自己当時、部屋には父親と1歳児がいたという。ベランダには踏み台があり、警察は児が誤ってベランダから転落したとみて原因を調べている。(6月4日、TBS)

▶〔列車にはねられ死亡、重傷〕 6月29日午後5時40分ごろ、山梨県庄和町のJR身延線の線路内で、近くに住む男児2人が列車にはねられた。3歳児が頭を強く打って死亡、4歳児も重傷。線路沿いにはフェンスが張られているが、一部フェンスがない場所もあり、警察は2人がそこから線路に入った可能性もあるとみて調べている。電車の運転士は「左側に子どもをみつけ、警笛を鳴らし急ブレーキをかけたが間に合わなかった」と話しているという。(6月29日、時事)

▶〔ドラム式洗濯機で7歳児死亡〕 6月8日未明、東京都青梅市で「子ども(7歳)がドラム式洗濯乾燥機の中に入っていた」という通報があり、救急隊到着時には心肺停止状態、搬送先の病院で死亡が確認された。児は誤って中に入り、出られなくなったとみられる。ドラム式の中には、フタを閉めると内側からは開けられない構造の機種があり、児は閉じこめられて呼吸ができなくなった可能性があるという。(共同通信、6月25日、共同通信) 〔掛札コメント〕 保育園では横ドラム型はほとんど見ませんが、念のため。

▶〔転落死2件〕 5月27日午前7時過ぎ、福岡県北九州市のマンション12階から3歳児が転落、死亡した。父親が出勤後、母親がゴミ捨てに出たわずかの間に起きた事故。児は当時、一人で部屋におり、リビングに置いてあった高さ60センチのキャスター付き台がベランダに移動していたことから、警察は児がこの台を足場にして誤って転落したとみて調べている(5月28日、TBS)。  ●5月31日午前8時ごろ、愛媛県松山市内のホテルの12階から1歳児が転落、死亡した。県警によると、児は客室内のベッド横にある窓(縦約1.3メートル、幅約1メートル)から転落したとみられる。直前にこの出窓の突き出した部分(幅29センチ)にのぼって児が遊んでいるのを家族(父母)が見ていた。その時には、窓は閉まっていたという。部屋の窓は中から押すと開くようになっており、ストッパーをかけた状態で最も大きく開くと、55センチの空間ができる(5月31日、各紙)。

▶〔不明の生徒、4時間捜さず〕 茨城県結城市の市立中学校の教諭らが、登山中に行方不明になった特別支援学級2年生を4時間近く捜していなかったことが明らかになった。福島県赤郷村を宿泊学習で約200人で訪れ、標高1701メートルの山に登山をしていた。山頂で昼食をとり、下山途中の午後3時45分ごろ、生徒がはぐれた。宿泊先に戻った後、引率教諭は別の生徒からこの生徒が戻っていないと報告を受けたが、所在確認をしなかった。夕食後、生徒の一人から再度申し出があり、午後7時45分ごろに110番した。山中で足首を捻挫し、動けなくなっていたこの生徒は、午後9時ごろに発見された。学校のホームページでは一時、夕食の写真とともに「全員、無事下山」と伝えていた(読売、5月29日)。〔掛札コメント〕中学生の事例ですが、保育園や幼稚園でも他人事ではなさそうです…。

▶〔最近の園バス事故(園バス事故は数が多いので、時々、掲載しています)〕 ●幼稚園の送迎バスが信号待ちをしていた乗用車に追突。乗用車を運転していた女性が首に軽傷。バスの園児ら22人と同乗していた教員にけがはなかった。バスを運転していた職員(68歳)は「考え事をしていた」と話している(5月18日午前8時40分ごろ、千葉県市原市。共同、5月18日)。●4~10歳の保育園児2人と小学生7人を乗せた町のスクールバスと乗用車が正面衝突。バスの児童らが救急搬送された。乗用車がカーブで対向車線にはみ出したものとみられる(5月15日午前7時50分ごろ、広島県神石高原町。5月15日、各紙)。●園児17人と教諭を乗せた幼稚園バスが交差点で出会い頭に衝突、園児5人と教諭が軽傷を負った。見通しが悪い、信号機のないT字の交差点で、どちらも速度を落とさないまま進入し衝突したもの(4月23日午後2時20分ごろ、札幌市。産経他)。●園児数人と引率者1人を乗せた幼稚園の送迎バスと乗用車が交差点で衝突(4月20日午後3時50分ごろ、東京都大田区、WSJ)。●幼児24人と教諭1人を乗せた幼稚園バスが軽乗用車と衝突、園児7人と教諭が軽傷を負った。軽乗用車が対向車線にはみ出したとみられる(4月17日午前8時45分ごろ、函館市。4月17日、朝日)。●園児14日と教諭1人を乗せた幼稚園バスが軽乗用車に追突、園児6人と教諭、軽乗用車を運転していた女性と同乗の児の計9人が搬送された。重傷者はいないという。バスの運転手(72歳)は「脇見をしていた。ぶつかって気が動転してアクセルを踏んだ」と話している。バスは追突後、軽乗用車を約50メートル押した後に停止した(4月22日午前8時55分ごろ、北九州市八幡東区。4月22日、朝日)。

▶〔テント事故で安全確保の通知〕 熊本市内の中学校で5月13日、体育大会の練習中にテントが突風で飛ばされ、生徒がケガをした事故で、市の教育委員会は14日、市内の幼稚園、小中高校にテントを設置する際の安全確保などを求める通知を出したと発表した。県の教委も同様の通知を出した。突風で飛ばされたテントは計8張りで、いずれも支柱が杭などで固定されていなかった。このうち2張りが生徒に当たり、生徒23人がケガをした。(読売、5月15日)

▶〔マンションからの転落で殺人容疑〕 昨年12月29日、東京都荒川区のマンションの13階から5歳児が転落、死亡した事故で、警視庁は当時室内にいた母親が故意に落とした疑いが強まったとして、殺人容疑で再逮捕した。児が落ちた寝室の窓には、床面から約1メートルの高さに転落防止用の手すりがあったが、窓枠などに児の指紋や足をかけた形跡はなかった。母親は当初、「自分はトイレにいて見ていない」等と供述していたが、転落への関与を認めるような供述も始めたという。母親は、転落の約1週間前、同区内のホテルで長男の首を絞めた殺人未遂容疑で逮捕され、起訴されていた(各紙、5月12、13日)。 (この第一報は、昨年の12月30日の記事にあります。このページの一番下をご覧ください。)

▶〔練馬区・板橋区でネコやハトの死骸〕 東京都練馬区や板橋区で4月、ひとつの小学校の周辺でネコやハトの死骸が相次いでみつかり、中には首が切断されたもの、胴体に粘着テープが巻かれたものもあった。警察は動物愛護法違反などの疑いもあるとみて捜査。区教育委員も子どもの安全確保のため、学校に注意を呼び掛けている。(産経、5月8日)

▶〔過去11年で少なくとも163人が死亡〕 全国の保育所で平成16~26年の11年間に起きた事故で、少なくとも163人の子どもが死亡していたことが5月5日、厚生労働省のまとめから明らかになった。0歳児が半数(83人)を占め、保育施設全体の約3分の1を占める認可外施設の事故が全体の約7割(113人)にのぼった(産経、5月6日)。 〔掛札コメント〕 これは自治体に報告があったものだけであり、今年の4月までは報告の義務づけもありませんでした。現在も、認可外施設には報告が義務づけられていません。そのため、「少なくとも」なのです。

▶〔ゴンドラ落下で母子搬送〕 5月2日午後3時過ぎ、千葉県山武市の蓮沼海浜公園にある「こどものひろば」で「スカイパイレーツ」と呼ばれる遊具のゴンドラが落下し、乗っていた母親と3歳児が搬送された。2人とも意識はあるという。ゴンドラを吊っているレールの支柱が破損し、約3メートル(5メートルとしている記事もある)の高さからゴンドラが落下した。(各紙、5月2日)

▶〔幼稚園バスにはねられ死亡〕 4月30日午前9時25分ごろ、愛知県あま市の県道で1歳児が幼稚園の送迎バスにはねられ、頭などを強く打ち死亡した。児は幼稚園へ行く兄の見送りのために母親と共に現場付近に来ていた。子どもたちが乗り込み、運転手(66歳)がバスを発進させた際にはねられたもよう。運転手は、自動車運転死傷処罰法違反、過失運転致死容疑で逮捕された。(各紙、4月30日)

▶〔袋で首つり、意識不明〕 北海道旭川市のアパートの外階段で4月25日午後3時ごろ、近くに住む小学校2年生が手すりに袋を輪になるようにくくりつけ、首をつっているのがみつかった。病院に搬送されたが、意識不明の重体。袋はプラスチック製のおもちゃの刀を入れていたもので、細長い形。児は階段の鉄柵にこのポリ袋を巻き、首を入れて遊んでいたという。首をつった状態でいるのを友人が発見した。(時事通信他、4月27日) 〔掛札コメント〕 保育園にも、子どもが首を入れてしまう危険性のある「輪状」のものはたくさんあります。ひとつは、着替えやプール用具を入れてカバンかけにかかっているさまざまな袋。小さなフックに無理してかかっているため、片方がだらんと垂れているのもよく見ます。子どもの頭が入る大きさの「輪」は危険です。子どもがつまずいたり、ぶつかっていったりしてそこに首を入れたら? 数分間、誰も気がつかなかったら? 「うちの子どもたちはそんなことしない」と思うのは簡単ですが、それで万が一の危険を放置するくらいなら、「だらんとなっているのに気づいたらフックに両方をかける」「子どもの頭が入る以上の大きさのヒモ(輪)があったら、短くくくっておく」などの対策を。

▶〔保育園迎え後の事故〕 4月23日午後5時半ごろ、青森県内の市道で男性が運転する乗用車が孫の4歳児を轢き、児は約2時間半後に死亡が確認された。男性は児を保育園に迎えに行き、帰る途中。児と同乗者が公園に寄るために市道脇に停車、左の後部ドアから降りた際、児が転倒。男性は気づかず発進し、車の左後輪で轢いた。(4月24日、朝日)

▶〔ウォーターサーバーでやけど〕 ウォーターサーバーの注水つまみ部分について経済産業省の作業委員会が実験で調べたところ、「チャイルドロック」とうたっているにもかかわらず、小さな子どもでも簡単に操作できる製品が複数みつかった。ウォーターサーバーには統一された安全基準がなく、製品評価技術基盤機構(NITE)の調査によると、一昨年までの6年間の間に、お湯でやけどを負う事故が全国で40件報告されていた(1歳前後の子どもが中心。ただし、保護者等から報告があったもののみ。メーカーが事故を把握していたにもかかわらず、重傷ではなかったために報告していなかった事例もこれ以外にみつかっている)。経済産業省の報告書はこちら。また、さまざまな製品等による事故事例を集めた経済産業省のサイトはこちら。(4月23日)

▶〔「いらいらした」と親子3人をはねる:4月12日追加〕 4月10日午前11時45分ごろ、函館市内の保育園前の市道で、1歳児、3歳児とその父親の3人が歩道に乗り上げてきた軽乗用車にはねられた。3人は救急車で搬送されたが、命に別状はない(1歳児は頭を打っているが意識はあるという)。車を運転していた43歳の男は3人をはねた後、車を降り、父親に暴行して逃走、現場から約500メートル離れた所を歩いている所を発見された。警察は殺人未遂容疑で、男から事情を聞いている。男は「いらいらしていた。誰でもいいからはねてやろうと思った」と話し、3人をはねたことと暴行を認めている。(北海道新聞他、4月10日) 〔4月12日追加〕 容疑者に殴りかかられた男性が子ども2人を抱えて、現場に接した保育園の玄関から室内に逃げると容疑者が追ってきたため、衝突音を聞いて外に出た園長が、「早く鍵をかけて」と叫び、中にいた保育士が内側からドアを施錠した。目撃した保育士によると、はねられた3歳児とこの児を保護した保育士(別の記事では園長)も殴られたという。容疑者は「近所の人に車にいたずらをされ、むしゃくしゃしていた。誰でもいいからひいてやろうと思った」とも話しているという。容疑者と親子の間に面識はなかった。(4月12日、各紙)

▶〔ゼロ歳児、浴槽で溺死〕 4月9日午前0時半ごろ、東京都葛飾区で、生後6か月児が心肺停止の状態でみつかり、その後、死亡した。母親は「酒を飲んだ後、児と一緒に風呂に入っていたら寝入ってしまった。気づいた時には手遅れだった」と話している。(4月9日、毎日他) 〔掛札コメント〕 社会心理学という学問の片隅にいる人間としては、こんなことを考えます…。試しに考えてみてください。これが「酔った父親と入浴中に」だったら、あなたの最初の反応はどうでしょうか? 「子どもの世話をしていた祖母が酔って」あるいは「帰省先で、酔った祖父と入浴中に」だったらどうでしょうか? ちょっと考えてみてください。話に対する印象や反応は、社会とそこに生きているひとり一人が持っている「価値観や意識の枠組み」によって変わるので。

▶〔8階から4歳児が転落〕 3月31日午後3時ごろ、足立区の住宅敷地内の芝生に、8階に住む4歳児が倒れているのを住民が発見し、119番した。児は搬送されたが意識不明の重体。当時、父母は不在で、児は一人で留守番中だった。ベランダには高さ1.2メートルの柵があったが、物を踏み台にして乗り越え、誤って転落したものとみられる。(読売、4月1日)

▶〔ガスボンベに引火〕 岩手県花巻市の保育園で3月27日昼ごろ、園庭にある鉄骨製日よけを撤去中、鉄骨を焼き切るために使用していたガスボンベから突然火が出た。その後、ガスボンベを移動しようとした男性作業員が、右手に軽いやけどを負った。撤去作業が朝から予定されていたため、保育園では園児の外遊びはとりやめていた。消防では、ボンベから漏れたガスに引火したものとみて調べている。(テレビ岩手、3月27日)

▶〔ビルの外壁が落下〕 3月19日午後4時45分ごろ、横浜市中区の8階建て雑居ビルから、外壁の一部が約30メートル下の道路に落下した。破片の一部がはね返り、通りかかった60代の女性が額に軽傷を負った。落下した外壁は縦1メートル、横2メートルのれんが製で、警察が落下原因を調べている。現場は地下鉄駅近くの飲食街の一角で、ビルの向かいには保育園があった。(神奈川新聞、3月20日)

▶〔パック型液体洗剤で誤飲152件〕 消費者庁と国民生活センターによると、パック型液体洗濯洗剤を誤飲するなどした事故は、国内で販売が始まった昨年4月から今年1月の間に152件あった(掛札注:報告されたもののみ)。うち110件は3歳以下。152件中104件は飲み込んだり口に入ったりした事故。46件は目に入った事故。8人が入院し、うち2歳児1人に急性薬物中毒の症状が出た。パックがどのくらいの力で破れるかを調べた実験や事例を掲載した報告書はこちら(ページの下部のPDF)

▶〔鬼ごっこ中に小1死亡〕 東京都江戸川区内の路上で3月8日午後0時半過ぎ、小学校1年生がワゴン車にはねられ、搬送されたが頭を強く打つなどしてまもなく死亡。児は当時、友だち数人と現場周辺で鬼ごっこをしていた。ワゴン車の運転手(37歳男性)は「車の修理に向かう途中に事故を起こした」と供述しており、警視庁が詳しい状況を調べている。(TBS、3月9日)

▶〔愛知県の保育園で一酸化炭素中毒事故〕 2月20日午後4時ごろ、愛知県内の保育園の調理室でLPガスによる一酸化炭素中毒事故が発生、調理担当者1名が救急搬送された(軽症)。窓を閉め切った状態で換気扇を使わずに瞬間湯沸かし器を使ったため、不完全燃焼で一酸化炭素が発生したものと推定されているが、詳細は調査中。経済産業省の報告(2月27日)はこちら

▶〔ゴルフ場の池で水死〕 2月17日午後5時20分ごろ、岐阜県可児市のゴルフ場コース内の池に石を投げて遊んでいた犬山市内(ゴルフ場から約200メートル離れた住宅街に自宅)の小学校2年生2人が、誤って池に転落、溺れて死亡した。ゴルフ場はフェンスで囲まれているが、人が通れるすき間があることが警察の実況見分で明らかになった。池は長さ約160メートル、幅45メートル、水深は深い所で5メートルだった。この時は小学生3人が遊んでいた。以前から、場内に入り込んだ子どもをゴルフ場職員が注意していたという。学校は、ゴルフ場が児童の遊び場になっていることを把握していなかったという。(中日、毎日、2月18日)

▶〔公園の池に転落、心肺停止〕 2月11日正午ごろ、長野県塩尻市内の大堤公園の池に6歳の保育園児が落ち、病院に運ばれたが心肺停止の状態。児は当時、3歳の弟と自宅から約100メートル離れたこの公園で遊んでいた。警察は、児が誤って池に落ちたとみている。(読売、2月12日)

▶〔「秘密基地」で重体〕 2月14日夕方、熊本県芦北町の河川敷で小学6年生が、木にかけられた縄に首がひっかかり意識不明の重体。木は太い幹から複数の枝が広がり、複数の枝に縄が横に張られたり、下に垂らされたりしていた。子どもたちは「秘密基地」と呼んでここで遊んでいたという。児は当時、他の2人の子どもと遊んでいたが、近所のおとなが帰宅を促し、一度は3人が帰宅。間もなく、この児だけが河川敷に戻り遊んでいたという。(朝日、2月15日)

▶〔ホームと電車のすき間に転落〕 2月14日午後3時35分ごろ、JR横浜駅のホームで、1歳児が普通電車に乗り込もうとした際、ホームと電車のすき間(約18センチ)から約1.3メートル下の線路に転落した。目撃者が駅員に転落を伝え、救助活動を行い、児にけがはなかった。児は母親と一緒だったが、母親はもう一人の子どもを抱っこし、ベビーカーを押していたため、乗り込んだ児は母親と手をつないでいなかったという。(神奈川新聞、2月15日)

▶〔ヘリウムガス吸引事故、大半が子ども〕 声を変えて遊ぶためとして市販されている缶入りヘリウムガスで、テレビ番組収録中に12歳が意識を失った事故に関連して、厚生労働省の資料によると、2001~2012年度、意識を失う、嘔吐する等の事故が32件報告されているという(風船を膨らませるガスも含む)。大半は子ども。市販品のラベルには「無害で安心」「安心して、思いっきり、胸いっぱいに缶の中のガスだけを吸い込む」「対象年齢10歳以上」「子どもの手の届かない所に保管」等と書いてあるとのこと。今回の事故で意識を失った人は、専門医の診断によると脳の血管に空気が入り、血流が妨げられている「脳空気塞栓症」で、現時点で意識は「完全に戻っていない状態」。警察は、業務上過失傷害の疑いもあるとして関係者から事情を聞いている(2月5日、各紙)。 〔掛札コメント〕 今回の事故は、「大人用」と書かれていた注意書きをスタッフが見落としたためとされていますが、たとえ見ていたとしても、「12歳だから大丈夫」と考えた可能性も十分あります。また、こうした物が家庭できょうだいがいる環境で使われたら…? たとえば、中学生の子どもが遊んでいるのを見た小学生や未就学児がいたら? もちろん、保育施設では使わないと思いますが。

〔重要: 2014年の保育施設における事故報告〕 厚生労働省のページはこちら。報告書全体はこちら。死亡が17件、11件が睡眠中で、うち4件はうつぶせの状態で発見された。他の6件は食事やプール活動中。17人中8人がゼロ歳児。 〔掛札コメント〕 内容の詳細が新聞記事に出てきましたら、また追加をしていきます。

▶〔節分です。豆に注意!〕 読売新聞で、節分に多い「豆を詰まらせる事故」について。万が一詰まった時の対応も。また、日本小児呼吸器学会のパンフレット『小児の気道異物事故予防ならびに対応』はこちら〔掛札コメント〕 記事にもある通り、4、5歳でも詰まらせる例はあります。特に、保育園等の場合、年少の子は豆をまかなくても、年長の子がまいた豆を拾って詰まらせたり、鼻や耳に入れたりします。

▶〔スイミングスクールで意識不明の重体:2月1日追加〕 1月8日、神奈川県藤沢市のスイミングスクールで、レッスン中に6歳児(小1生)がプールの中に沈んでいるのがみつかった。病院に運ばれたが、意識不明の重体。当時、25メートルのプールの同じレーン内には、この児の他に18人の児童がいて、インストラクター2人が指導を行っていた。(各紙、1月9日) 〔追加〕 このスイミングスクールのウェブサイトによると、児は現在、退院しているとのこと。スクールの経過報告によると、25メートル完泳目標のクラス(10名)において練習中、児がゴール付近で動かなくなり、その後、水底に沈んだ。それに気づいた他の子の指摘を受け、近くにいたコーチがプールサイドに引き上げ、他のスタッフと共に心肺蘇生術を行った。動かなくなってから引き上げるまでおよそ数十秒とのこと。〔掛札コメント〕 事故の事後報告がきちんと公開されることは少ないのですが、このスクールはきちんと情報を出しています。

▶〔奈良の幼稚園に不審電話:2月1日追加〕 奈良県生駒市と奈良市の幼稚園に今月、「子どもたちに危害を加える」などと脅迫する電話が相次いでいる。生駒市の私立幼稚園に19日午前、男の声でわいせつな内容の電話があった。一度切れたが再度電話があり、「電話を切ったら子どもたちに危害を加える」などと脅した。また、奈良市の公立幼稚園には17日午後、男の声で「言うことを聞かないと児童に危害を加える」という主旨の電話があった。警察は脅迫や偽計業務妨害罪にあたる可能性もあるとして捜査を進め、幼稚園周辺などで警戒を強めている。(産経、1月21日) 〔2月1日追加〕1月30日の産経新聞によると、31歳男が威力業務妨害容疑で逮捕されたとのこと。「仕事につけないストレスを発散するためにやった」などと容疑を認めているという。奈良市内の私立・公立幼稚園複数に脅しの電話をかけていた。また、この男は平成17年にも大阪府豊中の市立小学校に脅迫電話をかけ、同じ容疑で逮捕されていた。

▶〔6階から転落、頭蓋骨骨折〕 1月5日午後0時過ぎ、東京都江戸川区の8階建てマンションの6階の部屋から3歳児が転落、頭蓋骨骨折のケガを負った。児が落ちた高さ2メートルの植え込みが衝撃を和らげたとみられる。警察によると、母親が外出しようとしたところ、児がぐずったため、母親は児を室内に残して玄関の扉を閉め、中の様子をうかがっていた。児の泣き声が聞こえなくなったため母親が室内に入ると、リビングの腰高窓が開いていた。窓は床から約90センチの高さにあるが、窓の下にソファがあり、児がソファに登って窓を開け、母親を捜して外をのぞき、誤って転落したとみられる。(産経、1月5日)

▶〔道路に針金、張られる〕 東大阪市の遊歩道で1月14日夜、道をふさぐようにして張られた針金に自転車で帰宅途中だった65歳男性が接触して転倒、顔に軽いけがをした。針金は太さ1ミリ、長さ約6.6メートル、約1.4メートルの高さに、街灯とフェンスを結ぶように張られていた。「子どもの場合、首にあたる可能性もあった」として、警察は殺人未遂の疑いで捜査している。(1月14日、TBS)

▶〔児、踏みつけられて大けが〕 1月14日午後4時過ぎ、東京都福生市の公園で小学5年生(11歳)が同市の福祉作業員の男(21歳)に踏まれ、大けがをした。男は傷害容疑で逮捕され、容疑を認めている。男は、「クソガキ」などと叫び、逃げ出した子どもたちを追いかけまわした。その際に転んだ同児が足を踏まれ、骨が飛び出るなど全治3か月の重傷を負った。(各紙、1月14日)

▶〔子ども殺害を予告するメール:追加〕 東京都の世田谷区役所に1月9日昼ごろ、1月10日2時に子どもを多数殺すと書いた脅迫メールが送られたため、警察が捜査と注意の呼びかけをしている。(1月9日、FNN他) 〔追加〕 13日深夜、名古屋市の市民の意見を募るページに匿名で、「明日午後2時に子どもを殺害する」と書き込みがあった。名古屋市が14日、明らかにした。内容は世田谷区のメールに類似。(産経、1月14日)

▶〔駐車場で、4歳児が轢死〕 1月3日午後7時ごろ、埼玉県鴻巣市の駐車場で、近くに住む4歳児が駐車場に左折してきた乗用車に轢かれ、まもなく死亡した。事故当時、児の母親も駐車場にいた。過失運転致傷(過失致死に切り替え)で逮捕された22歳男性は買い物の帰りで、「気がつかなかった」と供述しているという。(1月4日、TBS)

▶〔5歳児、転落死〕 12月29日昼前、東京都荒川区内のマンション敷地で、13階に住む5歳児が頭などから血を流して倒れているのを父親が発見、110番した。児は頭などを強く打ち、搬送先の病院で死亡が確認された。児は両親と住んでおり、当時、父親は外出して忘れ物に気づき、10分後に帰宅。母親は自宅にいたが、児がいなかったため周囲を捜していた。児がみつかった場所のほぼ真上には、自宅の寝室に面した窓があり、当時、窓が開いていた。窓は床から約1メートルの高さにあり、窓際にはベッドが置かれていた。一方、警察は同日、この母親が12月23日午後5時ごろ、都内のホテルの女子トイレ個室で児の首を殺意を持って絞めたとして、殺人未遂容疑で逮捕した。母親は「本当に覚えていない」と容疑を否認している。29日には父親とみられる男性から警察署に、「妻が子育てに悩んでいる」という電話の相談もあり、警察は関連を調べている。(共同他、12月30日)

▶〔ゴンドラで宙づり〕 12月29日昼前、長野県野沢温泉村のスキー場のゴンドラ乗り場で、両親と訪れていた大阪府豊中市の7歳児が出発したゴンドラのドアに左足をはさまれ、一時、10数メートル先、高さ3、4メートルの所で宙づりになった。救出されたが、顔の打撲を負うなどの軽傷。スキー場によると、そのゴンドラにはドアが閉まる直前に降りた客がおり、児がその際に巻き込まれて足をはさまれた可能性があるという。(共同、12月29日)



事故:予防や訴訟、調査委報告など

▶〔ボタン電池誤飲防止〕 東京都商品等安全対策協議会「子供に対するボタン電池等の安全対策」委員会は、保護者に聞いた誤飲事例や、子どもがボタン電池の包装を開けられるかどうかを調べた実験などの結果を10月22日、発表した。実験によると、幼児の6割がプラスチックや厚紙で包装されたボタン電池を自分で開封することができた。報告書等はこちらのページの「10月22日資料」のリンクに掲載されています。昨年10月30日、国民生活センターから出た情報はこちら。鶏肉を使った化学やけどの実験の写真もあります。〔掛札コメント〕 保育園では、体温計やタイマー(睡眠チェック用)で使われている程度ですが、こうした物を落とした時にフタが開き、ボタン電池が飛び出るケースはあります。めったに換えるものではありませんから、養生テープなどでフタをしっかり貼ってしまってください。

▶〔いたずら防止用コンセントキャップ〕 上の元情報を探していてみつけましたので…。「いたずら防止用コンセントキャップに過信は禁物~外したキャップで誤飲事故に発展も」(東京くらしWEB)

▶〔組体操による医療費給付事故〕2012年度と13年度で、組体操による学校事故に対して災害共済給付金(日本スポーツ振興センター)が支払われた件数は、全国で1万6711件、うち骨折が4334件だった。都道府県でみると、大阪府が最も多く2074件(骨折531件)、兵庫県1890件(548件)、東京都1476件(434件)、福岡県1233件(345件)、埼玉県1133件(248件)の順。児童生徒1万人当たりのけが人に換算すると、兵庫県が19.9人でトップ、福岡県14.7人、大阪府14.2人、三重県13.6人、鳥取県13.2人。全国平均では1万人当たり8人のけが(最少は山形県の0.3人)。大阪経済大学の西山豊教授(数学)の検討から明らかになった。1983年には、群馬県内で小学校6年女児が2段タワーの練習中に約1メートルの高さから転落し、頭を強打、翌日死亡した。組体操は学習指導要領で定められた保健体育の必須授業ではなく、「学校行事」に過ぎないため、運用は各学校の裁量に任されている(12月27日、各紙)。
 首都大学東京の木村草太准教授(憲法学)によると、1989年以降、組体操事故で起きている民事訴訟は少なくとも3例あり、いずれも学校側が敗訴している。4段タワーの最上段から小学校6年生が落下した事故(2009年判決)の場合、「判決ではタワーなどが崩壊してもけが人が出ない特別の措置を求めているが、そんな措置は存在しないだろう。事故が起きて裁判で争った場合、学校側は不利な立場に立たされる」(木村准教授)。(東京新聞、10月30日)

▶〔川遊び中の死亡で起訴内容否認〕 2012年7月20日、愛媛県西条市の私立幼稚園が実施した宿泊保育中、園児が川に流され、5歳児が死亡、他2人が軽傷を負った件で、業務上過失致死傷の罪に問われた当時の園長ら3人の初公判が地裁で開かれ、いずれも起訴内容を否認した。検察側は「天候や万一の際の避難経路の確認を怠った」と指摘、弁護側は「現地施設のスタッフも川遊びをしており、晴れている中、濁流が押し寄せるとは誰も予想できなかった」と主張した。起訴状によると、当日はライフジャケットや浮き輪の準備などの安全対策を怠り、園児31人を川遊びに誘導。水が濁った予兆に注意を払わなかったとしている(産経west、12月24日)。〔掛札コメント〕 事故報告書はこちら

▶〔プール水死で園に賠償命令〕 2012年8月23日、茨城県五霞町の認可外保育所のプールで3歳児が死亡した件で、遺族が施設長に慰謝料等約6743万円の損害賠償を求めた訴訟で、地裁は12月11日、「(児が)溺水するおそれがあることは十分予見可能だった」と遺族側の主張を認め、施設長に約3465万円の支払いを命じた。裁判で遺族は「(児に対する)監視義務を怠った重大な過失がある」と主張し、判決で裁判長は「児の動静を確認し続けるか、他の保育士に依頼した上でその場を離れるべき義務があったが怠った」と保育士の過失を認定した(埼玉新聞、12月12日)。 〔掛札コメント〕 この件は、書類送検もされています。事故時の詳しい状況などについては、今年の2月2日と3月18日の記事をお読みください(ニュースを「五霞町」で検索してください)。

▶〔うつぶせ寝で施設側の控訴棄却〕 2010年1月、福島県郡山市の認可外保育施設で1歳児が午睡中に死亡し、両親が施設側に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、高裁は12月9日、園長らに約5800万円の賠償を命じた一審判決を支持し、施設側の控訴を棄却した。また、施設側のうち女性保育士の審理が分離され、同日、遺族側との和解が成立した。保育士が児をうつぶせ寝に寝かせたために窒息死した事実を認めて謝罪し、損害賠償の一部として和解金を支払う内容が盛り込まれた。金額は明らかになっていない。
 高裁裁判長は判決理由として、うつぶせ寝による窒息死が死因であり、園長らはうつぶせ寝の危険性を認識しながら職員を指導監督する義務を怠る重大な過失があったと認定した。さらに、園長は損害賠償責任が確定した場合に、施設賠償責任保険の契約者として保険会社から保険金の支払いを受けて両親らに賠償すべきだったが、契約者を施設の運営会社と偽り、自己破産したとして両親への損害賠償を免れようとしたと指摘した。遺族側の弁護団は、園長、副園長に対し、上告せず謝罪するよう求める考えを表した。また、上告の有無にかかわらず、保護責任者遺棄致死容疑について、園長らを不起訴相当とした地検の処分を不当として、検察審査会に審査を申し立てる方針も示した(福島民報、12月10日)。 〔掛札コメント〕 「うつぶせ寝をさせるべきではない」といつもお伝えしていますが、一方で、睡眠チェック、うつぶせ寝のひっくり返しをしっかりすべき午睡中が、実際には休憩や連絡帳書き、製作の時間にあてられている現状もなんとかする必要があります。人手不足、そして、肝心の保育以外にすることが多すぎる現場が多いのです。

〔うつぶせ寝死亡、容疑不十分で不起訴〕 福島県郡山市の認可外施設で2010年1月、1歳児が死亡した件で、地検は11月20日、当時の園長、副園長、担当保育士の3人について容疑不十分として不起訴処分にした。両親は当初、3人を業務上過失致死罪で告訴したが不起訴処分となり、容疑を保護責任者遺棄致死に変えて、昨年9月に告訴していた。地検は「死因が特定できず、3人の保護義務も特定できない。故意の立証も難しい」としている。両親が施設側に損害賠償を求めた訴訟では、地裁が今年3月、死因はうつぶせ寝による窒息死と認定し、施設の運営会社と園長らに計約5775万円の支払いを命じる判決を出した。施設側は判決を不服として高裁に控訴中。(毎日、11月21日) 〔掛札コメント〕損害賠償の判決(3月6日の記事)には、次のようにあります。「争点となった死因について施設側はSIDSと主張したが、判決は、うつぶせ寝だった児の上に毛布やタオルケット、バスタオルなど計約2.8キログラムがかけられていたとして窒息死と判断、施設側の注意義務違反を認めた。」

〔死亡はうつぶせ寝が原因と賠償命令〕 大阪市の認可外施設で2009年11月、生後4か月児が亡くなったことをめぐり、両親が運営会社等に約6400万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴判決が11月25日、大阪高裁であった。裁判長は死因をSIDSとした一審を変更し、うつぶせ寝による窒息死で、施設側に責任があったと認定。約5000万円の賠償を命じた。児は園のベッドでうつぶせのまま心肺停止状態で発見され、搬送先で死亡。当時、同園は乳幼児ら17人を預かり、保育士資格を持たない2人が担当していた。高裁裁判長は、児がマットレスの上で顔を真下にした状態だったと推認でき、鼻と口をふさがれて窒息したと認定。施設側は呼吸チェック等をせずに放置し、監視すべき注意義務に違反したと判断した。大阪市への請求は退けた。(時事、11月25日)

▶〔浴槽での死亡、書類送検〕 茨城県つくば市の認可外保育施設で6月18日午後8時ごろ、1歳5か月児が浴槽で溺れ、死亡した件で10月26日、施設の元経営者(69歳)が業務上過失致死の容疑で書類送検された。調べに対し、「原因はすべて私にある。深くおわびしたい」と容疑を認めている。施設は女性が1人で経営しており、事故当時、男女5人を預かっていた。別の児の世話をしている間に、この児が扉の開いていた風呂場に入り、浴槽に転落したとみられる。(産経、10月27日)

▶〔溜め池での死亡、損害賠償を求める訴訟〕 香川県三豊市の溜め池で3月24日、5歳児が溺死した件で、児の遺族が、5年前にも児の姉(当時3歳)が同じ溜め池で死亡したにも関わらず、県と市が十分な安全対策をとらなかったとして、約3000万円の損害賠償を求める訴訟を地裁に起こした。市有地にあるこの溜め池は、堤長が230m、水深5m以上。2010年4月3日に姉が死亡した後、遺族が県と市に安全対策を要求したが、溜め池に設置されたフェンスはこの家近くの一部だけだった。原告側は「フェンスが囲うようには設置されておらず、溜め池が安全を書いていたのは明らか」と主張(産経、10月28日)。 〔掛札コメント〕 これはあくまでも一般論で、この事例の話をしているわけではありませんが、発生確率の低い事象(深刻事故も含む)が同じ人や家族に起こることは稀ではあるものの、起きないわけではありません。発生確率が低いできごとは発生分布が平等にはならないため、宝くじに何度も当たる人もいれば、私のように車に3回もぶつかられる人もいるわけです(いずれも私の側には落ち度なし。2度目と3度目は救急車に乗る傷害を負い、打ち所等が悪かったらどちらも明らかに死んでいた事故)。

▶〔暴行容疑で再逮捕〕 預かった子どもたちを毛布でくるみ、ヒモで縛ったなどとして、栃木県警は10月15日、宇都宮市の保育施設(2014年11月に廃止)の元経営者を暴行の疑いで再逮捕した。同容疑者は、保護責任者遺棄致死罪ですでに起訴されている。2014年の7月、9か月児が死亡した後、元スタッフを名乗る人物からヒモで縛られた子どもたちの写真が提供され、死亡した児の両親が今年4月、県警に告発していた。(各紙、10月15日)

▶〔児死亡で、警視庁「施設に過失なし」〕 2013年2月5日に東京都豊島区の認可外保育施設で2歳児が死亡した件について、業務上過失致死容疑で調べていた警視庁は9月30日、死因はインフルエンザ脳症で、施設の対応に過失はなかったとする捜査結果を東京地検に書類送付した。児は当日、高熱を出し、病院でインフルエンザと診断された。その後、施設に戻りベッドで寝ていたが、母親が夕方頃に迎えに来た際にはうつぶせでぐったりしており、搬送先で死亡した(共同、9月30日)。 この関連記事は、2015年6月1日(事故:予防、訴訟など、の項)にあります。2015年のページで「豊島区」で検索してください。

▶〔バック転遊びの事故で提訴〕 福岡県筑前町の町立小学校で2013年9月、当時の3年生が転倒した事故で、訴訟の第1回口頭弁論が9月16日に地裁で開かれた。訴状によると、当時の担任だった男性教諭が、休み時間に児らを両手で持ち上げ、後ろ向きに回転させて着地させる遊びをしていた。この児は回転後、勢い余ってバランスを崩して転倒し、後頭部を床で強く打ったという。床にマットなどは敷かれていなかった。児は頭蓋骨を折り、開頭手術を受ける重傷を負った。児側は「教諭は安全に配慮する義務を全く果たしていなかった。率先して危険に招く行為をした」と主張。町側は「回転で事故が発生したのではなく、着地後に男児が転倒した。事故は予見できなかった」と反論している。(9月17日、毎日)

▶〔組体操の高さに制限:大阪市〕 大阪市教育委員会は9月1日、組み体操の段数に上限を設けることを決めた。四つん這いで組む場合は5段、肩に乗る場合は3段までとする。市教委が7月に行った調査では、市立小中高計446校中358校で組み体操が行われていた(中学28校で6段以上、9段も1校)。一方、児童・生徒がけがをする事故は小学校で169件、中学校で32件起きていた。骨折も46件、含まれていた(2014年、大阪市)。全国では、後遺症が残る事故も起きていることから、今回の決定となった(各紙、9月1日)。〔掛札コメント〕「労働者について(高さ)2メートルという規制のある中で、本当にいいのか、と」という大阪市教委の大森委員長のコメントがMBS News(9月1日)にありましたが、これは労働安全衛生規則 第9章にある「労働者が2メートル以上の高さで作業する場合の各種安全対策」を指しているもよう。ただ、この2メートルは、あくまでも一番上の人が転落した場合のことを言っているのであって、上から崩れた時に下にいる子どもがこうむる危険とは別です。

▶〔園児水死で委員会報告〕 2012年7月、愛媛県西条市で、川に幼稚園(園児31人、引率教諭8人)の行事で来て水遊びをしていた園児3人が流され、5歳児が死亡した事故で、児の両親らの依頼によって独自に事故原因の究明を行ってきた第三者委員会が8月21日、調査結果を公表、愛媛県と西条市に提出した。「幼稚園側に、川に入る際の事前の準備不足、認識の甘さがあった。天候や状況の変化に応じて実施計画を柔軟に変えることができなかった」と指摘(委員長:住友剛京都精華大学教授)、(1)スケジュールが幼児にとって過密だった、(2)浮き輪などの用意がなかった、(3) 保護者との連携が不十分だったとしたうえで、●川遊びをする際には、ライフジャケットなどの救命用具を必ず準備すること、●安全面を考慮した行事計画を作ること、などを提言した。この事故では、遺族らが2013年に幼稚園を運営する学校法人などを相手取り、総額1億5589万円の損害賠償を求めて提訴。また、松山地検は2014年3月、当時の園長ら3人を業務上過失致死傷罪で松山地裁に在宅起訴している。(NHK、毎日、8月22日)

▶〔保育施設における虐待の通報システム〕 鳥取県が都道府県としては初めてとなる、保育施設における虐待の通報システムを設置した。すでに設置されている千葉市のシステムはこちら。

▶〔保育事故防止の指針骨子案〕 保育中の事故防止策を議論している政府の有識者検討会は、7月13日、事故時の対応マニュアルと、事故を未然に防ぐための指針の骨子案を示した。今秋までに詳細の検討を進める。マニュアルでは、施設側から報告を受けた市区町村は都道府県と消費者庁に報告。事故後、速やかに検証委員会を設置することも盛り込んだ。事故防止の指針では、食事や睡眠、水遊びなど子どもの事故が多い場面での配慮、ビデオ機器などを活用した見守りなどを挙げた(日経他、7月14日)。こちらに議事録が掲載されるでしょう。〔掛札コメント〕 人間が人間であり、子どもが子どもである以上、「事故(accident)」は起こります。子どもは小さな事故、小さなケガから学ぶ生き物です。「事故予防ではなく、事故の結果が深刻にならないような対策を立てる」のは、世界保健機関(WHO)も提唱している話です。いいかげん、「事故予防」ではなく「深刻事故予防」、または「深刻な結果になる種類の事故の予防」と言い換えましょう。言葉が人間の認知を作るのですから。保育園における深刻事故は? 睡眠中、プール(水)、誤嚥(窒息)と一部の誤飲(食事、玩具、異物)、食物アレルギー、高所(遊具)からの転落、飛び出し、置き去りと取り残しが対策の優先です。

▶〔児童福祉施設で虐待の疑い〕兵庫県高砂市の児童福祉施設で、園児4人が腕をつねられるなど虐待された疑いがある問題で、市幹部らが6月30日、市役所で会見し、謝罪した。4件はすべて同じ女性保育士のクラスで起こっており、この保育士を担任から外したことを明らかにした。市によると、5月と6月に2度、匿名の通報があり、6月末に同施設職員らへの聞き取り調査を実施。その結果、昨年5月から今年6月にかけ、4人の腕や太ももにつねられたようなあざが見つかるなど、虐待を疑われる事例があったという。最初の通報があった5月には確認できておらず、市は「調査が甘かったと言われても仕方ない」と話した。保護者にはこの日、説明会を開いたという。市は7月1日に弁護士らを交えた会議を開き、虐待にあたるかどうかを審議する。(各紙、6月30日)

▶〔組体操の事故と安全〕 NHKのWEB特集「組み体操の事故多発で安全対策は」(6月5日)。 〔掛札コメント〕 保育園でもしていないわけではないようですので…。

▶〔改善ない施設の名前、公表〕 東京都は6月1日、保育士の配置などについて指導を行ってきたにもかかわらず、改善がみられなかった豊島区内の認可外施設の施設名を公表した。この施設では一昨年、インフルエンザにかかった2歳児が搬送後に死亡、当時は保育士が一人もいない状況だった。「外国人スタッフが英語で保育をする」として子どもを預かっていたが、7年前から保育士などの資格を持つスタッフを一人も確保していなかったため、都は文書などで繰り返し指導を行ってきた。施設は去年4月に非常勤保育士1人、今年4月から常勤保育士2人の態勢に変えたが、いずれも勤務時間が基準を大幅に下回り、子どもの安全が確保されていないとして、今回、児童福祉法に基づく施設名の公表に至ったもの。今後も改善がみられない場合、都は事業の停止命令などを出すことにしている。(NHK、6月1日)

▶〔全小学校のプールに録画用カメラ:京都市〕 2012年7月に京都市内の小学校プールで起きた死亡事故を受け、市教育委員会は6月10日、全市立小学校166校のプールに録画用カメラを設置したことを明らかにした。通常の体育授業では作動させず、事故時のような夏休みの水泳指導日に録画する。教委は「万が一の時、原因の究明に役立てるため」と説明している。購入費は約1200万円。1校当たり1台で、全景を撮影できる位置に3月までに設置を終えた。夏休み中の地域開放日も協力を呼びかけて録画する方針。事故がなければ、映像はその日のうちに消去するという。市の体育健康教育室は「夏休みの水泳指導日では、さまざまな学年の児童が一斉にプールで泳ぎ、授業時より安全配慮の必要性が高まる」としている。(京都新聞、6月10日)

▶〔重大事故事例データベース〕内閣府は6月30日、保育所や幼稚園で起きた重大事故の事例について、データベースにまとめ公表を始めた。事故の原因などを広く知らせ、再発防止に役立てるのが狙い。これまでも保育所の事故は厚生労働省、幼稚園は文部科学省が公表していたが、4月に子ども・子育て支援新制度が施行され、子育て施策を一括して担当する内閣府が全施設の事故をまとめることになった。保育所、幼稚園、認定こども園などでの死亡事故と、全治30日以上のけがをした事故の概要、原因分析、今後の改善方法を載せる。ただし、遺族らが公表を拒んだ場合は例外とする。(時事、6月30日) 〔掛札コメント〕 私、まだ内容までは見ていませんが…。

▶〔エスカレーター事故で消費者安全調査委員会が報告書〕 2009年、都内のビルで起きた死亡事故の検証をもとに、消費者安全調査委員会(消費者事故調)は6月26日、エスカレーターに転落防止板を設置する必要性などをまとめた報告書を出した。このサイトの「平成21年4月8日に東京都内で発生したエスカレーター事故」に、概要と本文が掲載されています。お急ぎの方は概要をご覧ください。〔掛札コメント〕 子どもでも十分に起こりうる事故ですので。

▶〔足場倒壊で元設置業者に有罪判決〕 2012年3月19日、埼玉県東松山市のマンションの外壁補修工事のために設置された足場が強風で倒れ、下を歩いていた保育園児2人が下敷きとなって死傷した事故で、地裁は4月28日、業務上過失致死罪に問われていた同県坂戸市の足場設置業者の元社長ら3人に、執行猶予のついた有罪判決を言い渡した。判決などによると、3人は足場を建物に固定するなどの東海防止措置を取らずに設置していたという。(読売、4月28日)

▶〔プール水死で園長無罪確定〕 神奈川県大和市の幼稚園で2011年7月、3歳児が水死した件で横浜地検は、園長に無罪を言い渡した地裁判決に対して「判断を覆すことは困難」として控訴しないと明らかにした。園長の無罪が確定。〔掛札コメント〕 詳しくは、下の3月31日のニュースをご覧ください。組織全体の責任追及さえもできず、ましてや予防のための実効性ある議論もないままでは、再び同じような死亡が起こると言わざるを得ません。プール活動中の異常は、睡眠中同様、突然、誰にでも起こり得ます。「うちの園は大丈夫」は絶対にありえない種類の事故です。異常に早く気づける態勢にしておく以外に、死亡を防ぐ方法はありません。

▶〔保護者の賠償責任を認めず〕 子どもが起こした死傷事故について、保護者の賠償責任を認めた一審、二審判決を最高裁判決が破棄。これまでの事例では、ほぼ無条件で保護者の賠償責任が認められてきた。東京新聞の4月10日の記事はこちら(各紙が報道していますが、ネット上のニュースをあまり削除しない東京新聞のリンクを掲載しました)。

▶〔地域型保育事業にも災害共済給付〕 4月1日付で、子ども・子育て支援新制度の地域型保育事業のうち「家庭的保育事業」「小規模保育事業」「事業所内保育事業」が「特定保育事業」として新たに災害共済給付の対象となった。独立行政法人日本スポーツ振興センターからの「お知らせ」はこちら

▶〔白玉窒息死で不起訴〕 2012年7月、栃木県栃木市の市立保育園で2歳児がおやつの白玉団子を詰まらせ、死亡した事故で、地検支部は業務上過失致死容疑で書類送検(2014年3月)されていた当時の園長、調理員、嘱託保育士を不起訴処分とした(3月30日付)。市は事故の責任を認め、遺族側に賠償金を支払うことで、2013年9月に和解が成立した(産経、4月1日)。〔掛札コメント〕 この件は市が責任を認めましたが、実際に重い処分を受け、書類送検されたのは、現場にいた人たちです(2012年以降のニュースを「栃木市」で検索すると、これまでのニュースをお読みいただけます)。その意味では下のプール事故同様、「トカゲの尻尾切り」です。白玉類による誤嚥窒息は複数起きており、白玉類を出している限り、また、どこかで誰かが必ず亡くなります。詰まった時に100%出せる方法はない以上、確率的に死亡は起こるのです。その時、現実に処分や書類送検にあうのは現場の職員であり、リスクを無視して漫然とそれを出し続けている自治体(職員)ではないということをご理解ください。保育士の心と仕事、そして、子どもの命を守るという意味で。

▶〔水死事故で園長無罪〕 神奈川県大和市の幼稚園で2011年7月、3歳児が水死した件で横浜地裁は3月31日、園長に無罪を言い渡した。業務上過失致死罪で罰金100万円を求刑されていたが、裁判長は「安全管理の責務や行動基準を逸脱していたとまでは言えない」と述べた。今回の件では、事故後の園側の調査は園が依頼した外部有識者が行い、「水深は浅く、通常の水遊びで溺れるとは考えにくい」とし、人員配置や元担任教諭の指導も適切で、事故は予測できないと結論づけていた。しかし、県警や地検の捜査から、水遊びの指導と監視を元担任教諭が一人で担当した時間帯があったことや、事故後、速やかに救急車を要請していなかったことなどが判明。その後の裁判で元担任教諭については、「遊具の片付けなどに気を取られ園児らの行動を十分に注視しなかった」と求刑通り罰金50万円を言い渡し、刑が確定。
 事故は円形プール(直径約4メートル、水深約20センチ)で、新人の元担任教諭が児を含む11人の水遊びを1人で指導していた際に発生。元担任教諭の判決では「(元担任教諭は)園児の安全を守るための教育をほとんど受けていない」と園側の責任に言及したが、園長の公判では被告側が「注意義務違反はなかった」と主張。判決は、園長が園児から目を離さないよう繰り返し注意を促し、他の教諭に対して元担任教諭にプール指導の手順を教えるよう指示していた点などを挙げ、「(元担任教諭に)遊具の片付け方を指導したとしても事故を回避できたかどうか分からず、過失は成立しない」と結論付けた。
 監視に専念する職員を配置する必要性があったとの検察側主張についても「浅い水位でも3、4歳児がプールで溺れる可能性は予見できたが、プールの形状などから担任1人での指導、監視が合理性を欠くとまでは言えない」とした。園長の弁護人を務めた弁護士は判決後、「子供を預かる学校が子供の安全に配慮することは当然のこと。しかし、学校に過度な責任を負わせることは、教育現場に萎縮をもたらし、自由な教育環境が保てなくなる。行政を含めた社会全体でどのように担っていくのかを考えていく問題であり、判決を受けて議論が高まることを期待する」とのコメントを出した。 〔掛札コメント〕 組織の責任を問うことのできないシステムの課題がまたも露呈し、結局、「トカゲの尻尾切り」で元担任が有罪になって終わり、なのでしょうか。110番要請の遅れなどは明らかに、元担任だけの責任ではありません。組織やトップがこのような態度をとり続けていたら、幼稚園や保育園で働こうという人はますます減ると思うのですが…。「万が一」が起きた時に、園や園長(法人や自治体)が自分を守ってくれないとしたら?

▶〔無資格医業容疑で書類送検〕 大阪市淀川区で昨年6月2日、独自の施術を受けた神戸市の4か月児が意識不明になり、その後、死亡した事件で、新潟県上越市のNPO法人の元理事長と元副理事長が医師法違反(無資格医業)容疑で書類送検された。児の首付近をもむなどしていたが、専門医や厚生労働省への聞き取りなどから、大阪府警はこうした施術が医療行為に該当すると判断したもの。副理事長は理事長に日常的に施術内容を助言していたとされる。(産経、3月25日) 詳しくは2014年のニュース「事故」カテゴリー、9月6日のニュースをご覧ください。

▶〔うつぶせ寝死亡、2500万円で和解〕 大阪府高槻市の認可外保育所で平成23年4月、1歳3か月児がうつぶせ寝のまま放置され、窒息死したとして、両親が所長と保育士、市に約6000万円の損害賠償を求めた訴訟で、3月19日、和解が成立した。和解内容は、所長と保育士が解決金2500万円を両親に支払う、大阪府警に受理された所長らの刑事告訴を両親が取り下げる、保育所が1歳未満の乳児を仰向けに寝かせ、1歳以上の乳児も適切な寝かせ方にするなど。市との間では、両親側が請求を放棄することで合意した。児は保育所で昼寝中、うつぶせ寝のまま心肺停止状態で見つかり、病院で死亡が確認された。両親側は訴訟で、保育所は安全に保育する注意義務に違反し、市も是正指導しなかったと主張していた。(産経、3月19日)

▶〔園児の死亡、控訴を棄却〕 下の記事の控訴審判決で3月20日、仙台高裁は親側の控訴を棄却した。保育所への津波の到達を町側が予見することはできなかったとの判断。親側は町に約3150万円の損害賠償を求めていた(共同通信、3月20日)。この件の詳細はこちら

▶〔プール死亡事故で罰金〕 2012年8月23日、茨城県五霞町の認可外保育所のビニールプールで3歳児が死亡した件で、業務上過失致死罪で略式起訴された男性施設長(64歳)と女性保育士(34歳)に対し、簡易裁判所はそれぞれ罰金50万円の略式命令を出した。地検によると、施設長は事故を防ぐ注意事項を保育士に指示せず、保育士は児の動きを注視しなかったためプール内で児が転倒したことに気づかず、翌24日、児は低酸素脳症で死亡した。施設長は「すべて私たちに過失がある。二度とこのような事故を起こさないよう気をつけたい」と話した。(3月18日、産経) 〔掛札コメント〕 詳しくは、下の2月2日の記事をお読みください。

▶〔騎馬戦事故で2億円の賠償判決、確定へ〕 2003年、福岡県の県立高校で行われた体育祭の騎馬戦で3年生が相手と組み合った時に騎馬から落ち、首を骨折、首から下がほとんど動かなくなる障害を負った。生徒だった男性と両親が学校を設置管理する県に約2億9000万円の損害賠償を求めた訴訟で、県教委は3月17日、約2億円の支払いを命じた地裁判決(学校側の安全配慮義務違反を認定)を受け入れ、控訴しないと発表した。原告も控訴しない方針で、一審判決が確定する。男性は2004年に身体障害者手帳1級を交付され、2013年7月に件を相手取り、提訴していた。県教委は月内に、事前指導の徹底などを指示する通知を教委や県立学校に出すという。(3月17日、朝日)

▶〔プール下敷き死で書類送検〕 秋田市の幼稚園で2013年6月15日、乾かすために立てかけてあったプールに3歳児がよじ登り、プールごと倒れて8月2日、脳挫傷で死亡した件で、警察は園の30代女性職員を業務上過失致死容疑で書類送検した。この日は参観日で、屋上には保護者や教諭もいた。警察は、事故を防ぐ手立てを取らなかった過失があると判断したもの。(産経新聞、2014年10月25日) 〔掛札コメント〕 この事故については、2013年のニュースの「事故事例」6月17日をご覧ください(プールの写真もあります)。なぜ、この職員一人が書類送検されたのか…。施設全体の責任を問うシステムがないがゆえに、個人の責任にして終わり、ということになるのでしょう。

▶〔うつぶせ寝で提訴〕 鳥取県倉吉市の認可外施設(病院内施設)で2011年、11か月児がうつぶせ寝をしていた後に呼吸停止となり死亡した件で、両親が「施設への規制を怠ったため事故が起きた」として県に140万円の損害賠償を求める訴訟を3月16日、起こした。両親は「保育士が注意を怠った」として、病院側に損害賠償を求める提訴をすでに昨年行っている。今回、両親は「人員配置の不備やうつぶせ寝による窒息の危険を県は把握していたのに、規制権限を行使しなかった」と主張。(共同通信、3月16日)

▶〔プール事故死で刑事告訴〕 2014年7月、京都市の認可保育園で4歳児が死亡した件で児の両親は3月12日、厚労省と文科省がプールの安全確保を求めていたにもかかわらず、園は適切な体制を取らず、注意義務を怠ったなどとして、当時の園長ら4人を業務上過失致死の疑いで地検に告訴した。告訴状によると、園は職員の安全管理教育や危機管理マニュアルの作成をしておらず、複数人での監視・指導体制も整えていなかったと主張している。(3月12日、各紙) 〔掛札コメント〕 「うちの園はマニュアルも作っているし、大丈夫」と思わないでください。マニュアルの内容は、現場で間違いなく実行でき、かつ効果のあるものですか? プール事故は睡眠中同様、「異常に早く気づく」以外に死亡を予防する方法がありません。「これなら異常にすぐ気づける」方法を自園のプール活動に合わせて作り、行動として実行することだけが重要です。実際にはできていないのに「見守っているつもり」「できているつもり」になるほど危険なことはありません。

▶〔うつぶせ寝で賠償命令〕 福島県郡山市の認可外保育施設(閉鎖)で2010年1月、1歳児がうつぶせ寝のまま放置されて窒息死したとして、両親が当時の施設経営者や保育士らに約6600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が3月6日、地裁支部であり、施設側に慰謝料などとして約5800万円の支払いが命じられた。争点となった死因について施設側はSIDSと主張したが、判決は、うつぶせ寝だった児の上に毛布やタオルケット、バスタオルなど計約2.8キログラムがかけられていたとして窒息死と判断、施設側の注意義務違反を認めた。両親は、業務上過失致死容疑で経営者らを刑事告訴したが、地検は死因を特定できず、過失を認定できないとして不起訴処分(嫌疑不十分)としている。(朝日、3月6日)

▶〔4か月児死亡で両親の請求棄却:去年の記事です。ごめんなさい、見逃していました〕 大阪市都島区の認可外保育施設(閉鎖)で2009年11月、生後4か月児がうつぶせ寝の状態で放置されて窒息死したとして、両親が市と施設を経営する会社等に約6500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2014年9月24日、地裁であり、両親側の請求は棄却された。児はベッドで鼻血を出した状態でみつかり、病院で死亡。判決は「(児は)顔を横に向けていた」とする施設職員の証言などを踏まえ、ベッドのマットレスで鼻や口がふさがっている状態ではなかったと指摘、死因をSIDSと認定した。両親側は事故当日に子ども17人を見ていたのは、保育士資格のない職員2人だったとして施設が注意義務を怠ったと主張していたが、判決は「うつぶせ寝にさせないことが徹底されていなかったものの、児の死亡は予見できず、過失は認められない」と退けた。(朝日、2014年9月24日)

▶〔幼稚園、学校の重大事故・事件対応〕 幼稚園や学校管理下で起きた重大事件・事故のうち、原因検証のための調査委員会が立ち上げられたのは2割、うち結果を発表したのは約半数であることが文部科学省の初の調査から明らかになった。2005~2013年度に日本スポーツ振興センターが災害共済給付をしたうち、死亡や大ケガなど重大事件・事故832件について調査が行われ、市町村教育委員会などから558件の回答を得た。「調査委を置いたか」という質問に回答した403件で「はい」は78件(19.4%)、そのうちで検証結果を公表したのは53.4%。
 「(遺族・家族との関係が)良好ではない」場合の45.2%が調査委を立ち上げ、「良好だった」は17.4%。文部科学省の報告書では、「初動対応で家族への対応が適切に行われなかった場合、(調査委)設置に至った場合もある」とする一方、「検証を行うことで再発防止に寄与する」とし、関係が良好でも弔意を置くことの重要性を指摘した。調査委を置かなかった場合の対応では、「学校関係者による検証」が61.6%、「警察による現場検証」が10.5%。
 事件・事故の内容は、死亡が計337件でうち心臓疾患などによる「突然死」が151件、頭を打つなどの傷害(負傷)によるものが54件、溺水(水死)26件、熱中症17件、異物を飲み込む等が8件、中毒が1件、転落や列車事故などの「その他」が80件。
 この報告書に関し、死亡事故の遺族はこの記事の中で「事故の原因の手がかりが得られない時、調査委員会という手段があると知らない遺族もある」一方で、行政側が調査委を使って幕引きを図るケースもありうると指摘、「報告書を出して終わりにならないか注意が必要」とも(朝日、2月27日)。 〔掛札コメント〕 「遺族・家族との関係が良好」と自治体が認識していて「調査委が設置されなかった」というのは、場合によっては、暗黙のプレッシャーで遺族・家族が声をあげることができず、それを自治体が「関係は良好」と認識(誤認)している可能性もあります。また、調査委設置の質問に答えたのは、調査対象となった自治体の半数以下であることもお忘れなく。調査委を置いていれば回答する確率が高いですから…、ということは実際の調査委設置率は約20%ではなく、その半分以下と考えられます。

▶〔園庭確保、4割ができず〕 東京都内の認可・認証保育所の4割が、自前の園庭では基準を満たしていないことが明らかになった。都基準では、園庭は保育所付近の公園などを含めて、2歳以上の子ども1人につき3.3平方メートル必要。園庭を敷地内で確保できない保育施設は、1156か所。区部931か所に対し、多摩地区225か所と、地価の高い区部での確保が難しい実態。内訳をみると、敷地内だけでは足りず、近くの公園を合わせて面積を確保しているのが347か所、敷地内に園庭がなく、公園で代替しているのは809か所。敷地内だけで確保できているのは、1670か所で全体の6割。敷地だけで確保できている施設は認可が72.4%、認証は8.5%だった。調査は共産党都議団が2月2~18日、島しょ部を除く全区市町村の2826施設の4月1日時点の状況を尋ねた。(東京新聞、2月25日)

▶〔プール事故で罰金100万円を求刑〕 2011年7月、神奈川県大和市の幼稚園のプールで3歳児が水死した事故で、業務上過失致死罪に問われた元園長の論告求刑公判が1月26日、地裁で開かれ、検察側は罰金100万円を求刑した。判決は3月31日。起訴状によると、園長は新任だった元担任教諭(同罪で有罪確定)に対して事故防止などの教育を行わず、複数による監視などの注意義務を怠ったとしている。検察側は「複数人による監視体制を取るのは容易だったはず」と指摘。「被告は責任逃れの言動に終始している」と批判した。弁護側は、被告が子供から目を離さないよう教員に頻繁に注意してきたと主張。従前から新任の担任1人で監視し、事故もなかったとした。(毎日、1月26日)

▶〔子どもの突然死の死因や経緯〕 東京都監察医務院が平成24年までの10年間に東京23区内で扱った、5歳未満の子ども119人の事故死の死因や経緯を初めて分析した。結果、窒息が死因で最も多く、全体の約6割(68人)。うち、ミルクなどを飲んで寝た後に戻して気管を詰まらせた例が27人と最も多く、ついで、大人用寝具がかぶさって窒息した例が17人など。保護者から聞き取りしたところ、授乳後に「げっぷをさせた」と答えたのは、2件にとどまっていたという。分析にあたった同院の引地和歌子医師は「赤ちゃんは自分の身を自分で守れない。授乳後はげっぷをよくさせるなどあらためて注意してほしい」と呼びかけている(NHK、2月12日)。 〔掛札コメント〕 保育園でも、自園における授乳後の手順、睡眠中の突然死予防の取り組み、ベビーベッドまわりの安全(ベッドと布団のサイズがぴったりあっていて、すきまやせり上がりがない。ヒモや柔らかい布などがベッドまわりや中にない等)を、入園前後の特に乳児の保護者にしっかり伝えてください。「そんなこと、当たり前だから言う必要がない」ではありません。こういったニュースを見て「うちの子を預ける保育園は?」と心配する保護者もいますし、何より、「保育園はしっかり取り組んでいる」という信頼感の基礎を作り、「ご家庭でも~してください」と伝えることで、家庭における子どもの死亡予防に貢献することができます。

▶〔プール死亡事故で書類送検:追加〕 2012年8月23日、茨城県五霞町の認可外保育所で水遊びをしていた3歳児が死亡した事故で、県警は2日、施設長と保育士を業務上過失致死容疑で書類送検した。保育士は4時半ごろ、ベランダに置かれた家庭用プール(水深23.5センチ)で児を遊ばせていた際、目を離すなどして安全管理を怠り、翌24日、児を低酸素脳症で死亡させた疑い。施設長は事故防止のための具体的指導を怠った疑い(読売、2月2日)。〔追加〕 2月3日の読売新聞によると、書類送検された2人は過失を認め、「取り返しのつかないことをしてしまった」と話しているという。児が亡くなったプールは、縦1.35メートル、横1メートル、水深23.5センチ。当時、施設には施設長、保育士2人、園児13人、園児の保護者3人がいた。児がプールに入ることを保育士は認識していたが、プールから約8メートル離れた庭で保護者対応を優先させ、児から目を離した。この児は以前にも1人でプールに入っていたことがあり、保育士は大丈夫と思って監視を怠り、他の保育士に監視させるなどの措置を講じなかった。 〔掛札コメント〕 「午後4時半にプール?」。はい、でも、ポイントはそこではありません。「目を離したこと」がポイントですから、午前中のプールでも「目を離せば」同じです。人間は「大丈夫と思ってしまう生き物」「注意が続かない生き物」「つい、うっかりの生き物」ですから、誰でも必ず目を離します(暑い夏の日の昼前後なら、特に注意は散漫になります)。でも、今の時代はその点において、保育園や幼稚園に対して「過失」を問われ、ニュース文のように「児を低酸素脳症で死亡させた疑い」と、社会的責任を問われるのです。プールの安全については、昨年8月、「トピックス」のページに書きましたが、夏に向けて加筆もします。

▶〔医薬品誤飲事故防止〕 消費者庁の消費者安全調査委員会が昨年出した、子どもの医薬品誤飲事故の報告書(「子どもによる医薬品誤飲事故の防止対策の徹底について」)に、保護者への注意喚起例文が付記されたものが発行されました。こちらの報告書の3ページにあり、病院、クリニック、薬局等での掲示が推奨されています。 〔掛札コメント〕 欧米では、子どもが開けにくい薬ボトルや薬シートが一般的です。この報告書では、包装の改良については数行、今後の取り組みとして述べられているだけです。欧米のものが完璧と言うつもりはまったくありませんが(そもそも、安全の世界に「100%安全」はありえません)、少なくともおとなでも開けにくく、誤飲予防に効果があることはわかっています。なぜ、それを導入せず、「保護者の見守り」にばかり依存するのでしょうか。

▶〔宿泊保育施設における死亡で市を提訴へ・追加〕 2014年7月、宇都宮市の認可外保育施設で9か月児が宿泊保育中に死亡した件で、児の両親が宇都宮市に国家賠償を求める訴訟を起こすことがわかった。両親の弁護士によると、市はウェブサイトや市に提出されていた報告書内容と、施設の保育実態に乖離があることを認識していたが長期間放置。抜き打ち調査を求める匿名の情報提供があった後、市は施設に事前連絡した上で30分、調査し、問題はなかったと判断したと主張している。両親はすでに施設の現場責任者らを保護責任者遺棄致死と業務上過失致死容疑で警察署に刑事告訴、詐欺容疑でも追加告訴し、県警が捜査をしている。(下野新聞、12月27日) (この件に関しては、2014年9月19日、10月31日のニュース等をご覧ください。) 追加:1月5日、両親は市や当時の施設の室長らを相手どり、計約1億1400万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。



保育全般、保育士や園の不祥事等

▶〔「いじめで鬱に」、訴訟始まる〕 大分市内の民間認可保育園で働いていた女性職員2人が、この保育園を相手取り、休業損害や治療費など計約2910万円の支払いなどを求める訴訟の第1回口頭弁論が地裁で開かれた。訴状によると、2人は給食担当の職員として勤務。保育士らに対する給食の提供などをめぐり、元園長や保育士と意見が対立。2008年11月頃から意見交換会での糾弾や無視などのいじめに遭い、いずれもその後、うつ病と診断された。原告の一人(50歳)は2009年12月から休職し今も入院中。2013年7月に労災認定されたため、労災によって認められた休業補償などを除く約1370万円の支払いを求めている。もう一人(56歳)は2010年10月から断続的に休職し、約1540万円を賠償請求。2012年12月に退職発令を受けたが、「精神疾患は業務が原因であり発令は無効」として、現在も職員であることの地位確認も求めている。保育園側は請求の棄却を求めている。(大分合同新聞、12月26日)

▶〔保育士、乳児6人を虐待〕 名古屋市内の民間認可保育園で、20代の女性保育士がゼロ歳児6人に対し、たたく、怒鳴る、食べ物を口の中に無理やり突っ込むなどの虐待を繰り返していたことがわかった。別の保育士からの報告で園は虐待行為を把握、保育士は園の調査に対して虐待を認め、退職。園は今月、虐待の事実を市に報告し、説明会を開いて全園児の保護者に謝罪した。6人の園児にケガはなかった。この園は今年4月、約50人の園児を預かって開園した。園を運営する本部は取材に対し、「個別の案件は回答を控えたい」としている。(中日新聞、12月25日)

▶〔追加12月13日・保育士、1歳未満児を虐待〕 香川県さぬき市の民間保育園(認可)で、23歳の女性保育士が1歳未満の園児数人に虐待を繰り返していたとして、県が児童福祉法に基づいて同園に改善を指導していたことがわかった。県や同園によると、保育士は2014年4月から勤務、1歳未満の園児6人を保育していたが、牛乳を飲まない園児の首をつかんでむりやり飲ませたほか、言うことを聞かない園児をトイレの個室に閉じ込めたり、平手打ちしたりしたという。市を通じて保護者からの通報を受けた県が12月1日付で指導。同園の内部調査に対しこの保育士は、「仕事が忙しくてストレスがたまっていた。申し訳ないことをした」と虐待を認めており、近く退職する。園長も辞任の意向(読売、12月7日)。〔追加12月13日〕 毎日新聞(12月8日)の記事によると、1歳未満のクラスの園児数は8人、この保育士を含む3人で保育をしていた。保育士は「好き嫌いをなくすため」「走り回ったら危険」などの理由で(虐待を)行ったと認めているという。園長は、「不自然なことという認識はなかったが、不適切と指摘を受ければ責任は私にある」と謝罪した。 〔掛札コメント〕え? 1歳児未満が「走り回る」…? 「不自然なことという認識はなかった」?

▶〔運営辞退園、移管先決まる〕 不適切な保育等のために混乱が続き、運営する社会福祉法人が運営を辞退した取手市内の園について、学校法人に運営が移管されることが決まった(関連ニュースは、7月12日をご覧ください)。この園は2012年、市立保育の施設を無償譲渡されて社会福祉法人が開園、市が年間約200万円の地代を負担してきた。(東京新聞、12月4日)

▶〔虐待通報で賠償請求〕 障害者の通所施設で虐待の疑いを自治体に内部告発した職員が、施設側から名誉毀損などを理由に損害賠償を求められるケースが埼玉県と鹿児島県で起きていることが22日、わかった。 障害者虐待防止法では、虐待の疑いを発見した職員は市町村に通報する義務があり、通報によって解雇など不利益な扱いを受けないことも定めており、法曹関係者らからは「法の理念を無視する行為。職員が萎縮して、虐待が闇に葬られてしまう」と批判が出ている(共同、11月22日) 〔掛札コメント〕 保育園、幼稚園等でも同じことが起きる可能性があります。

▶〔教諭資格者を保育士の代替要員に〕 厚生労働省は11月16日に開かれた有識者検討会で、幼稚園や小学校の教諭資格を持つ人も保育士として認可保育所で働けるようにする方針を表明。保育士配置の3分の1までを代替できる(保育に関する研修を受講することが必要)。年内に了承を得た上で厚労省令を改正、来年度から実施する考え。待機児童解消に向けた緊急対策で、期間限定のもの。また、保育士の研修期間や休憩時間には、資格がなくても保育業務経験のある人が代替となれるようにすることも提案した(配置人数の基準とは別枠)。(各紙、11月17日)

▶〔保育士の代替要員を検討へ〕 厚生労働省は、認可保育所保育士を教諭資格や養護教諭資格を持つ人で代替することを来年度から認める検討に入った。16日に開かれる厚労省の有識者検討会に提案し、年内に結論を出す。職員が研修に出る場合などに、保育士の資格がなくても家庭的保育などの経験がある人で代替できる制度も提案するという。保育士の9月の有効求人倍率は1.85倍で、待機児童が多い東京都では5.44倍に上った(11月14日、朝日)。〔掛札コメント〕 こうやって「保育士」の資格(専門性)が形骸化していくことを、「人手不足」のもと、容認していいのかと考えます。そして、何度でも言いますが、保育園を増やして子どもを長時間預かれば、日本社会はよくなるのでしょうか。

▶〔保育新規参入減〕 2014年、保育所運営のために新設された会社や社会福祉法人は43法人と、前年の139法人から69.1%減ったことが、東京商工リサーチの調査から明らかになった。過去5年間では2011年の165法人が最多、その後は減少傾向。一方、運営法人のうち、売上高が3期連続で判明している2950法人の14年4月期~15年3月期の売上高は、前期比5.1%増の6390億5000万円。増収は2期連続(11月11日、朝日)。〔掛札コメント〕 この記事は、参入減の一因を「保育士確保が困難なため」としています。後にもいろいろあるでしょう…。

▶〔4年半で4600万円の不正経理〕社会福祉法人が運営する保育園で、2011年度からの4年半に約4600万円の私的流用や使途不明金があったと、東大阪市が11月4日、発表した。園長と妻の副園長、会計担当の女性保育士が、運営費を職員との懇親会や高級車の購入に充てていた。市は園長らを業務上横領や背任容疑で刑事告発する。同市の指導監査室法人指導課によると、副園長が「職員との親睦」名目で寿司屋や焼き肉店で開いた約160回の食事会の費用1153万円を保育園の会計から支出。園長の車(約600万円)も園で購入、他にも使途不明金が約2500万円ある。園長は市に対し「副園長がほとんど使った」などと説明しているという。法人は4日、臨時の理事会を開き、園長と副園長を解任、保育士を懲戒解雇した。同園には現在、107人の子どもが通っているが、園の老朽化が進み、修繕費も残っていないことから、来年度から新規の募集を停止する。(毎日他、11月5日)

▶〔ミニ保育所に補助金〕 少子化対策の一環として、厚生労働省は10人程度(6人以上、2歳まで)の少人数の子どもを預かる「ミニ保育所」の建設に補助金を支給する。また、企業が会社の敷地内などで運営する「企業内保育所」への助成金を拡充する。また、企業内保育所の空き定員を解放する企業を支援することで、自社以外の近隣の子どもも利用しやすくする。保育士の確保・定着のため、補助金も引き上げる。政府は「一億総活躍社会」の実現に向けた緊急対策を11月末に打ち出す方針で、厚労省が保育分野の原案をまとめたもの(日経、11月1日)。〔掛札コメント〕年々、低下している保育士の質はどうする? 職場で育つ余裕、育てる余裕がない人員配置の現状はどうする? いわゆる「潜在保育士」が働きたがらない理由は、お金だけじゃありません(事故に対する社会的責任、保護者対応の難しさなど)。そして、「(記事に書いてある通り)母親が働けるようになれば」問題解決? 「保育所だけ増やせばいい」という考え方は、いいかげんやめていただきたいと思うのですが。

▶〔運営費着服で告訴〕 大阪府高槻市の民間保育園で元園長(懲戒解雇)が運営費を着服していた件で、園を運営する社会福祉法人が元園長を業務上横領容疑で告訴、13日付で受理された。着服したとされる9100万円のうち2012年10月~今年3月の約20件、約1000万円について告訴。今後、損害賠償も求めて提訴する方針。法人によると、元園長は9年半にわたり、領収書の改ざんや勤務実態のない職員に対する給与支払偽装などで運営費を着服、うち約4500万円は返還したが、残りの返還に応じないため、告訴に踏み切ったとしている。(読売、10月15日)

▶〔横浜市で施設長不在などの問題〕 横浜市は、新設保育所の運営を軌道に乗せるため、「運営開始後3年は施設長を変更しない」と規定し、施設長交代時には届け出を義務づけている。ところが実際には1カ月以上、施設長が不在でそれを市が知らなかった事例が今月になって明らかになった。また、市が市内約600か所の認可保育所について行っている監査等から、改善報告書の提出を求めた施設は、13年度が29施設、14年度が15施設。違反は経理関係が多いが、「ゼロ歳児が段差のある床に落下する事故があった際、現場にいた保育士は1人のみ。事故時は1人で4人を保育していた」というケースも。「主任保育士ら多くの職員が頻繁に交代し、児童に関わる環境が整っていない」と指摘された施設もあった(読売、10月10日)。 〔掛札コメント〕 横浜はこういう結果を公表するだけ、自治体の「質が良い」と言えるのではないでしょうか。「見て見ぬふり」「公表しない」自治体は多数あるはずです。保育士の絶対数が不足していて待遇も悪く、質も明らかに下がっているのに、保育園を増やせばいいと言う。いいかげん、その思考を国も自治体も企業も保護者も運営者も変えるべきです。今の現場の保育士の質の低さの結果は、10年度、20年後の日本に間違いなく現れてきます(すでに表れている?)。ちなみに、現場の視点からすると、質の低い施設長は早く辞めていただいたほうがいいのですが…。こちらも、いまどき「園長のなり手がいない」から無理なのが現状です。

▶〔準強制わいせつ致傷で園長逮捕〕 知人の20代女性に薬物を混ぜた菓子を食べさせて意識障害を負わせた上、わいせつ行為をしたとして、浜松市の民間保育園園長(52歳)が逮捕された(準強制わいせつ致傷)。本人は容疑を認めている。9月下旬にこの女性が警察に被害を相談していた。薬剤や余罪についても捜査する方針。(産経、10月5日)

▶〔保育園児の声は騒音? 〕保育園児の声を騒音のように感じ、保育所建設に反対する住民の立場に同感できるかを尋ねた厚生労働省の調査に対し、「ある程度同感できる」が29.7%、「とても」が5.4%で、計35.1%が同感だった。逆に「全く同感できない」は26.4%、「あまりできない」は38.5%で、同感できない人は64.9%だった。この結果は、2015年版の厚生労働白書に盛り込まれる。調査は人口減少に関する意識を探る目的で、3月にインターネットで実施され、3千人から回答を得た。回答者を地域活動への参加機会から見ると、「参加していない」という人は38.9%が反対の立場に同感だとする一方、「月1日程度以上参加している」人は26.0%と低くなった(9月26日、朝日)。〔掛札コメント〕地域活動に参加しているかいないかの部分だけがこの記事には書かれていますが、データ分析の視点からすると「?」です。たとえば、「高齢の近隣住民で、すでに活動能力が下がっていて地域活動に参加したくてもできない、一日じゅう家にいることが多い」という回答者だった場合、「子どもの声がずっとしていたら、私もいやだろうな」と思うかもしれません。回答者の属性(年齢、性別、仕事をしている・していない、子どもがいる・いない、持ち家・賃貸、等)を分析に入れずに、この記事のような単純集計だけで考えるのは危険です。ついでに言うと、この調査はインターネットで行われています。ということは、今の日本の人口のうち、高齢層はそもそも回答者群に入っていない可能性があります。白書に回答者群の分布等も書かれていることを願うばかりです…。

▶〔介護・保育の一体型施設を推進へ〕 保育、高齢者向け介護、障害者支援などのサービスを1か所で受けられる仕組み(共生型施設)の普及を促していくことを9月17日、厚生労働省が発表した。特に人口減が進む地域で、少ない担い手でサービスを提供できるよう、多様な施設を集約するもの。来春までに人員配置などの新ルールを作り、明示する。また、補助金の制限も緩める。現在は補助金を受けて保育施設を始めた事業者が10年以内に介護施設に転用すれば補助金を返納しなければならない。これを、返納義務のある期間を短くし、地域の福祉需要の変化に応じて施設を転用できるようにする。 さらに、介護や子育てなど現在は別々になっている福祉サービスの相談や手続きを、同じ窓口で応じる仕組みも全国約100自治体に設ける(9月17日、日経)。〔掛札コメント〕 発表された資料は、厚生労働省のこちらのページに載っています。2013年に厚生労働省が発表した事例集『宅幼老所の取組』もあります。保育、高齢者介護、障害者介護の資格を一体化するって、この3つの仕事が「似たようなもの」だと思っている、ということですよね…。「宅幼老所」(「託幼老所」とはさすがに言わなかった!)を「共生型施設」と言い換えた知恵は、厚生労働省にもあるようですが…。

▶〔朝夕の配置義務づけ「1人」に?〕 厚生労働省は、朝夕に限り、設置を義務付ける保育士の数を現行の2人から1人に減らす検討に入った。代わりに、無資格・保育業務経験ありの人を1人置くよう求める。4月から一部地域で試験的に運営を認めており、利用者や事業者からの強い反対がなければ省令を改正、地方自治体が保育士の確保が困難と認めた地域では、朝夕の「保育士1人体制」が可能になる(日経、7月24日)。 〔掛札コメント〕 記事には「子どもが少ない朝夕に限り」と書いてありますが、「少ない」は「全員いない」という意味でしかないのが、都市部の現実です…。そして、朝は保護者から子どもの体調などに関する伝達を受け取る重要な時間であり、夕方の合同保育の時間は、ケガ以外の深刻事故も特に起きやすい時間です。その時間帯を保育士1人にするというのは、保護者とのコミュニケーションを悪化させ、深刻事故のリスクを上げるだけだと私は思いますが。(追加)介護職との資格共通化にしてもそうですが、要するに「保育の専門性」がどんどん外枠から外されていっているということではないかと思います。「今働いている保育士が楽になるなら、それでいい」と思っているうちに、「保育なんて、誰でもできるでしょ」ということになっていくのではないかと…。一方で、現場には本当に「保育を知らない保育士」が増えていく。それでは、日本の保育、子育て(=日本の次世代)は本当にお先真っ暗です。

▶〔経営者家族3人を逮捕〕 2014年7月23日、栃木県宇都宮市の保育施設で生後9か月児が死亡した件で、実質的経営者(58歳女性)とその子ども(23歳男性と28歳女性)が7月24日、逮捕された。児に下痢や発熱の症状があったにもかかわらず、医師に見せることなく放置し、死亡された疑いがもたれている。死因は熱中症。同施設は、乳児を毛布でくるみ、ひもで縛るなど、劣悪な保育状態が常態化していたとみられる。3人は、容疑を否認している(FNN、7月24日)(2014年9月19日、10月31日、2015年3月6日の記事をご覧ください)。 〔掛札コメント〕 2つ下のニュースに、鳥取県が(その前には千葉市が)通報システムを設置したニュースがありますけれども、「これはおかしい」と思ったら職員から自治体などに通報することも重要だと思います。その施設の問題点を一番よくみているのは、職員ですから。

▶〔民営化園、別法人に移管へ〕 茨城県取手市の民間保育園について、市は来年4月をめどに運営団体を別の法人に移管する方針を固めた。3年前に市立から民営化された園だが、子どもに対する不適切な行為のほか、不適切な事務処理も発覚していた。今年の5月の時点では、不適切な運営体制を改善した上で引き続き運営を続ける方向で市と県が指導を続けてきた。しかし、その後も保育士が確保できず、7月から休日保育ができない状況に陥るなどしており、移管も含め協議を続けてきた。7月11日に父母会が開かれ、移管について保護者の同意が得られたもの。
 同園では、昨年11月と今年1月、ゼロ歳児を担当する30代の女性保育士が子どもに無理やり食べさせる、揺さぶるなどの行為をしたとして市に通報があった。11月の最初の通報の際は、主任保育士がこの保育士を注意するなどしたが改善されなかった。1月末には市が文書で改善を指導、2月には市と県が任意の現地調査を実施した。この件の後、子どもを別の保育園に移籍させたいと希望する保護者が出、昨年3月に111人いた園児は、現在79人、保育士も15人から12人に減った。
 同園によると女性保育士は、やり過ぎたところがあったかもしれないと行為を認めているという。月齢が上がるにつれ、いろいろな味を覚えてほしい、集団の中で食べるペースを習得してほしいなどの思いがあったとしている。一方、揺さぶりについては、乳幼児が朝7時に通園し、食事の際に眠くなってしまうので、起きてほしいと子供を揺り起こすことがあったが、揺さぶってはいないなどとしている。
 一方、法人内部の親族同士の対立も表面化。市議が13年度に同園から給料計約170万円を受け取っていたことから、市の政治倫理条例に違反するなどとして市民から調査を求める請願が出され、否決された経緯もあった。(常陽新聞、7月12日、3月14日)

▶〔子どもの預かりサービス〕 厚生労働省の「社会保障審議会児童部会子どもの預かりサービスの在り方に関する専門委員会」がとりまとめた『子どもの預かりサービスのマッチングサイトに係るガイドライン』(6月3日)。

▶〔保育士、児童ポルノ禁止法違反で逮捕〕 宮崎市の保育士(31歳男性)が児童買春・児童ポルノ禁止法違反などの疑いなどで広島県警に再逮捕された。容疑者は2013年8月26日、勤務先の宮崎県内の公立保育所で就寝中の5歳女児の下半身を触り、その状況をスマートフォンで動画撮影、保存した疑い。本人は「他の愛好者と交換するため撮った」と容疑を認めている。広島県警は昨年10月以降、画像を交換していたとみられる4人も同じ容疑で逮捕、5人のパソコンから幼児や10代女子の裸などの画像計約115万ファイルを確認したという。(朝日、6月8日)

▶〔強制わいせつ等で懲戒免職〕 宮崎市は6月29日、広島県警に逮捕され、強制わいせつと児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)の罪で起訴された男性保育士(31歳)を懲戒免職処分にした。この保育士は、市で初の男性保育士として採用されていた。また、市は監督責任を問い、保育所長らを口頭訓告とした。(産経west、6月29日。初出は6月8日をご覧ください)

▶〔園児の名簿を持ち去られる〕6月17日に 東京都大田区の区役所内で開かれた区立保育園長会の会場で、園児84人分の名簿(氏名、生年月日、性別、保育料、保護者氏名と住所)が入った封筒が持ち去られた。区は書類管理に不手際があったとして謝罪、警察に相談するとともに、保護者説明会を開いて二次被害防止に向けた注意喚起を行う。(Security NEXT、6月18日)

▶〔強制わいせつの疑いで逮捕〕 大阪府守口市の私立幼稚園の元副園長が強制わいせつの疑いで逮捕された。この男性は4歳の園児をスクールバスに連れ込み、下半身を触るなどした疑いがもたれている。今年の4月と5月に保護者から男女園児3件のわいせつ行為の被害届が警察に提出され、受理されていた。5月の辞職前に開かれた保護者説明会では、疑いを否定していた。(各紙、6月22日)

▶〔保育士、夫を刺す〕 横浜市の保育士(42歳)が殺人未遂の現行犯で逮捕された。24日午前0時過ぎ、自宅で寝ていた夫(会社員)を殺そうと、背中をペティナイフで刺したもの。夫は軽傷。「日ごろの鬱憤から、殺そうと思って刺した」と容疑を認めている。(産経、5月25日)

▶〔万引きで逮捕〕 島根県松江市の35歳女性(無職)と妹の32歳(保育士)が5月13日、衣類などを万引きしたとして窃盗容疑で逮捕された。2人は4月3日昼ごろ、同市内のブティックでワンピースやブラウスなど5点(計2万5000円)を万引きした疑いで、どちらも容疑を認めている。当日、店内の防犯カメラに映っていた不審な女性2人組が13日、再び来店しているのに店員が気付き、警察に連絡した。2人で同様の犯行を繰り返していたとみて追及している。(読売、5月15日)

▶〔こども園園長、買春容疑で逮捕〕 滋賀県大津市の認定こども園園長(37歳男性)が4月30日、児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕された。容疑者は今年1月、京都市内のホテルで当時中学3年の少女に現金を支払う約束をしてわいせつな行為をした疑い。2万円を渡していた。少女を派遣していた売春クラブを京都府警が摘発して発覚したもの。容疑者は幼い女子の紹介を求める趣旨のメールをクラブ経営者に送っていたという。容疑者は「18歳以上だと思っていた」と容疑を否認している。(各紙、5月1日)

▶〔保育園職員が2900万円着服〕 高知市の民間保育園で、会計を担当する職員が平成17~24年、架空の物品購入(ストーブ、教育用ビデオ等)をでっちあげて計約2900万円を着服していたことが明らかになった。昨年12月、領収書の内容に不自然な点があることに法人が気づき、調べたいた。職員はすでに懲戒免職され、1000万円を返済している。本人は「家族の病気の治療費などに使った」と話している。法人は「刑事告訴も視野に対処する」としている。(産経、5月1日)

▶〔女子高校生に暴行容疑、保育士逮捕〕 東京都小平市の保育園で働く保育士(男性、26歳、埼玉県入間市)が4月14日、帰宅途中の女子高生のスカートをめくろうとした際に手を触ったとして、暴行の疑いで逮捕された。容疑者は「パンツを見たかったので、スカートをめくろうと思った」「他にもやった」と話しており、警察が調べている。現場近くでは13日にも別の女子高生がスカートをめくられる被害があり、警戒していた警官が事件を目撃した。(NHK、産経他、4月15日)

▶〔着服で元園長の告訴検討:4月22日追加〕 大阪府高槻市の私立保育園園長が、給食の食材購入の際、領収書を大幅水増しするなどして運営費約4900万円を着服した疑い。法人は4月15日に園長を懲戒解雇し、刑事告訴も検討している。着服は平成20年4月から今年1月までの7年間にわたり、ほぼ毎月行われていたという。手口のひとつは額面に1ケタを加える方法。また、園の活動に無関係なブランド品は宝飾品、絵画などを「保育園用品」として購入していたこともあった。園の公用車ではない車の整備費用を経費で支出した領収書もみつかったという。元園長は30年以上前からこの園で勤務、平成16年から園長を務めていた。園には出納担当の職員もいるが、経費の実質的管理は園長が行っていた。職員の内部告発によって、不正が発覚した。(産経、4月20日) 〔4月22日追加〕 着服の理由として元園長は「買い物依存症で、衝動を抑えられなかった」と話しているという。着服金で買ったブランド品や絵画などは園長室に置かれ、鍵をかけてあったとのこと。

▶〔子どもを物入れに閉じ込める〕 大分県別府市の認可外保育園で、職員(男性、30代)が2~5歳の園児3人をベビーベッドの下の物入れに閉じ込めたり、食事中に騒ぐ子どもの体を迷子防止用のヒモでつないだりしていたことが3月7日、明らかになった。必要以上の大声で叱ることもあった。保護者からの通報で発覚したもので、この職員は1月末で依願退職。(産経、3月7日)

▶〔静岡新聞の連載〕 3月26~28日の静岡新聞の連載「育む社会へ 保育士不足の背景」。続きは、記事の下にリンクがあります。過去の記事を見てみると、他の話題も読みでがありそうです。

▶〔裸撮影で実刑〕 勤務していた愛媛県西条市の福祉施設と松山市内の温泉施設で男児の裸を撮影した(2012年8月と11月)として、児童買春・ポルノ禁止法違反の罪に問われた元保育士(男性、33歳。別の強制わいせつ罪で服役中)に、地裁は2月24日、懲役4か月の実刑判決を言い渡した。この件は、地検支部が逮捕後に起訴猶予としていたが、検察審査会が不起訴不当と議決し、再捜査を経て地検が起訴した。裁判官は判決理由で「自己の立場を利用し、悪質かつ卑劣、将来の健全な育成に悪影響を与える可能性も看過できない」と指摘した。

▶〔保育園に補助金返還請求〕 千葉県市川市は3月20日、保育園から出される補助金申請書のミスに気づかず、過大に補助金を交付していたとして、市内30の保育園に計約5500万円の返還を求める通知書を送ったと明らかにした。平成20~24年度の誤り。25年4月に別の保育園の申請書類をチェックしていた市職員が謝りに気づき、他の保育園の書類も再点検していた。(産経、3月20日)

▶〔ゼロ歳児に虐待行為〕 茨城県取手市の私立保育園で、ゼロ歳児の担任(30代女性)が虐待行為をしていたことが3月13日、わかった。園側はこれを認めており、保育士を担任からはずしたという。市によると、昨年11月、この保育士が乳幼児の口に食べ物をむりやり押し込む、強く揺さぶるなどの行為をしているとの通報があった。今年1月になって同じ保育士の同様の行為が判明、2月に県が立ち入り調査、市も園に文書で対応の改善を求めた。市によると、2歳児についても「数人だけで立たせて怒鳴り、泣いても大声で怒鳴る」など、保護者からの指摘が寄せられているという。(東京新聞、3月13日)

▶〔福祉施設の統合、検討へ〕 厚生労働省は、福祉施設の将来の存続のため、介護施設や保育施設、障害者施設を1つにまとめて運営できるよう規制を緩和することや、介護福祉士や保育士、准看護士などの資格を統一することを検討する考え。 実現すれば、1人の職員で高齢者の介護と乳幼児の保育にあたることができるようになり、職員が少なくても福祉施設の運営が可能になるとしている。(NHK、3月15日) 〔掛札コメント〕 ??? 私は安全のことしかわかりませんが、乳幼児の安全(危険)と高齢者の安全(危険)がまったく違うことは理解しているつもりです。高齢者介護は高度なスキル、保育も高度なスキル、障害者ケアも高度なスキルです。それぞれ「目の前にいるこの人、この子ども」に合わせてケアと教育、トレーニングをしていくという意味においては、高度な「職人」の世界です。介護と保育を一緒にできる「スーパー職人」になれ、と? その前に、実効性ある待遇改善と社会的立場の向上が必要ではありませんか? なぜ、介護や保育の仕事に就かないのか、それはわかっているはずなのですが…。

▶〔児の口に粘着テープ貼る〕 三重県津市の民間保育園で2011年、2歳児が昼寝の時間に騒いだとして女性保育士が口に粘着テープを貼っていたことが3月11日、わかった。2月下旬に問題を把握した県が市と共に聞き取り調査を行い、園は3月6日、緊急の保護者会を開いた。保育士は行為を認めたという。静かにするように促したが、児が応じなかったためテープを貼ったとみられる。(毎日、3月12日)

▶〔子どもを毛布、ヒモで縛り保育の疑い〕 2014年7月、宿泊保育中に9か月児が死亡した宇都宮市の認可外保育施設で、子どもが毛布にくるまれ、上半身や足をヒモで縛られていた可能性があることが3月5日、明らかになった。この施設の元関係者が平成12~13年にかけて写真を撮影したとみられる。この元関係者は下野新聞社の取材に対し、「縛られている様子を最初に見た時に驚き、とっさにその場で携帯電話で撮影した。10日後にあらためてしっかりとした写真を残す必要があると思い、現場責任者らに見つからないようにデジタルカメラで撮影した」としている。7月に亡くなった児の両親のもとにも、他の元関係者から同様の写真が届いた。両親は写っていた子どもたちのうち1人の親と連絡を取り、撮影されているのがその人の子どもであることや、撮影日時の13年4月に施設に預けていたことが確認されたという。児が死亡する2か月前には、市に「子どもを毛布でまき、ひもでぐるぐる巻きにして動けないようにしている。虐待ではないか」などと不適切な保育状況を訴える匿名の電話が寄せられていた。市は当時、施設に通告した上で立ち入り調査し、問題はなかったと判断していた(下野新聞、3月6日)。

▶〔強制わいせつで施設経営者逮捕〕 1月7日、福岡県春日市の認可外保育施設で女児にわいせつな行為をしたとして、施設経営者の66歳男性が逮捕された(強制わいせつ容疑)。昨年11~12月ごろに発生、児の母親が警察に相談し、発覚した。本人は容疑を否認している。(各紙、1月8日)

▶〔強制わいせつ容疑で園長逮捕〕 愛媛県今治市の保育園園長の65歳男性が16日、強制わいせつ容疑で逮捕された。昨年12月15日、入院していた松山市内の病院の部屋で20代の女性看護師に抱きつき、からだをさわるなどした疑い。女性の関係者から警察に通報があったもので、容疑を認めている。(2月16日、産経)
▶〔パワハラで3人処分〕 名古屋市の大学付属幼稚園で、後輩の女性教諭にパワーハラスメントを繰り返していたとして、女性教諭3人が同学校法人から懲戒処分を受けたことがわかった。1人が停職1カ月、2人が戒告。3人は2013年~14年春、不適切な指導方法で後輩の労働環境を著しく悪化させたという。処分について法人は、幼稚園や系列の小中高校、大学の事務所等に掲示したが、「被害者への配慮」を理由に公表していなかった。ハラスメントの具体的な時期や内容など、詳細は明らかにしていない。(読売、2月11日)

▶〔職員の処遇等関連のニュース2本〕 大阪市の「職員(保育士、幼稚園教育)の給与に関する報告」(2014年11月13日)はこちら(このページの一番下にあるグラフ「大阪市保育士と民間保育士の平均給与比較」は、さまざまな視点から考えると非常に興味深いと思います)。この報告は、2013年5月24日の「公立保育所の役割について」の中で、公立保育所職員給与の引き下げが示唆された流れを受け継いだもの。
 もうひとつ。京都市の院内保育所の運営に関連して、病院が公募で示した上限額9650万円に対し、3000万円低い額で受託され、職員にはこれまでの半額以下(月額約33万円のベテラン職員も含め、16万2000円・時間外手当を除く)の給与を提示したというニュース。新年度からは地域の子どもも受け入れ、定員が45人から60人に増員されるにもかかわらず、これまでの委託費よりも低い額での運営となる。(京都民報、2月6日)
 〔掛札コメント〕 保育という仕事の重要性、大変さを理解しない社会が育てた子どもはどういうおとなになっていくのか、とつくづく思います。保育士は、「おとなよりもずっと死にやすい、もろい命を長時間を預かる専門職」です。世の中にそんな仕事が、あといくつ、あるでしょうか? 仕事のやりがいの鍵は金銭的報酬(給与)ではない、ということは、職域心理学の長年の研究からわかっています。しかし、それはあくまでも最低限のゆとりをもてる報酬を受け取っている層の話です。職員が心身ともにゆとりのある環境になかったら、保育の質どころか、最低の安全も守れません。

▶〔都内の公立保育所職員、44.7%が非正規〕 東京自治労連と垣内国光・明星大教授の共同調査から、東京都内の公立保育園で働く非正規職員の実態が明らかになった。全62自治体にアンケートを実施、9区2市では、自治労連の協力で非正規職員に待遇等を聞いた。13区と18市村(非正規職員3600人余)から回答があり、非正規の割合は平均44.7%、市と村では57.6%。非正規率が5割台の自治体が8、6割台が3、7割超が1あった。非正規職員の約15%が正規雇用とほぼ同じ時間で働いていた。賃金は、月給支給者の83.5%が20万円未満、15万円未満も約58%。年収は200万円未満が81.7%を占め、垣内教授の試算によると平均年収は約121万円。他の仕事を掛け持ちしている人も20.4%いた。公立保育園の非正規職員は雇用期間が原則1年未満であるにもかかわらず、契約更新を繰り返して、昇給などがほぼない状態で10年以上働いている人も25%いた。非正規を選んだ理由で最も多かったのは、「自分の都合の良い時間や日数で働ける」(35.4%)、一方、「正規職員になるのが難しいから」は25%。(1月8日、NHK。1月9日、東京新聞)

▶〔ホームページに園児の個人情報〕 大阪市浪速区のウェブサイトに、1月6日午後3時~7時午前11時まで、区内の9保育所/保育園の園児ら309人の氏名や障害/アレルギーの有無といった個人情報が誤って掲載された。文書は本来公表する保育所の空き情報の一覧表に添付されていたもの。担当者ら4人がチェックする段階でこの文書の添付を見落とし、誰でも閲覧できる状態になっていた。閲覧者からの連絡を受けて発覚、区は情報を削除、保護者らに謝罪する。(産経west、1月7日) 〔掛札コメント〕 いつも申し上げていますが、「人間はミスをする生き物」「人間は注意を集中できない生き物」です。それを前提にして、「ミスを減らす手順」だけでなく、「誰かしらがミスに気づける」「ミスを指摘できる」具体的な行動システムを作ることが不可欠です。

▶〔架空伝票で65万円着服〕 高知市の民間保育園で、会計を担当していた職員が2007~2012年度にかけ、架空の物品取引などで施設運営費を着服していたことがわかった。不自然な物品購入に気づいた法人側が本人に確認し、業務の委託元である高知市に報告した。現時点で判明している着服額は約65万円で、職員は2014年12月末に懲戒免職。市は直後に特別指導監査を行い、調査継続などを指導。調査等は現在も続いている。(高知新聞、1月6日)

▶〔虐待で、業務停止命令〕 鳥取市の保育園で、男性園長が乳幼児をたたいているという匿名の電話が鳥取県に入り、県が聞き取りをした結果、この園長が以前から、よく泣く子どもに対してひんぱんに頬をたたくなどしていたことがわかった。また、保育士数が基準に満たないにもかかわらず、辞めた保育士の名前などを勝手に使って業務をしていたことも明らかになった。県は、保育園に対し、2015年3月末までの業務停止命令を出し、今後、虐待や保育の状況についてくわしく調べる。(テレビ朝日、12月28日)



アレルギー、食

▶〔米飯に2センチのボルト〕 徳島県の市立幼稚園で12月21日、提供された給食の米飯に長さ約2センチ、太さ約0.5センチの金属製ボルトが混入していたことがわかった。米飯を食器によそう際、教諭が気付いた。旧池田町と旧井川町の小中学校に米飯を納入している民間業者の洗米機のボルトが1本なくなっていたという。他に混入の報告はなかった(毎日、12月24日)。 〔掛札コメント〕「給食の異物混入はゼロにできないのか」と時々お尋ねがあります。人の手で短い時間に作られている給食ですから、小さい虫や髪の毛、包装のビニール袋の切れ端といったものの混入はゼロにはできないでしょうし、(同じ箇所で繰り返されない限り)そこまで神経質になる必要もないのではないかと私は個人的に思います。けれども、機械の破損はシステム上の問題であり、異物混入だけでなく、給食提供全体に関わるものですから、こうした事例はできる限りゼロにする努力をする必要があるでしょう。

▶〔20代男性、カフェイン中毒死〕 「エナジードリンク」と呼ばれるカフェイン入り清涼飲料水などを(仕事で眠気を覚ますため)常飲していた20代男性がカフェイン中毒で死亡したことが、12月21日、福岡大学法医学教室の分析でわかった。胃の内容物と血液から、致死量のカフェインが検出されたもの。同教室の教授によると、カフェイン中毒死が国内で確認された例(自殺を除く)は今回が初めてという。厚生労働省生活衛生・食品安全部は「過去10年のデータを調べたが、カフェインによる中毒死の報告例はない。大学側と連絡を取りたい」としている(時事、12月21日)。〔掛札コメント〕 子どもがエナジードリンクを飲んでいるところ、エナジードリンクの配布イベントで子どもに手渡しているところなどを目にします。カフェインはおとなでも中毒死を起こしますし、子どもにとっては健康を害するリスクが高い物質です。驚いたのは、このニュースの厚労省のコメント。「カフェイン 死亡(caffeine death)」と英語で検索すれば、山のように海外の事例が出てくるのに、「日本ではない」と驚くあたりが…。このNPOの「トピックス」の「各種の誤嚥と誤飲」で書いた磁石の話なんて、厚労省の人はまったく知らないのでしょう(日本は、子どもの興味をひく小さな磁石だらけです!)。そして、ニュースになったら「日本には例がない」と言うのでしょう。「海外で起きていても、日本では起こらない」とでも思っているのかどうか…。

▶〔給食に異物混入続く〕 青森県十和田市の給食センター管内で、10月から縫い針、紙など異物が混入する事態が相次いでいるとのこと。11月30日には、筑前煮を盛り付けた皿に直径約6ミリのエアガンの弾が混じっているのに生徒が気付いた(TBSニュース、10月2日)。 〔掛札コメント〕 異物混入を完全にゼロにすることなど不可能ですが、続く場合は、システムのどこかに問題があるか、誰かの意図(犯罪性)があるか、いずれかが示唆されますので、検討は必要でしょう。

▶〔給食異物で口内を切る〕神奈川県厚木市の市立中学校で、11月12日に提供された給食に混入していた異物によって、3年生が口内を切った。教育委員会によると、異物は1センチ四方の骨片。ソースがけの鶏肉に混じっていた。肉は愛知県内の業者が製造した加工品で、市学校教育委員会の給食センターで温め直して提供された。同業者が提供した他の3校では異常は報告されておらず、製造工程で混入した可能性が高いとみている。(11月13日、神奈川新聞) 〔掛札コメント〕 保育園ではありませんが、ケガ事例でしたので。給食提供の全過程で異物混入自体を防ぐことは非常に難しいと思いますし、飲みこんでも排泄されるならそれほど危惧することではないと私は思います。そのようにして、まったく気づかれていない異物混入(ヒヤリハットにならないニア・ミス)は多数起きているはずです。では、許容できない範囲は? 考えるとなかなか難しい課題です。

▶〔食物アレルギー対応について〕 「子供の食物アレルギー対策 『念のため除去』より経口負荷試験」(産経、6月17日)

▶〔販売されている母乳について〕 厚生労働省が「インターネット等で販売される母乳に関する注意」を出しました。

▶〔乳幼児のサプリメント摂取〕 1~6歳の子どもを持つ母親を対象にした調査の結果から、8%が子どもにサプリメントを与えていることが明らかになった。与え始めた時期は2歳が最も多かったが、約1割は0歳から食べさせていた。与えた理由は「食事だけでは栄養不足な気がした」がトップで、「なんとなく健康によさそう」「好き嫌いが目立ち始めた」が続いた。製品に含まれる成分は30種類以上にのぼり、ビタミン類やカルシウムが上位を占めた。調査を実施した厚労省研究班の主任研究者、梅垣敬三国立健康・栄養研究所情報センター長は「ビタミンやミネラルも過剰に摂取すれば、健康への悪影響が懸念される。成分の含有量や摂取量に注意してほしい」と話している。調査は2013年2月、インターネットで実施され、1~6歳の子どもを持つ20~40代女性が対象。2063人から回答を得た。「サプリメントを与えたことがある」と答えた母親は165人(8%)。(時事、5月24日)

▶〔食物アレルギー対応の指針〕 文部科学省の新しい『学校給食における食物アレルギー対応指針』と関連情報は、こちらのページにまとめられています。

▶〔給食異物でケガ〕 三重県名張市の市立小学校で、2月9日に出された給食のかす汁に約2センチの金属片が混入、食べた5年生が口の中を切るケガをした。金属片は同小の調理室で使っていた野菜裁断機のアルミ製容器の一部とみられ、9日の調理時に野菜を投入して切った際、鉄製の刃が容器の一部に当たって容器を削り、食材に混じった可能性が高いという。児は金属片に気づき、すぐに吐き出したが、念のため診察とレントゲン検査を受けた。体内に異物はなく帰宅。しかし、夕食時に右側歯ぐきの一部に浅い切り傷があることがわかった。同小は、保護者あてに経緯を書いた文書を配布、同小の調理器具の入れ替え、他校の調理器具の一斉点検などの対策をとった(読売、2月11日)。〔掛札コメント〕 異物混入をゼロにすることはできませんから、この事例のように迅速・適切な対応をすることが肝要だと思います。とはいえ、この事例のように実際にケガをすることもあるのだと考え、深刻な結果に至る可能性のある物・食材の混入は予防する取り組みが大事です。

▶〔食物アレルギーの誤食、保育所の6割〕 総務省中部管区行政評価局(名古屋市)が2014年5月、愛知県内の保育所や幼稚園を対象に実施した調査から、過去3年間に起きた食物アレルギーの原因食物の誤食は保育所の62.6%、幼稚園の19.4%であったことが明らかになった。飲食前の配膳ミスが7割以上。施設側からは「食物アレルギーのある子どもが増えて、原因物質の除去が複雑になっており、調理員を増やしてほしい」「専門知識のある人がおらず、恐ろしい」など不安や要望を訴える声も集まった。調査は2040施設から405施設を抽出、74.3%から回答を得た。(中日新聞、2月6日)。 〔掛札コメント〕 職員がアレルゲン物質の混入や食事の取り違えに気付かず、「その日に限って」症状が出なかった、または気づかないほどの症状しか出なかった場合、「誤食」と気づくことはありません。ということは、実際の割合はこれよりも高いことになります。そして、この数字はあくまでも「経験した施設の割合」であって、発生件数ではありません。回答しなかった施設が約4分の1あることもお忘れなく。

▶〔東京都の食物アレルギー対応マニュアル〕 東京都が出した「食物アレルギー緊急時対応マニュアル」。2013年夏に出たものですが、ご参考までに再掲します。

▶〔アレルギー科、学会指針と違う治療実態〕 厚生労働省研究班の調査(2014年2~3月、郵送アンケート)から、アレルギー科の医師が、関連学会の定める指針と異なる治療をしている実態が明らかになった。医師1052人が回答し、うち日本アレルギー学会が認めるアレルギー専門医は約30%だった。アレルギーには疾患が多く、すべてにくわしい医師は少ないが、たとえば、アナフィラキシーの既往がある症例に対する対応を問うた質問に対して、「エピペンを処方する」と答えた医師は49%だった。(朝日、1月5日) 〔掛札コメント〕 以前にもどこかで書きましたが、こうした調査の場合、研究対象の母数が書かれていないと、解釈に非常に困ります。アンケートを送った病院数はいくつなのか、それぞれの病院のアレルギー科に何人の医師がいるのか、全体の医師の数は(だいたい)何人なのか、その数字がわからないと、「1052人が回答」「49%が『エピペンを処方する』と答えた」の意味がわからないのです。社会心理学の視点から考えれば、こういった内容に関心があり、取り組んでいる病院や医師ほど、回答を返してきやすいでしょうから、回答行動自体に偏りがあるはずです(=未回答者も含むと、指針に沿っていない病院や医師はもっと多い可能性が高い)。こういった記事では、必ず母数や回答率を書いていただきたいと思います。

▶〔基準以上の残留農薬野菜を提供〕 岩手県盛岡市の学校給食で、国の基準を超える残留農薬が検出されたチンゲンサイが使われた問題で、北上市教育委員会は2014年11月20日、同じ農家のチンゲンサイを同市内でも19日に学校、幼稚園、保育園に提供していたと報告した。健康被害の報告はないという。(2014年11月21日、毎日新聞他)



感染症

(集団感染は、時期の初めのものや感染者の多いものを掲載)
▶〔餅つき会で41人、ノロ感染〕 東京都八王子市内の私立保育園で12月9日午前に開かれた餅つき会で、3~5歳の園児25人を含む41人(保育士、保護者を含む)がノロ・ウイルス集団感染により、下痢・嘔吐などの症状を発症した。餅つきには園の栄養士らも参加していたが、大勢が餅つきに加わっていたことから、都は行政処分は出していない。(12月17日、産経)

▶名古屋市内など、愛知県の13の幼稚園や保育園で食中毒が発生し、園児ら618人(職員3人含)に下痢・嘔吐等の症状が出た。園児29人が入院。保健所は14日、大府市の業者が各園に配達した弁当が原因と断定し、再発防止策が講じられるまでの間、営業禁止処分とした。 9~11日に発症。発症者25人の便からノロウイルスとサルモネラ菌が検出された。10日午後、名古屋市食品衛生課から県に通報があり保健所が調べたところ、発症者に共通する食事はこの業者が7、8両日に調理した弁当しかなかった。(時事、12月14日)

▶〔ノロ集団発生、餅つきが原因?〕 茨城県日立市の認定こども園で、12月7日までに園児ら131人(職員9人含。在園児の約半数)が嘔吐・下痢などの症状を訴え、5人からノロ・ウイルスが検出された。12月2日に餅つき大会が開かれ、この直後から症状を訴える園児が急増したことから、県は餅つき大会によって感染が広がった可能性もあるとして調べている。餅やきなこ等からは、ウイルスは検出されていない。(各紙、12月8日)

▶〔ノロ・ウイルス感染症〕 岐阜県多治見市の市立保育園で、園児62人と職員9人が下痢や嘔吐などの症状を訴えて欠席。1歳児1人が入院したが容体は安定しているという。別の園児1人と職員1人からノロ・ウイルスが検出された。(読売、11月3日)

▶〔サンマでヒスタミン食中毒〕 埼玉県久喜市の民間保育園で、ヒスタミンによる食中毒が発生。9月17日午前11時45分ごろ、園児18人と保育士ら16人が給食のサンマの一夜干しを食べたところ、約5分後から1、2歳児の14人と職員9人が口のまわりの発疹やかゆみなどを訴えた。午後4時ごろ、園長が幸手保健所に連絡、調査した結果、保存されていたサンマの一夜干しなどからヒスタミンが検出された(埼玉新聞、9月19日)。〔掛札コメント〕 例によって、横浜市青葉区のこちらの資料を…。

▶〔インフルエンザ集団感染〕 愛知県岡崎市の市立保育園(176人)の2~5歳児10人がインフルエンザA型に感染したと、市が発表。重症者はおらず、園は通常通り開園。8月31日から発熱症状のある児が相次いでみつかり、9月1日に2人、2日に8人の感染がわかった。(中日新聞、9月3日)

▶〔ヒスタミンによる食中毒〕 旭川市内の民間保育園で、給食を食べた園児17人がアレルギーに似た症状を起こすヒスタミンによる食中毒にかかったと、市保健所が8月6日、発表した。全員回復している(朝日、8月7日)。〔掛札コメント〕 過去のニュース・アーカイブを見ると、毎年、起きていますね…。ということで、横浜市青葉区のこの情報をまたまた再掲します。

▶〔ノロウイルス集団感染〕 熊本市の私立保育園で、0~6歳の園児77人が嘔吐や発熱などの症状を訴え、7人からノロウイルスが検出された。8月3日に市が発表したもので、発症は7月27日~8月1日。園内で調理した給食が原因と市は断定しているが、食べた日時は特定できていない。1人が一時入院したが、現在は全員が快方に向かっているという。(西日本新聞、8月4日)

▶〔ノロウイルスの集団感染〕 新潟県燕市の市立保育園で7月2日からノロウイルスの感染が拡大、3日には園児116人中34人が欠席した。ウイルスは給食関連からは検出されておらず、園児によって持ち込まれたとみられている。全員が快方に向かっている。(新潟日報、ケンオー・ドットコム、7月6日)

▶〔園児ら93人がO26感染〕 大阪府寝屋川市の保育園で、1~6歳児84人ら計93人から腸管出血性大腸菌О26が検出された。職員1人を含む70人に下痢などの症状が出たが、重症者はいない。府によると、22日に市内の医療機関から3歳児の感染届出があり、保健所が調査したところ、別の園児や職員からも感染を確認した。感染経路は不明。(産経west、6月29日)

▶〔伝染性紅斑(りんご病)で流行警報:東京都〕 東京都内で6月21日までの1週間に331人の伝染性紅斑の患者報告があり、8つの保健所管内で「警報レベル」の基準を超えたことから、東京都は流行警報を出した。都が流行警報を出すのは、16年前に調査を開始してから初めて(各紙、6月25日)。感染性紅斑については、国立感染症研究所のこちらをご覧ください。

▶〔ノロ集団感染で給食停止処分〕 埼玉県志木市の認可保育園で3月4日、給食を食べた園児28人と職員7人のうち、1~3歳児14人と職員6人の計20人が嘔吐・下痢を発症、園児ら7人と調理担当者1人からノロ・ウイルスが検出された。保健所は3月8日、園内で給食を調理している給食業者を3日間の給食停止処分にした。(産経、埼玉新聞、3月9日)

▶〔保育士が原因となった疥癬の集団発生事例〕 2014年9月、東京都内の保育所で起きた疥癬の集団事例について。疥癬は人の皮膚角質層に寄生するヒゼンダニによって引き起こされる、ヒトからヒトに感染する疾患。1歳の担当保育士が(手荒れから?)角化型疥癬に罹患したため。(国立感染症研究所、2015年2月)

▶〔インフルエンザ、早急に受診と治療を〕 米国CDCによると、今期のインフルエンザ・ワクチンの効果は23%と、例年よりも低いとのこと。これは、今期のワクチンが決まり、生産が始まった直後に、最も主流となるA型(H3N2)の変異型が多数発生、ワクチンに含まれていない型が多く流行しているため。CDCでは、「インフルエンザが疑われた場合には、早く受診をする。そして、ワクチン接種の有無にかかわらず、重症化を防ぐため、抗インフルエンザ薬による治療を」と呼びかけている。一方で、「ワクチンを接種することで、重症化を防ぐこともでき、ワクチンに含まれている他の型の感染も防ぐことができる」として、接種を推奨している。ちなみに、「効果が23%」とは、「ワクチンを接種すると(していない場合に比べて)、病院を受診する必要があるような症状を発症する割合が23%下がる」という意味。インフルエンザ・ワクチンは、本来、この割合を半分(50%)に減らすことができるはずなので、今年は本来の効果の半分、となる。(National Public Radio、1月15日)



その他の安全、健康

▶〔乳幼児の突然死に関する記事〕産経新聞に「5年で乳幼児59人死亡 見過ごせない保育施設での『突然死』 乳幼児の預かり初期に注意」が掲載されています(12月16日)。本ウェブサイトの「役立つリンク」の「睡眠中、救急法など」の4つめに出てくる保育者研修プログラムも紹介されています。

▶〔子ども・子育て支援新制度〕 自治体向けの「よくある質問」等、内閣府のサイトに掲載されました。

▶〔子ども・子育て会議の内容一覧〕 1回目からの資料等がすべて掲載されています。

▶〔全国児童福祉主管課長・児童相談所長会議資料〕 平成27年度全国児童福祉主管課長・児童相談所長会議の資料です。虐待関連の資料が掲載されています。

▶〔ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等〕 厚生労働省から一連の情報が公表されています。

▶〔最近の統計〕 「平成27年度版厚生労働白書(人口減少社会を考える)」、「平成26年度被保護者調査」、「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査(平成26年度)」、「体力・運動能力調査(平成26年度。6歳以上)」。

▶〔「人口減少社会に関する意識調査」の結果〕 厚生労働省から、標記の意識調査の集計結果が発表されました(10月27日)。子育てに関する不安や子育て支援に対する意識なども調査項目に入っています。

▶〔児童虐待防止対策〕 社会保障審議会児童部会「児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会」がまとめた報告書です(8月28日)。

▶〔統計:市町村の待機児数など〕 「統計でみる市区町村のすがた」(6月24日公表のもの)。こちらの「J 福祉・社会保障」(エクセル)を開くと、市区町村ごとの保育所数、待機児童数、在所児数などを見ることができます。  ●こちらは「衛生行政報告例」の平成26年度。2014年をクリックするとこちらのページに飛びますが、11以降の複数の表に看護師の「就業場所・性・年齢階級別」の人数があります。  ●もうひとつ、特に保育の話ではありませんが、「平成26年度 過労死等の労災補償状況」はこちらのサイトに。(8月30日)

▶〔通園幼児の約10%が夜型〕 国立保健医療科学院などが行った全国調査から、幼稚園や保育園に通う3~6歳児の約10%が、早寝早起きが苦手な「夜型」の生活パターンを持っていることがわかった。全国にあてはめると、少なくとも約30万人にあたる計算(全国約420万人の3~6歳児中、通園しているのは約300万人〔2013年〕であるため)。一方、「朝型」は約33%、「中間型」が約57%。この調査に先立つ小規模試行調査によると、朝型の代表的な入眠時刻は午後8時50分、中間型は午後9時半、夜型は午後10時。完全に目が覚めるのは、朝型は午前6時40分、中間型は午前7時10分、夜型は午前7時半に相当した。
 調査は2013年10~12月、幼稚園と保育園に通う全国の幼児の保護者1万人余りを対象に「毎朝午前6時に起きるとすれば、どのくらい難しいか」など目覚めと眠気に関する10問について3~5個の選択肢の中から回答を選ぶ質問票を配布して実施した。有効回答数は7656人。
 成長や行動に問題が生じることが懸念される幼児の夜型が依然として多い実態が示された。(各紙、8月9日)

▶〔21世紀成年者縦断調査〕 厚生労働省が実施している縦断調査の結果。子ども観や子ども数、「子どもがほしい」「ほしくない」理由、の他、夫の家事・育児時間等も。 〔掛札コメント〕夫の家事・育児時間だけではなく、妻の家事・育児時間も調査・報告しなかったら、比較のしようがありません。

▶〔子どもの数の推計〕 子どもの日にちなんだ、子ども(15歳未満)人口の推計結果はこちら(総務省統計局)

▶〔地域児童福祉事業等調査の概況〕 厚生労働省が3年周期で、保育を中心に「市町村」「認可外保育施設利用世帯」「認可保育所利用世帯及び認可外保育施設」について調査しているもの。今年度は、「認可外保育施設利用世帯」に対して平成25年10月1日に実施した調査の結果。

▶〔児童虐待と福祉犯罪の検挙件数〕 平成16年~25年の児童虐待と福祉犯の検挙状況をまとめた警察庁の資料(福祉犯罪:18歳未満の心身に有害な影響を与え、福祉を害する犯罪)。 〔掛札コメント〕 虐待の検挙事件の被害児童の年齢(7ページ)、児童ポルノ事件の送致事件で被害にあった児童の年齢(10ページの一番下の表)などが、保育園に特に関係のある数字でしょうか。最後に、事例も少し掲載されています。ただし、これらはあくまでも検挙された数であり、犯罪自体の実数ではないことに注意してください。

▶〔全国健康関係主管課長会議の資料〕 結核感染症課の資料には、未就学児にも関連のある情報が掲載されています。

▶〔全国児童福祉主管課長会議の資料〕3月17日に開かれた会議の資料です。保育課・幼保連携推進室関係の資料も掲載されています。

▶〔働き方・休み方改善指標〕 厚生労働省の『働き方・休み方改善指標:効率的に働いてしっかり休むために』が出ました。保育施設の職員の皆さんにも大切な内容です。

▶〔放射線に関する情報サイト〕 環境省が「放射線による健康影響等に関するポータルサイト」を開設しました。保護者とのコミュニケーションなどにご活用ください。

▶〔虫よけ剤と空間除菌剤、「合理的根拠なし」〕 保育園でも使用されている虫よけ剤(「吊り下げるだけで虫をよせつけない」といった表示)、空間除菌剤(「置いておくだけで」「首から吊るしておくだけで」まわりのウイルスや菌を除菌するという類の表示)の複数の商品について、消費者庁は景品表示法に違反する行為、すなわち表示を裏付ける合理的根拠が示されず、同法第1項第1号(優良誤認)等に該当するとして、以後、同様の表示を行わない等を命じる措置命令を出しています。虫よけ剤の措置命令文書はこちら。空間除菌剤の措置命令文書はこちら。商品名とメーカー名も記載されています。 〔掛札コメント〕 要するに、「効果があると裏付ける根拠がない」ということです。「予防したつもり」になって他の対策を怠るくらいなら、使うべきではないと私は思いますが…。保護者から「効果がないのに使っているの?」と指摘を受けることも十分にありえます。

▶〔厚生労働省から情報2つ〕 「職場におけるメンタルヘルス対策」はこちら。「平成26年度全国厚生労働関係部局長会議(労働分科会)資料」はこちら。(7) が雇用均等・児童家庭局の資料です。

▶〔児童虐待予防の情報〕 厚生労働省の「児童虐待防止対策、DV防止対策、人身取引対策等」。児相共通ダイヤルと一覧、親権制度の見直し、虐待発生予防、虐待による死亡事例の検証など、さまざまな情報がまとめて掲載されています。

▶〔昨年1年間の人口動態〕 この表番号1のPDFの4ページをご覧ください。都道府県別、および21大都市の昨年1年間の人口動態があります。自然増(出生数が死亡数を上回る)の県は沖縄のみ。あとはすべて自然減(死亡数が出生数を上回る)。けれども、21大都市を見ると、自然増の都市もあります。

▶〔平成26年度全国厚生労働関係部局長会議(厚生分科会)資料〕 13が、「雇用均等・児童家庭局」の資料とプレゼンテーションです。

▶〔平成25年社会福祉施設等調査の概況〕 保育所も含まれています。「施設の状況」をクリックしてご覧ください。

▶〔子どもへの向精神薬の処方、増加〕 2002~04年と2008~2010年を比べると、6歳~12歳でADHD治療薬の処方が1.84倍、抗精神病薬の処方が1.58倍に増えていることが、医療経済研究機構と国立精神・神経医療研究センター等による初の全国調査で明らかになった。13歳~18歳では、ADHD治療薬の処方が2.49倍、抗精神病薬の処方が1.43倍、抗うつ薬の処方も1.31倍。1人の子どもに複数処方する例も多く、抗うつ薬を処方された13~18歳の58%に、抗不安薬・睡眠薬が、36%に抗精神病薬が併用されていた(読売新聞、1月13日)。 6歳~12歳の人口1000人あたりの処方件数は、気分安定薬が3.6件、ADHD治療薬が1.5件、抗精神病薬が1.2件、抗うつ薬が1.2件だった。件数は少ないが、0歳から5歳の幼児に対しても、抗精神病薬などの処方が確認された。(詳細が載っている読売新聞、1月19日の記事はこちら

▶〔平成26年版厚生労働白書〕 平成26年版厚生労働白書が公表されました。概要版はこちら。「100人でみた日本、日本の1日」はこちら。「100人でみた日本、日本の1日」は22年からありますので、比較してみるのも興味深いと思います。〔掛札コメント〕 「日本の1日」によると、6歳未満の子どもをもつ親が育児、家事に費やす時間は、夫が1時間7分(先進諸国で最低水準)、妻が7時間41分だそうです。

▶〔平成26年人口動態統計の年間推計〕 ページの一番下にあるエクセル・ファイルで、いくつもある図をご覧になると、日本における人口の変化がよくわかります。(1月1日、厚生労働省)