5 附 (1) 絞扼事故事例(過去のニュースから)

 首はさみ、首ひっかかりの予防には、2-2の「4つの危なさ」をご活用ください。


〔給食用エレベーターに挟まれ、死亡〕2023年8月21日午後4時10分頃、東京都江戸川区の市立小学校で給食搬送用エレベーターの点検を行っていた業者作業員がエレベーターと壁の間に首のあたりを挟まれた。消防に救助されたが、死亡が確認された。当時1人で作業中だった。〔掛札コメント〕これは上の事故とは異なり、2人で作業をしたほうが…。

〔園庭でロープが首に巻きつき、重体〕埼玉県久喜市の認可保育園で2023年5月2日午前10時半頃、「園庭の遊具のロープが首に巻きつき、園児の意識がない」と消防に通報があった。この3歳児は搬送されたが、意識不明の重体。土を盛って作られた山にあったロープが児の首に巻き付いているのを、他の園児が見つけて保育士に知らせたという。事故時は、園児を外で遊ばせる時間で、園庭では34人の園児に6人の保育士がついていたという。
→意識が回復(5月24日に判明)。
→久喜市は5月16日、児童福祉法などに基づいて特別指導監査を開始した。昨年10月末に通常の立ち入り検査を実施していたが、ロープは把握していなかった。警察などによると、事故が起きた遊具は高さ数メートルの盛り土の上に木製の柵があり、柵の一部に長さ数メートルのロープをつなぎ、斜面に垂らした構造。園児たちはロープを手に昇り降りしていたとみられる。ロープは常設しておらず、取りはずしでき、事故当日に取りつけたとみられる。

〔保育園の複合遊具。首がはさまる〕岡山県岡山市北区の認可保育園で2021年10月14日、2歳児が遊具のすき間に首がはさまり重体に。翌15日、死亡。児は園庭で遊んでいた(子ども17人、保育者3人)。姿が見えなくなったため、保育士が滑り台や雲梯などの複合遊具を確認し、約14センチの隙間に頭を入れ、立ったような状態になっているのを見つけた。園によると、遊具の下を三輪車で通って頭をぶつけそうになる園児がいたため、通れないように園が仕切り板を取り付けていたという。男児が挟まっていたのは仕切りの上部のすき間。〔掛札コメント〕無駄で危険なすき間を放置しておかないでください。

(上写真右奥のボルダリング壁の裏が、下写真左に見える板。首がはさまったのは写真中央、しきりの上部にある横広のすき間)


〔公園のすべり台。縄跳びがからまる〕東京都江戸川区の公園で2017年1月3日午後、4歳児が死亡していたことがわかった。すべり台の斜面で、縄跳びが首にからまり窒息した状態でみつかった。ひもは片端がすべり台上部の柵に結びつけられていた。搬送後に死亡。〔掛札コメント〕ひも状のものを遊具等に結ばない。ひも状のものを放置しない。ひも状のものを持って遊んでいる子どもには、遊具等を使わせない。ひも状のものを使っている時は保育者がつき、出す時と片付ける時の管理は確実に行う。詳しくはこちら(2-2。4つの危なさ)


〔住宅敷地内の遊具。ランドセルのベルト〕2017年1月31日午後4時55分頃、大阪府大阪市住之江区の市営住宅の敷地内にある遊具の近くで1年生が意識不明の状態でみつかり、搬送された(4月2日に死亡)。ランドセルを背負っており、首には圧迫されたような痕があったという。児が遊具で遊んでいる最中に誤って落下、身動きできなくなり、首が絞まった状態になったと警察はみている。
 すべり台などを組み合わせた大型遊具で、ぶら下がったり登ったりして遊ぶ高さ約1.5メートルの金属製の格子状の部分に、首と両腕、背負っていたランドセルがひっかかった状態で宙づりになっていた。一緒にいた同級生は「遊具の格子を上から下に通り抜ける遊びをしていた時、パイプにひっかかった」と話した。遊具には、地上から約155センチの位置に金属製のパイプで37センチ四方の格子が組まれた部分があり、児が格子を抜けて地面に飛び降りようとした際、背負っていたランドセルがパイプにひっかかり、ベルトで首が圧迫されたとみられる。〔掛札コメント〕ランドセル以外にも、自転車のヘルメット、水筒のひも、服のフード等で起きています。


〔乗用車後部の収納スペース〕埼玉県内で2017年3月8日夜、停めてあった軽ワゴン車の後ろの収納スペースで小学生が頭を下にして動けなくなっている(心肺停止状態)のが見つかり、約4時間後に死亡が確認された。後部座席から身を乗り出し、収納スペースに置いてあった遊具を取ろうとして身動きが取れなくなったとみられる。
  児は、車後部の収納スペース(サブトランク、横約60センチ、縦約35センチ、深さ約30センチ)に頭を突っ込んだ逆立ちの状態でみつかった。外傷はなく、首に体重がかかったことによる窒息死の可能性が高いという。児が発見された時は、バスケットボールがサブトランクの外に出ていた。児がボールを取り出そうと後部座席から身を乗り出し、体勢を崩して頭から落ち、身動きできなくなったものとみられる。車は自宅の壁ぎりぎりに後部を寄せてとめており、バックドアは開かない状態。横のドアが開いた状態で、児は発見された。この車のメーカーは「聞いたことのない事故」と話している。〔掛札コメント〕収納のない保育園では、パーテーションや段ボールで部屋の隅を区切って玩具などをまとめて置いていますから、そのような場所で起こりえます。「見ているから大丈夫」…使っていない別の部屋に子どもが一人で行っておもちゃをとろうとしたら? 「収納場所がない」…今、使っていない部屋には子どもが入らないように!(置き去り/取り残し予防の研修会用資料)


〔掛札コメント、もうひとつ〕2013年、ジョージア州の高校で17歳の男子生徒が、巻いて立ててあったレスリング用マットの中で死亡しているのが見つかりました(下図)。外傷等はなく、上と同様の事故と見られています(両親は殺人だと訴えており、2022年時点で再捜査中)。


〔保育施設。雲梯のすき間に首がはさまる〕 ★検証報告書は「役立つリンク」
 2017年4月12日午前9時半頃、香川県善通寺市の民間保育施設から「3歳児が遊具にはさまれた」と119番があった。児は心肺停止状態で、病院に搬送された。保育施設によると当時は屋外で遊ぶ時間帯で、児は子ども用の雲梯で遊んでいたが、首がかかっているのを職員が見つけ、通報した。
→2018年1月24日、低酸素脳症で死亡。
(★以下の流れは報道によります。抜けや前後、誤りはご指摘ください)
→2018年2月28日、園長を業務上過失致死容疑で書類送検。園長は遊具の危険性を認識せず、保育士による見守りなどの事故防止措置を怠り、児を死亡させた疑い。
→運営法人や担任の保育士らに対し、児と両親が計約2億5000万円の損害賠償を求めて地裁に提訴(2018年12月20日付)。原告側は施設側に対し、児が首を挟んで窒息する可能性があり、すき間をふさぐなどの安全対策を取る義務があったと主張している。
→園長について、地方検察庁は嫌疑不十分で不起訴とした。国は、子どもの頭や首がはさまれて抜けなくなるようなすき間を遊具に設けてはならないという指針を守るよう求めており、危険性を認識せず、安全対策を怠ったとして、業務上過失致死の疑いで書類送検していた。2019年1月24日、「事故があった雲梯は指針が求める基準を満たしていなかったが、70ページ以上に及ぶ指針を読んで理解するのは困難で、子どもがすき間に首をはさんで死亡することを予見するのは難しかった」などとして不起訴にした。
→両親が運営法人と園長、保育士に計約5500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決(2020年1月28日、地裁)。「遊具の危険性を放置し、組織として過失がある」とし、法人に約3100万円の支払いを命じた。はしごと筋交いの間の角度(約44度)は、業界団体が定めた安全基準(55度以上)より狭かったが、園は購入した遊具について基準や危険性を認識していなかった。判決では、園長と保育士が「事故を予想するのは困難だった」として2人の過失は認めなかった〔掛札コメント〕現場にとってわかりにくい、実際に使えない指針を作っている国の責任は? 「指針が理解しにくいから、予見は難しい」とは、理解しがたい理屈です。なによりまず、この遊具を作ったメーカーの責任は?



〔ベッドガードで死亡〕東京都内で2017年9月12日、生後6カ月児がベッドガードとマットレスの間に挟まり、死亡。同様の死亡事故は8月にも都内で発生。〔掛札コメント〕ベッドガード(バンパー)の危険はこちら(3-4)

〔小学校。遊具ロープで首つり状態〕2015年6月1日午後4時40分頃、静岡県沼津市の市立小学校の校庭で、4年生が遊具に備え付けのロープで首つり状態になっているのを、一緒に遊んでいた児がみつけた。ドクターヘリで搬送(その後は不明)。救急隊が来た時には意識があり、うなずくなど意思表示ができたという。遊具は、木製の斜面を上り下りするアスレチック。左右両側にロープが備えられているが、児は高さ2.5メートル前後の頂上付近で、輪になっていたロープに首がひっかかった状態だった。児は午後2時半に下校し帰宅した後、再び学校へ遊びに来ていたとみられる。

〔おもちゃの袋で首つり〕北海道旭川市のアパートの外階段で2015年4月25日午後3時頃、近くに住む小学2年生が手すりに袋を輪になるようにくくりつけ、首をつっているのを友人がみつけた。意識不明の重体。袋はプラスチック製のおもちゃの刀を入れていたもので、細長い形。児は階段の鉄柵にこのポリ袋を巻き、首を入れて遊んでいたという。

〔河川敷の「秘密基地」で首がひっかかる〕2015年2月14日夕方、熊本県芦北町の河川敷で木にかけられた縄に小学6年生の首がひっかかり、意識不明の重体。木は太い幹から複数の枝が広がり、複数の枝に縄が横に張られたり、下に垂らされたりしていた。子どもたちは「秘密基地」と呼んでここで遊んでいたという。児は、他の2人の子どもと遊んでいたが、近所のおとなが帰宅を促し、一度は帰宅。間もなく、この児だけが河川敷に戻り遊んでいたという。

〔公園遊具。犬のリードが巻きつく〕2014年8月6日午後5時40分頃、兵庫県神戸市須磨区の公園の遊具で、ヒモが小学4年生の首に巻きついた状態になっているのがみつかった。意識不明の重体、11日午前に死亡。ヒモは犬のリードで、すべり台と雲梯が一体となった複合遊具の雲梯部分(高さ2.3メートル)にかけて遊んでいた際、首に巻きつき、宙つり状態となったもの。一緒にいた児のきょうだいや友人らが騒いでいるのを聞きつけ、近所の人が発見、通報した。

〔校庭の雲梯〕2012年10月12日午後1時半頃、福岡県北九州市の小学校校庭の雲梯で4年生が首をつった状態でいるのがみつかった。16日死亡。雲梯中央の頂点部分(高さ2.08メートル)に上着(長袖パーカ)の両袖が結びつけられており、その間に児の首がかかって宙づりの状態になっていた。いじめ等の示唆はないという。