6 附 (2) 餅つきによるノロウイルス集団感染。食物アレルギー。植物による健康被害。化学物質誤飲による健康被害(過去のニュースから)


餅つきによるノロウイルス集団感染

 白玉(4-2)との関連で「餅つきは?」という話になります。餅つきという行事をすること自体は大事ですが、ついた餅を食べなければならないという決まりはどこにもありません。誤嚥窒息以前に、ノロウイルスの集団感染の原因になります。

東京都福祉保健局のサイトに載っている事例

▶東京都大田区の区立小学校で2018年12月1日に行われた餅つき大会で、児童と保護者あわせて71人が下痢やおう吐などの症状を訴えた。保健所が調べた結果、20人の児童からノロウイルスが検出され、餅が原因の集団感染とわかった。

▶愛媛県西条市の市立保育所に通う幼児47人、保護者と職員28人が2017年1月14日以降、嘔吐や下痢の症状を訴えた。発症者の便からノロウイルスが検出され、13日に保育所で行われた餅つき大会で提供された餅を食べていたことがわかり、県は餅が原因の集団食中毒と断定。29人が受診。

▶熊本県南小国町の保育園(園児数26人)で2016年12月8日に行われた餅つきで、園児や家族ら52人(0~89歳)が食後に下痢、嘔吐の症状を訴えた。餅からノロウイルスは検出されなかったが、発症者が共通して食べたものが他になく、持ち帰った餅を食べた家族も発症したことから、餅が原因と判断。10日までに発症したのは、園児18人、職員6人、園児の家族計28人。

▶東京都八王子市内の私立保育園で2015年12月9日に開かれた餅つき会で、3~5歳の園児25人を含む41人(保育士、保護者も)がノロウイルス集団感染により、下痢・嘔吐などの症状を発症した。餅つきには園の栄養士らも参加していたが、大勢が餅つきに加わっていたことから、都は行政処分を出していない。

▶茨城県日立市の認定こども園で、2015年12月7日までに園児ら131人(職員9人を含む。在園児の約半数)が嘔吐・下痢などの症状を訴え、5人からノロウイルスが検出された。12月2日に餅つき大会が開かれ、この直後から症状を訴える園児が急増したことから、県は餅つき大会によって感染が広がった可能性もあるとして調べている。


食物アレルギー

 特に大事なもの、特徴的なもの数件のみを掲載します。

〔納品ミスでアレルギー発症、保護者確認用のメニューにも成分記載ナシ〕2022年11月28日、大阪府四條畷市の小学校と中学校で、給食のお好み焼きを食べた児童生徒あわせて8人がアレルギー症状を訴え、1人が病院に搬送された。市の給食センターでは、卵と山芋を使わないお好み焼きを業者に発注していたが、卵と山芋が使われた商品が誤って納入され、それに気づかないまま給食で提供したという。また、市では、事前に保護者が献立表に記載された成分を確認し、アレルギーのある食品は配膳しないようにしているが、この日のお好み焼きの成分には、卵や山芋の記載はなかったという。

〔製造工場が一時的に変更され、アレルゲン記載漏れ〕千葉県八街市の市立小中学校で2022年6月2日、給食のアレルギー食品一覧表に記載漏れがあった。「テーブルロール」に含まれる「大豆成分」が漏れていたもの。テーブルロールは通常、大豆不使用のマーガリンを使用し、一覧表には「小麦」「牛乳」を記載している。しかし、この日は製造を担う市内の工場設備が故障し、市外の工場で製造。材料には大豆が含まれたが、学校給食センターがアレルギー情報を記した原材料成分表の確認を怠ったという。〔掛札コメント〕この種の誤りが起こると、現場では対応のしようがありません…。

〔アレルゲンが入ったハムを納入〕岡山県真庭市、美作市の教育委員会は2021年6月1日、アレルゲンがないとして2018年3月から今年4月まで、学校、園の給食に提供されていたハムに、実際にはアレルゲン(乳成分や卵)が含まれていたと発表した。健康被害は報告されていない。真庭市では小学校やこども園など12カ所、美作市ではこども園と保育園の計2園で提供されていた。ハムは岡山市内の業者が加工し、別の業者を通じて納入。両教委は納入業者に対し、食品表示が改善されるまで加工業者とのハムの取引停止を指示した。〔掛札コメント〕製造段階でアレルゲンが入っていて、それが表示されていないなら、納品チェックをしようと何をしようと予防はできません。

〔保育士の機転でアナフィラキシー搬送〕2018年、神奈川県秦野市の私立保育園で、保護者も気づいていなかった食物アレルギー(クルミ)を症状から保育士が判断、保護者に連絡がつかなかったものの救急搬送を要請し、2歳児は一命をとりとめた。子どもの異常をみつけたクラスリーダーの保育士は、「(救急要請は)当然のこと。毎日子どもたちのことを注意してみているので、体調の変化にも気づくことができる」と話したといい、保護者も「運ばれてくるのが遅かったら命に関わったと医師から言われた。こうした保育士がいることで安心して働くことができる」と話した。〔掛札コメント〕「診断書が出ていないから」「食べているはずがないから」ではなく、「症状が出ているから」を優先させた判断はすばらしい!です。ただ、クルミやピーナッツ等の木の実類は劇症のアレルギーを起こす確率の高いものですから、家庭でクリーム状のもの等(木の実そのものは誤嚥窒息の危険)をよほど食べてからのほうがよいかと…。

〔食物アレルギーの臨床研究で、一時心肺停止〕神奈川県立こども医療センター(横浜市)で、臨床研究に参加していた子どもが重いアレルギー症状を起こしていたことがわかった(2017年11月)。「経口免疫療法」で、患者200人に対して入院させて安全を管理した状態でアレルギー原因食の摂取量を徐々に増やし、退院後も一定量の摂取を続ける「急速法」を行っていた。今年、この臨床研究に参加していた牛乳アレルギーの子どもが、入院を終え医師の指導のもと、自宅で牛乳を飲み続けていたが、約3か月後、牛乳を飲んだ直後に重いアレルギー症状があらわれ、一時、心肺が停止して脳に障害が出、現在も治療を続けているという。
 「経口免疫療法」は日本が先進的に取り組んでいる治療法で、2015年の時点で全国の約8000人がこの治療法を受けているという報告がある。治療法の中には食べる量を増やす初めの段階で、ゆっくりと量を増やす「緩徐法」や急激に増やす「急速法」など複数の方法があるとされている。日本小児アレルギー学会の診療ガイドラインでは、一部の症例に効果があるとする一方、治療中にアナフィラキシーなどの重篤な症状が出ることがあるほか、治療が終わった後に症状が出る場合もあるなどの問題があるとされ、一般診療としては推奨されていない。このため学会では、この治療法を行う場合、食物アレルギー診療を熟知した専門医が行うことや、症状が出た場合の救急対応の準備をしっかりと行っていることなどを条件に臨床研究として慎重に行うことを求めている。
→この報道後に行われた日本小児アレルギー学会の緊急調査から、食物アレルギーの子どもの治療中、自力呼吸が難しくなるなど、重い症状が出た事例はこれまでに18件あったことがわかった。食物アレルギーの診療を行っている全国344の医療機関を対象に行い、83%にあたる287施設から回答を得た。治療や検査に関連して起きた事例についても初めて調査をしたが、食べ物を口にしてアレルギーの診断を行う検査では5人、アレルギーの原因となる食べ物を少しずつ食べる治療法「経口免疫療法」では、4人に重い症状が出たことがわかった(今回の神奈川の子どもを含む)。他の8人は誤食で、残りの1人は詳しい状況がわからないという。
→日本小児アレルギー学会が実施していた調査結果(2018年6月)。 2008年から去年までに試験や誤食も含めると、重いアレルギー症状が16施設で18例あり、うち13例は意識障害に至っていた。調査をまとめた医師は、「経口免疫療法はまだ臨床研究の段階で、慎重にすすめる必要がある。アレルギーが出た際の初期対応の周知徹底を繰り返し行ってほしい」などとしている。 〔掛札コメント〕園では「少しずつ食べさせる」をしてはいけません。「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」(厚生労働省)の43ページに「園では完全除去か解除かのどちらかのみ。何グラムは食べてよいはナシ」とあります。同ガイドラインとQ&Aは「役立つリンク」参照。

〔「また」アレルギー児に誤食〕京都府宇治市の市立保育園で2017年6月13日、誤食が起きたと市が14日に発表した。給食で卵焼きのメニューが出され、卵アレルギーがある2人の子供は代替食を持参した。冷蔵庫に保管してあった代替食それぞれの袋には名前が書かれていたが、0歳児の食事の際、保育士が名前を十分に確認せず、もう1人の子供の代替食を提供したという。同市では小学校を含め、食物アレルギーの子供への除去食誤配などが4月以降相次ぎ、今回で3回目。〔掛札コメント〕ニュースのタイトル自体が、「また食物アレルギーでミス」でした。2017年のニュース・ページで「宇治市」と検索していただければ、4月と5月の誤食のニュースも出てきます。別の年でも、特定の自治体から誤食の事例が何度も報道されていることがあります。
 確かに、今回の取り違えは指差し声出し確認をして名前を読んでいれば、防げたはずです。では、「宇治市はなにしているの?」…、違います。宇治市をこの年に担当している記者さんが注目して報道を繰り返しているというだけで、誤食はどこででも起きているのです。ちなみに、今回のケースは「取り違え」ではありますが、どちらもタマゴ除去の代替食だったのですから、実際には「誤食」ではないのですよね…(2人とも卵のみの除去だとすれば)。
 食物アレルギーのできごとは、子どもが自分で手を出してしまったり、友だちからもらったりした場合でない限り、すべておとなのミス(ヒューマン・エラー)です。調理・配膳の流れの改善や指差し声出し確認によって減らすことはできますが、ゼロにはできません。その点をわかっておいてください。社会も「誤食イコールすべて過失」的なイメージを持たないでいただきたいと思います。誤食をゼロにしろと言われたら、保育施設も学校も食事など提供できなくなります。人間からミスをなくすことはできませんので。

〔アレルギー発症で2回搬送、書類送検〕宮崎市の認可保育園で2012年3月と2015年4月、重度の食物アレルギーがある5歳児がアレルゲンの含まれた食べ物を食べ、急性アレルギー症状を起こし、搬送された。市は運営母体の社会福祉法人に改善を指導している。園はアレルギーがある旨を保護者から聞き、別のおやつを用意したが、その中にもアレルゲンが含まれていたという。
 同園では2014年4月、児をあやそうとして保育士が高く抱え上げた際、児が天井の扇風機の頭にぶつけて、けがをした。こうしたことが重なったため、児は15年度に転園。保護者から相談を受けた市が立ち入り調査をして口頭注意し、再発防止策を講じるよう求めた。
→アナフィラキシーを繰り返し発症させたなどとして、業務上過失傷害容疑で社会福祉法人の理事長ら3人を2018年11月、書類送検。
→検察庁は2018年12月27日、業務上過失傷害の罪で園の調理師と保育士の2人を宮崎簡裁に略式起訴。園を運営する社会福祉法人理事長は不起訴処分。

〔原料表がついておらず、2児搬送〕愛知県刈谷市の学校給食で2013年12月16日、小麦アレルギーによる救急搬送が2件発生。搬送されたのは、小学校1年生と4歳園児。小学生は食べて間もなくアナフィラキシー・ショックで救急搬送。幼稚園児は帰宅途中に体調が悪くなり、家で保護者が薬を飲ませた後、救急搬送。2人とも回復している。
 食材は豆腐ハンバーグ。2013年9月から小麦を使わない新商品が納入されていたが、県学校給食会は賞味期限が迫り特別価格となっていた旧商品(小麦入り)を納入していた。2か月前の給食には新商品が納入された実績があり、市は「小麦入りではない」と認識していた。同じ学期に納入される商品については、原料配合表の提出を省略できる内規があり、市と納入業者双方の連絡が不十分だったことが原因とみられる。市では、2014年2月の給食から原料配合表を毎回提出させ、再発防止に努めている。
 一方、保護者から早急に周知するよう求められていたが、市は年明けまで対応せず、2014年1月5日に、アレルギーを持つ子どもの保護者向けに説明。市教委の教育総務課長は「今思えば、早く公表すべきであったのかと思う」と話している。〔掛札コメント〕アレルギーの曝露は、製造・流通過程でも起こります。そして、原料配合表がついていなかったら、納品チェックのしようがありません。そして、「今思えば、早く公表すべきであったかと思う」…、なんとも責任感のない言い方ですね。

〔学童保育でアナフィラキシー〕(食物アレルギーに関する一般的な記事の中に掲載されていた2013年の事故事例)新潟県柏崎市で、卵アレルギーがある小学2年生が誕生会でケーキを食べ、アナフィラキシー・ショックを起こした。当日は卵を使わないアレルギー対応ケーキが提供されるはずだったが、指導員が用意したのは、卵入りの低糖ケーキ。児はエピペンも持参していたが、指導員は使わなかった。いずれも、前任者からの引継ぎ不足が原因。また、指導員は母親の到着まで救急車を呼ばず、処置は搬送後。児の主治医は「命に関わる状態だった」と話す。〔掛札コメント〕救急車を呼ばなかったという点が深刻な問題です。

〔エピペンを3本打つも、ピーナッツ・アレルギーで死亡〕 カリフォルニアで、13歳の子どもがピーナッツによるアナフィラキシー・ショックで死亡した。家族と参加したサマー・キャンプでデザートを口にしたものの、「これは食べちゃダメだ」と吐き出した。そのデザートにはピーナッツ・バターが含まれていたが、知らされておらず、口に入れるまでわからなかった(注:ピーナッツ・バターは味でわかりやすいので、本人も吐き出したのだと思われる。アレルギーのことはよくわかっており、普段から気をつけていた)。吐き出して20分ほどは変わりがなかったが、その後、吐き始め、呼吸困難と心不全を呈し、救急搬送されたが死亡した。この間、3回にわたってエピペン注射が行われたが、アナフィラキシー・ショックを抑えることはできなかった。(2013年7月31日のCNN報道)


植物による健康被害

〔ジャガイモ〕長野県千曲市で2022年7月21日、小学校から「授業中にジャガイモを食べたところ、複数名が吐き気や腹痛、嘔吐などを起こした」という趣旨の連絡があった。ジャガイモは学校で栽培したもので、同日、教職員が皮付きのまま茹で、児童と教職員あわせて98人が食べた。うち教職員2人を含む45人に吐き気や腹痛、嘔吐などの症状があった。ジャガイモは、芽のないものを選別していたが、一部に未熟なものが含まれていたということで、ソラニンが原因の食中毒と推定されている。

〔スイセン類〕2022年4月7日、京都市内の子育て支援施設で、ニラと間違えてスイセン類の植物を食べ、食中毒。昼食に出した「ニラのしょうゆ漬け」を食べた子ども・職員計77人のうち、4~6歳の12人が嘔吐・発熱の症状を訴えた。 保健所が残っていた料理を調べたところ、使われていたのはニラではなく、スイセン類だったことが判明。植物は施設内で栽培されたもので、職員は「数年前に知人からニラだと言われて譲り受けた」「以前に大人が食べたが、異常はなかった」と説明しているという。

〔ジャガイモ〕2019年7月9日、兵庫県宝塚市の小学校で同日朝に収穫したジャガイモを調理し、食べた5年生13人が食中毒とみられる症状を訴え、病院に救急搬送された。芽の部分や緑色になった皮の部分に含まれる自然毒ソラニンによるとみられる。

〔キョウチクトウの葉〕香川県高松市内の小学校2年生2人が2017年11月29日、校庭のキョウチクトウの葉を数枚食べ、直後に吐き気と頭痛を訴えた。市保健所はキョウチクトウに含まれる有毒成分「オレアンドリン」を原因とする食中毒と断定し、学校は校庭に植えられていた3本のキョウチクトウの枝を切り落とし、全校生徒に校庭の植物を食べないよう指導した。2人は食べられる植物に関心を持っていたという。〔掛札コメント〕キョウチクトウに罪はないので、枝を切る必要はないと思いますが…。

〔ジャガイモ〕広島県安芸高田市の市立小学校で2017年7月13日、授業で収穫したジャガイモをゆでで食べた6年生の男女9人が吐き気や腹痛などの食中毒の症状を訴え、病院に搬送された。いずれも軽症。担任を含む計17人が食べた。

〔ジャガイモ〕愛知県豊田市の市立小学校で2017年6月29日、6年生22人が腹痛や吐き気などの体調不良を訴えた。市保健所はジャガイモによる食中毒の疑いもあるとみて調べている。理科の光合成の勉強のため、児童が栽培したジャガイモの芽をとり、皮のままゆでて食べた。食後1時間弱で児童が異常を訴えた。

〔ヨウシュヤマゴボウで色水作り〕滋賀県野洲市の市立幼稚園で毒性のある植物ヨウシュヤマゴボウを使い、園児36人が色水作り遊びをしていたことがわかった。50歳代の教諭が2016年8月30日、自宅近くから実のついた房をつみとり、園に持ち込んだ。翌1日と9月2日、指や石で実をつぶすなどして色水を作り、10人がペットボトルに入れて家に持ち帰った。8日、残っていた実を見た園長が気づき、該当する園児の保護者に電話で謝罪した。口に入れた園児はおらず、健康被害はないという。ヨウシュヤマゴボウは種と根に毒素があり、食べると嘔吐や下痢を起こす。幼児の場合、重篤な症状になることもあるという。教諭は、ツルムラサキの実と間違えて採取した。〔掛札コメント〕子どもの頃、これでずいぶん色水を作りました…。飲もうなんて思ったことはなかったですけど。たぶん、ちらっとなめてみて、「おいしくない」と思ったからでしょうね。鑑賞用のちょっとトウガラシをかじって、大変な目に遭ったことある元・子どもですから、私。


化学物質誤飲による健康被害

〔消毒用アルコールで急性中毒〕島根県雲南市の市立保育園で2022年3月28日午後3時半頃、児が「目がぐるぐるする」と訴え、体に力が入らず、自分で立てなくなったため、保護者が医療機関へ連れて行った。原因がわからず、児は意識を失ったため、救急搬送された。午後9時半頃に目を覚ました児が「手指消毒用のアルコールをたくさんなめた」と話したため、検査したところ、急性アルコール中毒と診断された。

〔給水用コップに消毒用アルコール〕山梨県甲府市で2022年5月7日に開催された高校総体の陸上競技で、女子5000メートル競歩の競技中、選手に提供された給水用のコップにアルコール消毒液が入っていたことがわかった。飲んだ選手1人が気分が悪くなり、途中棄権し、口に含んだ2人とともに医師の診察を受けた。提供した水は、競技場内の備品置き場に保管してあったという。競技前、用務係が2リットル入りのペットボトル3本を給水エリアに運び、プラスチック製のカップに注いで提供した。消毒液が入った1本は、ラベルが付いていなかったが、飲料水のペットボトルと同じ箱に入れて保管されていたという。

〔すすぎ不足で塩素による食中毒〕2021年2月23日、神奈川県川崎市高津区の飲食店で、デキャンタの水を飲んだ2人が吐き気やのどの痛みなどの食中毒症状を訴えた。水から次亜塩素酸ナトリウムが検出され、消毒したデキャンタのすすぎが不十分だったとみられる。1人の家族から「水を飲んだら塩素のにおいとのどに焼けるような痛みを感じた」と連絡があって調べたもの。

〔ペットボトルに入れたエタノールを誤って飲ませる〕東京都足立区の学童保育で2021年2月18日午後5時頃、ペットボトルに入っていた高濃度エタノールを、小学生に誤って飲ませた。児童が施設の職員からコップに入れてもらった液体を飲んだところ、「からい」と訴えたため、職員が調べたところ、液体が入っていた2リットルのペットボトルは、新型コロナウイルス対策用の高濃度エタノールで、側面に貼った白い養生テープに「エタノール80% 住区推進課より」と書かれていた。流し台に置かれていたペットボトルを水と勘違いした職員が冷蔵庫に移し、エタノールの記載に気付かなかった別の職員が、水と思い込んで児童に誤って飲ませてしまった。児は搬送されたが体調に異常なし。

〔フッ素と間違えてアルコールでうがい〕新潟県新潟市西区の小学校で2021年10月13日朝、手指消毒用のアルコールで児童24人がうがいをする事故が発生した。1年生のクラスで、担任がフッ素うがい液と間違えて、消毒用アルコールを誤って配布。うがい後、担任が誤りに気付き、全員が液を吐き出しているのを確認、全員が医療機関を受診し、うち15人が口の中の違和感やのどの痛み、腹痛などの症状を訴えている。アルコール液のボトルが近くに置いてあり、よく確認しないで配布したことが原因だという。

〔学童で塩素系漂白剤入りの水を飲ませる〕埼玉県川越市の学童保育で2018年2月8日、小学1、2年の児童5人に誤って塩素系漂白剤入りの水を飲ませた。救急搬送されたが、症状を訴えた児童はおらず、全員帰宅した。指導員が消毒のために塩素系漂白剤約20ミリリットルを入れておいた蛇口付き小型タンクを、別の指導員が麦茶入りと勘違いして水飲みコーナーに設置。午後4時20分頃、このタンクの中身を飲んだ児童に「水なの?」と聞かれ、誤りに気づいたという。タンクに「消毒中」を示す表示はなかった。〔掛札コメント〕最後のコメントの通りです。ヒモか何かに「消毒中」と書いた真っ赤なカード(ドクロ付き)か何かつけておいて、それがタンクにぶら下がっている時は「消毒中」とわかるようにしておくしかありません。

〔容器移し替えで消毒用アルコールを誤飲〕秋田県北秋田市の小学校で2017年5月17日、給食後の歯磨きの際、2年生担当の男性教員が手指消毒用のアルコール液を誤って洗口液として児童のコップに注いだ。児童22人中18人が口に入れ、「口の中がピリピリする」と申し出たため、何度もうがいするなどの処置をとった。教委によると、手指消毒液の容器が破損したため洗口液と同種の容器に入れており、教員が取り違えたとみられる。

〔洗剤を日本酒瓶に入れ、誤って提供〕秋田県秋田市の飲食店で2017年8月19日、日本酒と間違えて厨房用洗剤を客2人に提供した。口やのどの痛み、嘔吐などの症状を訴えて救急搬送。1人は入院したが、命に別条はないという。洗剤は日本酒のガラス瓶の容器(300ミリリットル)に入れられていたが、ラベルに「洗剤」と書いていなかったため、従業員が18日、日本酒と思い込んで冷蔵庫に入れ、翌日、客に誤って提供してしまったという。

〔白湯(さゆ)から高濃度の塩素〕東京都江東区の区立保育園で2016年12月19日、水分補給用の白湯から高濃度の塩素が検出された。故意に混入された可能性もあるとして、警察に被害届を提出した。午後5時頃、ポットの湯を子ども3人に飲ませたところ、1人が吐き出し、2人がいやそうな顔をしながら飲み込んだ。コップの湯が塩素くさいことに保育士が気づき、区に報告。保健所で調べたところ、1600ppm(学校プールのからだ洗い槽の濃度の16~32倍)の塩素を検出した。このポットは3人がいるゼロ歳児クラスの保育室にひとつあった。調乳室で煮沸した水道水をさました状態で入れ、子どもに飲ませている。同日3時時点で異常はなく、飲ませた後は煮沸した水をつぎ足していた。