7 附 (1) 水死、溺死事例(過去のニュースから)

 (訴訟等の過程、内容は報道から。誤りがありましたら正しい情報をお教えください)


〔調理師がグリストラップで溺死〕広島県広島市の市立保育園で2023年8月14日午後5時20分頃、調理員が園舎裏に設置している「グリストラップ(グリース・トラップ)」の清掃作業中、何かの原因で頭から転落し、搬送されたが死亡した。死因は溺死。保育士が「調理員が敷地内の水に滑落しているが引き上げられない。意識がない」と通報。グリース・トラップは60センチ×30センチ、深さ約1メートル。事故当時の水深は不明だが、15日に確認したところ、35センチ程度だったという。広島市は再発防止策として、グリストラップ内に身を乗り出すような危険を伴う作業は行わない、清掃は複数の職員で行うことなどを、公立・市立の全保育園に周知徹底する。〔掛札コメント〕「複数で作業」は現実的ではありません。周囲は滑りやすい場合が多いでしょうから、足場作業用の板(ネット上になっているもの)を渡し、たとえ倒れたとしても頭が入らない程度の空きにして真上から作業しては?

〔学童のプール活動で水死〕2023年7月26日午後、滋賀県長浜市のプールで小学1年生が溺れているのが見つかり、死亡した。死因は溺死。学童クラブの活動でプールを訪れていた。当時、子ども45人に対して、プール中とプールサイドから計4人の職員らが監視していた。児は身長とほぼ同じ水深120cmあたりで、コースロープにうつ伏せで覆いかぶさっていたが、職員らは危険な状態だとは認識していなかったという。周囲の児童が様子がおかしいことに気付き、職員に知らせた。同学童の施設長は同日の会見で、「(危険な状態という認識はなかった?)はい、その通りです。覆いかぶさって遊んでいるという浅はかな認識であったのは確かです。本当に助けてほしい時は大声で周りの人を呼んでくださいというお約束はさせてもらっていました」と話した。〔掛札コメント〕おとなであっても、溺れる時に助けを呼ぶことは困難。言うに事欠いて「本当に助けてほしい時」とはいったいどういうことでしょうか? それも身長とほぼ同じ水深。泳げる人でも困難な状況です。

〔スイミングスクールで5歳児が水死〕2023年4月22日午後4時50分頃、富山県高岡市にあるスポーツ施設のプールで、スイミングスクールに参加していた5歳児が水中に沈んでいるのを、近くにいた他児が発見した。児は搬送先の病院で死亡が確認された。プールは深さ1.2メートルだが、事故当時は台を沈めて水深60センチにしてあった。児は教室終盤の遊びの時間、飛び込んだ際に浮具が外れ、溺れたとみられる。当時、プールにはコーチが4人おり、泳力検定をしていた1人を除く3人がプールサイドと水中で19人を監視していたが、誰も溺れたことに気付かなかったという。

〔施設を抜け出し、ため池に転落〕2021年8月19日、山口県山口市のため池で意識不明で見つかった7歳児はその後死亡が確認された。児は、約500メートル離れた所にある障害児通所支援施設を抜け出して事故に遭ったもよう。施設によると19日昼前、職員が児の姿を確認したが、10分後にいないことに気付き警察に通報。夕方になって、捜索していた関係者がため池で児を発見した。
 施設は新しいドアを取り付ける工事中で、利用者らがいた約20畳の部屋の壁にドア2枚分ほどの穴があり、可動式パーティションでふさいでいたという。児がパーティションを自分で動かして外に出たとみられる。当時、施設内には小学1年~高校2年の利用者9人と職員5人がいた。

〔そり遊び中に川に落ち、流される〕2021年3月9日午前10時45分頃、北海道旭川市の石狩川の河川敷で「そり遊びをしていた園児2人が川に流された」と消防に通報があった。救助、搬送され、命に別状はないという。流されたのは6歳児2人で、1人は70メートルほど下流で通行人に救助され、もう1人は、20メートルほど流された所で川岸の木に引っかかっていたところを警察官に救助された。
 事故当時、職員2人が園児23人を引率してそり遊びに来ていた。この2人は他の子1人とあわせて3人でプラスチック製のそりで堤防の上から滑り下り、そのまま止まり切れずに川に落ちたと見られる。午前11時頃の旭川の気温はプラス1度。引率の職員は堤防の上に1人、堤防と川の中間に1人いて子どもたちを見ていたという。〔掛札コメント〕川を甘くみている、ありえない事故です。川に落ちる想定をしないでそり遊びをしていたとしたら、想定していなかったことがありえませんし、想定していたなら、それもありえない。命に別条がなくても、検証すべきタイプの事故です。

〔計画を無断変更して水死〕2018年8月、福岡市内の海岸で児童養護施設(福岡県朝倉市)の中学生が溺れて死亡した事故で、引率していた職員3人が業務上過失致死の疑いで書類送検された(2019年10月16日)。施設は海水浴を禁止していたにもかかわらず、3人は計画を無断で変更して、亡くなった中学生を含む生徒5人に海水浴をさせていた。海水浴をさせた理由について3人は、「子どもが望んだから」と話しているという。〔掛札コメント〕「子どもが望んだから」と言えてしまうところに、他人の子どもの命を預かる専門職にあるべきリスク意識の欠落が表れています。

〔小学2年生が授業中に溺水〕2018年8月23日午前11時前、福島県二本松市の市立小学校で体育の授業中、小学2年児がプールの底に沈んでいるのが見つかり、病院に搬送された。意識は戻っていないが、命に別条はないという。
 授業には2年生57人が参加。25メートルのプールでビート板につかまってバタ足で泳ぐ練習をしていた。教諭2人がプール内の5メートル、20メートル地点に立って安全確認を行っていた。児は20メートル地点を通過するまでは無事だったが、近くにいた教諭1人が一時目を離してプールサイドに上がった際、水深約80センチのゴール付近で児が沈んでいるのを他の児童が見つけた。〔掛札コメント〕「意識は戻っていないが、命に別状はない」というのは、「自力呼吸はしているが脳に損傷」という意味かもしれません。その後どうなったのでしょうか。もうひとつ、教諭が2人で「プールの中で安全確認」? プールの中から見ていたのでは、そもそも水中なんて見えるわけがありません。

〔プール事故で119番通報怠る〕神奈川県茅ケ崎市の市立小学校で2018年7月26日昼前、プール開放で小学生が一時意識を失う事故が発生したものの、市から監視業務を委託された業者が119番通報を怠るなど安全管理マニュアルに沿った対応をしていなかったことが12月17日にわかった。市も当初、事故を重く受け止めず、市議から指摘を受けて調査を行い、報告書作成に4カ月を要していた。
 当時、このプールで小学1年生2人が水をかけ合って遊んでいたところ、1人が水を大量に飲み、意識を失った。児を引率していた学童クラブの支援員が発見し、プールサイドに上げて救助したが意識が戻らず、監視員が人工呼吸を行ったところ、意識が回復したという。市は委託仕様書で、業者に対し「事故発生の場合はただちに救助活動、応急処置、救急車の手配、病院への連絡及び付き添い等適切な処理を行うこと」を求めているが、監視員は救急車などを手配しないまま、児と支援員は帰った。業者はその後、学童クラブを通じて保護者に連絡。保護者が児を連れて受診し、異常がないことが確認された。市は同日中に業者から報告を受けたが、現地での調査や具体的な指示、指導は行わなかった。その後、市議から事故の詳細を求められたことで市は9月以降に調査を行った。

〔小学校3年生、プールで意識不明〕2018年7月23日午後2時10分頃、高知県高知市の小学校のプールで3年生が水中に沈んでいるのを友人がみつけた。搬送されたが意識不明の重体。当時、プールは夏休みで開放中、40人ほどの児童が利用していて、監視員は保護者や高校生ボランティアなど10人がいたという〔掛札コメント〕監視員が複数いても、漫然と見ているだけなら「誰かが見ているだろう」とそれぞれが考え、結局、誰も見ていないということになります。

〔保育園プールで4歳児死亡〕 ★検証報告書は「役立つリンク」
 2017年8月24日午後3時半過ぎ、埼玉県さいたま市緑区の民間保育園から「プールで遊ばせていた子どもが、気づいたら浮かんでいた」と119番通報。意識不明の重体で、25日未明に死亡。当時、プールで19人の園児が遊んでおり、2人の保育士が監視にあたっていた。園児の1人が声をあげて指さした所に児がうつぶせの状態で浮かんでいたという。プールは園庭に設置されたもので、縦6メートル、横4.7メートル、水深は70~90センチ。午前中は、年齢別にプールの時間を設定していたが、午後は再びプール遊びを希望した異なる年齢の園児を一緒に遊ばせていたという。
 8月26日に開いた記者会見で園長は、事故原因について「子どもから目を離したことに尽きる」と話し、その場にいた保育士2人が滑り台を片付けている間に子どもたちの監視を怠ったとした。24日はプールの最終日で、ブルーシートなどで作られた仮設式プールの一部を保護者が来て解体する予定だった。滑り台は安全面を考えて毎回、園児をプールから出した後に職員が外していたが、保育士2人の判断で園児をプール内に残したまま滑り台を片付けた。園長は「解体に来るので時間を早めよう、少しでもやりやすいようにしておこうと少し焦りがあった。3人態勢でやるところを2人でやってしまった」と説明。
 当時プールには3~5歳の園児20人がいて、目を離した時間は「30秒から1分ぐらい」という。その後保育士が気付いて振り返ると女児が浮いていた。記録は保育園に設置された防犯カメラの映像に残っていた。園長は「命を守る使命を持っていたのに、一番大事なプールから目を離さないことをせずに、重大な取り返しのつかないことになってしまった。本当に申し訳ない」と涙ながらに謝罪した。また、今夏は水不足の影響もあってプールの水を少なめにして遊んでいたが、先週は久しぶりに好天で暑い日が続いたため、園長らは「プールの水を多めに入れて遊ばせたい」と水量を増やした。深さは大人の膝の上ぐらいで、死亡した女児にとっては腹ぐらいだったという。
 また、普段は年齢の異なる子どもを同時にプールに入れていなかったが、この時は3~5歳が一緒に遊んでいた。園長は「少しの時間だから『おいで』と言った。やめるように言っていたが、保育士2人の判断でやっていた」と話した。亡くなった児に既往歴は特になく、昼寝で少し咳をしていたが平熱だったという。
→2018年8月、保育士と園長を業務上過失致死の疑いで書類送検。保育士が園児らの監視に専念する義務があったのに怠り、約3分間目を離したことが事故につながったと判断。
→元園長と元保育士が業務上過失致死罪で在宅起訴(2019年6月28日)。十分な監視体制をとらせるなどの注意義務を怠ったこと(元園長)と、園児から目を離したこと(元保育士)で。国のガイドラインに伴い、監視役と指導役として職員を配置すべきところ、1人しか配置していなかった。
→元園長と保育士の被告人質問(2019年11月21日)。児が亡くなったことについて園長は「本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」と話し、保育士は「私が目を離したこと、一番に気づいてあげられなかったこと申し訳なく思っています」と涙ながらに語った。
→元園長と保育士の判決公判(2020年2月14日)、元園長に禁錮1年執行猶予4年(求刑禁錮1年)、元保育士に禁錮1年執行猶予3年(同)が言い渡された。両被告が過失を認め賠償の意思を示していることなどから執行猶予が相当と判断したもの。 この新聞記事の内容はこちら。 〔掛札コメント〕内閣府のガイドライン後、初めて起きた水死事故です。

〔小学校プールで3年生が溺水〕2017年8月1日午後1時40分頃、三重県四日市市の市立小学校のプールでこの学校の3年生が溺れ、監視中の保護者が救助した。男児は搬送時、呼び掛けに応じなかったといい、病院で治療を受けている。教委によると、学校は夏休みでプールを開放していた。当時は62人の児童が参加し、指導員1人と保護者6人で監視していたという。プールの水深は70センチ。

〔3年生が施設の浴室で溺死〕2017年6月14日午後7時前、大阪府太子町の障害児入所施設で「児が浴室でおぼれた」と119番があり、入所する3年生を意識不明の状態で救急搬送。15日未明に病院で死亡した。児は他の児童約15人や職員3人と入浴していた。様子がおかしいことに気付いた職員が浴槽から引き上げ通報。脱衣所で心肺蘇生し、救急隊が搬送したという。
→2018年3月15日、注意義務を怠ったとして、施設長と職員2人の計3人を業務上過失致死の疑いで書類送検。職員1人が常に浴槽を見守るよう施設マニュアルが定めていたのに、浴室内の職員2人は体を洗う介助に集中したため、浴槽への注意義務を怠り、児が溺れたことに気付かなかったとしている。また、施設長は職員らに注意を徹底させる義務を怠ったとされる。職員らは約3分間、児から目を離していた。もう1人のパート職員は当時、脱衣所で服を脱がせるなどしており、浴室内には十数人がいたとみられる。施設長と職員2人は任意の調べに対し、「これまで事故がなく、浴槽の監視を軽視していた」などと話したという。

〔雨水ますで1歳児が溺水、意識不明の重体〕 ★検証報告書は「役立つリンク」
 2016年11月14日午後2時50分頃、福岡市南区の認可保育所で、この園に通う1歳7か月児が円筒状の排水溝(直径約30センチ、深さ約35センチ)に頭を突っ込んだ状態で動かなくなっているのを職員がみつけて通報した。児は意識不明の重体。排水溝は雨水を流すため屋外に設置されており、当時は水が約7センチたまっていた。プラスチック製のフタがついているが、発見当時は外れて児の横に置かれた状態だったという。
→11月17日、警察が業務上過失傷害容疑で同園を家宅捜索。
→意識が回復したと11月30日、園が明らかにした。
→園長と保育士の計4人を業務上過失傷害の疑いで書類送検(2017年5月)。雨水ますの樹脂製フタは以前にもはずれたことがあり、職員から「危険だ」という指摘が出ていたという。園長が危険性を認識していながら、ふたが開けられないよう対策を取らなかったうえ、保育士も見守りを怠ったとした。
→地検は2018年3月22日までに、業務上過失傷害容疑で書類送検された50代の園長ら4人を不起訴処分とした。地検は「諸般の事情を考慮した」としている。〔掛札コメント〕こういうできごとでいつも思うのですが、なぜ、法人の理事長等はお咎めナシなのでしょうか。樹脂製のフタをコンクリートの重いものにするのは、法人の意志がなければできません。それをしないで、「保育士が見守れ」。なにかあったら現場だけが責任を負う構図というのは問題です。


〔こども園プールで溺れ、意識不明〕 ★検証報告書は「役立つリンク」
 栃木県那須塩原市の認定こども園(私立)で2016年7月11日、5歳児が溺れ、意識不明の重体。プールは縦9.5 メートル、横5.5メートル、水深最大65センチ(施設の設備として設置されているコンクリート製のもの)。午後1時頃から園児33人が水遊びを始め、約10分後、現場にいた2人の職員のうち1人が水中でうつぶせの状態で溺れている児を見つけた。職員の救急処置で呼吸を取り戻し、病院に搬送されたが、意識は戻っていない。〔掛札コメント〕この大きさと水深のプールに33人が入って「水遊び」(自由遊び?)をしている時に、全員の確認をするのはきわめて難しいでしょう。
→22日に意識を回復していたと、市が8月1日に明らかにした。市が園から報告を受けたのは、意識回復から10日後の8月1日。報告がなかった理由について、市は園に尋ねていないとのこと。園がいつ回復を把握したのか、現在の状態などは把握していないという。

〔無認可施設の浴槽で死亡〕2015年6月18日午後8時10分頃、茨城県つくば市の無認可保育施設の浴槽で、1歳5カ月児が倒れているのを経営者が見つけ、119番通報した。19日に死亡。経営者は当時、保育室として使われている自宅1階の部屋と風呂場を往復して、死亡した児を含む4人を入浴させていた。児がいないことに気づいて風呂場に行ったところ、服を来たまま浴槽に浮かんでいたという。2000年頃から自宅で保育所を経営していたが認可は得ておらず、6人以下の施設のため、県に施設の届け出をしていなかった。
→つくば市は7月3日、県と合同で行った立ち入り調査結果を発表した。保育従事者は経営者1人で、保育室として用いていた自宅の部屋は12畳と基準を満たしていた。一方、事故当日の利用は1歳児2人、3歳児2人、小学校1年生1人(保育基準外)の計5人。施設の基準が守られておらず「改善指導の対象」だった。
→2015年10月26日、業務上過失致死の容疑で書類送検。「原因はすべて私にある。深くおわびしたい」と容疑を認めている。

〔5歳児、園の手作りいかだから落ち、死亡〕2014年9月8日午前11時過ぎ、岩手県花巻市の豊沢川(北上川支流。当時の水位は約60センチ)で保育園の行事中に5歳児が行方不明となり、正午前、現場から約50メートル下流の川岸で見つかり、1時間後に死亡が確認された。児は他の園児23人とバスで河原に来ていた。園児たちは木の板と膨らませたタイヤチューブなどで作った畳一畳ほどの大きさのいかだ3つに乗って川下りをしており、1つのいかだに保育士1人と8人の園児が乗り、棒で操作しながら進んでいた。途中でいかだがすべて転覆し、全員が川に投げ出されたという。その後、この児1人がいないことに気づいた。園児は救命胴衣をつけていなかった。
→園は9日に保護者説明会を開き、10日には記者会見を開いた。理事長と園長は「弁解の余地はありません」「子どもの命を守るのが最優先の保育園で、方策が不十分であることを悔いています」と謝罪した。当日は、年長の園児24人と園長、保育士ら5人が川下りをしていた。溺死した児は泳げず、先頭のいかだで園長の後ろに座っていた。園は救命胴衣を用意しておらず、代わりにビート板を2枚ずつ、いかだにつないでいた。〔掛札コメント〕「この児は泳げず」という記載がありますが、「泳げたなら、このような状況(急に川に投げ出される)であっても子どもが命を守れたかもしれない」と思うのは誤りです。なにより、「泳げなかったこの子にも問題がある」かのような記述です。
→2016年3月24日、業務上過失致死の疑いで元園長を書類送検。いかだはタイヤのチューブ2つと木材を組み合わせたもの。大勢で乗るには構造に問題があり、川の状況などからも転覆等の予見可能性があったにもかかわらず、救命胴衣を着用させるなどの安全対策をしなかった疑い。

〔4歳児が保育園プールで死亡〕 ★検証報告書は「役立つリンク」
 2014年7月30日午後2時頃、京都市上京区の私立認可園のプールで4歳児があおむけに浮いているのを保育士がみつけ、119番。児は発見時には意識を失っていたが回復、しかし再び意識がない状態となり、6日に死亡。プールは約6.1メートル×3.3メートル、水深約20センチ。当時、約30人がプール内や周辺で遊び、保育士2人が付き添っていた。写真によると、プールは設置型、外側が黄色、内側が青色、手すりつきの階段(黄色)を付けるもの。
→両親は2015年3月12日、園長ら4人を業務上過失致死の疑いで地検に告訴。園側は「給食の吐しゃ物誤えんなどの可能性がある」と請求棄却を求めた。
→地検は2016年に園長らを不起訴処分(嫌疑不十分)としたが、同年に検察審査会が不起訴不当と議決。
→地検は2016年2月5日、園長ら4人を嫌疑不十分で不起訴処分とした。
→2016年3月、両親が検察審査会に審査を申し立てた。 →第1回口頭弁論が2016年9月15日、地裁で開かれ、法人側は請求棄却を求めた。原告側(両親ら)は職員らが監督義務を怠ったとし、「法人は使用者責任を負う」と主張、園を運営する社会福祉法人に計約4200万円の損害賠償を求めている。
→両親らが社会福祉法人に慰謝料など約4200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、地裁は2019年5月16日、約2000万円の支払いを命じた。当時の担任保育士ら2人が18人用のプールに30人を入れ、「監視や指導の役割分担をせず、その場を離れたり他の作業をしたりした」と指摘し、監視義務違反を認定。法人も保育士らに事故のリスクを周知する義務を怠ったとした。

〔行方がわからなくなった後、プールで溺水〕2013年10月16日午後4時頃、静岡県富士宮市の民間保育園で1歳4か月児が屋外プールに浮いているのを職員が発見。搬送したが、意識不明の重体。プールは縦約4メートル、横約8メートル、深さ約1メートルで、当時の水深は約50センチ。他の園児と遊んでいたところ、この児の姿が見えなくなったため、捜していたとのこと。プールの周囲は子どもが入らないよう高さ1メートルのフェンスで囲まれていると保育園は説明している。園長は記者会見で、プールの鉄製扉(両開きの2枚扉。幅2メートル、高さ1メートル)のかんぬきが老朽化して施錠が不十分だったと説明した(押すと簡単に動き、低くなっているプール側との間に、子どもがくぐれるだけのすきまができる)。
 当時、保育士5人が園庭(「15メートルほど離れた所」と園長は説明)で子どもたちを見ていたが、「別の子どもがケガをしたため、全員に目が行き届かなかったかもしれない」。この児は3時半頃までは園庭で遊んでいたようで、同50分頃になって、いないことに保育士が気づき、捜索。約20分後にプールで発見した。10月でも暖かければ使用するため、プールには水が張られていた。
→同園のFacebookは、「11月10日、児が退院した」と報告。〔掛札コメント〕園長の会見内容が正確であったとすれば、この児は40分間、見守りのない状態だったことになります。

〔1歳児が溺水。人工呼吸で救命〕2013年8月9日、宮崎市の保育園のプールで1歳児があおむけに浮いているのを保育士がみつけ、119番した。児は当初意識不明だったが、保育士の人工呼吸で間もなく意識を取り戻し、病院に搬送された。当時、保育士2人が8人の1歳児を水遊びさせていた。プールはプラスチック製で、縦6メートル、横3.7メートル、深さ67センチ。水深は43センチだった。

〔プールの排水口に足を吸い込まれる〕長崎県長崎市の小学校のプールで2013年8月8日、低年齢児用プールの水の中をかがむようにして歩いていた2年生児の足が吸い込まれ、そのまま動けなくなった。消防がプールの水を抜いて救出、命に別状はない。このプールには、吸い込み防止金具が適切に設置されていたということで、原因を調べている。〔掛札コメント〕溺水の原因になる問題です。2006年7月、埼玉県の小学2年生が吸水口から吸い込まれて死亡(強い力で吸い込まれ、水路の壁に頭を強く打ったことによる脳幹損傷死)した事故で注目されましたが、1966年以降約60人が同様の事故で死亡しています。

〔プールを浅くするための可動床に足をはさむ〕2013年5月28日、静岡県静岡市の総合運動場屋内プールで、9歳児が右足親指をプールの底のすきまにはさみ、2針縫う切り傷を負った。プールは長さ25メートル、深さ1.3メートルの8コース。うち3コースの床は可動式で、子どもが泳ぐ時などは床を50センチ上げることができる。当時、上がった状態にあった可動床2基の間にある約1センチのすきまに指が入ったとみられる。事故後の点検では、すきまに鋭利な部分などはみつからなかった。〔掛札コメント〕足の指で不幸中の幸い。万が一、すきまに水着などがひっかかる部分があり、子どもが潜水遊びなどをしていたら…? これも溺水のリスクがあるので、ケガの事例集ではなく、こちらに掲載しました。

〔3歳が家庭用プールで水死〕2012年8月23日午後4時40分頃、茨城県五霞町の認可外保育所で3歳児が家庭用プール内に倒れていた。翌日に低酸素脳症で死亡。一人で遊んでいたが、保育士が目をはなした間におぼれたとみられる。
→2015年2月2日、施設長と保育士を業務上過失致死容疑で書類送検。保育士は4時半頃、ベランダに置かれた家庭用プール(水深23.5センチ)で児を遊ばせていた際、目を離すなどして安全管理を怠り、施設長は事故防止のための具体的指導を怠った疑い。2人は過失を認め、「取り返しのつかないことをしてしまった」と話しているという。プールは、縦1.35メートル、横1メートル、水深23.5センチ。当時、施設には施設長、保育士2人、園児13人、園児の保護者3人がいた。児がプールに入ることを保育士は認識していたが、プールから約8メートル離れた庭で保護者対応を優先させ、児から目を離した。この児は以前にも1人でプールに入っていたことがあり、保育士は大丈夫と思って監視を怠り、他の保育士に監視させるなどの措置を講じなかった。
→業務上過失致死罪で略式起訴された施設長と保育士に対し、簡易裁判所は2015年、それぞれ罰金50万円の略式命令を出した。
→遺族が施設長に慰謝料など約6743万円の損害賠償を求めた訴訟で、地裁は2015年12月、「(児が)溺水するおそれがあることは十分予見可能だった」と遺族側の主張を認め、施設長に計約3465万円の支払いを命じた。

〔水泳授業中に4才児死亡〕2012年7月2日午後1時40分頃、愛知県豊橋市の私立幼稚園の室内プールで、水泳学習中、4才児がうつぶせに浮いているのを発見され、搬送されたが約2時間後に死亡した。プールは校舎3階にあり、幅3.3メートル、長さ7.5メートル、水深は約27.5センチだった。水泳学習は1時半から始まり、年中児と年長児計27人が参加。教諭2人がプールサイドにいた。

〔2歳が水泳指導中に溺水〕2012年7月2日午前11時30分頃、東京都世田谷区の認可外保育施設で2歳児が溺れ、一時、意識不明(その後は不明)。通常は約15人の園児に2人の職員で水泳指導を行うが、この時は45人を2人でみていたという。

〔増水した川で5歳児が水死〕 ★検証報告書は「役立つリンク」
 2012年7月、愛媛県西条市の加茂川で幼稚園児(5歳)が川遊び中に溺死した事故で、遺族は2013年3月15日、業務上過失致死容疑で引率教員8人と学校法人(松山市)の前理事長を告訴した。幼稚園は事故当時、学校保健安全法で義務づけられている安全計画を作成しておらず、園児にも浮き輪を使わせるなどの安全策を怠り、増水した川で事故が起こったとされている。遺族は、損害賠償を求める民事訴訟の提訴も検討している。警察も、学校法人の前理事長と引率教員8人を業務上過失致死容疑で書類送検。
→地検は2014年3月28日、業務上過失致死傷罪で当時の園長や引率教員ら計3人を在宅起訴。共に書類送検された学校法人理事長、引率教員5人は不起訴処分。処分理由は明らかにされていない。
→5歳児が死亡、他2人が軽傷を負った件で、園長ら3人の初公判が2015年12月、地裁で開かれ、「晴れていて、増水は予想できなかった」といずれも起訴内容を否認。
→園長ら3人の論告求刑公判が2016年3月17日、地裁で開かれた。検察側は元園長に罰金100万円を、当時の主任教諭ら2人にそれぞれ罰金50万円を求刑。
→3人の判決で、地裁は2016年5月30日、園長に罰金50万円(求刑は100万円)の判決を言い渡した。他の2人は無罪(求刑罰金50万円)。判決理由で裁判長は園長に対し、「上流の天候を確認せず、遊泳場所の増水の危険性がないと判断したのは、園長として安易な態度だった」と指摘した。
→地裁は2018年12月19日、学校法人と園長に対し、支払い済みの賠償金約6165万円とは別に約110万円を支払うよう命じた。川遊びの際、ライフジャケットを着用させなかったことに園側の過失を認めたもの。両親らは約1億5000万円の損害賠償を求め2013年に提訴。法人の理事長や引率教諭らについても賠償責任があると主張したが、判決はこれを認めなかった。

〔幼稚園のプールで3歳児が水死〕 ★検証報告書は「役立つリンク」
 2011年7月、神奈川県大和市の私立幼稚園の屋内プールで3歳児が溺死した事故で、横浜地検は2012年8月30日、園長と担任保育士を在宅起訴(業務上過失致死)。発見時、保育士は園児11人を1人で監視、プールサイドで片づけをしていた。園長はプール事故を防ぐ対策や救護措置などの教育・訓練を怠り、新任で知識や経験が十分ではない担任に監視をさせた。その結果、担任は園児の監視を怠り、児を溺死させたとしている。
→2012年12月、担任が地裁の初公判で起訴内容を認める。
→2014年2月5日、担任は被告人質問で、「幼稚園から安全に関する詳しい指導はなかった」と述べた。「担任として責任を感じている。しかし、幼稚園が(安全に関して)指導してくれていたらという思いも正直、あります」と語った。また、「当時は安全というよりも、子どもたちが毎日楽しく幼稚園に通えるかなどについて考えていた。自分から安全面に関して(先輩らに)聞かなかった」と話した。
→地裁は2014年3月24日、求刑通り罰金50万円の判決を言い渡した。裁判長は「過失とはいえ、結果は取り返しのつかない重大なもの。幼稚園教諭として基本的な注意義務に違反していたと言わざるを得ない」と指摘。一方で、同年春に就職した新任教諭で、プール内での安全教育を幼稚園でほとんど受けていなかったと情状を酌んだ。
→園長の論告求刑公判が地裁で開かれ(2015年1月26日)、検察側は罰金100万円を求刑。事故防止などの教育を行わず、複数による監視などの注意義務を怠ったとしている。検察側は「複数人による監視体制を取るのは容易だったはず」と指摘。「被告は責任逃れの言動に終始している」と批判した。弁護側は、被告が子供から目を離さないよう教員に頻繁に注意してきたと主張。従前から新任の担任1人で監視し、事故もなかったとした。
→2015年3月31日、園長に無罪判決。裁判長は「安全管理の責務や行動基準を逸脱していたとまでは言えない」と述べた。元担任教諭の判決では「(元担任教諭は)園児の安全を守るための教育をほとんど受けていない」と園側の責任に言及したが、園長の公判では被告側が「注意義務違反はなかった」と主張。
 判決は、園長が園児から目を離さないよう繰り返し注意を促し、他の教諭に対して元担任教諭にプール指導の手順を教えるよう指示していた点などを挙げ、「(元担任教諭に)遊具の片付け方を指導したとしても事故を回避できたかどうか分からず、過失は成立しない」と結論付けた。監視に専念する職員を配置する必要性があったとの検察側主張についても「浅い水位でも3、4歳児がプールで溺れる可能性は予見できたが、プールの形状などから担任1人での指導、監視が合理性を欠くとまでは言えない」とした。
 園長の弁護人を務めた弁護士は判決後、「子供を預かる学校が子供の安全に配慮することは当然のこと。しかし、学校に過度な責任を負わせることは、教育現場に萎縮をもたらし、自由な教育環境が保てなくなる。行政を含めた社会全体でどのように担っていくのかを考えていく問題であり、判決を受けて議論が高まることを期待する」とのコメントを出した。〔掛札コメント〕内閣府のガイドラインが出る前の判決です。ガイドライン後に起きたさいたま市と比べてください。
→地検は控訴しないと明らかにし、園長の無罪が確定。
→2017年4月13日、横浜地裁は「担任は安全配慮の義務を怠った結果、溺れたのを見逃した」として担任に過失があったと指摘。園長については個人の過失は認められないとした上で、「担任を監督する監督者としての責任があり、連帯して責任を負うべきだ」として、担任と園長、園に対し合わせて6200万円余りを支払うよう命じた。この事故で両親は、担任が遊具の片付けのために溺れているのに気付くのが遅れた他、幼稚園も安全対策について十分指導していなかったとして、当時の園長や担任らに対しおよそ7300万円の損害賠償を求めていた。