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2-4. タマゴのトントンおままごと(2017年2月26日)


タマゴのトントン、1歳児の口に入ります

 「2-1. 誤嚥」と「1-7. 水、ヒモ、布、詰まるもの」で玩具(小物)の誤嚥について書いていますが、保育園や子育てひろばなどによくある「タマゴのトントンおままごと」(下写真)を1歳児が口に入れた事例がありました。


 研修会などで「イチゴのトントンおままごと」(下写真。事例は2-1にある「傷害速報」のリンク参照)を、誤嚥による窒息死が起きた玩具としてお見せしています。その時に一緒にお見せして、「このタマゴは…、うーん。なかなか口には入らないと思いますが…。でも、絶対大丈夫と言えるかというと大丈夫とは言いがたい…」とお話ししてきたのが「タマゴのトントンおままごと」。今回、1歳数か月児(ゼロ歳クラス)がこの大きなタマゴのトントンを口に入れた事例をお聞きしました。


 どのようにして口に入れたかはわかりません(見ていれば、入れる時に止めるでしょうから)。保育者が気づいた時には、口に入った状態でした。写真のように、口の奥側に楕円側が向き、口を開けると断面が見える状態だったそうです。保育者が指を口の内側に添わせるように入れて奥の局面側に指先をあて、かき出すような形で出そうとしましたが、歯が断面部に当たってなかなか出なかったそうです。


 以前、円柱(円筒)形の積み木を乳児が口に入れた事例も、別の所で聞きました。円の部分の大きさが開いた口(唇部分)の大きさと同じだったため、口の中に入っている積み木を指でつまむことはできても、口から出すことができず、口を開かせようとする度に子どもは泣いた、とうかがいました。今回のタマゴも同じように、タマゴの大きさは口(唇)の大きさと同じか、逆にタマゴのほうが大きかったぐらいだそうです。


飲み込めなくても、フタをするだけで…

 「イチゴのトントンおままごと」は、飲み込みはじめの一番上の部分にはさまった状態で窒息しました。「飲み込めなくても、ここにはさまっただけで窒息するんですよ」「『飲み込める大きさだから危ない』ではありません、口に入って飲み込みはじめのところにはさまったり、そこをフタしてしまったりするなら危険です」とお伝えしてきました。論理的に考えれば、はさまらないまでも、喉の一番上の部分にフタをした状態で息ができず、そのまま取ることができなければ、亡くなる可能性はあります。下の写真の小さいタマゴの玩具(トントンではなく、丸のまま)がその可能性の高い典型例です。


 たとえば、この小さいタマゴを子どもが口に入れていることに先生が気づいた。「あれ、タマゴを入れてるよ! 〇〇ちゃん、お口から出して」。すでに飲み込みかけで口の奥にあるけれども、見えている。ゲボッと吐き出してくれればいいのですが、それが起きない場合、先生が指を入れて取り出そうとしてしまう(きわめて危険)。ところが、この形ですから非常にすべりやすく、唾液も混ざり、つかめない(円柱形の積み木なら、まだつかめるかもしれませんが)。指がすべれば、その反動でタマゴは奥の中に押し込まれます。子ども自身も苦しくなれば、息を吸い込みます(中へひきずりこむ状態)。泣きます(これも中へひきずりこむ状態)。このまま、状況が悪化する可能性は十分考えられます。

 今回、大きなタマゴのトントンおままごとも1歳代の口に入ることがわかったわけですから、イチゴのトントンや小さいタマゴと同じような事象のリスクは十分にあると考えざるを得ません。このタイプのタマゴのトントンだけでなく、同じサイズのおままごと、玩具は捨ててください。1-7に書いたように、「トントンの一部が危ない」場合は強力接着剤でとめてしまうという方法もありますが、大きなタマゴのトントンについては、それもしないほうがいいでしょう。捨ててください。「でも、幼児なら大丈夫?」、幼児はふざけて口に入れます(1歳の口に入るのですから、幼児の口には容易に入ります)。その状態で「急に息を吸い込む(=驚く、笑う、泣くのほか、つまずく等も)」が起きたら? 詰まります。幼児もダメです。




「見ていれば…」「おもちゃが減ってしまう」…

 「どうして見てなかったの?」と思う方はいるかもしれませんが、1-7やあちこちに書いている通り、人間は「見守る」ができません。特に誤嚥に関しては、口に入れたのが保育者の目の前、見ているところだったとしても、その後に詰まり、なにをしても出ない、という可能性は十分にありえます。「見ていれば」「私(たち)は見ていられる」ではないのです。

 「そんなことを言っていたら、おもちゃがなくなってしまう」。すべてのおもちゃを捨ててくださいなどとは言っていません。実際に選別してみてください。トントンの一部だけが危ないなら強力接着剤で付けてください。そうすれば、捨てるおもちゃはほんの数個です。「おもちゃがなくなってしまう」「見ているから大丈夫」とおっしゃってそのままにしておいて、そのおもちゃや別のおもちゃで子どもが亡くなったら、後悔するのは「大丈夫」「もったいない」「おもちゃがなくなってしまう」と言ったあなたです。

 そして、おもちゃの製造業者や納入業者にも「これは危ないから作らないで」「安全なものを持ってきて」と伝えてください。使う子どもとおとな(保育者、保護者)にだけ責任があるのではなく、製造業者、販売業者にも責任があるのだと伝えていかなければ、危険な玩具は減りません。




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