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1-4. 首から上はとにかくすぐに受診(2016年3月8日)


 「首から上は受診」、これが基本です。頭だけではなく、首も含まれます。顔面は、傷があると受診につながりやすいのですが、下の事例のように傷がなければ受診につながりにくくなります。顔面は大事な器官がたくさんあり、骨で守られているとはいえ「穴だらけ」、器官のすぐ後ろは脳だということをお忘れなく。

 たとえば、子どもが遊具から落ちた、ぶつかった、転倒した。その瞬間を見ていないことも多々あるでしょう。その時、子どもに「頭打った?」と聞くと「打ってない」…、「じゃあ、大丈夫」ではありません。頭と首に関しては、子どもの「打ってない」「痛くない」を信用してはいけないのです。

 瞬間を見ていたとしても、「コブがないから大丈夫」「傷がなければ大丈夫」……ではありません。頭や首の場合、外側ではなく、内側で起きていることが怖いのですから。

 「でも、子どもはすぐに立ち上がって遊び始めたし」…、とにかく病院を受診してください。


 なぜ? 理由のその1は、社会的責任です。

 受診しても医師は「大丈夫。様子をみましょう」と言うだけかもしれません。でも、子どもが夜中になって突然、吐き始めるかもしれないのです。医師が「大丈夫」と言って夜中に吐き始めるのと、保育士や園長、保育園看護師が(受診させずに)「大丈夫」と言って夜中に吐き始めるのとでは…? たとえ医療的な結果は同じでも、園が問われる社会的責任、信頼を失うリスクは大きく異なるでしょう。だから、受診をしておくべきです。

 理由のその2は、保険の問題です。たとえば、こういう事例です。

 顔面をぶつけたものの、傷もなかったため、受診せずに帰宅。数時間後に嘔吐が始まり、受診して調べたところ、外からは見えない場所に大きなケガがあり、手術と長期にわたる治療が必要だということになりました。とはいえ、日本スポーツ振興センターの保険に加入していたので、長期の治療も問題はないと……。

 ところが、ここで問題が生じました。初診の理由が、「ケガ」ではなく、「嘔吐」だからです。おそらく最終的には、嘔吐からその原因であるケガ(顔面をぶつけた)に遡ってカバーされると考えられるようです(=別の所で聞いた保険専門家の意見)。けれども、保険の理屈のうえでは、嘔吐からケガにわざわざ遡って、そのケガによって起きた医療費をカバーする必要はないのです。最初の受診の理由は、あくまでも「嘔吐」なのですから。保険金が支払われない可能性も十分にあると考えたほうがよいでしょう。

 「ぶつけた」という時点で受診していれば、初診の理由は「ケガ」になります。そして、その時点の医者の診断が「経過観察」であってもかまわないのです。嘔吐した時点ですでに、「ぶつけた」できごとに関するカルテがありますから。

 保険に関しては「首から上」に限りませんが、首から上の場合、状況が外から見えにくい場合や見えない場合が少なくない以上、「大丈夫」と言わず、まず受診です。
(保護者には、年度初めに「緊急時には、○○病院/クリニックに受診します。他の医療機関が良いという方は、受診すべき機関をお伝えください」と尋ねておきましょう。「あの病院だったからダメだった」と言われないため、です。)

 「首から上は受診」、もちろんこれが子どもの命を守ることにつながるかもしれません。でも、園の社会的責任、信頼、そして、財政的な部分にも大きく関わってくることを理解して行動してください。



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