メイン画像

2-2. シール、テープ、紙類の誤嚥、誤飲(2015年7月20日)


現場で多発しているシール、テープ類の誤嚥、誤飲

 保育園で多発する誤嚥・誤飲事例、あるいは誤嚥・誤飲の一歩手前事例(*)が、シールやテープ、紙類によるものです。この東京都の報告(リーフレット等のPDfも掲載)は家庭で起きている事例ですが、保育園でも、シール、テープ、ビニール、テプラ(商品名)類、虫よけパッチ、シール状の気管支拡張剤、ばんそうこう、(主に給食の)ラップ、絵本や段ボールなど、さまざまなもので事例が起きています。また、保育園ではヨーヨーや風船も見ますが、日本小児科学会の「傷害速報」の48には、1歳11か月児がヨーヨーを飲み込み、気管支から取り出すのに3時間以上かかった事例も掲載されています(ページ下のPDFをご覧ください)。

 なんでも口に入れ、なんでもカジカジかじる月齢の子どもたち。口に入れること、かじること自体をやめさせる必要はありませんし、できません。特に問題なのは、口に入れているところをおとなが見ていなかった場合です。厚紙類であれば、口やのどの奥で水分を含んでふくらむ、小さい破片が気管に入る危険もあります。薄いシール状のものは、口の中やのどに貼りつく可能性があります。さらに、貼りついた時にはただ「口の中に貼りついているだけ」だったものが、水などを口にした時にはがれ、のどに移動していってしまうこともあります。ゼロ歳や1歳は、口の中になにか貼りついている程度では、なにも訴えない可能性が十分ありますから、シール類がのどに移動して子どもが苦しみだしても、おとなにはなにが起こったのかわからない、対応が遅れる、という場合もありえるのです


具体的なチェック行動を毎日、してください

 こうしたものは誤嚥窒息の原因にもなりえますし、窒息はしなくても気管支などにはさまった状態になって苦しい状態が続き、取り出すのに長時間かかるケースもあります。ですから、特になんでも口に入れる月齢の子どもたちのクラス、そういった子どもたちが来る部屋では、次のようなチェックを毎日、必ずしてください。

1)製作物を貼ったテープが、製作物をはがした後も壁に残っていないかチェック(乾いて床に落ちたものを、子どもが口にする)。あったら取り除く。

2)床、テーブル、ロッカーなどに貼ってあるテープ、テプラ類がはがれかけていないか。大きな(長い)テープであれば、はがれかけたところを切る。はがしたらそのまま口に入るような小さなサイズのテープは、はがしてつけ直す。

3)ペットボトルの手作りおもちゃは、フタを巻いてとめているテープがはがれていないか、チェックする。はがれていたら、はがれている部分を切り取る。巻きが少なくなったら、全部はがして巻き直す(**)

4)ほどけかけている厚紙(絵本など)の角は補修する。

5)床に落ちているもの(おもちゃ以外)は、拾う! これは、テープやシール類に限りません。ゴミでもなんでも拾うのが当然ですから。

 虫よけパッチや気管支拡張剤のテープなどは、保護者に「貼ってきたら、必ず保育士に口頭で伝えて」と知らせるべきです。貼っている子ども自身は、なんでも口に入れる時期を過ぎていても、はがれた(はがした)テープで小さい月齢の子どもが危険にさらされる可能性があるからです。〔ここから加筆。2015年7月26日〕このための手紙(掲示)例こちら。楽観バイアスゆえに、保護者も「自分の子どもがそんなこと(シールやテープを口にする)をするわけがない」と思いがちです。ですから、「あなたのお子さんが…」ではなく、「他人の子どものことを考えて…」と、保護者の行動、子どもの行動が他の子どもにとって害になる可能性もあるという伝え方をしています。これは、保護者に呼びかける食物アレルギー対策でも同じです(食べ物を持ち込まない、お土産を配らない…、なぜかというと、食物アレルギーの子どもがいるから)。〔加筆ここまで〕

 事例は、(公財)兵庫県保育協会さんの事例集にたくさんあります。
 ブログに皆さんがご存知の事例もどんどん書きこんでください!


* 誤嚥や誤飲(特に誤嚥)の場合、子どもが口に入れた後に出るか出ないか(出すか出さないか)、詰まるか詰まらないか、詰まったとして取り出せるか取り出せないか、生きるか死ぬかは、確率(運)の問題であり、結果的になんともなかった事例は「運良く(確率的に)大丈夫だった」だけのことで、実際には窒息等の一歩手前だったわけです。こうした事例を「ヒヤリハット」と呼ぶのは不適切です。誤嚥や誤飲の場合は、「口に入れるところで気づいた」=ヒヤリハット、です。

** ペットボトルの手作りおもちゃのフタをボンド類で止めることは、私はお勧めしていません。ボンドでとめてあるものを見ると、私は必ず開けようと試みますが、必ず1本はフタが開きます(何本もあったおもちゃ全部のフタが開いたこともあります)。色水ぐらいなら健康に害はないでしょうけれども、ビーズ類が入っていた場合、子どもが開けようとして開いていまい、中身を飲み込んだら…?

 ボンド類でとめたフタは、いつか必ず開きます。そして、いつ開くかは誰にもわかりません。保育士さんが消毒している時に開けばよいのですが、子どもがおとなの真似をして開けようといて開くこともあるでしょう。「ボンドでとめてあるから大丈夫」と思って、遊んでいる子どもを見ていなかったら、突然、フタが開いて子どもが中身を飲み込むということもりうる(=危険が突然、子どもの目の前に表れる)のです。

 一方、フタをテープでとめてあったら? 保育士さんは、かじっている子ども、はがそうとしている子どもに意識を向けざるをえませんし、はがれているテープに気づきます(気づかなければ、それは保育士さん自身の問題でありまして…)。「ああ、切れそうだな」「かなりはがしたな」と思ったら、その場ではがれている部分を切り、渡す。子どもはまた、最初からかじる、はがす行動をし始めるでしょう。「あと1周しかついてない」と保育士さんが気づいたら、はがして巻き直します。こちらであれば、子どもの目の前に危険(中身)が急に現れることはなく、保育士さんは「危険に気づく時間」をかせぐことができます。

 「危険だから、テープ類はいっさい使わないようにしよう」という考え方は、間違いです。世のなかに、完全に安全な物、完全に安全な素材はありません。ペットボトルのおもちゃの場合、「この条件だと、子どもの目の前に急に危なさが出てきてしまう(=保育士さんが間に合わない)」のか、「この条件ならば、子どもの目の前に危なさが出てきそうだということに気づく時間をかせげる」のか、そのように考えることが大切です。  ちなみに、フタをとめるテープは透明ではないほうがいいと思います。透明なテープは見づらいので…。


このページの一番上に戻る