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7-3. 異物混入はすべて謝罪すべきか:予防と対応

(2020年1月16日)

 給食から異物が見つかった。子どもが見つけたから保護者に伝える…。職員が気づいたから保護者には伝えない…。伝える時はとにかく謝罪し、「二度とこのようなことが起きないよう、努力します」と言う…。いえ、異物混入は間違いなく、何度も何度も起きます。「二度と」なんて言ってはいけません。まともに考えれば、「また起こる」とわかるのですから、「二度と」と言えば保護者の中には「できるわけがないじゃないか」と不信感を持つ人もいるでしょう。それも「努力します」とか「緊張感を持って」とか、具体性のないことしか言わないのですから。

 まず、異物混入はすべて同じ、ではありません。分類して考えれば予防も対応も明確になります。もちろん調理の環境によって異なるとは思いますが、概略を以下に書きます。

1)野菜についていて当然の虫

 保育施設では、新鮮な食材から食事を作ります。地産地消であってもなくても、野菜に虫がついているのは当然です。これをいちいち謝罪する必要はありません。4月の保護者会の時に「私どもの園は、新鮮な食材を用いてゼロから食事を作っています。ですから、虫のようなものは時々入るでしょう。子どもたちは日頃から虫と親しんでいますし、『どうして給食に虫が?』と興味を持つと思います。農業について、食について、虫について調べ、考える機会ととらえています」と伝えてください。給食に虫が混入していたら、その都度、保護者に伝え、子どもたちの反応、子どもたちが何を学んだかなども知らせます。

 考えてみてください。あなたはこれまでの人生で何回、食事に混入した虫を食べたことがあると思いますか? …無数にあります。でも、食べてしまったらわかりませんから、数えようがありません。熱が通っていれば単なるたんぱく質です。

 念のため、保健所に聞いておくといいでしょう。たとえば、数ミリのガの幼虫について「食べたら毒」と言う保健所はないはずです。加熱しているのですし、当然です。

2)ゴキブリなど

 これは1)の虫とは違います。そもそも駆除、予防をしていて当然です。大きさも違いますから調理中に見つけられるでしょう。掛札がニュースで見ている限り、保育園の給食でこの種の混入があったケースはありません。学校の給食室や給食センターでは起きています。

 混入したら? 誰が見つけたのであれ、職員全員、保護者全員に「駆除を徹底する」旨を伝え、実際に駆除をします。

3)包丁やスライサー等の刃

 これは口にしたら危険ですから、混入を予防すべきものです。そして、混入予防はできるはずです。なぜなら、刃を使うのは調理過程の最初の部分だからです。

あ)すべての「刃」は、使う前に欠けやこぼれがないかチェックする。あったら使わない。使ってはダメです!

い)その「刃」を使い終わったら、使い終わった段階ですぐに、欠けやこぼれが起きていないかチェックする。欠けがあったら、どこかに混入している可能性が想定されるわけですから、進行している調理を止めて探します。見つかればよいのですが、見つからなければ、念のため、当該メニューは廃棄し、代替メニューを出します。

 使う前にチェックし、使った直後にチェックすることで、混入したかもしれないメニューを提供することは止められます、混入は起きたとしても。そして、保護者にも上のあ)とい)の手順を徹底して見つける旨を伝えます。この時、「欠けないように使います」などと言ってはいけません。刃が欠ける、刃がこぼれること自体は防げないからです。そこではなく、「混入に気づいて提供を止める」ことが取り組みです。

4)ボルトや金具

 鍋や器具のボルトや金具、プラスチック部分が混入することもあります。たいてい子どもが見て、または口にして気づきますが、「なぜ、そんなものが?」と言われるタイプの混入です。

 これは、3)の刃とは違います。その日の調理作業がすべて終わったら、ボルトや金具、プラスチック部分をチェックします。チェックというより、はっきり「ゆるみやずれがないかを調べ、すべて締め直し、はめ直し」をします。これで、次の日の作業は問題がないはずです。作業終了時に締め直して、次の日の作業中にまたゆるむようなボルトなら…、交換すべきでしょう。

 これも混入が起きたら保護者に知らせ、上のような具体的な取り組みをすること、交換をすることを伝えます。

5)手袋の破片

 これは日常的に混入します。手袋の使い方は園によって違うので、対策を単純に書くことはできないのですが、ただ、手袋の場合は水が入ってくればわかるのではないのかな…と。

6)輪ゴムやビニールの破片

 細ネギをまとめていた輪ゴム、エノキダケの下の部分のビニールなど…。まとまったままで切りたいということなのでしょうし、ネギの根やエノキの根が入ったら困るということなのかもしれませんが、リスクとリスクの天秤をかけてみてください。ネギの根もエノキの根も食べ物です。輪ゴムやビニールは食べ物ではありません。そもそも、輪ゴムやビニールはすべて取り除いてから切る、調理することをお勧めします。「根が入っていた」と言われたら、「輪ゴムやビニールをすべて取り除くほうを優先させていますので」と言えば済みます。

7)ザルの破片、金タワシの破片

 混入予防でもっとも難しいのは、実はこの種のものだと思います。ボルトがゆるんでいる調理器具は買い替えても、ザルが少し切れたからといって替える人は家庭でもいないだろうからです。そして、発見するのも非常に難しい。こればかりは、混入した事実を伝え、「ザルを頻繁に買い替えることはできませんので、混入は起こります。子どもの口に入らないよう観察はしますが、混入を完全に予防することはできません」と言うしかないと思います。



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