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B-3. 手紙のひながた(ファミサポ提供会員)

(文末に加筆)

 各地の自治体で広がっている「ファミリー・サポート」、いわゆる「ファミサポ」と呼ばれる事業です。地域住民の皆さんがほぼボランティアの立場(=提供会員)で活動しているものですが、提供会員の方のお話をうかがっていると、利用している保護者(=依頼会員)の中には、「(少しとはいえ)お金を払っているのだから、~してくれて当然だろう」という気持ちになる方もいらっしゃるようです。

 ファミサポは自治体が仲介しているから、保険に加入しているからと提供会員の方は安心しているようですが、提供会員のもとに子どもがいる時に深刻な事態が起きた際の責任などについては、自治体の担当部署との間で明確にしておくべきです。

 ファミサポ活動の中でも、深刻な事態になりかねない事例が散見されますが、もっとも問題になるのは、外を歩いている時などに子どもが突然走り出す場合のようです。手をつながない、手をつないでいても振りほどいて走り出すといったできごとが多く、「駅の雑踏の中で急に見えなくなった」「バスから勝手に降りていきそうになった」など、提供会員が肝を冷やすことも起きています。

 また、提供会員を突き飛ばす(力が強く、提供会員のケガにつながる場合も)、提供会員に意地悪をする、提供会員宅で決められた部屋にじっとしておらず、家財を壊すといったことも起きています。

 ファミサポ提供会員の皆さんも、「なにかあっても、自治体がなんとかしてくれるだろう」ではなく、自分の活動にどんなリスクがあるのかを考え、自治体、依頼会員に伝えていくことが重要だと思います。また、自治体側も「提供会員が増やしたいから、悪いことは言わない」ではなく、自分たちが負える責任範囲を明確にし、提供会員と依頼会員の双方にリスクを伝えていく必要があります。

 ここに置いてあるひながたは、提供会員が依頼会員に口頭または紙面で伝えるべき内容を、(今の時点でわかっているぶんだけですが)並べたものです。必要に応じてお使いください。自治体の窓口から依頼会員に渡す説明用紙に添付してもよいかもしれませんが、その日その日に、提供会員から依頼会員に伝えていくことも大切です。最初にもらった説明を保護者が読み返すことは、ほぼないでしょうから。(2016年10月24日)


(2019年2月18日加筆)

 2010年、大阪府八尾市で起きた死亡事故と、その和解(2017年。下)については自治体もファミサポをする方も理解しておくことが必須です。「こんなことはうちの自治体/私のもとでは起きない」は誤りであり、睡眠以外にもさまざまな重大事象が起こりうるリスクを明確にしておくべきです。

 乳児を預かる場合には、こちら(千葉県)の「参考書式」にある「入園前健康状態把握表:一時利用者用簡易版」の中の必要項目を保護者に記入してもらうのも、ひとつの方法でしょう。

 また、A-2に掲載してある世田谷区の学校で起こったケガの裁判例も考え、ファミサポ(と自治体)にもこうした責任が生じる可能性を考えておくべきです。


(八尾市の死亡事故)
 2010年11月、同市の子育て支援事業を利用して預けた生後5カ月児が託児先でうつぶせ寝で寝かされ、低酸素脳症の後遺症で死亡した(2013年10月)として、両親が託児先の女性らに計約7900万円の損害賠償を求めた訴訟。2017年3月3日、女性が4000万円の和解金を支払うなどの内容で和解が成立した。両親は「託児先に十分な講習をしなかった」として八尾市と事業委託を受けていた社会福祉協議会にも賠償を求めていた。和解内容で、市と社会福祉協議会は児に哀悼の意を表すること、さらに託児先への講習などを通じて事故防止に努めることが盛り込まれた。(産経west、2017年3月3日)



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