C-2. 保護者とコミュニケーションする(具体例)
(2024/10/10)

 このサイトやFacebookにバラバラ書いているものをまとめておくページです。目次はまだ作っていません。

▶保護者が選び、意志表示する:外遊びボードを例に
 意志表示には2種類あります。日本語には該当する言葉がないのですが、「オプト・イン opt-in=するよ!」と「オプト・アウト opt-out=しないよ!」(optはoption〔選択肢〕と仲間の言葉)。園では、ある選択肢においてリスクや責任が誰にあるのかを考えたうえで、オプト・インとオプト・アウトのどちらを使うべきかを考えましょう。外遊びの場合、オプト・インです。外遊びは、子どもの体調や外環境(天候等)を考えて保護者が決めるものだから。
 このボードの場合、「(価値とリスクを考えたうえで)外で遊ばせていいと思う」という意識的な選択をした保護者が「緑の紙で自分の子どもの名前を隠す」という意識的な行動をしなければならないのです。「うーん。暑いし(寒いし/風邪が流行っているし)どうしようかな」と思う保護者は、何も行動しなくてよい(=外遊びナシ)。

★「名前が残った子どもは外遊びナシ=室内にいる」なので、先生たちにもわかりやすい。

(余談:「しのぶ」は、これを送ってくださった先生の名前です)


 これをオプト・アウトにすると、「遊ばせないで」と思う保護者が行動をしなければならないことになるため、「断固、遊ばせないで!」と思う保護者以外は意志表明をしづらくなります。
 オプト・アウトはアプリ等のダウンロードでよく使われる方法です。「一定期間は無料だけど、その後は料金を引き落とすから、お金を払いたくない人は無料期間が終わる前に『契約しない』っていう手続きをしてください」…これが典型的なオプト・アウト。「やめる」という意志表示をし忘れて、そのままお金を払い続けることを期待している、一種の罠です。園でも、保護者が意思表示をしにくくするため、オプト・アウトを使うケースもあるでしょう。でも、まずは価値とリスクと責任の所在を考えて。(2024年7月8日、Facebookに初出)

▶緊急連絡先とお迎え者リスト(保護者記入用)
 文書/書式を作る過程もおわかりいただけるひな型です。おたよりから書式、マニュアルまで各種の文書作成のお手伝いをさせていただいているあさひがおか保育園さん(福島県郡山市)が作った素案から個人情報を極力なくし(紛失時のリスクを極力下げる)、先生たちが使いやすいよう、保護者が記入しやすいようにしました。素案からどのように変えたかが書いてあります(画像になっているのは、PDFだと赤字だけを削除して使えるからです。このままであっても、自分で作ることで内容を理解できます)。(2023年3月2日)
▶保護者に持ち帰る物を伝える
 人間は間違える生き物です。連絡帳は個人情報ですから、入れ間違いがないよう絶対に「声出し指差し確認」(2-3)しながらバッグに入れる。でも、それ以外は間違いが起きて当然と考えていないと、先生たちがつらくなります。あるいは、下のような連絡プレートを個人のロッカーなどにつけることで、保護者に持ち帰りの責任を手渡す方法も。洗い物以外に「お渡しする書類があります」などのプレートもあると便利です。プレートの形や色を変えると、保護者もわかりやすいでしょう。とにかく、「職員がなにもかも責任をもって、間違いのないようにしなくちゃ!」ではないのです。


▶与薬票のひな型
 園内研修(リモート)をしている園で「与薬票が使いにくい」という声が先生たちからあがったので、一緒に同園で研修会をしている並木由美江先生にも意見をたくさんいただき、見直してみました。この紙を縦に2つ折りして透明なウォールポケットに入れれば、大事な情報(だけ)がパッと見えます。
 それでも与薬ミスは起きます。当たり前です、人間のすることですから。なので、「入園のしおり」等にこちら(A-3)の5)の文章を入れておくことをお勧め。「ミスをしません」と言ってはいけません。まず、「薬は預かりません」が基本であり、地域の医師会とも協議しておくべきことです。(2020年11月2日)