3 附 (1) 睡眠関連の事例(過去のニュースから)

 睡眠関連の事例は多いため、掲載しているのは一部のみです。
 (訴訟等の過程、内容は報道から。誤りがありましたら正しい情報をお教えください)

2018年の2事例について「その後」を追加しています。★印参照

〔0歳児がうつぶせ寝の状態で死亡〕2023年3月19日午後3時過ぎ、宮崎県宮崎市の保育施設で職員と子育て支援員が、うつぶせ状態で寝ている0歳児の異変に気づき、児は救急搬送されたが、死亡が確認された。3日後の22日、施設長が宮崎市に報告。市が施設に立ち入り調査をし、過去のシフトや子どもの数を確認したところ、時間帯によって配置する職員の数が不足している状況がわかった。児が死亡した日も時間帯によっては、見回る職員が不足していたという。さらに、この施設では、過去にもうつぶせの状態で寝ている子どもをそのままにしていたことがあったという。これを受け、市は施設に対し文書による改善勧告を行った。

〔産後ケアの助産院で2か月児が死亡〕2022年6月8日午前、神奈川県横浜市から委託を受けて「産後ケア事業」を担っている助産院で生後2か月児が死亡した。詳しい死因はわかっていない。担当者が部屋を離れて30分ほど目を離した間に呼吸が止まっていたといい、助産院は両親に対し経緯を説明したうえで、「ケアのしかたが統一されておらず『これまでは大丈夫だった』という甘さがあった」などと謝罪したという。助産師は部屋を離れた30分ほどの間、一度も赤ちゃんの様子を確認していなかった。

〔一時保育で預けられた3か月児が死亡〕2022年7月30日、沖縄県那覇市の認可外保育施設で預けられていた3か月児が死亡した。一時保育利用で、保護者が迎えに行くと児はぐったりした様子で体の一部が冷たくなっていた。職員は「寝ていたから体が冷えている」「息もしているので大丈夫だ」などと説明したという。その後、保護者が119番通報し、児は病院に搬送されたが、間もなく死亡が確認された。遺体に目立った外傷はないという。消防によると通報時、児には意識と呼吸がない状態だった。
 事故後、園から報告はなく、市は発生から6時間以上たった午後7時頃に、第三者からの情報提供で把握した。また、去年11月に市が行ったこの園の立ち入り調査では、職員数の確保や睡眠時のチェックことなど、12項目について改善指導が行われていたという。
→2022年10月11日、当日に実施した立ち入り調査の結果を那覇市が公表。 園は当時、乳幼児突然死症候群の予防のための確認をしていなかった。また、児は死亡した当時、園長の指示でうつ伏せの状態で寝かされていたという。
→11月、市が閉鎖命令の行政処分。行政処分の理由について「特に乳幼児突然死症候群の予防について繰り返し指導を受け、適切な対応を行うと報告していたにもかかわらず、改善がなかった」「救急対応が必要な状態にある児童の異変に対し、直ちに救急要請や救命措置を行わないなど、児童の安全確保に対する適切な対応が行われていないことから、今後改善が期待されない」と判断したとしている。同施設は経営の厳しさを理由に8月下旬に廃止しているが、審議会は11月14日、施設閉鎖命令の行政処分を出すことが妥当だと市に答申していた。

〔認可外施設で7か月児が死亡〕茨城県土浦市の24時間保育の認可外施設で2022年7月30日、生後7カ月児が死亡した。未明に施設の職員が気付き119番、児は病院に運ばれたが死亡が確認された。当時は保育士と保育資格がない施設長の2人が勤務し、0歳児を2人、5歳以上の子どもを8人預かっていた。同施設では複数の指導監査基準違反があったが、違反状態のまま事業を継続していたという。このため、8月12日、市はこの施設に対し、緊急の事業停止命令を出した。停止は8月19日から、改善すべき事項が改善されるまで。

〔6か月児が死亡。施設長が「うつぶせに」と指導〕鹿児島県出水市の認可外保育施設(廃業)で2019年2月28日正午頃、生後6か月児をうつ伏せ寝させたまま放置し窒息死させたとして、保育士と経営者が業務上過失致死の罪で起訴された(2020年)。施設では18人を預かっており、県の基準では3人以上の保育従事者が必要だったが、職員はこの2人だけだったという。8月12日に行われた初公判で、2人は起訴内容を認めた。検察側は「経営者が、子どもがあおむけで寝ない場合はうつぶせにして背中をさすって寝かすよう保育士に指導していた」と指摘。また、2018年4月以降、県などから保育士の人数不足を指摘されていたにもかかわらず、改善していなかった。
→2020年10月21日、地裁判決。元施設長は禁錮1年執行猶予3年(求刑禁錮1年)、元保育士は求刑通り罰金50万円。「元保育士に、うつぶせ寝をすると寝付きが良くなるなどと伝え、いつ重大事故が起きてもおかしくない状況をつくった過失は大きい」と指摘。また、元保育士には「能力を超える人数を保育せざるを得ない状況はあったが、保育士としての基本的な注意義務を欠いた」と述べた。〔掛札コメント〕「保育士としての基本的な注意義務」って言いますけど、それ、たとえば養成校で明確に教えてるんですか? 保育士だけでなく、運営者にも義務として教えなければダメですよね。
→県が人員不足を指摘し、改善報告書の不備も把握しながら、「必要に応じて行う」と定められている特別立ち入り調査を実施していなかったことが、2020年10月22日にわかった。この施設に対し、県は2014、16、17年度に通常の立ち入り調査を実施し、2014年度には人員不足を指摘。2016、17年度は、施設長が口頭で「人員は足りている」などと述べたが、出勤簿や勤務表などの書類がなかったため、提出を求めた。3回の調査後、施設は業務多忙などを理由に、締切を1か月半~3か月半過ぎて報告書を提出。書類の添付もなく不備があったが、特別立ち入り調査はしなかった。県は「提出があったため、改善状況は翌年度確認することにした」としている。

〔1歳児がうつぶせ寝で死亡〕福島県福島市の認可外保育施設で2018年12月25日午後、1歳児が死亡した。同園によると、昼寝の時間で児はマットの上で寝ていた。父親が午後2時頃迎えに来た際、児がうつぶせの状態で息をしていないことに職員が気づき、119番したという。病院に搬送されたが、約40分後に死亡が確認された。当時、保育室には死亡した男児を含めて0~1歳児15人が寝ており、4人の職員で見守っていた。
 市は市内の保育園に1歳児は10分おき、0歳児は5分おきに睡眠の状況を確認するように指導していたが、児が保育室で横になっていた正午~午後2時、保育士が様子を確認したのは午後1時の1回のみ。その際、児はうつぶせ状態だったため、呼吸をしやすいように顔だけ横向きにしたが、呼吸をしていたかは確認しなかったという。

〔6か月児が死亡。発見時はうつぶせ〕2018年10月3日午後、東京都練馬区の認可外保育施設で、生後6か月児があおむけで口からミルクを吐いて倒れているのを施設の職員が発見した。搬送先の病院で死亡が確認された。職員がミルクを飲ませて寝かしつけていたところ、様子がおかしいことに気付いたという。この職員は警察に「施設近くの診療所に連れていったが処置できないといわれ、119番通報した」と説明。窒息死の可能性があるといい、詳しい状況を調べている。
 寝かしつけた職員が、「ミルクを飲ませた後、あおむけに寝かせた。発見した時にはうつぶせになっていた」と説明していることが新たにわかった。「まったく意識がない、反応もない、動きもない、呼吸もない状態。(職員が)ボンボンボンボンと体をたたいていたらしいです。慌てて」(直後に対応した診療所の医師)。当時、施設は職員3人態勢だったが、園長によると、寝かしつけた後、様子を確認したのは30分後だったことという。「いつもは15分くらいで見るのが、30分になってしまった。その30分がいけなかったんです。15分を厳守しなければいけない。だから私の落ち度です」(園長)。職員らが目を離している間に児がミルクを詰まらせるなどして窒息した可能性が高い。
・「15分に1回は子どもの様子を見るようにしていたが、書類の整理や来客の対応で(私と)職員がはずしてしまい、30分間そのままにしてしまった」
・都が2017年9月に巡回指導した際、睡眠中のゼロ歳児には5分ごとに目を配ることなどを助言。今年1月には、児童福祉法に基づく立ち入り調査を実施し、その時点でも「SIDSの予防への配慮が不足している」と認定し、計8項目の不備を指摘した。施設からは3月、SIDS予防の対応も含め7項目を改善したとする報告書が提出された。本年度中に確認する方針だったが、まだ実施していなかった。認可外保育施設について都は年1回以上、児童福祉法に基づく立ち入り調査をすることになっているが、施設数が多く、全体の2割弱しかできていない。その中で、この施設には3年連続で入っていた。
→遺族が施設側を業務上過失致死の疑いで告訴(2020年6月2日に弁護士が会見)。児はうつぶせの状態でぐったりしているのが見つかり、搬送先の病院で死亡した。施設は職員が児にミルクを飲ませて寝かせたあと、30分ほど目を離したと説明しており、都の検証委員会の報告書では施設が睡眠時の見守りの重要性を理解せず、経営の厳しさから園児を多く受け入れ、無理が生じていたと指摘。死因は吐いたミルクをのどにつまらせたことによる窒息死の可能性があると警視庁から説明されたという。
→元施設長が業務上過失致死容疑で地検に書類送検された。当時、元施設長と非常勤職員2人の計3人で0~5歳の19人を預かっていた。

〔認可外施設で2児死亡〕 ★検証報告書は「役立つリンク」(2018年のもの)
 茨城県水戸市の認可外保育施設で2016年7月と2018年9月に、乳児が死亡していたことがわかった(2019年)。いずれも死因は特定されず。施設は2018年9月、廃止届が出された。2016年の事故について、県は「死因が特定されていないので公表しなかった。警察も報道発表しておらず、個人情報が絡む問題だと考えた」。死亡時の状況についても詳細について説明していない。「遺族の感情に配慮したため」として報道発表はしていない。県は当時、施設に立ち入り調査を重ねたものの、保育士配置などが改善されないまま死亡事故が起きた。県が設置した検証委員会は、指導の実効性確保や情報公開を求める報告書を2019年にまとめ、県は2020年から、認可外保育所で重大事故が発生した場合、概要などを原則公表する方針に変更した。
 2018年の死亡については、報告書によると9月1日午前3時半頃、母親が施設に迎えに来たため、施設長が布団でうつぶせに寝かせていた児を抱き上げたところ、体が冷たく、顔色が悪いことに気付いた。消防到着時に心肺停止状態で、搬送後に死亡が確認された。発生前夜に預かった職員が、児がうつぶせで顔を横に向けると落ち着いて寝ることを施設長に引き継いでいた。施設長も深夜、ミルクを飲ませ横向きに寝かせていた。国の基準では、保育者は少なくとも2人必要だったが、発生時、児を含む児3人を施設長1人で預かっていた。施設長を含む職員3人は全員、無資格者だった。
→2016年の死亡は施設側がうつぶせで寝かせたことが原因だとして、保護者が元施設長に約6500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、地裁は2021年12月24日、約5300万円の支払いを命じた。判決理由で「事故後の警察の実況見分で、元施設長自身がうつぶせで寝ていたと証言している」と指摘し、「うつぶせで寝かせておらず、託児所に預けられた時から体調が悪かったのが原因だ」とする元施設長側の主張を退けた。
→2018年8月に起きた2か月児の死亡について、2021年6月23日、業務上過失致死の疑いで施設の経営者が書類送致された。起訴を求める「厳重処分」の意見付き。容疑は8月31日午後11時から9月1日午前1時頃の間、児の睡眠状態の点検など注意義務を怠り、うつぶせで寝ていた児の鼻と口が敷布団でふさがれていたことに気付かず、窒息で死亡させた疑い。
→2016年7月13日、生後7カ月児が死亡した件の控訴審判決(2022年8月9日)で高裁は、過失を認めて約5300万円の支払いを命じた一審判決を支持、元施設長の控訴を棄却した。元施設長側はうつぶせ寝が原因ではないと主張したが、「窒息死以外の原因で死亡したとの具体的可能性があるとは言えない」と指摘。元施設長は死亡推定時刻の直前までスナックで飲酒していたことから注意義務違反による過失を認定した。判決によると、母親の知人が迎えに行った際、元施設長が抱きかかえて連れてきた児は体が硬直し、搬送先の病院で死亡が確認された。
→2016年に死亡した児の遺族が、業務上過失致死容疑で不起訴となった元施設長(男性、79歳)の処分を不服として、水戸検察審査会に審査を申し立てる方針を固めた(遺族の代理人弁護士、2022年11月2日)。

〔11か月児が睡眠中に急変、死亡〕東京都中央区の認可保育所で2018年7月27日夕方、生後11カ月児が睡眠中に体調の急変をきたし、その後、亡くなっていたことがわかった。児はあおむけの状態で寝ていたといい、死因は不明。当時、施設では無資格の職員3人が子ども3人を見ていたが、3人とも東京都の子育て支援研修は済んでいたという。

〔1歳児が死亡〕東京都葛飾区の認可外保育施設で2018年1月末、1歳児が死亡していたことが明らかになった。1月27日未明、職員が動かなくなっている児に気づき119番、児は病院に搬送されたが、その後死亡が確認された。死因は不明だという。都が立ち入り調査をしたところ、2人以上の職員を配置する必要があったにもかかわらず、当時は1人しかいなかった。

〔0歳児が死亡。6人を1人で保育〕2017年4月、鹿児島県鹿児島市の認可外施設で0歳児が睡眠中に死亡した件で、検証委員会は8月28日、原因に「保育士の不足」を挙げ、市が財源を投入して対策をとるよう市長に提言した。検証の結果、他の園児が投げた毛布が死亡した児を覆い、園長が気づいた時には呼吸をしていなかったことがわかり、死因は窒息死の可能性が高い。
 当時、乳児2人を含む6人の子どもを園長1人が保育していた。この施設では保育士が足らず、約1か月、夜の時間帯を園長1人で担当していたという。検証委員会は原則2人以上の職員を配置するよう定めた国の基準にこの保育施設が違反していたことを重く見、市に「保育士の安定的な確保や就寝中の子どもが事故に巻き込まれないよう具体的な防止策を作るよう」提言した。

〔SIDS対策マニュアルに「箝口令(かんこうれい)」〕愛媛県東予地区の社会福祉法人が運営する保育園で、園児の死亡事故が起きた場合は職員に箝口令を敷くようSIDS対策マニュアルの中に書いていたことが、県の監査で明らかになった(2017年1月)。毎日新聞の情報公開請求に対して県が開示した監査に関する文書によると、保育園のSIDSマニュアルには、園児が死亡する事故が起きた際の職員の対応として、「(死亡事故についての)発言を一切控える(箝口令)」と記載されていた。県はマニュアルを不適切として、改善を求めた。

〔9か月児、うつぶせで死亡〕高知県高知市の24時間保育施設で2017年1月11日に9か月児が睡眠中に死亡した。午前6時45分頃、母親が児を施設に預けた。保育士資格を持つ園長が泣いていた児を布団に寝かせて背中をさするなどしていたところ、午前7時半頃、うつぶせで顔を横に向けた状態で眠り始めたので、園長はいったん離れた。約30分後に様子を見ると、児はうつぶせで顔を真下に向け、呼吸をしていなかったため、119番通報。搬送された際は心肺停止状態で、一度、呼吸が戻ったが12日午後6時半頃死亡した。13日に司法解剖をしたが、死因は特定できなかった。事故当時、施設には児と施設長の2人しかおらず、施設長は市の聞き取りに対し、「当日の予約状況を調べるため、インターネットを確認していて目を離していた」と話しているという。施設は昨年4月に開設された。
→施設長が業務上過失致死容疑で書類送検された(2020年)。

〔うつぶせ寝で0歳児が心肺停止〕山形県鶴岡市の県立乳児院で2016年12月26日午後3時過ぎ、うつぶせ寝の状態で発見された児(当時0歳)が一時、心肺停止になっていたことがわかった。3時15分頃、職員が児を寝室のベビーベッドにあおむけに寝かせた。同25分頃に職員が様子を確認した際は異常がなく、午後4時頃、うつぶせ状態で心肺停止となっているのが見つかったという。搬送され、心拍は再開したものの2017年夏現在も入院中で、障害が残る見込み。同院には15分ごとに子どもの様子を確認する内規があるが、男児がうつぶせ状態で発見された際は、確認までに約30分の間隔があった。
→県が見回りを怠った責任を認めて家族に1億円1500万円を支払い、和解。施設では内部の規則で通常15分間隔で見回りをすることになっていたが、児が呼吸していないのに気付くまで、見回りを2度怠るミスがあったという。

〔1歳児が預け入れ初日に死亡〕 ★検証報告書は「役立つリンク」
 大阪府大阪市淀川区の認可外保育施設で2016年4月4日3時半頃、1歳児の異常に保育士が気づき、4時半頃、救急搬送された病院で死亡した。この日、児は施設に初めて預けられ、うつぶせ寝の状態で昼寝を始めたが、後に姿勢を横向きに変えた。保育士が、この児の様子を横目で見ながら他の子どもにお菓子を与えていた際、異常に気づいた。事故当時、保育士ともう一人の職員の2人で、死亡した児を含む11人の子どもを預かっていた。
 事故は児の親類が市に通報して明らかになった。市は事故当日に施設を特別立ち入り調査し、昨年8月以降、保育従事者が1人になったり、保育士が不在になったりする時間帯があるなど、市の指導監督基準を満たしていない場合があったと指摘した。施設は、同じ建物に入っている人材派遣会社が平成6年に開設した。
→2017年3月14日、施設長、保育士、職員の3人を業務上過失致死の疑いで書類送検。児は2時40分頃に午睡を始めたが、同3時頃から職員が目を離し、3時15分頃にうつぶせの姿を確認。25分頃、うつぶせでぐったりしている児に保育士が気づいた。すぐに人工呼吸をし、救急搬送したが病院で死亡が確認された。司法解剖の結果、児の死因はのどに嘔吐物を詰まらせた窒息死。
→第三者委員会が2017年7月6日、報告書をまとめた。
→業務上過失致死容疑で書類送検された3人について、地検は2017年9月25日、嫌疑不十分で不起訴とした。「犯罪事実を認定するに足る証拠がなかった」としている。
→両親が運営会社と市などに計約8700万円の損害賠償を求める訴えを地裁に起こした(2018年)。「うつぶせ寝を放置し、呼吸確認も行わず、重大な注意義務違反があった」と主張。市に対しては、うつぶせ寝などを放置している認可外保育施設に改善指導する義務を怠ったと主張している。両親によると、施設側から謝罪はなく、法的責任を否定した上でお見舞金300万円の支払いを提案してきたという。
→2021年3月17日、3人が直接、謝罪するとともに5000万円の賠償金を支払うことで和解が成立した。大阪市とは一昨年、第三者委員会がまとめた再発防止策を徹底することなどを条件に和解が成立。

〔添い寝中に9歳児、死亡〕 川崎市中原区にある療育施設で2016年12月26日、23日から入所していた児が就寝中に心肺停止となり死亡した。同日未明、ぐずる児を寝かしつけようと20代職員が添い寝をしていた。職員はそのまま眠ってしまい、約2時間後に起きると児は意識がなく、搬送されたが死亡が確認された。司法解剖の結果、窒息死の可能性が高いことが判明、睡眠中に口や鼻をふさぐ状態になったとみている。職員は「目が覚めると児に覆いかぶさっていた」と話しているという。

〔1歳児がうつぶせで、睡眠中に死亡〕 ★検証報告書は「役立つリンク」
 2016年9月2日午後2時40分頃、東京都板橋区の認可保育所で1歳児(ゼロ歳児クラス)が心肺停止状態となり、搬送されたが死亡した。職員が気づいた時、児はうつぶせだった。目立った外傷はなし。この保育所は4月に開園、0~5歳児69人。ゼロ歳児クラスは6人。

〔うつぶせで4か月児が死亡〕茨城県高萩市内の乳児院で2016年4月25日午前10時20分頃、生後4か月児が睡眠中に死亡していたことが明らかになった。児は預けられて間もなかったため、別の部屋で9時15分頃に寝かしつけられ、その後は部屋の外から寝ている様子を確認していたという。発見当時は、うつぶせ寝の状態だったとのこと。

〔生後6か月児が死亡〕 ★検証報告書は「役立つリンク」
 東京都大田区の認可外保育施設で2016年3月16日午後11時50分頃、生後6か月児が亡くなっていたことが明らかになった。施設は24時間運営で、当時、0~3歳5人が預けられていた。職員1人が別室で休憩し、保育資格のない別の職員が実質1人で5人をみていたという。この職員がミルクを作るために十数分間、この場を離れて戻ったところ、児の異変に気づき、児は病院へ搬送されたが死亡が確認された。職員は、「あおむけで寝かせていた」と説明しているという。都は指導監督基準を満たしていない点があったとして、6月20日に改善勧告した。当時、施設にいた2人は無資格。

〔1歳2か月児がうつぶせで、睡眠中死亡〕 ★検証報告書は「役立つリンク」
 東京都中央区にある事業所内保育施設(7企業が従業員のために共同で設置)で、2016年3月11日午後2時過ぎ、1歳2か月児が心肺停止状態となり、搬送先の病院で死亡が確認された。児はうつぶせ状態で2時間以上寝かされていたが、呼吸の確認は十分に行われず、人工呼吸などの救命救急措置もとられていなかったという(救命救急研修を受けた職員は1人)。当時、施設には子ども20人に対し、保育士等4人を含む合わせて6人の職員がいた(都の認可外保育所基準を満たす)が、安全管理体制に問題があったとして、都は運営会社(全国で33か所の保育所を運営)に対し、改善を求める行政指導を行った。
 死亡した児の母親によると、育児休業を終え、仕事復帰のため3月に向けて自宅近くにある6か所の認可保育所に申し込んだものの、すべて入れなかった。唯一空きがあった認可外施設に預けることを決めたという。事故後、施設側から当時の状況を聞いたところ、児は慣れない環境でよく泣いていたため、昼寝の際は一人だけ、他の子どもたちとは別の部屋で寝かされていたことがわかった。「そのほうが良く寝るから」という園長の指示でうつぶせのまま寝かされていたが、呼吸の確認をほとんどしていなかったことについて保育士の一人は、「他の子どもたちの世話で手いっぱいだった」と説明したという。母親は「忙しいから事故が起きたと言われても許すことはできません」と話していて、事故の検証を東京都に申し入れることにしている。

〔3か月児が泣き続け、死亡〕2015年9月1日、3か月児が埼玉県川口市の認可外保育施設でうつぶせ寝の状態で呼吸をしていないのがみつかり、翌日に死亡した。児は母親が就職の面接を受けるため、2時間の予定で初めて預けられたという。児が施設に預けられたのは午前11時頃。顔色や体温などに異常はなく、ベビーベッドに寝かされたが、ずっと泣き続けていた。職員はうつぶせになった児をあおむけに戻したりしたが、他の児の食事の世話をしており、泣き続ける児をそのまま寝かせていた。1時間余り経った午後0時10分頃、児の泣き声がやんだため確認したところ、うつぶせ寝の状態で呼吸をしていなかった。職員は、その5分前に泣いているのを確認したという。
 8か月以上経った現在も死因がわかっていないため、児の両親は5月11日、市役所を訪れ、検証委員会設置を申し入れた。この施設は、「まだ死因がわからないので、取材には応じられません」とコメントしている。〔掛札コメント〕睡眠中の死亡ではないようです。寝返りをうっては、職員があおむけに返していたもよう。なぜ、1時間も泣き続けるままにしていたのか。泣き続けること自体、子どものからだにとっては強いストレスですので(血圧上昇、頭蓋内圧上昇、心拍・呼吸・体温の急激な変化、免疫・消化の低下、成長ホルモン低下、無呼吸、心臓に対するプレッシャーとそれによる頻脈等)。なにより、預け入れの初日が一番危険だということを知らなかったのでしょうか(「一時的預かりで、2時間だから大丈夫」ではありません)。
→2016年8月31日、市の検証委員会(3回目)が開かれ、両親から聞き取り調査が行われた。市の調査に対し施設側は、「職員が他の子どもの昼食の世話などに追われ、気づいた時には呼吸をしていなかった」と説明。両親は児がベッドで1時間ほど泣き続けていたのに、保育士はだっこすることなく、食事の皿を洗っていたなどと指摘、保育が優先されていなかったと訴えた。
→市の検証委員会が報告書をまとめ、2017年2月22日、市長に答申した。この保育施設について、児の健康状態などを保護者から聞き取りしていなかったことや、児を遮光カーテンのない窓の近くに長時間、寝かせていたなどとして、保育の質が十分に確保されているとは言えない状況だったと指摘している。再発防止策としては、認可外保育施設の人員を充実させるための支援制度や、呼吸確認モニターの設置費用補助などを市に求めた。

〔4歳児が午睡中に吐瀉物で窒息、死亡〕滋賀県大津市内の私立保育園で2014年7月22日、午睡中の4歳児が嘔吐物をのどに詰まらせて窒息死していたことが2017年5月8日までにわかった。両親によると、午後2時半頃、午睡をしていた児の意識がなく、呼吸もしていないのに保育士が気付き、119番した。保育園側は心臓マッサージをしたが同4時過ぎ、搬送先の病院で死亡が確認された。遺体は司法解剖され、調べた医師は、既往歴からけいれん発作を起こした可能性を指摘したという。
 両親によると、園側は当初、室内には2人の保育士がいたが児から離れた場所にいて異変に気づかなかったと説明。その後、2人とも児の近くにいたと説明が変わるなど、事故当時の詳しい状況はわかっていないという。両親は納得のいく説明が得られなかったとして、今年2月に大津市に検証委員会の設置を求めた。市は外部検証委員会を近く設置する方針。園側は「万全の体制で保育をしていた。保護者にも説明してきた」としている。
→原因を検証する委員会が2017年7月に設置。午睡中、熱性けいれんになり、もどした食べ物を喉に詰まらせたのが死因とされている。昼寝は午後1時に始まり、保育士が異変に気付いたのは2時半。当時、児は保育士がいた机からきわめて近いところ、しかも、保育士のほうに顔を向けて寝ていたという。「それなら異変に気づくはずではないのか」と、両親は当時の行動を説明するよう保育所に求めたが、園側は「園児を見守ったり室内で作業を行ったりしていた」という説明を繰り返したとのこと。
→第三者検証委員会が報告書をまとめた(2019年)。昼寝中に意識がなくなり、搬送先の医療施設で死亡が確認されたもの。報告書は、原因について嘔吐や意識障害を伴った発作との関連を指摘したが、「明確な確定にいたることはできなかった」と結論づけた。発生前後を含めた保育士の対応について問題はなかった、とも。再発防止策として、保育施設と保護者との情報共有、かかりつけ医による子どもの健康管理、就寝中の観察などを挙げた。

〔死亡事故で元園長を在宅起訴〕埼玉県川口市の認可外保育園で2011年4月7日、午睡中の1歳児が死亡した事故で地検は2014年4月14日、元園長を業務上過失致死罪で在宅起訴した。共に書類送検された元アルバイトの2人については起訴猶予。
 送検当時の記事(2012年5月18日)によると、園長は小部屋の押し入れに設置したベビーラックに1歳児を、そのそばの布団に11か月児を寝かしつけ、押し入れの戸を閉めて外部から観察できないようにした上、アルバイトに具体的な指示をせず帰宅した。アルバイト2人は押し入れに2児がいるのを知っていたが隣の大部屋で他の園児の世話などをしており、45分以上押し入れの中の児の観察を怠り、11か月児が1歳児の上に覆いかぶさって胸部を圧迫していることに気づかず放置した疑い。1歳児は胸部圧迫による急性窒息のため、病院で死亡した。任意の取り調べに対し元園長は、「小部屋が狭いので押し入れを使った。ぐずる子は戸を閉めると泣き疲れて寝つきやすかった。申し訳なかった」と話していた。

〔うつぶせ寝死亡、2500万円で和解〕大阪府高槻市の認可外保育所で2011年4月、1歳3か月児がうつぶせ寝のまま放置され、窒息死したとして、両親が所長と保育士、市に約6000万円の損害賠償を求めた訴訟で、2015年3月19日、和解が成立。所長と保育士が解決金2500万円を両親に支払う、大阪府警に受理された所長らの刑事告訴を両親が取り下げる、保育所が1歳未満の乳児を仰向けに寝かせ、1歳以上の乳児も適切な寝かせ方にするなど。市との間では、両親側が請求を放棄することで合意した。

〔うつぶせ寝で提訴〕鳥取県倉吉市の認可外施設(病院内施設)で2011年、11か月児がうつぶせ寝をしていた後に呼吸停止となり死亡した件で、両親が「施設への規制を怠ったため事故が起きた」として県に140万円の損害賠償を求める訴訟を2015年3月16日、起こした。両親は「保育士が注意を怠った」として、病院側に損害賠償を求める提訴をすでに昨年行っている。今回、両親は「人員配置の不備やうつぶせ寝による窒息の危険を県は把握していたのに、規制権限を行使しなかった」と主張。

〔ファミサポで5か月児がうつぶせ寝死亡〕2010年11月、大阪府八尾市のファミリー・サポート・センター事業を利用し、預けられた生後5か月児が低酸素脳症となり、2013年に死亡したのは、うつぶせ寝による窒息が原因だったとして、両親が市と、市の紹介で預かった女性らに計約7900万円の損害賠償を求め、2013年11月、地裁に提訴した。訴状によると、母親は自身の通院のために事業を利用、紹介を受けた女性宅に1時間の約束で児を預けたが、託児中、うつぶせで、預けてから約50分後に心肺停止状態で発見された。
→2016年8月、女性が業務上過失致死容疑で書類送検された。両親は、女性が児をうつぶせにしたうえ、その場を離れたのが原因だったとして、刑事告訴していた。女性は民事裁判で、「うつぶせにはしたが、トイレに行った以外はそばにいた」と主張している。
→裁判で2017年3月3日、児を預かった女性が4000万円を支払うことなどで、和解が成立した。児は、脳死に近い状態のまま3歳で亡くなった。両親は預かった女性と八尾市などを相手取って裁判を起こしていたもの。

〔保育ママのもと、4か月児死亡〕2010年、神奈川県横須賀市認定の「家庭保育福祉員(保育ママ)」に預けられた生後4か月児が死亡した事故を巡り、母親が市と福祉員に損害賠償を求めた訴訟で、横須賀市は2020年10月13日、東京高裁で母親と和解したと明らかにした。5月の地裁判決は市と福祉員の責任を認め、約5250万円の支払いを命じた。和解条項では、市は全ての保育事業において、安全に最大限の注意義務を尽くすよう努力し、遺族は市への賠償請求を放棄する、としている。母親と福祉員の訴訟は東京高裁で係争中。
→母親が損害賠償を求めた裁判の判決が2020年5月25日、地裁であった。市と元保育ママの責任を認め、5257万円の支払いを命じた。判決では、児がミルクを吐いて気道に詰まらせ、窒息死したと認定。当時の知見では0歳児は5~10分に1回は呼吸や顔色の確認をすべきなのに、市は研修で15分間隔の確認を求めるにとどまったと指摘。さらに、児は寝返りができないベビーラックに寝かされており、指導より短い間隔で確認する注意義務があったのに、15分間隔の確認で異変に気付かなかったとした。その後の5月28日、市は判決を不服として控訴する方針を表明。「国の指針に基づき、福祉員に適切な指導研修を行っていた」としている。

〔うつぶせ寝死亡で両親が処分不服の申し立て〕福島県郡山市の認可外保育所で2010年1月、1歳児が死亡した事故で、両親は2013年2月18日、業務上過失致死容疑で書類送検された理事長ら4人を不起訴とした地検の処分を不服として、郡山検察審査会に審査を申し立てた。申立書によると、保育士2人が児を布団にうつぶせに寝かせ、頭部に大人用の毛布を乗せたまま安全を確保せずに一定時間放置し、理事長と園長が保育士への指導を怠ったことから児が死亡したとしている。地検は昨年、死因がうつぶせによる窒息死と断定できなかったことなどから、過失との関連について容疑不十分として不起訴処分とした。
→地裁の第15回口頭弁論(2013年10月29日)。園長夫妻が初めて証言し、「うつぶせ寝はさせないように保育士に指示していた」と直接の責任を否定した。「うつぶせ寝は危険。日常的にさせないようにと指示し、見回りもしていた」と説明。うつぶせ寝は保育士の判断だったと述べた。事故直後、現場に行った夫妻は毛布や抱き枕に気づかず、約2週間後に保育士から聞かされた、とも。事故が起きた経緯をすぐ保育士に聞かなかった理由については、「他の園児を帰宅させることでパニックだった」などと説明。
→(賠償)約6600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2015年3月6日、地裁支部であり、施設側に慰謝料などとして約5800万円の支払いが命じられた。争点となった死因について施設側はSIDSと主張したが、判決は、うつぶせ寝だった児の上に毛布やタオルケット、バスタオルなど計約2.8キログラムがかけられていたとして窒息死と判断、施設側の注意義務違反を認めた。施設側は判決を不服として高裁に控訴。
→(刑事)地検は2015年11月20日、当時の園長、副園長、担当保育士の3人について容疑不十分として不起訴処分にした。両親は当初、3人を業務上過失致死罪で告訴したが不起訴処分となり、容疑を保護責任者遺棄致死に変えて、昨年9月に告訴していた。地検は「死因が特定できず、3人の保護義務も特定できない。故意の立証も難しい」としている。
→(賠償)控訴審判決で、高裁は2015年12月9日、園長らに約5800万円の賠償を命じた一審判決を支持し、施設側の控訴を棄却。判決理由として、うつぶせ寝による窒息死が死因であり、園長らはうつぶせ寝の危険性を認識しながら職員を指導監督する義務を怠る重大な過失があったと認定した。さらに、園長は損害賠償責任が確定した場合に、施設賠償責任保険の契約者として保険会社から保険金の支払いを受けて両親らに賠償すべきだったが、契約者を施設の運営会社と偽り、自己破産したとして両親への損害賠償を免れようとしたと指摘した。
→刑事:2016年2月9日、両親が検察審査会に申し立て。検察は死因が特定できないとしていずれも不起訴処分。
→民事:損害賠償訴訟で、2016年7月7日、最高裁は園長側の上告を退け、約5700万円の賠償を命じた判決が確定。児はバスタオルを敷いた布団にうつぶせで寝かされ、毛布などをかけられた状態で約40分間、放置された。園長側はSIDSなどと主張したが、地裁はうつぶせ寝による窒息死と認定、園長らは以前にも同様の乳児死亡事故を2回経験したにもかかわらず、保育士への指導監督に重大な怠慢があったとして賠償を命じ、二審の高裁も園長側の控訴を棄却。

〔死亡はうつぶせ寝が原因と賠償命令〕大阪府大阪市の認可外施設で2009年11月、4か月児が亡くなったことをめぐり、両親が運営会社等に約6400万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴判決が2015年11月25日、大阪高裁であった。死因をSIDSとした一審を変更し、うつぶせ寝による窒息死で、施設側に責任があったと認定。約5000万円の賠償を命じた。
 児は園のベッドでうつぶせのまま心肺停止状態で発見され、搬送先で死亡。当時、同園は乳幼児ら17人を預かり、保育士資格を持たない2人が担当していた。裁判長は、児がマットレスの上で顔を真下にした状態だったと推認でき、鼻と口をふさがれて窒息したと認定。施設側は呼吸チェック等をせずに放置し、監視すべき注意義務に違反したと判断した。市への請求は退けた。

〔うつぶせ寝死亡で検察審査会に審査申し立て〕大阪府大阪市都島区の認可外施設で2009年、4か月児をうつぶせに寝かせて死亡させたとして、業務上過失致死容疑で書類送検された施設経営者ら4人の不起訴処分を不服として、両親が2013年9月13日、大阪検察審査会に審査を申し立てた。両親は、施設側と市に計約6400万円の損害賠償を求めて提訴しており、地裁で係争中。

〔うつぶせ寝で賠償命令〕沖縄県中城村の保育園で2008年に7か月児が死亡したのは、うつぶせ寝と注意義務違反(15~20分程度目を離した)によるとし、那覇地裁は当時の園長らに約1500万円の支払いを命じた(請求額は約7900万円)。園側は気道感染症が死因の可能性もあると主張したが、鼻水の症状はあったものの重症化の兆候はなかったとして退けられた。