2014年のニュース
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災害

▶〔津波被害で保育園児遺族が町と和解〕 東日本大震災の津波で亡くなった宮城県山元町立保育所の園児3人のうち、2遺族が町を相手取って訴えていた訴訟の控訴審で、1遺族と町の和解が成立した。町が園児の死について哀悼の意を表明し、和解条項に「町側が園児らの安全な保育に努める」と明記し、両親に300万円の和解金を支払う。残りの1遺族については来年3月20日に判決が言い渡される。保育所は地震発生後の午後3時半ごろ、町総務課長の指示で園児らを園内に待機させた。職員が4時ごろ津波に気づき、車で避難したが、園児3人が逃げ遅れて死亡した。1審の判決は「海から約1.5キロの保育所への津波到達は予見できなかった」として訴えを退け、遺族側が控訴していた。 〔掛札コメント〕 「町から県への報告が3か月遅れた」というこの事例については、当時の新聞記事も含め、こちらにくわしく書かれています。(12月24日、毎日新聞他)

▶〔床上浸水で2階に避難〕 神奈川県平塚市の保育園で10月6日午前、台風による大雨で建物の中に水が入り込み、最大床上15センチまで水につかる被害が出、約70人の園児が2階に避難した。午後3時ごろから消防の救助隊などがボートを使って園児たちを近くの小学校の体育館に移動させ、順次、帰宅した。園長の話によると、「去年も一度、浸水の被害があり、その時はすぐに水がひいた。今回はなかなかひかず、こんなことは初めてで驚いた」と話しているという。(各紙、10月6日)

▶〔大震災被災児の3割にPTSD症状〕 東日本大震災に被災した保育園児の約3割に心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状が見られたことが1日、厚生労働省研究班の調査で分かった。 大震災当時、岩手、宮城、福島県内の保育園の3~5歳児クラスに在籍した198人と保護者が対象。児童精神科医らが面接し、保護者が質問用紙に答えた内容を加えて診断した。その結果、33.8%の児童に睡眠障害やフラッシュバックなどのPTSD症状があった。比較のため調べた三重県では、同様の症状は3.7%だった。研究班の藤原武男・国立成育医療研究センター研究所部長は「年齢が上がり、震災の恐怖や友人を失った悲しみなどを表現できるようになって判明したケースがあるのでは」と話している。(時事通信、3月1日) 



事故、傷害、ヒヤリハットの事例

▶〔5歳児、転落死〕 12月29日昼前、東京都荒川区内のマンション敷地で、13階に住む5歳児が頭などから血を流して倒れているのを父親が発見、110番した。児は頭などを強く打ち、搬送先の病院で死亡が確認された。児は両親と住んでおり、当時、父親は外出して忘れ物に気づき、10分後に帰宅。母親は自宅にいたが、児がいなかったため周囲を捜していた。児がみつかった場所のほぼ真上には、自宅の寝室に面した窓があり、当時、窓が開いていた。窓は床から約1メートルの高さにあり、窓際にはベッドが置かれていた。一方、警察は同日、この母親が12月23日午後5時ごろ、都内のホテルの女子トイレ個室で児の首を殺意を持って絞めたとして、殺人未遂容疑で逮捕した。母親は「本当に覚えていない」と容疑を否認している。29日には父親とみられる男性から警察署に、「妻が子育てに悩んでいる」という電話の相談もあり、警察は関連を調べている。(共同他、12月30日)

▶〔ゴンドラで宙づり〕 12月29日昼前、長野県野沢温泉村のスキー場のゴンドラ乗り場で、両親と訪れていた大阪府豊中市の7歳児が出発したゴンドラのドアに左足をはさまれ、一時、10数メートル先、高さ3、4メートルの所で宙づりになった。救出されたが、顔の打撲を負うなどの軽傷。スキー場によると、そのゴンドラにはドアが閉まる直前に降りた客がおり、児がその際に巻き込まれて足をはさまれた可能性があるという。(共同、12月29日)

▶〔貼りつけるトイレ用洗剤・芳香剤の誤飲〕 洋式トイレの便器の内側に貼りつけるタイプのゼリー状洗剤・芳香剤を子どもが飲み込む事故が多発。去年1年間に日本中毒情報センターにあった電話が200件を越えたため、同センターは「小さい子どもがいる家ではトイレのドアや便器のフタを閉めておくよう」、注意喚起を行っている。ニュースでは、1歳の子どもが兄についてトイレに入り、洗剤を手ですくってなめていた事例を紹介。丸くてキラキラしている様子に子どもが興味を持ち、つかまり立ちをした時にちょうど手が届く位置に貼る製品だったので、飲んだのだと思うという保護者の話を掲載している。(NHK、12月23日)

▶〔子どもの薬誤飲〕 消費者庁の消費者安全調査委員会は、「子どもによる医薬品誤飲事故」の報告書を発表した(12月19日)。このページの一覧の一番下にPDFのリンクがあります。

▶〔子どもの誘拐の内訳〕 警察庁が13歳未満の子どもの誘拐事件について23か月分のデータ(2013年1月~14年11月)を分析、発表した。全国の警察が報告した誘拐事件は2013年が94件、2014年(11月まで)が100件。計194件中発生時間を特定した137件をみると、午後4~6時が44件と多く、午後2~4時の24件と合わせて全体の50%を占めた。次いで午後0~2時16件、午後6~8時14件。登校時間帯の午前8~10時も12件。曜日は日曜日が計19件に対し、月~土曜は各30件前後。発生場所は路上が66件、共同住宅45件、一戸建て18件、公園14件、駐車・駐輪場11件。被害者の59%が6歳以上の女児、次いで6歳未満男児が16%、6歳未満女児が14%、6歳以上男児11%だった。誘拐の半数以上で、加害者には面識のない子どもが狙われていた。(時事、12月11日)

▶〔「園児を殺す」と脅迫〕 愛知県厚生事業団が経営する保育園2園および特別養護老人ホーム1施設に脅迫メールを送ったなどとして、愛知県警は8日、幸田町の50代男性を逮捕した。男は今年8~10月、電話やメールで「お宅の園児をやらせてもらう」「保育園を襲う」などと脅した疑いがもたれている。また、11月末には3つの保育園に対し、「保育園の子供一人ずつ殺す」などと書かれた脅迫状がファックスで送られており、県警は関連を調べている。男は同法人傘下の施設に勤務していたが、勤務態度に問題があるとして10月に懲戒免職処分になった。男は「1億円を払え」などと要求していたということで、県警は男が処分を恨みに思った可能性があるとみて調べている。(朝日、12月8日)

▶〔浴室の危険〕 読売新聞(12月5日)で、「乳幼児の入浴 目離さず…ほんの1分が危険」

▶〔マンションからの転落2件〕 11月16日午後8時ごろ、大阪府守口市でマンションの11階から4歳児が転落した。母親が大きな音に気づいて119番通報。救急隊員がマンション玄関の屋根で児が倒れているのを見つけ搬送したが、全身を強打し死亡。事故時、児は母親と2人で自宅にいた。児はクッションを足場にして、寝室の窓(床からの高さ約95センチ)によじ登り、転落したとみられる(毎日、11月17日)。
 11月16日午前、大分県宇佐市でマンションの9階ベランダから4歳児が転落。1階に設置された木製の柵にぶつかった後、マンションの植え込みに転落したらしく、足にケガをしたが命に別状はない。児はイスを使って約1メートルの高さにあるベランダの柵を乗り越えたとみられ、母親は「洗濯をしていて気づかなかった」と話しているという(TBS、11月16日)

▶〔犬に咬まれ、7人ケガ〕 大分県中津市で11月19日午前7時40分ごろ、小学校の児童6人と幼稚園児1人が犬に咬まれて軽いケガをした。犬は最初に幼稚園児を追いかけ、小学生がそれを助けようとしたところ咬まれたという。犬は体長65センチのオスの雑種で、約2時間後に捕獲された。警察が飼い主を捜している。(各紙、11月19日) 20日、飼い主とみられる男性が名乗り出たため、警察では、過失傷害容疑を視野に事情を聞いている。

▶〔児童・生徒の鉄道自殺〕 小~高校生の自殺者は2009年10月から2014年9月までの5年間で計1592人、うち、駅構内と鉄道線路での死者は計147人で自殺数の約9%、1カ月平均2.5人。(ライブドア・ニュース、11月15日) 〔掛札コメント〕 小学生が実際に含まれているのかどうかはわかりませんが、かなり驚く数字だったので。

▶〔2歳児、電車に轢かれ死亡〕 11月10日午後1時5分ごろ、山口県岩国市のJR山陽線の線路上で近くに住む2歳児が普通列車に轢かれ、搬送先の病院で死亡。現場の線路沿いに柵はなく、自宅から1人で出た児が誤って線路内に入ったとみられる。列車の運転士は「線路上に子どもがいるのが見え、急ブレーキをかけたが間に合わなかった」と話している。(時事、11月10日)

▶〔濃縮洗濯洗剤で死亡も:追加〕 全米小児科学会のPediatrics誌に掲載された論文によると、2012~13年の2年間に米国毒物データシステムに報告された「球状の濃縮洗濯洗剤」の誤飲事例は17,230人(6歳以下)。うち73.5%が3歳以下。誤飲した子どもたちのうち7.5%が中等度~重症。洗剤を飲んだことが原因と確認された死亡も1人。論文はこちら。(11月10日)〔11月11日追加〕 日本語では「カプセル型洗剤」と言うようです。11月10日のAFPによると被害の数を割り算すると、1時間に1人が誤飲し、1日に1人が病院に搬送されている割合。ただしこれは報告されたものだけなので、実際はもっと多いでしょう。また、論文では死亡報告数は2人となっていますが、「確認された死亡」は1人です。

▶〔ボタン電池による化学やけど〕 ボタン電池誤飲による、化学やけど。国民生活センターの文書はこちらです。実験などの詳細が掲載されているPDFは、ページの一番下にリンクがあります。(10月30日)

▶〔園児、サルに襲われる〕 10月27日お昼ごろ、山梨県都留市の保育園にサルが侵入し、2児がひっかかれて軽傷を負った。1カ月前から目撃情報があったが、周辺の山にサルは生息していないため、別の山のサルが群れからはぐれたとみられる。28日に同個体と思われるサルが猟友会メンバーによって射殺された。(10月27、28日、各紙)

▶〔駐車場内で3歳死亡〕 10月25日、千葉県白井市にあるマンションの立体駐車場内で3歳児が乗用車にはねられ、まもなく死亡した。事故当時、児は家族4人で1階から地下に通じるスロープを歩いていたが、家族から少し離れた所にいたという。(10月26日、各紙)

▶〔11階から転落するも、無事〕 10月20日午前8時前、東京都葛飾区内にあるマンションの11階外廊下から、このマンションに住む小学校6年生が転落した。約30メートル下の自転車置き場に落ちたが、トタン製の屋根が衝撃を吸収したためか、肋骨骨折の疑いはあるものの命に別状はなかった。児は集団登校の集合時間に遅れそうになったため、下にいる友人らの様子を確認しようと外廊下から階下を覗きこんだ際、誤って転落したとみられる。(読売、10月21日)

▶〔プール後の死亡について、特別監査の結果報告書〕 京都市の認可保育所で今年7月30日、プール中の4歳児が救急搬送され、8月6日に死亡した件について、京都市が行った特別監査の結果報告書が発表されました(10月20日)。

▶〔1歳8か月児が3階から転落〕 10月18日午前10時ごろ、大阪市内のマンションの3階から1歳8か月児が8メートル下の路上に転落、死亡した。児が窓枠をつかんで体を乗り出し、落ちるのを通行人が目撃していた。児が落ちた居間の窓は床から高さ約80センチの位置にあるが、窓の下には、高さ約30センチの子ども用テーブルが置かれていた。父親は外出中、母親は隣の部屋にした。(各紙、10月19日)

▶〔運動会中にテントが倒れる〕 9月27日昼ごろ、群馬県高崎市の市立小学校で、運動会のために設置した簡易テントが突風で倒れ、近くにいた児童6人が腰や肩に打撲などの軽いケガをした。(各紙、9月27日)

▶〔キックスケーターについて注意喚起〕 今年5月、キックスケーターで坂を下っていた小学校4年生が側溝にひっかかって前に転倒、頭を強く打って1か月後に死亡する事故が起きた。この事例などを受けて、消費者庁が注意喚起の文書を出した(10月17日)。10歳未満の子どもが転倒して負傷する事故は、2010年度以降53件(2014年9月15日までの登録分)。 〔掛札コメント〕 文書を見ると、5歳の事故事例もあるようです。

▶〔ポール倒れ、2人が軽傷〕 山口県宇部市の市立保育園のグラウンドで10月4日午前9時過ぎ、高さ約6メートルのポールの上部約4メートルが折れて倒れ、近くにいた男性と8歳児の頭部に当たった。どちらも軽傷。当時は運動会の開会前。ポールはアルミ製で万国旗などが下がったロープが結びつけられ、園舎など5方向に張られていた。(読売、10月5日)

▶〔「声がうるさい」と手斧で脅す:
追加〕 「保育園の子どもの声がうるさい」との理由で保護者を脅したとして、43歳男性が東京都国分寺市内で逮捕された(暴力行為等処罰法違反容疑)。容疑者は8月30日午後5時10分ごろ、市内の路上で園児の保護者の男性に刃渡り約10.5センチの手斧を見せてにらみつけ、斧を地面に数回振りおろし、脅迫した疑い。保育園は容疑者の自宅近くにあった(時事、10月3日)。〔追加〕当時、近くにいた保護者や園児ら十数人にけがはなかった。容疑者は前日、国分寺市に電話し、園児の首を切るなどと脅していた。自宅は保育園から数十メートルの距離で、5年ほど前から「子どもの声がうるさい」「保護者のマナーが悪い」など、市に苦情を言っていたという(朝日、10月3日) 〔掛札コメント〕 脅迫することはもちろん許されませんが、子ども嫌いの人でなくても、他人の子どもの声にいらだつことはあります。「子どもなんだからしょうがないでしょ」「変な人」「怖いね~」で終わらせず、近隣の人たちの様子をしっかり観察してください。必要に応じて、保護者に注意喚起も。

▶〔6か月児が死亡〕 神奈川県川崎市の認可外保育園で9月23日、生後6か月児が死亡した。司法解剖の結果は病死とされており、警察は事件性はないとしている。母親が児を預けた時には健康状態に異常はなかったという。(各テレビ局、9月24~27日)

▶〔大田区のネコ不審死、計29匹に:
追加〕 東京都大田区内で4月から8月中旬までに報告された、ネコの不審死は計29匹になった。いずれも外傷はなく、近くにあったエサ入り容器から有害物質がみつかったケースもあり、毒殺の可能性もあるとして調査が続いている。この物質は市販されているもの(J-CASTニュース、9月11日)。 
〔9月28日追加〕 9月18日、猫の首を絞めて路上にたたきつけた(後に死亡)として、同区内の33歳男性が動物愛護法違反容疑で逮捕された。4月以降に起きている猫の不審死45件についても、「(住民らが)野良猫に餌やりをしているのに憤慨した。仕事のストレスのはけ口になった」などと容疑を認めている(9月18日、産経)。〔掛札コメント〕 先日起きた、睡眠薬入りと思われる食べ物の事例もそうですが、こちらも今後、子どもを対象にした模倣犯が現れる可能性もあります。お散歩の経路、公園に子どもが口にしかねないものがないかどうかチェックを。

▶〔組み体操の事故、後遺症〕 平成24年度の1年間に全国で発生した組み体操の事故は6533件、後遺症が残ったケースも過去10年間で20件にのぼったことが、日本スポーツ振興センターの資料をもとに内田良・名古屋大学准教授がまとめた結果から明らかになった。積み上がった子どもが途中で崩れ、一番上にいた子どもの膝が一番下の子どもの腰にあたって脊柱に障害が残った事故、あるいは今年5月、中学校で140人10段のピラミッドを作る練習をしていたところ、上の段の生徒が転落、一番下の段にいた生徒が腰の骨を折る大けがをした事故など。内田良准教授の試算によると、10段のピラミッドを作ると、一番下の子どもには最大で4人分に近い体重がかかるという(各紙、9月23日)。 〔掛札コメント〕 保育園、幼稚園、学校、いずれであれ、予見可能な深刻事象のリスクがある活動をする場合には、保護者にリスクを説明し、参加の可否を問うべきです。これは組織としてのリスク・コミュニケーションの基礎ですし、保護者も「知る権利」と同時に「知る義務」「判断する義務」を負うべきです。また、組み体操や集団スポーツで起こる深刻事故の場合、被害者だけではなく、ケガを負わせた側の子ども(加害の意図はありませんが)にも精神的なダメージが残ることを忘れないでください。

▶〔保育所に猫の死骸の一部〕 9月20日午前9時半ごろ、沖縄県恩納村の保育所の芝生に切断されたとみられる子猫の頭部と脚部が捨てられているのを保育所所長が発見、警察に届け出た。保育所の外にある道路から投げ入れられたとみられる。保育所はトラブルを抱えていないという。(共同、9月21日)

▶〔子どもの誤飲事例〕 ちょっと古い情報ですが…。今年3月31日に厚生労働省から発表された「平成24年度 家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告」です。こちらのPDFの28ページからが特に重要です。医薬品、化粧品、食品、玩具など。

▶〔2歳児の死亡に関する記事〕 産経新聞(9月9日)は、昨年2月に池袋の認可外保育所で起きた2歳児の死亡から、専門家による重大事象検討の重要性を取り上げている。記事によると、園が都に提出した事故報告書では、登園後に発熱がわかった児に「座薬を与え」「母親が迎えにきて声をかけると様子がおかしく」「搬送中脈波あり、病院で死去」。一方、東京消防庁の活動記録では、119番通報で園に到着時、すでにバイタルサインはなかった。園側は、保育の有資格者はゼロと報告する一方、発熱後に医院から処方されたタミフルは与えていなかったという。この記事によると、情報公開請求時に、他の保育事故も調べたとのこと。利用者群の少ない「認可外」利用や「保育ママ」利用で事故が目立っていると書かれている。

▶〔5歳児、川に流されて死亡:
9月11日追加〕 9月8日午前11時過ぎ、岩手県花巻市の豊沢川(北上川の支流。当時の水位は約60センチ)で保育園の行事中に5歳児が行方不明となり、正午前、現場から約50メートル下流の川岸で見つかり、1時間後に死亡が確認された。児は、他の園児23人と、3人の保育士に引率されてバスで河原に来ていた。園児たちは木の板と膨らませたタイヤチューブなどで作った畳一畳ほどの大きさのいかだ3つに乗って川下りをしており、1つのいかだに保育士1人と8人の園児が乗り、棒で操作しながら進んでいた。途中でいかだがすべて転覆し、全員が川に投げ出されたという。その後、この児1人がいないことに気づいた。園児は救命胴衣をつけておらず、警察が詳しい状況を調べている。保育園は「何もわからないのでお話しできません」と話している。(9月8日、各紙) 〔9月11日追加〕 園は9日に保護者説明会を開き、10日には記者会見を開いた。理事長と園長は「弁解の余地はありません」「子どもの命を守るのが最優先の保育園で、方策が不十分であることを悔いています」と謝罪した。当日は、年長の園児24人と園長、保育士ら5人が川下りをしていた。溺死した児は泳げず、先頭のいかだで園長の後ろに座っていた。園は救命胴衣を用意しておらず、代わりにビート版を2枚ずつ、いかだにつないでいたという。(朝日、9月11日) 〔掛札コメント〕 「この児は泳げず」という記載がこの記事にありましたが、「泳げたなら、このような状況(急に川に投げ出される)であっても子どもが命を守れたかもしれない」と思うのは誤りです。なにより、「泳げなかったこの子にも問題がある」かのような記述です。

▶〔もらった物を口にし、倒れる〕 7月29日午後、東京都瑞穂町の公園で、一人で遊んでいた小学校3年生が見知らぬ男にあめのようなものと飲み物を受け取り、口にした後、体調を崩して路上に倒れていたことが警視庁への取材からわかった。通行人が119番、児は一時、意識がもうろうとし検査入院、尿から睡眠薬のような成分が検出されたという。現在は回復(共同通信、9月8日)。 〔掛札コメント〕 「いかのおすし」と子どもに教えて、子どもがその場では理解できたとしても、こうした事件を子どもだけの力で防ぐことはできません。地域の防犯力アップが必須です。

▶〔「施術」で4か月児死亡〕 大阪市内で「免疫力を高める」などとうたった独自の施術を受けた神戸市の4か月児が途中で意識不明になり、その後、死亡していたことがわかった。6月2日、児を床の上にうつぶせにし、首を90度以上ひねって顔を上向きにしたり、膝に乗せて首をもんだりしていたが、約45分後に児の呼吸が止まり、低酸素脳症による多臓器不全で6月8日に死亡したもの。府警が関係者に事情を聞いたところ、昨年にも新潟県で施術を受けた幼児が死亡していたことがわかった。考案者(同NPO代表)はマッサージなどの国家資格を持っていない。厚生労働省によると、医師以外でマッサージをできるのは、法律で「あん摩マッサージ指圧師」などの国家資格保有者と規定されている。しかし、健康増進を目的とした整体などは国家資格がないため、十分な知識がなく施術するケースも多く、おとなでも骨折などの健康被害が受けることがある。乳幼児向けの整体、マッサージについては同省でも「実態はまったくわからない」という。(読売、9月6日)

▶〔ハチに刺され、搬送〕千葉県佐倉市の路上で、近くの保育園に通う園児13人(3~5歳)と保育士1人がハチの集団に刺され、病院に搬送された。全員が軽傷。(9月2日、テレ朝ニュース) 〔掛札コメント〕 秋はハチの活動時期。今年はハチが多いとも聞いています。散歩先などでもハチの巣チェックを!

▶〔マンションから転落相次ぐ〕 8月23日午後6時前、大阪市内のマンションの敷地内で子どもが倒れているのが発見され、間もなく死亡が確認された。マンションの14階に住む4歳児で、自宅のベランダでは高さ30センチの円筒形のごみ箱が倒れていた。警察は、児がゴミ箱の上にのり、誤ってベランダの柵を越えて落下した可能性があると見て調べている。家族は「目を離したすきに部屋からいなくなった」と話している(スポーツ報知、8月23日) ・8月25日、横浜市内のマンションの窓から10歳児が転落、死亡した。当時、両親は外出中で、自宅には兄がいたが、児が転落したことには気づかなかったという。誤って転落したものとみて警察は原因を調べている(FNN、8月26日)  〔掛札コメント〕 研修でいつもお話ししていますが、人間(おとなも!)はそもそも「つい」「うっかり」の生き物であり、四六時中、子どもに注意を向けておくことは不可能です。8月12日の転落事故の時にも書きましたが、お子さんたちの家族を責めて終わりにすることは簡単かもしれません。でも、「私の家族、親戚でも起こるかも」と考えて、「具体的にでき」「効果のある」予防策(例:子どもの手の届かない場所に補助錠を付けて常にかけておく)を立ててください。

▶〔貯水池で溺死〕 8月18日午後4時ごろ、千葉県松戸市の市営施設内にある貯水池で6歳児が溺れているのを一緒に遊んでいたきょうだいが発見した。搬送されたが死亡が確認された。児は計3人で遊んでいた。貯水池周辺に設置された高さ約1.2メートルのフェンスを乗り越えて泳いでいたという。(日経、8月19日)

▶〔8階から1歳児転落〕 神奈川県横須賀市のマンション8階のベランダから1歳児が転落、死亡した。児は、母親ときょうだいと共に8階に住む親戚の家に遊びに来ていた。3歳のきょうだいとベランダに置いてあった椅子に上がり、高さ約120センチの柵越しに下を見ているうちに転落したという。(時事、8月12日)  〔掛札コメント〕 「なんで、そんな所へ子どもだけを出した?」「椅子を片付けておかなかったのが悪い」と思った方もいると思います。「誰が、どのように『悪かったか』」を論じても、なんの予防にもつながりませんし、皆さんの家で同じことが起こる可能性もゼロにはできません。最近話題になったボール状洗剤の誤飲でもそうですが、「誰が悪い」「誰は悪くない」という議論ではなく、「子どもが子どもである以上、こういった事故は起こる。どうしたら予防できる?」と考えませんか?

▶〔小4児がヒモで窒息死:
追加〕 8月6日午後5時40分ごろ、神戸市須磨区の公園に設置された複合遊具にかかったヒモが小4児の首にまきついた状態になっているのが発見された。救急搬送されたが意識不明の重体。ヒモは犬のリードで、児が遊びに使っていたとみられる。一緒にいた児のきょうだいや友人らが騒いでいるのを聞きつけ、近所の人が発見、通報した。(毎日、8月7日)〔8月11日追加〕 児は11日午前、搬送先の病院で死亡。事故はすべり台とうんていが一体となった複合遊具のうんてい部分(高さ2.3メートル)に犬のリードをかけて遊んでいた際に、首にリードが巻きつき、宙吊り状態となったもの(共同、11日) 〔掛札コメント〕公園の遊具や柵にヒモがかかっている状態は危険です。公園で遊ぶ場合は、事前に遊具などのチェックも。子どもが自分で注意をすることももちろん大事ですが、首にからまってしまった場合、自分でほどくことはできません。

▶〔ワンプッシュ蚊取りで被害〕 国民生活センターは8月7日、電気や火を使わないワンプッシュ式蚊取りによるトラブルが多発しているとして注意喚起。日本中毒情報センターによると、2012年度には73件のトラブルが確認されており、うち52件(71%)は子どものいたずらが原因だった。52件中42件では、子どもの肌が赤くなるといった症状が出たという。国民生活センターの注意喚起はこちら、動画あり。(時事、8月7日)

▶〔4歳児がプールで重体:8月7日にさらに追加〕 7月30日午後2時ごろ、京都市上京区の私立認可園のプールで4歳児があおむけに浮いているのを保育士がみつけ、119番。児は搬送されたが重体。プールは約6.1メートル×3.3メートル、水深約20センチ。当時、子ども約30人がプール内や周辺で遊び、保育士2人が付き添っていた。〔追加〕児は発見時には意識を失っていたがその後回復、しかし再び意識がない状態。〔訂正〕私立の認可園でした。写真によると、プールは設置型、外側が黄色、内側が青色、手すりつきの階段(黄色)を付けるものです。〔8月7日に追加〕 6日午後に亡くなった。京都市の保育課は、「保育園からは管理に問題はなかったと聞いている。再調査したい」と話している。(毎日、7月31日。産経、8月1日。毎日放送、8月7日)

▶〔幼稚園バスにひかれ死亡〕 7月28日午前9時前、長野県須坂市の市道(幅6メートル)で近くに住む1歳児が市内の私立幼稚園の送迎用バスにひかれ、頭を強打、死亡した。園に通うきょうだい(3歳)を乗せて発車した際に、運転手が衝撃を感じ、確認したところ、バスの後ろに1歳児が倒れていたという。バスからいったん降りた園職員は1歳児に気づかなかったと説明。(毎日、7月29日)

▶〔抱っこひもからの転落事故事例〕 抱っこひもからの転落がニュースになっていますが、事例は小児科学会「傷害速報」事例41にあります(本文下にあるPDFをご覧ください。再現実験の写真も掲載されています)。

▶〔京都のプール死で調査委報告〕 2012年7月、京都市の市立小学校で1年生が死亡した事故で、市教委の第三者調査委員会は7月24日、「適切な救護措置をとれば助かった可能性があった」などとする報告書を公表、全教員による心肺蘇生訓練などの再発防止策も提言。報告書によると、児はバランスを崩すなど偶発的な事態に遭遇。不意に少量の水を飲み、一時的な窒息状態に陥り、数秒以内に意識を失った。30秒以内に発見・救助され、プールサイドで教師から人工呼吸を受けて呼吸が回復したが、嘔吐物で気道が詰まり窒息したとしている。(毎日他、7月25日)

▶〔走行中の車から転落〕 茨城県古河市で7月29日、走行中の車の助手席から2歳児が転落、児は頭蓋骨骨折の重傷。保育所に送る途中、突然、車のドアが開いた。児は助手席におり、チャイルドシートはついていなかったという。(7月30日、FNN)

▶〔4歳児がプールで重体
:訂正と追加〕 7月30日午後2時ごろ、京都市上京区の私立認可園のプールで4歳児があおむけに浮いているのを保育士がみつけ、119番。児は搬送されたが重体。プールは約6.1メートル×3.3メートル、水深約20センチ。当時、子ども約30人がプール内や周辺で遊び、保育士2人が付き添っていた。〔追加〕児は発見時には意識を失っていたがその後回復、しかし再び意識がない状態。〔訂正〕私立の認可園でした。写真によると、プールは設置型、外側が黄色、内側が青色、手すりつきの階段(黄色)を付けるものです。(毎日、7月31日。産経、8月1日)

▶〔突風で保育園の門が倒壊〕 7月27日午後0時50分ごろ、栃木県さくら市内で突風が吹き、国道4号沿いの電柱3本が傾いたほか、保育園の高さ4メートル幅10メートルの門が倒れたり、住宅屋根の一部が飛ばされたりする被害があった。宇都宮市地方気象台は、突風はダウンバースト(下降噴流)と推定している。(東京新聞他、7月29日)

▶〔瞬間冷却スプレーでやけど〕 洋服やタオルなどに数秒間スプレーするだけで急速に冷える瞬間冷却スプレーだが、可燃ガスが含まれているため、引火事故が相次いでいるとのこと。大阪府豊中市内を走っていた軽自動車内で7月20日、瞬間冷却スプレーを使った後、ライターでタバコに火をつけようとして、運転者などが顔など全身にやけどを負ったとの報道。(7月21日、産経)

▶〔5歳児、川で溺れる〕 北海道蘭越町の尻別川で5歳児が溺れ、搬送されたが心肺停止状態。9歳のきょうだいと両親の4人で近くの公園に来た後、きょうだいと2人だけで川に来たという。戻るのが遅いため心配した両親が探したところ、ずぶぬれになっている9歳児を岸で発見。父親が川の中央付近で流されている児をみつけた。(7月20日、産経)

▶〔水の事故〕 ・秋田県鹿角市の米代川で7月6日午後1時20分ごろ、「川の中に子どもが沈んでいる」との通報があった。約40分後に市内に住む小学校1年生を救助、搬送したが、まもなく死亡。みつかったのは岸から約14メートル離れた3.5メートルの深みで、一緒にいた子どもたちは「川で遊んでいたら、急に姿が見えなくなった」と話している。 ・大阪府摂津市の水路で6日午後8時過ぎ、小学校3年生が沈んでいるのがみつかり、死亡が確認された。近くに傘と靴が残されており、誤って転落したものとみられる。水路は雨で水かさが増し、当時の水深は約2メートル。 ・7月5日、青森県十和田市の用水路で小学校3年生が意識不明の状態で見つかり、その後、死亡が確認された。午後3時半前、「子どもが帰ってこない」という母親の通報を受けて捜索。午後4時前に自宅から約1キロ離れた場所で発見された。用水路は幅1メートル、深さ40センチほどだが、水の流れが速かったという。

▶〔熱湯入りの鍋が落下、児童らやけど〕 7月2日、兵庫県豊岡市の市立小学校で2年生の調理実習中に鍋が落下、児童7人と講師が熱湯による軽いやけどを負った。正午過ぎ、講師が直径30センチの鍋を持って移動中、片方の取っ手が取れて鍋が落下したもの。(産経新聞、7月3日)

▶〔国民生活センターから2情報〕「さわった指に苦味がした樹脂製の玩具」と、「ペダルなしに輪遊具による坂道の事故に注意~衝突や転倒により幼児がケガを負う事故が発生」。いずれもくわしい内容はそれぞれのページの添付PDFにあります(7月3日)。 〔掛札コメント〕 ペダルなし二輪に乗った子どもが道(坂道ではない)を走っているところを見たことがあります。右、左、右、左と地面を蹴るたびに、車体ごと大きく左右に傾き、私が見ている数分の間にも一度転びました(ヘルメット未着用)。本来、アスファルトやコンクリートの上で使用するものではないという認識が薄いようです。通園などに使っている子どもがいる場合は、注意喚起をお願いします。

▶〔子どもが頭蓋骨陥没骨折〕 京都市伏見区の民営認可園で6月13日、5歳児が頭蓋骨陥没骨折の重傷を負っていたことが明らかになった。午前10時30分ごろ、体操教室の時間中、教室に付き添っていた女性職員(無資格。2003年から保育補助の用務員として勤務)が室内の棚に入り込んでいた本児ら3人を連れ出し、両脇をつかんで園庭に放り出したという(跳び箱の待ち時間が長くなり、本児を含む複数の園児が棚に入った)。本児は泣いて後頭部の痛みを訴えたため、別の保育士がタオルで冷やした。昼食でもぐったりして食欲がなかったため、午後1時20分ごろに病院へ運んだ。児は23日、手術を受けた。このできごとが起きた時、担任保育士は用事で不在だった。市は当時の状況を確認しながら、搬送まで約3時間かかった点も含め、詳しく調べている。園側は保護者に「自分で転んだ」と説明していたが、「投げられてケガをした」という匿名の通報を受け、17日に市が園に確認して発覚。職員は「言うことを聞かなかったので、感情的になった。頭を打ったかは確認しておらず、その後の異変も気づけなかった」と説明。本児や複数の他の園児は、置いてあった太鼓に頭をぶつけたと話しているという。(各紙、6月26日) 〔掛札コメント〕 感情的に(または、感情的ではなくても乱暴に)子どもを扱う職員は、私が見ていても現実、少なからずいます。おとなと子どものからだの違いを知らないのか、力のかけ方を間違っているように見受けられる職員もいます。しかし、それ以上に「自分で児が転んだ」と保護者に説明するとは…。上の新刊にも書かれていますが、人間には良心がありますから嘘をついてもいつかは明らかになること、そして、嘘をついたという点で問題を大きくすることを、保育園、幼稚園、学童、学校など施設側はもっと真剣に考えたほうがよいと思います。

▶〔幼稚園児溺死で最終報告〕 神奈川県大和市の私立幼稚園のプールで2011年に起きた3歳児の溺死について、消費者安全調査委員会(消費者事故調)は6月20日、最終報告書を提出した。2011年7月11日、水深約20センチの屋内プールで、担任教諭が園児から目を離していた間に児がうつぶせで浮いているのがみつかり、死亡したもの。教諭は同年4月に採用されたばかりで、報告書は「新任教諭一人に監視と指導を任せたのは、管理者としての配慮が不十分」と幼稚園側の責任を指摘。また、すぐに119番をせず、近所の診療所に運んだ園の判断も問題視。緊急時の対応マニュアルがなく、救命処置をできる教職員もいなかったことから、「溺水事故のリスクを低く評価していた」と批判。事故調は遺族の申し出を受け、「プール事故は幼児の身近に存在し、幼児が自分では回避するのが困難なリスク」として今回、調査対象に選定した。報告書によると、この事故後、幼稚園や小学校などのプールで起きた死亡・重体は少なくとも7件。報告書は、安全にプール活動ができる環境を整えるため「指導者と監視者を別々に配置する、教職員への応急処置の教育などを現場に周知する」ことを、文部科学省と厚生労働省などに提言した。(各紙、6月21日) 
・事故調査の報告書はこのページの「平成23年7月11日に神奈川県内の幼稚園で発生したプール事故に係る事故等原因調査について」

▶〔ボタン電池の危険について:消費者庁の文書〕 ニュース、新聞などで取り上げられたボタン電池の危険について、消費者庁のもともとのプレスリリースはこちら。事例なども掲載されています。(6月18日)

▶〔春・夏・秋の車内の温度:JAFの実験〕 比較的過ごしやすい春先でも車内の温度は50度近くまで上がり、車内に残された子どもの命を危険にさらすことを示した実験結果がこのページの「車内温度」で紹介されています。実験のページそのものをカラー印刷して貼りだすなど、保護者啓発にも活用できそうです(下の「誘拐の危険」もひと言そえて)。 
〔掛札余談〕 「自転車」の「自転車とセダンの衝突」ビデオを見て、「私の事故(2004年、コロラド)はこれだ!」とゾッとしました。頭を打ち気絶したので覚えてはいませんが、警察のレポートなどから、一度、ボンネットに乗りあげてから道路に落ちた点は一緒。車は曲がって横断歩道に進入してきたので、速度を落としていました。速度が落ちていなかったら、このビデオとまったく同じ状況でした。

▶〔子ども2人、車ごとさらわれる〕 6月15日正午過ぎ、東京都青梅市のコンビニエンス・ストアで両親が2歳と5歳の子どもを車内に残して買い物をしていたところ、何者かに車ごとさらわれた。車は2キロ離れた駐車場ですぐに見つかり、子どもも無事保護された。2人にケガはない。(各紙、6月16日) 〔掛札コメント〕 保育園のお迎えで、「数分だから」と鍵をかけずに子どもを車内においていく保護者もいます。そういったケースに気づいたら警鐘を。

▶〔水の事故〕 6月6日に千葉県松戸市(1人)で、6月9日に岐阜県各務原市(3人)で、川に流された子どもがいずれも遺体で発見された。 また、6月10日、埼玉県秩父市の小学校6年生が、今年度初めての学校の水泳授業中、プールに沈んでいるのを他の児が発見した。搬送されたが意識不明の重体。6年生53人が6コースに分かれ、順番に25メートルを泳ぐ授業で、児は20メートル付近で沈んでいた。水深は約1メートル。教諭2人がスタート地点とゴール地点で監督していたが、気づかなかったという。(各紙、6月10日)

▶〔木曽川で3人が行方不明〕 岐阜県各務原市の木曽川で6月9日午後3時過ぎ、川遊びをしていた子ども3人(中学校1年生1人と小学校4年生2人)が行方不明になった。一緒に来ていた小学校1年生が「4人で川遊びをしていたが、気づいたら1人になっていた」と河川巡視員に話したため、巡視員が110番通報をした。9日は小学校が代休だった。付近の川幅は約200メートル、上流の雨のため、当時、水位はふだんより1メートルほど上昇していたとみられる。(朝日、6月9日)

▶〔高層住宅からの転落事故つづく〕 東京都内で4月以降、3人の子どもが高層住宅から転落。6、7月は同様の事故件数が多いことから、東京消防庁は全消防署に対し、高層住宅の住民に注意喚起するよう通知を出した。5月2日に4歳児が10階のベランダから(おもちゃの車やエアコン室外機を足場にしたとみられる)、6月3日には4歳児が3階のベランダから(飼い猫の転落防止用格子柵をつたったとみられる)から転落、4月10日には友人と遊んでいた9歳児が13階外階段から下の階の外廊下に飛び移ろうとして転落、いずれも死亡した。このほか、子どもが室内の出窓の網戸によりかかって網が破れ、地上に転落してケガをした事故も数件発生。マンションのベランダの手すりは、1歳児でも高さ60センチほどの物に乗れば簡単に上部に手が届くため、ベランダに足場となる物を置くのは非常に危険という(技術士らでつくる「子どもの安全研究グループ」)。東京消防庁管内(稲城市と離島を除く)では2010~13年、2階以上の住宅のベランダや窓から転落して救急搬送された12歳以下の子どもは計108人。年齢別では5歳以下が76人。全体の4割近くは死亡または生命の危険が高い状態だった。月別にみると、気温が上がる春夏に多い。(東京新聞、6月7日)

▶〔増水した川に落ち、行方不明〕 千葉県松戸市の住宅街を流れる川に6日午後、小学1年生が落下、不明となっている。児は午後4時半ごろまで母親と家にいたが、母親が児の妹を迎えに出た間に家を出たとみられる。川にかかっている橋の欄干の外側(幅約20センチ)を歩き、欄干のへりに座ろうとしたのを見た通りがかりの人が「危ない」と声をかけた直後に(または、通りがかりの人にされ、欄干に座ろうとしたところ)川に転落したという。川幅は6メートル、深さは通常30センチだが、この日は雨で1.6メートルに増水していた。(各紙、6月6、7日)

▶〔組体操の是非を議論〕 小中学校等で行われる組体操に関する議論(産経、5月30日)。内田良名古屋大学准教授の論はこちら

▶〔運動会で刃物振り回す〕 5月27日午後、石川県金沢市の小学校で、運動会の最中に男がナイフを振り回し、児童を追いかける事件が起きた。男は保護者らにすぐ取り押さえられて逮捕され(建造物侵入と銃刀法違反)、児童らにケガはなかった。男は小学校の近くに住む無職(31歳)で、「日常生活に不満を持ち、人を刺そうと思い、ナイフを持ち出した」と供述しているという。(JCASTニュース、5月28日)

▶〔9歳児が11階から転落、無事〕 5月27日午後6時前、大阪府枚方市内の11階建てマンションの11階、階段踊り場付近から9歳児が転落した。3階部分にはめこまれた落下防止の網入りガラス板に当たった後、敷地の立ち木に引っ掛かりながら落ちたため、左足や胸を負傷するケガで命には別条がない。児は友人2人と遊んでいた際に誤って落ちた。(西日本新聞、5月27日)

▶〔小学校の列に車、突っ込む〕23日午前10時前、上尾市内の県道で校外学習「町探検」中の小学校3年生と保護者計67人の列に軽乗用車が突っ込み、7人が重軽傷を負った。現場は住宅街、片側一車線の直線道路でガードレールはない場所。ぶつかった容疑者(61歳)は「目がチカチカした」「ぶつかるまで気がつかなかった」と話しているという(各紙、10月23日)。  〔掛札コメント〕 写真を見ると、横断歩道あり、信号機なしの交差点のようです。どの方向に子どもたちが歩いていたのかはわかりませんが、「歩行者を見れば、車は止まるはず」という考えはやはり誤りです。「車が止まらないかもしれない」を前提にした行動を。

▶〔グラウンドに釘がまかれる〕 5月17日午前8時前、広島県安芸高田市の保育園に隣接するグラウンドに長さ3~4センチの新品のクギ約千本がまかれているのを職員が発見、通報した。保育園では同日、運動会が開かれる予定で、クギを回収した上で運動を開催した。16日夜にグラウンドを点検した時点ではクギはなく、警察は威力業務妨害の疑いで調べている。(共同、5月18日)

▶〔保育園児の送迎場所に猫の頭〕 兵庫県丹波市内で午前8時過ぎ、「駐車場に猫の頭が置かれている」という通報が、園児を送りに来た保護者からあった。駐車場はふだんほとんど車がなく、送迎バスを利用する近くの保育園児が集合場所として使っているという。死後3日ほど経過した子猫の頭部で鋭利な刃物で切られ、駐車場隅の地面にむき出しで置かれていた。(共同通信、5月15日)

▶〔バウンス・ハウスが空中に飛ばされ、子どもが落下:米国〕 空気で膨らませる大型遊具が強風に飛ばされ、中にいた3人がケガをした(Bounce houseまたはInflatable house/castleと呼ばれる。各種の写真はこちら)。1人(10歳児)は飛ばされた時に落ちて軽傷、他の2人(5歳と6歳)は約4.5メートルの高さまで舞い上がった状態から落下し入院。うち1人は複数の骨折を負ったが安定した状態。もう1人は駐車されていた車の上に落ちて頭部傷害を負ったため、治療のための昏睡状態に置かれている。17キログラムのこの遊具はプラスチックの固定具で地面に固定されていたが、強風にあおられたものとみられる(英語各紙)。
〔掛札コメント〕 空気で膨らませるタイプの大型すべり台がひっくり返って子どもがケガを負う、空気圧が足りないために児が地面に激突するといった事故も、米国では起きています。日本では…?

▶〔
追加:保育施設で午睡中死亡〕 5月2日、大阪府大東市の認可外保育施設で1歳4か月児が死亡した。うつぶせで昼寝をしていた児がぐったりしているのに保育士が気づき、搬送。心肺停止の状態で、その後、病院で死亡が確認された。この保育園では0~2歳の子ども13人を2人の保育士でみており、府の指導に従い、15分おきに子どもの様子を確認していた。「その寝方(うつぶせ)が一番寝やすいようで、体調が悪かったというのもありますので、極力睡眠を優先させてあげようと思って」と園長は話しているという。(毎日放送、5月10日) 〔ここから追加〕 大阪府警が児を司法解剖したが死因は判明せず。児がぐったりしているのがみつかったのは、保育士が検温しようとした2日午後2時50分ごろで、10分前に様子を見た時もうつぶせだったが、その時点で呼吸や顔色に異常はなかったという。府の担当者は「ゼロ歳児であれば、うつぶせ寝はしないよう指導しているが、幼児であればそのままにしておくこともある」と話している。施設は2010年に届け出、昨年の定期立ち入り調査の時点では、施設長と保育士3人、非常勤職員8人だった。15分ごとに子どもの様子をチェックしており、これまでに事故などの報告はなかった。(中日新聞、5月10日)

▶〔水死2件〕 ・5月10日午後8時過ぎ、新潟市内の道路脇の用水路に2歳児が転落しているのを近所の住民が発見、搬送したが間もなく死亡した。用水路は幅約150センチ、水深約80センチ。児は用水路内の柵にひっかかった状態で浮いていた。田んぼが周囲に広がるエリアで、児がみつかった付近にはガードレールが設置されていなかった。同日午後3時過ぎ、児が家にいないことに両親が気づき、捜索していた(共同通信、5月11日)。 ・5月10日午後2時過ぎ、滋賀県長浜市の農業用ため池で、釣りに来ていた小学校5年生が池に転落、約50分後に岸から50メートル離れた池の底(水深約3.5メートル)で発見されたが、死亡が確認された。児童は近くに住んでおり、3年生の妹とその同級生の計3人で昼過ぎから溜め池に来ていた。足を滑らせ、池に転落したため、妹が自宅に戻って母親に知らせた。池は自治会が管理しており、崖と森林に囲まれていない部分は、高さ約2メートルのフェンスが約50メートルにわたって設置されている。児童が転落したのはフェンスがない場所だった。(各紙、5月10日)

▶〔2歳児、用水路で死亡〕 5月6日午後6時前、埼玉県加須市内の農業用水路で子どもが流されているのがみつかった。約20分後、約800メートル下流で、近くに住む2歳児を救急隊が救出したが搬送先で死亡が確認された。児は用水路近くの公園で4~10歳の子ども3人と遊んでおり、おとなはそばにいなかった。用水路は幅約1メートル、水深は70~80センチ。用水路沿いに高さ1メートルのフェンスがあったが、下にある約20センチのすき間をこの児がくぐるのを他の子どもたちが見ていた。(共同、5月6日)

▶〔ケガ、5月に増える〕 日本スポーツ振興センターの調査から、幼稚園や保育園での事故は5月に増えることが明らかになった。災害共済給付制度に基づき、2012年度に全国の保育園・幼稚園(8割が同制度に加入)で起きて医療機関の受診を必要とした事故を集計したところ、医療費が5000円以上かかった報告例は約6万件(死亡を除く)。月別にみると、4月が4393件であるのに対し、5月は6489件。10月に次いで2番目に多い。時間は午前10~11時が最多で、体の部位では頭と顔で6割を占め、2割が腕など。過去5年間の平均も同じ水準。(朝日、5月4日) 〔掛札コメント〕 ひとつ上のクラスの環境にも慣れ、前年とは違う新しい活動を活発に始める時期です。一方、子どもをみる側には「この年(クラス)なら、こういうことができるはず」という先入観もあり、それと目の前の現実とのギャップがあって、まだできないこと、すべきではないことをさせてしまうこともあると考えられます。10月にケガが多いのは運動会が多いからでしょう。ということは、「ケガが一番多いのは5月」と考えて、今、目の前にいる子どもたちの成長に合った活動を進めてください(「何歳だからできるだろう」「去年のこのクラスは~ができたから、今年もできるはず」ではなく)。

▶〔5人、溺れて死亡〕 5月4日午後2時前、新潟県上越市の海岸で子ども3人が流され、助けに向かった男性2人も溺れた。5人は救助されたが、いずれも死亡が確認された。亡くなった子どもは2人が6歳、1人が9歳。波打ち際で遊んでいた3人が急な高波にさらわれたため、気づいた男性2人が海に入ったが溺れたという。この海岸は砂浜で、釣り客が多く訪れる場所。海水浴シーズンではないため、監視員などはいなかった。(時事他、5月4日) 

▶〔4歳児が10階から転落死〕 5月2日午前8時ごろ、東京都葛飾区内のマンションで4歳児がベランダから転落、搬送されたが間もなく死亡した。部屋には母親と1歳児がいたが、母親が7歳児の忘れ物を届けるため1階へ降りた間に男児がベランダに出たとみられる。ベランダにはポリタンクや車のおもちゃなど踏み台になりそうなものがあり、柵の手すりには子どもがさわったとみられる跡があった。(各紙、5月2日)

▶〔「気づかなかった」交通事故2件〕 ・4月24日午後5時半ごろ、大阪府堺市の住宅街にある府道交差点で左折した大型トラックが近くに住む4歳児をはね、十数メートルひきずった。児は頭を強く打つなどして約1時間半後に死亡。児は自転車で遊んでいたということで、トラックの運転手は「ひいたのは間違いない。(子どもに)気づかなかった」と話している。(毎日、4月24日)  ・4月27日午前10時過ぎ、千葉県内の農道で4歳児が祖父の運転するトラックにひかれ、死亡した。児は休日を利用して、家族と共に祖父の家へ遊びに来ていた。近所の家に行った帰り道、きょうだいなど子ども3人が歩く後ろを祖父のトラックが徐行・停止しながらついていった。自宅が近づいたため、祖父は「走っていきなさい」と声をかけ、子どもたちが走り出したのを見て車を発進させたが、車のすぐ前に児がいることに気づかなかったという。(朝日、4月27日)

▶〔小4児、3階から転落〕 4月25日午後10時過ぎ、神戸市内の駐車場で敷地内の集合住宅3階に住む小学校4年生児が倒れているのがみつかった。児は頭の骨を折る重傷。警察によると、男児のそばには長さ2~3メートルのロープが落ちており、自宅のベランダの手すりにもちぎれたロープがくくりつけられていた。児が3階からロープを伝って降りようとして転落した可能性があるという。自宅には叔母がいたが、異変には気付かなかった。(各紙、4月26日)

▶〔クマ出没、けが人も〕 4月21日午前6時過ぎ、新潟県村上市内のお幕場森林公園近くの海岸付近で山菜取りをしていた男性がクマに襲われてケガをした。この付近では今月に入ってからクマの目撃情報が相次いでおり、保育園が散歩を控えるなどの影響も出ている。(新潟日報、4月21日)

▶〔木の枝が折れ、児が頭に重傷〕 4月14日午後3時ごろ、川崎市宮前区の商業施設敷地内にあるけやきの枝が折れて落下、近くを歩いていた6歳児の頭に当たった。児は急性硬膜下出血で重傷だが、命には別条ないとのこと。枝は約9メートルあり、重さは20キロ余り、これが高さ6.5メートルの所から落ちた。児は母親ときょうだいの3人で現場付近を通りかかったもの。当時、現場周辺では伐採作業などは行われておらず、特に強い風も吹いていなかった。木は少なくとも35年前からそこにあったという。(カナコロ、4月16日他)

▶〔最近の園バス関連の事故〕 4月4日午前7時40分ごろ、横浜市内の信号のある交差点で横断歩道を渡ろうとした小学2年生児が幼稚園バスにはねられ、骨盤骨折の重傷を負った。児は先に横断歩道をわたっていた兄に追いつこうとして、信号が青になって走り出したバスの前を横切ろうとしたもよう。  ・4月22日午前9時ごろ、福岡県北九州市で幼稚園の送迎バスが軽乗用車に追突、園児6人、保育士1人、乗用車の親子の計9人が搬送(いずれも軽症)。バスは信号停止中に乗用車に衝突、衝突後も進み続け、約20メートル先で停止。  ・4月21日午前8時半ごろ、静岡市内の交差点で幼稚園の送迎バスと乗用車が衝突、バスに乗っていた園児10人中3人が軽傷を負った。現場では、バス側に一時停止の規制があった。  ・4月17日午前8時45分ごろ、函館市内で幼稚園の送迎バスと軽乗用車が正面衝突し、バスに乗っていた園児22人中7人、運転手、保育士が軽傷を負った。原因は、軽乗用車が対向車線にはみ出したためとみられる。

▶〔川に流され、1人死亡〕 4月16日午後4時ごろ、福島県郡山市内の阿武隈川で子ども3人が流された。119番を受け、3人は間もなく救助されたが、小学校1年生が死亡、3歳児が意識不明の重体。3~8歳の児約10人で河川敷で遊んでいたところ、3歳児が川に落ち、助けようとした1年生児童と3年生児童が川に入り、流された。3人は最大500メートル流されたが、通りかかった人たちが川に飛び込み、引き上げたという。現場付近の川は幅約60メートル、水深は深い所で1メートル70センチほど。(4月16日、各紙)

▶〔門扉がはずれ、子どもがケガ〕 4月5日昼ごろ、和歌山県有田市の保育所で3歳児が鉄製の門扉に乗って遊んでいたところ、門扉がレールからはずれ、児が下敷きとなり、額にこぶができるなどの軽傷を負った。門扉は、高さ1メートル24センチ、長さ5メートル15センチ、厚さ6センチ。当日は入園式で、事故時も園には7、8人の子どもが残っていたという。(和歌山放送、4月5日)

▶〔
うつぶせ寝で発見された旨など、追加:家庭福祉員宅で7か月児死亡〕 4月3日午後2時ごろ、東京都目黒区の家庭福祉員が預かっている7か月児の呼吸が止まっているのに気づき、119番した。児は心肺停止の状態で救急搬送されたが、4日午後2時過ぎに死亡した。福祉員は当時、この児を含め3人の子どもを預かっていた。警視庁によると外傷はなく、司法解剖して死因を調べる。福祉員は保育士の資格を持ち、4年前に区の認定を受けた。児の家族は区の紹介で4月1日からこの福祉員と契約していたという。目黒区では13人の家庭福祉員(保育ママ)が認定され、36人が利用しているという。(TBS他、4月4日) 〔追加〕 司法解剖の結果、「死因は不詳」。体重も標準で、外傷もなかった。福祉員の保育状況や女児の家庭環境にも問題はなかったとみているが、警察は死亡した経緯を引き続き調べている。3日午後2時ごろ、うつぶせで寝ていた児が呼吸をしていないことに気づいた福祉員が気づき、119番、2時20分ごろ、病院で死亡が確認された。(時事、4月5日)

▶〔殺虫剤等の吸い込み事故が過去最多〕 殺虫剤を吸い込むなどの健康被害は平成24年度に1101件起こり、前年度より77件多く、昭和54年に調査を始めてから最多であったと厚生労働省が3月31日に発表した(死亡例はなし)。特に、一度の噴射で長い効果をうたう「ワンプッシュ式」の蚊取り剤などによる事故が急増した(22年度26件、23年度52、24年度73)。子どものいたずらが被害の約7割を占め、中には玄関でほぼ全量を噴射、家族が舌や皮膚のしびれを訴えた例もあった。製品別には殺虫剤が296件、次いで洗浄剤175件、漂白剤127件、芳香・消臭・脱臭剤87件、除菌剤44件。4歳児が自動噴射型の消臭剤をのぞきこんでいた際に噴射し、両目に入ったケースもあったという。(3月31日、産経他) 〔掛札コメント〕 保育園にはありませんか?

▶〔遊具にカミソリ:米国〕 米国イリノイ州の公園で、遊具に12個のカミソリがパテ状のもので貼りつけられているのがみつかった。子どもが手にケガをし、父親が通報。(3月30日、Livedoor news) 〔掛札コメント〕 このニュースが知られて、日本でも似たような事件が起きることを懸念しています。ニュースは情報共有という意味で不可欠なのですが、悪い情報も拡散するので…。公園で遊ばせる時の新たな注意点、です。

▶〔保育園から灯油が流出〕 新潟県南魚沼市の市立保育園から灯油500リットルが魚野川に流出した。3月22日午前9時半ごろ、園の職員が機械室の給油タンクから灯油を小分け中、その場を離れたまま忘れてしまったという。同11時半ごろ、来園者が側溝などに灯油が流れていることに気づいた。灯油は2キロ離れた魚野川にも流出。側溝の灯油は市の職員などが吸着マットで回収した。(新潟日報、3月22日) 〔掛札コメント〕 「忘れるなんて!」と言っておしまいにしないでください。午前9時過ぎの忙しい時間帯です。人間は「つい」「うっかり」なのですから。

▶〔2歳児の頭をフォークで突く〕 3月19日午後0時20分ごろ、岡山市北区の公園で、ベビーカーに乗っていた2歳児が近くにいた男に突然、フォークで頭を突かれた。母親が110番し、男は現行犯逮捕された。容疑者は「(児に)ヤクザを見るような目つきで見られたので、フォークで刺すふりをした」と容疑を否認している。(時事通信、3月19日) 〔掛札コメント〕 お散歩の時は「人」にも注意!という教訓を思い出す事例でした。

▶〔保育園に車、突っ込む〕 3月15日正午過ぎ、大阪府堺市北区の保育園横の路上に停車していた車がバックで動きだし、自転車と接触した後、保育園のフェンスを突き破って建物のトイレ付近に突っ込んだ。この事故で、車を運転していた男性と自転車に乗っていた人が軽傷。園児らにケガはなかった。運転していた男性には酒酔いの疑いがもたれているという。(各紙、3月15日)

▶〔用水路に転落、流された児を救助〕 山形県鶴岡市で1月18日昼ごろ、用水路に落ちて川に流された保育園児(5歳)が無事救助された。自宅の屋根の雪下ろしをしていた女性が、そばを流れる川に人がいるのを発見、近所の子どもだとわかり、「川に人がいる」と叫んだ。近くで除雪作業していた1人が雪をかき分けて川に入り、うずくまっている児を抱え上げ、近くのもう1人が毛布を持ってきて児を温めたという。児は、父親と雪かきを始めようとしたところ、父親が目を離したすきに蓋をはずしていた用水路に転落、約150メートル先で合流する鼠ケ関川まで流された。児に大きなケガはなかった。(山形新聞、2月8日)

▶〔犬に襲われ子どもがケガ〕 3月7日午前7時30分ごろ、高松市内の市道で登校中の小学生4人が犬に襲われた。4人は病院に搬送されたが、2年生1人が3か所をかまれ重傷。他2人が軽傷。犬は首輪をつけており、現場近くで登校を見守っていた警察官が追い払ったため、逃げたという。(読売、3月7日)   〔掛札コメント〕 下のほうで「首輪をはずして散歩をさせていた犬にかまれた」事例がありましたが、今回のような事例も散歩中などには起きる可能性があります。

〔追加:民間保育施設で1歳児死亡〕 兵庫県西宮市の民間保育施設で1歳2か月児が死亡した。外傷はなく、司法解剖して死因を調べる。市の発表によると、施設は市などが助成し、保育資格を持つ個人が乳幼児を預かる「保育ルーム」のひとつで、40歳代の女性が自宅で運営。入所定員5人に対し、この日は3人を預かり、保育士の2人が世話をしていた。午後4時30分ごろ、1階の部屋で児がぐったりし、意識がなく呼吸もしていないことに気づいて119番。搬送先の病院で死亡が確認された。保育士は「通常の保育をしていて、意識を失った理由はわからない」と話している。(読売他、2月19日) 〔ここから追加〕 西宮市は運営する保育士や保護者への聞き取り結果を明らかにした。児に持病はなく、「通常の保育を行っており、過失はなかった」としている。司法解剖の結果は「死因不詳」。児は18日午後4時から保育士2人が付き添って昼寝。約30分後に保育士が起こそうとしたところ、ぐったりしていた。右を下に体を丸めて寝ていたという。保育ルームは西宮市の待機児童対策として2001年度から始まり、現在27か所50施設で開設している。児が預けられていたルームは、民家1階の1室(16.6平方メートル)を利用して、数年前に開設。同市によると、ベテラン保育士が各保育ルームを月1回以上巡回して指導などを行っているが、問題点はなかったという。 (神戸新聞、2月18日、19)日

▶〔除雪作業中に車にひかれ、死亡〕 2月16日午後2時40分ごろ、埼玉県深谷市の運送会社の駐車場で、5歳児が父親の運転する中型トラックにひかれ、搬送先の病院で死亡した。父親はこの運送会社で働いており、除雪作業のため、妻と子どもたちを連れてきていた。児はきょうだいと遊んでいた。父親は「子どもがいることに気づかなかった」と話している。(テレ朝、2月17日) 〔掛札コメント〕 このニュースとは直接関係ありませんが、除雪時の子どもの重傷/死亡はひんぱんに起こります(欧米)。特に、家庭用の電動除雪機(手で押して使う)のモーター部分に子どもの洋服の一部などが引き込まれて窒息死という例は少なくありません。除雪機は雪を吹き出すので、視界が悪くなることも一因です。

▶〔都電にはねられ、小3児重傷〕 2月17日、東京都北区の都電荒川線の踏切で、近くの小学校に通う3年生が電車にはねられ、頭などに重傷を負った。遮断機をくぐって反対側に渡ろうとしてはねられたという。ランドセルを背負っていたことから、下校途中に急いで踏切を渡ろうとして事故に遭ったとみられる。(2月17日、時事通信) 〔掛札コメント〕 「小学校3年生なら、それぐらい判断できるはずじゃないの?」、そこでストップしないでください。未就学児の場合、おとなが手を離したら同じことが(もっと高い確率で)起こります。

▶〔車内で1歳児が死亡〕 2月9日午後5時50分ごろ、愛知県常滑市の雑貨店駐車場にとめた車の中で1歳の長男がぐったりしているのを、買い物から戻った両親が発見した。搬送されたが、10日に死亡。警察によると、両親は児をチャイルドシートにのせて車内に残し、午後5時ごろから買い物を始めた。何度か戻って確認していたが、5時50分ごろ、チャイルドシートのベルトが首にかかった状態で口から泡を吹いているのをみつけたという。(共同通信、2月10日)  
〔追加〕 朝日新聞(10日)によると、両親は長男のチャイルドシートのベルトをはずし、毛布をかけて寝かせたまま、買い物に出かけた。何度か様子を確認しに戻った。5時50分ごろ、長男はチャイルドシートの前側にずり落ち、ベルトの下部が首にひっかかった状態でみつかった。

▶〔高校生、窓から転落死〕 大分県の県立高校で2月5日、3年生の男子生徒が校舎4階の窓の掃除をしていた際、誤って2階のテラスに転落、死亡した。県教育委員会は6日、県内すべての幼稚園、小中高校に対し、安全対策を盛り込んだ文書を通知。学校内の施設や設備の安全点検をあらためて行うこと、教職員の研修のほか、児童・生徒に対しても安全教育を実施するよう求めた。(2月6日、大分放送ニュース) 〔掛札コメント〕 未就学児にはまだまだ危険がよく実感できないので、安全教育の効果は薄くなります。一方、小学校中学年以降になると、自我が強くなり、「できそうにないとわかること」「したら危ないとわかっていること」でも、「できない」「やらない」と言えずに(思えずに)してしまうことがあります。ここでも、安全教育の効果が減じてしまいます。おとなでも合理的な判断が難しい場合はあります。ましてや子どもには、心の発達に伴う「安全に関する心理的リスク」があります。そこを考慮に入れず、通り一遍の安全教育をしても、効果は見込めません。今回の事故は高校生ですが、学童クラブ等でも同様の点をきちんと考慮した対策をすることが不可欠です。

▶〔犬にかまれ、2児がケガ〕 2月8日午後3時ごろ、福岡県朝倉市の河川敷で、女性と孫2人(8歳児と5歳児)が大型犬にかまれ、病院に搬送された。2児は顔などをかまれており、そのまま入院したが命に別状はないという。犬は山岳犬で体長約1.2メートル。飼い主2人が首ひもをはずした状態の同品種3頭を河川敷で運動させていたところ、1匹が近くの土手で遊んでいた2児に襲いかかった。飼い主の男性は取材に対し、「いつも河川敷で首ひもをはずして運動させ、人が来たらひもを付けるようにしていた」と説明。「これまで人をかんだことはない。普段は穏やかだが、興奮すると手に負えないこともある」と話した。警察署は任意で事情を聞き、過失傷害や県動物愛護条例違反の疑いも視野に調べている。(2月8日、西日本新聞他) 〔掛札コメント〕 園でのお散歩時も要注意。

▶〔転倒オートバイ、6歳児に衝突〕 1月31日午後7時半ごろ、神奈川県川崎市の市道で父親とタクシーを待っていた6歳の幼稚園児に、転倒したオートバイが衝突した。男児は頭を強く打つなどして意識不明の重体。タクシーが客を乗せようと左に車線変更したところ、後方を走っていたオートバイが転倒。はずみで停車したタクシーの後部にぶつかった上、タクシーに乗ろうとしていた児に衝突した。警察署は、自動車運転過失傷害の疑いで、タクシーとオートバイの運転手をそれぞれ現行犯逮捕した。(2月1日、カナロコ他)

▶〔最近の幼稚園バス事故3件〕 1月14日午前9時10分ごろ、さいたま市見沼区の県道で区内の幼稚園送迎バスが左カーブを曲がりきれず、道路右側の民家ブロック塀に衝突した。運転手が重傷、女性教諭と5歳児が軽傷。/ 1月16日午前8時ごろ、栃木県大田原市のT字交差点で、幼稚園バスと乗用車が出合い頭に衝突、幼稚園児1人が頭を打撲するケガ。/ 1月22日午前7時45分ごろ、釧路市昭和区の市道で、停車中の幼稚園送迎バスに軽乗用車が追突、バスに乗っていた園児3人が軽傷を負い、病院に運ばれた。 〔掛札コメント〕 業界には、早く、児童送迎バス用のシートベルトを開発していただきたいものです。

▶〔2013年の交通事故〕 警察庁交通局の報告書が出ました。シートベルト/チャイルドシート非着用時の死亡が増加していること(9ページ)、15歳以下の死亡は「歩行中」「自転車乗車中」が増加していること(10ページ)などがわかります。

▶〔追加あり。
2013年、保育園で19人の死亡(報告数)〕 厚生労働省が、2013年の間に報告のあった保育施設での死亡を公表しました。計19人で、0歳が8人、1歳が8人。睡眠中が16人で、うち9人が「うつぶせ寝」の状態で発見されました。死後、SIDSと診断されたのは2人。追加:睡眠中死亡の16人中、死因を「窒息」と判断されたのは1人のみ。 10人は「原因不明」、2人が「SIDS」、6人が「病死」。国は昨年3月、認可保育所で死亡事故が起きた場合は、再発防止のために市町村が検証を行うよう通知したが、今回発表された認可における死亡事故4件のうち、自治体が検証したケースはゼロ(東京新聞、2月2日))  〔掛札コメント〕 うつぶせ寝は、なによりも窒息の危険があります。午睡チェックの時間とは無関係に、うつぶせ寝をみつけたら仰向けに、です。けれども、上を向いていても吐瀉したり、口の中にものが入っていたりしたら、窒息します。「上を向いていれば安心」という思い込みも危険です。ちなみに、厚生労働省の報告の中には、前年以前の数も掲載されていますが、このページの一番下のニュースにある通り、2004年以降、31件の報告漏れがありました。

▶〔コンセントカバーの誤飲について〕 保育園看護師さんからご質問いただいて、コンセントカバーの誤飲について探したら、
東京都の情報サイトにこのような情報が載っていましたご参考まで。

▶〔学校管理下の災害:平成25年版〕 昨年11月出た、
『学校の管理下の災害:平成25年版』(日本スポーツ振興センター)。幼稚園・保育所については、121ページ~128ページ。死亡事例も掲載されています。報告書の全体はこちら。PDFで読むことができます。

▶〔溜め池で5歳児死亡〕 1月26日午後3時10分頃、三重県鈴鹿市の溜め池で、300メートル離れた所に住む5歳児がパジャマ姿で浮いているのを警察署員が発見した。児はすでに死亡していた。午後1時40分ごろ、母親から「子どもが自宅からいなくなった」と交番に届けがあった。目撃情報もあり、外傷もないことから、誤って転落した事故の可能性が高いとみて調べている。溜め池は面積が約10平方メートルで水深は約1メートル。周囲に柵はなかった。(産経、1月26日)

▶〔10か月児、溺水で意識不明の重体〕 2013年10月9日午前1時10分頃、愛知県刈谷市のマンションで、知人宅に母親と泊まりに来ていた10か月児が浴槽で溺れ、搬送されたが意識不明の重体。警察によると、母親は、児が離乳食をこぼしたため、浴槽に入れた。おもちゃが排水口をふさぎ、浴槽内に水がたまった状態になっていたが、母親は風呂場の外でパソコンを使っていたため、気づかなかったという。当時、知人は仕事のため留守で、母親が119番通報した。(産経、2013年10月9日)

▶〔2013年9月に起きた水の事故2件〕2013年9月8日頃、福岡県大木町の公園内の用水路で5歳児が溺れているのを、知人男性がみつけ119番通報した。搬送されたが、死亡が確認された。死因は溺死。児は両親と長男が参加する少年野球の試合を公園で観戦。両親が目を離したすきに、用水路に誤って転落したとみられる。(産経、2013年9月8日)
 9月19日午後3時40分頃、埼玉県三郷市の用水路で、カニを採って遊んでいた小学校1年生児が流された。一緒にいた同級生が交番に連絡、約5メートル先の水中で、うつぶせの状態で発見され、救助されたが、心肺停止の重体。用水路は幅1.3メートル、水深1.5メートルで、流れは緩やか。周辺は高さ約1メートルの金網で囲まれていたが、子どもが通れるほどのすき間があり、ここから2人が入ったとみられる。(産経、9月19日)

▶〔幼稚園バス事故〕 1月14日午前、さいたま市内を走っていた幼稚園送迎バス内で、運転手の意識がもうろうとしているのに同乗の女性教諭が気付き、とっさに運転を代わった。バスは道路脇の塀にぶつかって止まり、乗っていた園児1人、教諭、運転手の計3人がケガをした。見通しのよい県道を走っていたところ、バスが急加速し、「運転手の意識がもうろうとしているようだ」と危険を感じた教諭が運転手に代わってハンドルを操作したとのこと。当時、バス内には6人の園児がいた。(NHK、1月14日) 〔掛札コメント〕 この他、1月に入ってから、千葉県、栃木県で、幼稚園バスと他の車両の衝突事故が起きています。

▶〔電車にかばんのヒモはさまれる〕 1月9日正午ごろ、都内JR山手線・神田駅ホームで、カバンのヒモをドアにはさんだまま電車が発車、カバンを握ったままホーム上を5メートル並走した女性は転倒、顔に軽いケガをした。女性は発車直前の電車の先頭車両に乗ろうとし、ヒモがドアにはさまったもの。ホームにいた人が非常停止ボタンを押し、車掌も女性に気づき、電車を停止させた。発車前、ドアが完全に閉まったことを示すランプを車掌が確認しており、JRは「ヒモが細かったため、感知しなかったのではないか」としている。(共同通信、1月9日) 〔掛札コメント〕 これはおとなのケースですが、子どもでも十分にありえます。特に、カバンのヒモやフード、服についているヒモは危険です。子どもを連れて電車に駆け乗るのはもちろん危険ですが、電車やバス、車を降りる時は必ずおとなが子どもの後ろに付くようにしてください。

▶〔松山市で5歳児、電車にはねられ死亡〕 1月5日午前10時40分ごろ、愛媛県松山市内のJR予讃線の踏切で、大阪市に住む5歳児が電車にはねられ、病院で死亡した。事故当時、児は4歳の弟と2人で遊んでいたが、弟にケガはなかった。踏切は幅1.6m、遮断機と警報機が設置されている。(共同通信、1月5日)

▶〔岐阜県で4歳児が水死〕 1月2日午後4時ごろ、岐阜県大野町を流れる根尾川に4歳児が転落、うつぶせで浮いているところを父親に救出されたが、19時間後に搬送先で死亡した。児は父親と兄の3人で河川敷で凧揚げをしていた。父親が片付けのため目を離した際に児の姿が見えなくなり、捜したところ、岸から数メートルの水面でみつけた。水面は河川敷より5mほど低く、護岸はコンクリートの急斜面。護岸と河川敷の間に柵は設置されていなかった。(中日、1月3日)

▶〔コンビがベビーカーの部品交換〕 コンビは1月16日、自主的な無償部品交換を開始した。2012年1月から同社が販売しているベビーカー「F2(エフツー)」の2つの対象製品(AB-240とミッキーマウス)で、場合によってはアームレストが破損する不具合が発生するため。問い合わせ窓口に連絡すれば、部品を交換できる。
コンビのウェブサイトはこちら。2012年7月から2013年末までに、破損の問い合わせが約650件あり、うち7人の乳幼児が破損した部分に触れて軽いけがをしたという。 〔掛札コメント〕 ぜひ、ページを印刷して、保護者向けに掲示するなどなさってください。

▶〔学童保育の状況と事故〕 平成23年10月1日から平成24年9月20日までに報告のあった学童保育の事故。(平成24年11月、厚生労働省発表。ニュースが出た時点でサイトのリンクがなかったものです)。 また、2013年の学童保育実施状況調査結果はこちら。

▶〔
間違いました。お詫び〕 下の白玉窒息事故調査報告書は、今年ではなく2年前の11月に出たものでした。事故から数か月という非常に短い間に作成された報告書がどのくらい詳細で、今後の予防に効果のある内容を提示できたかは疑問のあるところです。その点もあわせ、下の掛札のコメントに変化はありません。

▶〔栃木市の白玉窒息事故調査報告書〕 栃木市立はこのもり保育所で2012年に起きた白玉誤嚥窒息事故の調査報告書はこちら(11月26日付)。下の栄養士の発言も収載されています。 〔掛札コメント〕 報告書の中で「なぜ、この保育園だけが2歳児に全形(丸)の白玉を出しているのか」という疑問が論じられていますが、「半分や4分の1に切ったら安全」というデータはどこにもありません。白玉類は歯で噛もうとしてもツルンと逃げやすいものですし、たとえ年長であっても歯の生え変わり時期に入れば、噛みそこねた白玉が抜けている歯のすき間から気道に落ちる可能性もあります。白玉のように噛みきりにくく、滑りやすい食品を(小さく切ろうが切るまいが)集団給食で出す危険性を考える必要はないのでしょうか。これまで深刻な結果をもたらした危なさ(ハザード)を放置しておけば(この場合は、白玉のような食品を保育施設等で食べていれば)、必ずどこかで誰かが再び亡くなります。それが、「確率的に起こる」事故の特性です。
 他園と違う条件(丸か切ってあるか)があったことで、あたかもそれが原因であったかのように議論されていますが、これもまた、事故の当該者に落ち度や失敗があったとして「他の園は大丈夫」と感じようとする、人間の認知バイアスの一部です。先日の花巻のイカダ溺死事故でも、「亡くなったお子さんだけが泳げなかった」という報道がなされ、「泳げなかったその子の問題」「泳げていれば助かったのに」という印象を与えています。これも同様の認知バイアスです。これは人間心理として当然に起こる心理的なプロセスですが、保育園・幼稚園等がこのような見方をしてしまうと、「あの事故は、~が悪かったから。私たちは大丈夫」という偽りの安心感を生み、深刻事故のリスクを上昇させます。(記:2014年11月末)



事故:予防や訴訟、調査委報告など

▶〔足場倒れ事故で起訴〕 2012年3月、埼玉県東松山市で高さ10メートルの工事現場の足場が風にあおられて倒れ、通りかかった近くの保育園の6歳児1人が死亡、もう1人が大ケガをした事故で、検察庁は足場を組み立てた坂戸市の会社社長ら3人を業務上過失致死傷の罪で起訴した。強風によって足場が倒れる危険を予測できたにもかかわらず、ボルトで建物に固定するなど、法律で義務づけられた対策を怠ったとしている。死亡した児の母親は、「すぐにお墓に『起訴になったよ』と報告に行きました。なぜ事故が起こったのか裁判で明らかにしてほしいし、2度と同じことがないようにみんなで考えて、『こんなに安全になったんだよ』といつか言えるようにしたいです」と話した。(NHK、12月12日)

▶〔重大事故の再発防止策に関する検討会(第3回)〕 内閣府の「教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会」の第3回報告書が発表されました。『深刻事故ハンドブック』の著者である山中先生、栗並さんも検討会のメンバーです。関連の読売記事「保育施設、後絶たぬ死亡事故…2013年は最多」(12月9日)はこちら。

▶〔事故の把握と共有、進まず〕 朝日新聞(12月6日)で、消費者庁に集約するはずの子どもの事故情報が集まらない問題について報道(下の11月6日の毎日記事を参照)。記事の中で、2010年、栃木県真岡市の小学校で1年生が白玉汁の団子を詰まらせ脳死状態になり、3年後に亡くなった事例と、その後に続いた2件の白玉窒息死(栃木市、東京都あきる野市)について取り上げられた。報告書等によると、真岡市の事故は栃木市教育委員会には伝わっていたが、栃木市保健福祉部は知らず、栃木市保健福祉部の栄養士らは「知っていれば、白玉団子は使わなかったであろう」と話したという。

▶〔子どもの事故情報集まらず〕 消費者安全法に基づき、消費者庁に通知・集約することになっている保育所や幼稚園等の教育・保育施設で起きた重大消費者事故について、2010年から昨年までの4年間でわずか5件しか事故情報が寄せられていなことがわかった。この間、こうした施設では1100件以上の死亡・重傷事故が起きている。これに対し、内閣府の消費者委員会は11月4日、子どもの事故について政府全体で発生状況を適切に把握し、再発防止を図る体制を作るよう関係省庁に求める建議(意見書)を出した。現在は、事故情報を収集する仕組みのないベビーシッター事業や小規模認可外保育施設についても、適切に対応するよう要請。
 消費者委員会によると、過去4年間で保育所では死亡や治療30日以上のケガなどの事故が447件、ほぼ同時期に学童保育での同様の事故は708件、幼稚園でも死亡や障害が残った事故が24件あり、いずれも厚生労働省や所管の地方自治体などは把握していた。消費者安全法では、事業者が提供したサービスの安全性に問題がある可能性がある重大消費者事故は、関係省庁や地方自治体から消費者庁に通知することを義務づけており、教育・保育施設での事故も該当する。しかし、実際には地方自治体から2件、文部科学省から1件などで、厚生労働省からはゼロだった。理由について厚生労働省保育課は「通知すべき消費者事故との認識が足りなかった」、文部科学省学校健康教育課は「現場に通知義務が浸透していなかった」などとしている。(毎日、11月6日)

▶〔転落・転倒の事故防止ガイド〕 東京都は10月20日、『乳幼児の転落・転倒 事故防止ガイド』を刊行した。調査報告書はこちら。カラーで見やすい事故防止ガイドはこちら。これまで東京都が実施・刊行してきた「ヒヤリハット調査」「ガイドライン」はこちら(子どものやけど、誤飲、身のまわり、の他、おとなのヒヤリハットもあります)。

▶〔児を放り投げた職員、書類送検〕 今年6月13日、京都市伏見区の民営認可保育園で5歳児を放り投げ、重傷を負わせた事件で京都府警は11月6日、傷害(業務上過失致傷ではなく)の疑いで同園の元女性職員(35歳)を書類送検した(ニュースと報告書は、下の6月13日と7月24日参照)。元職員は「冷静になれず、荒っぽい方法で放り出してしまった」と容疑を認めている。児は頭蓋骨陥没骨折で全治6か月。7月末に両親が被害届を提出。元職員は8月4日付で諭旨解雇処分、当時の理事長と園長も8月末に辞職。(産経west、11月7日)

▶〔宿泊保育で告訴〕 7月に宇都宮市の認可外保育施設で9か月児が死亡した問題(9月19日のニュース参照)で、両親は10月30日、施設経営者らを詐欺罪などで新たに告訴した。告訴状によると同施設は両親に対し、常駐の看護師や嘱託契約している医師がいるかのように装って契約させ、1~7月に保育料金など80万円を支払わせたとしている。また、宇都宮市が5月、他の利用者から「子どもが爪をはがされた」との通報を受けたとし、「市は30分の立ち入り調査をしただけで、その後、対応をとっていなかった。きちんと対処していれば娘は死ななかった」と市の対応も批判。今回の事故後、市に「過去に事故やトラブルはなかったか」と質問した際、「ない」と回答されたといい、「保身しか考えていない。行政の対応も検証してほしい」と述べた。市保育課の担当者は「爪がはがされたとの通報はあったが、施設内で起きたものかどうか判断できず、事故歴とは認識していなかった」としている。(産経、10月31日)

▶〔横須賀市の死亡、不起訴〕 2010年9月、横須賀市の子育て支援事業で預けられた生後4か月児が死亡した事例で、業務上過失致死の疑いで書類送検された保育士(50歳)について、地検は不起訴とした。保育士は市の事業で児を自宅で預かっていた。ミルクを喉に詰まらせて死亡させたとして書類送検されたもの。調べに対して保育士は、子どもの体を15分おきにさわるなどして確認するとした横須賀市の「指導に従ってきちんと世話をしたが、死亡したのは結果的に私の責任」と供述していた。地検は不起訴処分の理由を明らかにしていない。一方、児の母親は、市が適切な指導を行っていなかったなどとして、今年2月、市と保育士に損害賠償を求める訴えを起こしている。(NHK、11月4日)

▶〔3歳児死亡で書類送検〕 2013年6月15日、秋田市内の幼稚園で立てかけてあった子ども用プールに3歳児がよじ登り、倒れたプールの下敷きになり、同年8月に死亡した事故で、警察は同幼稚園の女性教諭(30代)を業務上過失致死容疑で地検に書類送検した(事故の内容とプールの写真は、2013年6月17日の記事をご覧ください)。教諭はプールが倒れる危険性を認識していたにもかかわらず、撤去するなどの安全確保を怠り、この児ら14人をプールをたてかけたバルコニーで遊ばせていたとしている(10月24日、読売、産経)。 〔掛札コメント〕 担任の先生だけが書類送検なのですね…。

▶〔宿泊保育中の死亡で提訴〕 栃木県宇都宮市内の認可外保育施設で7月23日、生後9か月児が死亡していたことがわかった。両親は9月19日、施設の関係者4人を告訴した(施設の代表を務める現場責任者と保育スタッフ2人が保護責任者遺棄致死容疑。現場責任者とこの父親で施設の実質的代表が業務上過失致死容疑)。両親は23日に出張のために児を預け、26日に迎えに行く予定だったが、26日午前5時半ごろ、児はベッドであおむけになり息をしていない状態で発見された(死亡推定時刻は午前4時ごろ)。室内には児と現場責任者の2人がおり、現場責任者が異変に気づいたという。両親によると、児は保育中に連日下痢が続き、25日午後には38度をこえる熱で水分補給が困難になるなど悪化していたが、施設は医師の診察をうけさせたり、顔色や呼吸状態を確認するなど必要な保護をせずに放置し、脱水症などで死亡させたとしている。さらに、保育中、体調不良について施設から両親に一切連絡がなかったこと、夜間に十分な水分が与えられていなかったこと、看護師やかかりつけ医が不在であるなど、パンフレットや契約時の説明と実態が明らかに異なるとも訴えている。父親は「現場責任者は『(児と)同じ部屋で横になっていた。ブレスチェックはしていなかった』と説明しており、これまでに謝罪はない」と話す。現場責任者は取材に対し、「警察の捜査を受けているのでコメントは差し控える。ただ、お預かりしている間は適切に保育を行っていたと考えている」としている。(9月19日、下野新聞他)

▶〔「子ども安全学会」発足〕 2012年7月に愛媛県西条市で、幼稚園のお泊まり保育中に川に流され死亡した吉川慎之介くんの両親らが「子ども安全学会」を発足し、9月7日、第1回大会を都内で開いた(各紙、9月8日)。9月17日の朝日新聞に掲載された文章はこちら。吉川さんのウェブサイトです。

▶〔有識者会議の初会合9月12日追加〕 保育所や幼稚園などで起こる子どもの死亡や重いケガなどの事故防止策を検討する有識者会議の初会合が9月9日、開かれた(厚生労働省、文部科学省、内閣府)。11月に一定のとりまとめをする予定で、来春からの新制度に合わせて実施する。新制度では施設に対し、重大な事故が発生した場合には、市町村への報告を義務づけている。この会議では報告制度を再発防止に活かすため、事故情報のデータベース構築や事故予防ガイドライン作成などを検討する。(時事、9月9日) 〔9月12日追加〕 検討会の資料は、内閣府のこちらにあります。

▶〔両親が保育士ら3人を告訴〕 2010年1月8日、福島県郡山市の認可外施設で昼寝中の1歳児が死亡した件で、両親が当時の保育士ら3人を保護責任者遺棄致死容疑で告訴した。告訴状によると、保育士らは児を布団にうつぶせ寝に寝かせ、毛布を頭からかぶせ、背中に円柱型の重しを乗せたまま放置し、死亡させたとしている。両親は業務上過失致死容疑にあたるとして告訴したが、地検は不起訴としていた。(各紙、9月6日)

▶〔窒息死で禁錮2年求刑〕 2011年4月、川口市の保育園で午睡中の1歳5か月児が窒息死した事件で、業務上過失致死罪に問われた元園長の被告に対して、検察側は「過失がきわめて重大」と禁錮2年を求刑した。被告人質問で、約10カ月にわたりこの児を押し入れに寝かせていたことを保護者に説明していなかったことについて、元園長は「(事件後)あらためて考えて怖くなり、伝えるのが遅れてしまった」と説明、検察側の反対尋問では、押し入れに寝かせたことを問われ、「今考えれば危険だと思うが、当時は深く考えなかった」などと繰り返した。公判では女児の父親が意見陳述を行い「事実を隠して行った謝罪に何の意味があったのか。1人の保育士として、1人の母親として正面から向き合った上で考えてほしい」などと述べた。判決は9月8日。(埼玉新聞、8月21日)(詳しくは、4月15日の記事をご覧ください)

▶〔園児死亡で、園長は無罪を主張〕 2011年7月、神奈川県大和市の私立幼稚園のプールで3歳児が死亡した件で、業務上過失致死罪に問われた当時の園長の初公判が7月18日に開かれ、弁護側は「注意義務違反はなかった」と無罪を主張した。検察側「園長は園全体の運営を統括しており、プール活動の安全対策を進める立場にあったにもかかわらず、当時の担任だった新任教諭に事故防止対策や注意事項を十分に教えていなかった」「(この新任教諭以外に)監視に専念できる職員を配置すべきだった」。弁護側「被告は教諭に対し、園児の行動を注視するよう教示する義務を果たしていた」「幼稚園のプール活動について、複数人で監視する義務を定めた法令や慣習はない」。担任の新任教諭には、罰金刑が確定している。(7月18日、産経)

▶〔公園の安全指針
追加〕 国土交通省は7月11日、公園にあるおとな用健康器具に関する安全指針を公園管理者に通知した。子どもが使う遊具から離す、注意文「子どもは利用できません」をつける、遊具同様に年一度定期点検をする、などを求めている。おとな用の健康器具は2010年度に2万0583台が設置されており、12年前の約4倍。一方で、懸垂の器具から8歳児が落ちて腕を骨折、友人が操作するおとな用歩行器具の横にいた10歳児が足をはさまれて骨折、8歳児が特殊な並行棒から落ちてケガ、などの事例が報告されているという(朝日、7月12日)。 追加:同じ指針で、公園などにある「運動能力やバランス能力が要求される遊具」(子ども用の複合遊具)の場合、衝撃緩和のための地表面処理を講ずることとなっています。詳しい内容はこちらのPDFにあります。  〔掛札コメント〕 公園におとな用健康器具がある時は、使わせないことです。このような指針が出て「子どもは使わない」といった掲示が置かれるようになれば、ケガが起きた時に責任を問われるのは園側ですから…。本来は、おとな用遊具をしっかり囲うなどしてほしいものです。

▶〔元園長が起訴内容を認める〕 2011年4月、埼玉県川口市の無認可施設の押し入れ内で児が窒息死した件について、業務上過失致死罪に問われている元園長は7月2日、初公判で「間違いありません」と起訴内容を認めた。押し入れの中で昼寝中の1歳5か月児の上に、11か月児が覆いかぶさったことで死亡(産経他、7月3日)  〔掛札コメント〕 詳細は下、4月15日の記載をご覧ください。また、どこで寝ようと、手足のかぶさりでも窒息は起きます。

▶〔保育事故検討会設置へ〕 保育中に起きた事故の情報公表や事故防止のための分析・検証のあり方などを話しあう有識者検討会の設置を厚生労働省が決めた。今秋までに内容を固め、2015年度から始まる新制度で実施する。検討会では、行政側の事故情報の集約・公表のあり方、報告を求める「重大な事故」の範囲、事故情報の分析とフィードバックのあり方、再発防止のための支援や指導監督、などの具体策を検討し、事故防止に活かす。(毎日、6月27日)

▶〔子ども服のヒモ規格〕 子ども服の安全性に関する新たなJIS規格を経済産業省の専門委員会が6月23日、決定した。周知を経て、来年12月に公示する。7歳未満対象の衣服については原則、「ヒモがついた衣料をデザイン、製造、または供給してはならない」と禁止。襟首の部分のヒモで窒息の危険があるため。また、13歳未満を対象としたズボンの裾の飾りヒモも、自転車に巻き込まれる恐れなどがあり、原則、付けてはならないとした。一方、フードについては、窒息の危険性があることを参考として記した。(読売、6月23日)
〔掛札コメント〕 米国で1994年、3歳児が階段上部の手すりのでっぱりにフードをひっかけて窒息死して以来、欧米では子ども服を安全にするための業界の取り組みが続いてきました。日本もようやく第一歩を踏み出したことになります。どこについているヒモであれ、フードであれ、あるいは斜め掛けにしているカバン等であれ、車や電車、遊具などにひっかかり深刻な結果に至る可能性があります。同日には、回転式の家庭用マッサージ器でおとなが窒息死する事例も起きています。子どもにも同様の危険があります。

▶〔幼稚園溺死で元園長らを提訴〕 上記の溺死について児の両親は6月19日、園を運営する学校法人と当時の園長、元担任教諭ら4人を相手どり、損害賠償を求める訴えを地裁に起こした。この事故では、元園長と元担任教諭の2人が業務上過失致死罪で在宅起訴され、元担任教諭は今年3月、横浜地裁で罰金50万円の有罪判決を受けた。元園長の公判はまだ始まっていない。(各紙、6月19日)

▶〔ミルクによる窒息死で第1回口頭弁論・
追加〕 2010年9月27日、横須賀市の「家庭保育福祉員(保育ママ)」宅で4か月児が死亡した件で、6月2日、第1回口頭弁論が行われる。司法解剖の結果、死因は「吐いたミルクを喉に詰まらせた窒息死」。2013年、福祉員は業務上過失致死罪で書類送検され、母親は今年2月、指導や注意を怠ったとして市と福祉員に約7100万円の賠償を求めて提訴。「息子の死の真相が分かれば、同じような事故を減らせる」と母親。一方、静かに過ごすつもりだった初盆に、訪問を断ったはずの市の担当者が突然やってきたという。「遺族の気持ちより、訪問した事実をつくるほうが大事みたい」。知りたいことを尋ねても、教えてくれない、形だけの「誠意」かと怒りが増した、と記事には書いてありました。(東京新聞、5月31日) 〔追加〕 6月2日に行われた口頭弁論の意見陳述で母親は、「息子の事故を教訓にせず、事故に向き合わないのは、息子の命をないがしろにする行為です」と訴えた。一方、市は巡回訪問や研修を通じ、鼻に手をかざす呼吸確認など睡眠チェックを15分おきにするよう指導し、予見できない事故だったと反論。保育ママは、死因は乳幼児突然死症候群(SIDS)の可能性があると主張し、市が指導する睡眠チェックでは呼吸確認の指示はなく、注意義務違反はないと、どちらも争う姿勢を示した。(東京新聞、6月3日)。

▶〔厚生労働省が熱中症予防のリーフレット作成〕 厚生労働省が5月27日に公表したリーフレット『熱中症予防のために』

▶〔事件事故対応で指針づくり:文科省〕 事件事故後に学校や教育委員会がとるべき対応を検討する文部科学省の有識者会議が5月13日、初会合を開いた。実態を調査した上で2年後をめどに指針を取りまとめる。(時事、5月13日)

▶〔保育施設等での重大事故防止に向け要望書〕 保育事故で子どもを亡くした保護者でつくる「赤ちゃんの急死を考える会」は4月28日、重大事故が起きた場合の調査・検証のガイドライン作成などを求める要望書を厚生労働省などに提出した。来年度から始まる新システムでは、国の財政支援の対象となる保育施設などに対して、重大事故時の事故報告を義務づける。再発防止支援や指導監督など行政の取り組みのあり方については、今後検討される予定。同会は「重要なのは事故の調査・検証がきっちり行われること。事実を検証して教訓化しなければ事故の再発防止はできない」と訴えた。(毎日他、4月28日)

▶〔死亡事故で元園長を在宅起訴〕 埼玉県川口市の認可外保育園で2011年4月7日、午睡中の1歳児が死亡した事故で地検は4月14日、元園長を業務上過失致死罪で在宅起訴した。共に書類送検された元アルバイトの2人については起訴猶予(日経、4月15日)。
送検当時の記事(2012年5月18日の日経)によると、園長は小部屋の押し入れに設置したベビーラックに1歳児を、そのそばの布団に11か月児を寝かしつけ、押し入れの戸を閉めて外部から観察できないようにした上、アルバイトに具体的な指示をせず帰宅した。アルバイト2人は押し入れに2児がいるのを知っていたが隣の大部屋で他の園児の世話などをしており、45分以上押し入れの中の児の観察を怠り、11か月児が1歳児の上に覆いかぶさって胸部を圧迫していることに気づかず放置した疑い。1歳児は胸部圧迫による急性窒息のため、病院で死亡した。任意の取り調べに対し元園長は、「小部屋が狭いので押し入れを使った。ぐずる子は戸を閉めると泣き疲れて寝つきやすかった。申し訳なかった」と話していた。

▶〔保育事故検証委員会を常設〕 愛知県の碧南市と瀬戸市は、保育所や幼稚園などで起きた重大事故を検証し、再発防止策を協議する「保育所等事故検証委員会」を常設した。2010年10月の死亡事故(本サイトの「リンク」にもある栗並寛也君の事故)を受け、愛知県が市町村に常設を要請したもの。(毎日、4月10日)

▶〔児死亡で高松市相手取り訴訟〕 2008年1月27日、高松市内の民間保育施設で5か月児が死亡したのは、市が適切な措置を取らなかったためなどとして、母親が市に約3100万円を求める損害賠償訴訟を起こした。母親は同日夕方、認可外施設に児を預けたが、数時間後に窒息死したとのこと。市は施設の職員不足などについて2006年、2007年に4回、文書で指導し、その後改善されなかったにもかかわらず、改善勧告や業務停止命令を出す、市民に公表するなどしなかったとしている。3月19日に開かれた第1回口頭弁論で、市側は「反論は次回行う」として訴訟の棄却を求め、争う姿勢を示した。(毎日他、3月20日)

▶〔機械式立体駐車場の安全対策ガイドライン〕 2007年度以降、子どもを含む死傷事故(体をはさまれるなど)が26件起きている機械式立体駐車場について、国土交通省は安全対策のガイドラインを初めてまとめた。ガイドラインでは、「子どもなどが簡単に入れない構造にする」「安全確認・緊急停止ボタンの設置」「人が入っている状態では動かない機構」などを備えるよう製造者に呼びかけた。また、設置者には「安全柵や子どもの待機場所、荷物の積み下ろし場所の設置」を、管理者には「1~3か月を目安とした定期点検」、利用者にも「飲酒して操作することの禁止」などを呼びかけている。(朝日他、4月4日) 〔掛札コメント〕 あくまでもガイドラインなので、自主的努力に任されるのでしょう…。園の近くに立体駐車場がある場合は注意喚起を! 細かい解説はありませんが、死傷事故の発生状況はこちら

▶〔子どもの自転車ヘルメット着用実態〕 子どもを自転車に同乗させる際、子ども用ヘルメットを着用させる保護者は40.2%であることが(株)オージーケーカブトの調査から明らかになった(関東での着用率47.4%に対し、関西は28.4%)。保護者の4人に3人が、自転車走行に危ないと感じたことがあった。子どもを同乗させる時に「危ない」と感じたのは、発車・停車の際(46.2%)や駐輪中(43.0%)にバランスを崩したことだという。調査の結果はこちら。調査は2014年3月、3歳から小学校低学年の子どもを持つ保護者1000人を対象に実施された。子ども用ヘルメットに関する情報はこちら。(4月1日)

▶〔ヒヤリハット事例集〕 (公社)兵庫県保育協会の保育園の皆さんにご協力いただいて集めた、誤嚥・誤飲、食物アレルギー、遊具等関連のヒヤリハット集の記事です(中日・東京新聞、3月6日)。約600件の事例と、事例の活用方法、概説をまとめた最終報告書は今月中には公開しますので、その際にはまた案内を出します!

▶〔脱脂綿で窒息死、歯科医を起訴〕 埼玉県新座市の歯科医院で2010年6月13日、治療中だった2歳児の喉に脱脂綿を詰まらせて死亡させたとして、さいたま地検は3月28日、業務上過失致死罪で40代の元院長を起訴した。起訴状によると、抜けそうになった児の上前歯を固定する治療中、上唇と歯ぐきの間に挟んだ脱脂綿を口の中に落として気道に詰まらせたもの。(共同通信、3月28日) 〔掛札コメント〕 保育園の事例ではありませんが、誤嚥事故による起訴なので…。

▶〔川遊び事故(死亡、ケガ)で在宅起訴〕 愛媛県西条市で2012年7月、私立幼稚園のお泊まり保育の川遊びの際、5歳児が流されて死亡、2人がケガをした事故で松山地検は3月28日、業務上過失致死傷罪で当時の園長や引率教員ら計3人を在宅起訴した。共に書類送検された学校法人理事長、引率教員5人は不起訴処分。処分理由は明らかにされていない。(共同通信、3月28日) 〔掛札コメント〕 くわしくは、本サイトの「リンク」の中にある吉川さんのサイトをご覧ください。また、お母さま(吉川優子さん)のご発言は、『げんき』141号の拙稿でも紹介させていただきました。

▶〔白玉誤嚥事故で書類送検〕 2012年7月、栃木市の市立保育園で2歳児がおやつの白玉団子を誤嚥、約1か月後に死亡した事故で、当時の園長、調理師、嘱託保育士の3人が業務上過失致死容疑で書類送検された。容疑は、園児に白玉入りフルーツポンチを与える際、誤嚥防止のための適切な処置を講じなかったことから、園児が誤嚥窒息し、その後、死亡させた疑い。(下野新聞他、3月26日)
〔掛札コメント〕 2010年、同じ栃木県の真岡市で小学校2年生が同じ冷凍白玉を誤嚥し、意識不明の重体となり、2013年1月、亡くなった事例があったにもかかわらず、教育委員会や保育課でまったく情報共有をせず、漫然と同じ冷凍白玉を出し続けた各自治体の責任はどこに行くのでしょうか? 同じ白玉を食べ続けてきた保育園児、幼稚園児、小学生、いつ、誰が、どこで亡くなってもおかしくなかった(そしてお2人が亡くなった)。「その瞬間」がこの保育園で起き、その場で園長、調理師、保育士をしていた人「だけ」が書類送検される。こういう社会のままで、「保育士になろう」「園長として頑張ろう」と思えますか? こういった事例は、今の保育園の状況なら、どこででも起こり得ます(これも上の事例集の「誤嚥」の章をご覧ください)。起こり得るからこそ、個人を罰する以上に、こうした事例が起きる(起き続ける)原因を物理的環境と人間の行動の側面(基準や、自治体の情報共有システムも含め)、完全に解明することが不可欠です。

▶〔水死事故で罰金判決〕 神奈川県大和市の私立幼稚園の屋内プールで2011年7月、3歳児が溺れて死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた元担任保育士に横浜地裁は3月24日、求刑通り罰金50万円の判決を言い渡した。裁判長は「過失とはいえ、結果は取り返しのつかない重大なもの。幼稚園教諭として基本的な注意義務に違反していたと言わざるを得ない」と指摘。一方で、同年春に就職した新任教諭で、プール内での安全教育を幼稚園でほとんど受けていなかったと情状を酌んだ。判決によると、元担任はプールで園児らを遊ばせていた際、遊具の片付けに気を取られて監視を怠った。幼稚園園長も同罪で在宅起訴されている。(各紙、3月24日) 〔掛札コメント〕 同様の事故はどこででも起こりえます。人間は「つい」「うっかり」なのですし、たいていの施設の「安全対策」は「見守って」「気をつけて」で終わっているのですから。でもひとつだけ。今の保育園、幼稚園の人員配置は、子どもの命を守るという点で本当に十分なのでしょうか…。

▶〔プール事故で、京都市に賠償命令〕 京都市の市立小学校のプールで2012年7月30日の水泳指導中、1年生が溺れて死亡したのは、学校側が安全管理を怠ったためだとして、遺族が市などに約8100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁は3月11日、市などに約3000万円を支払うよう命じた。 裁判長は判決理由で「教員は誰ひとりとしてプールサイドから児童全体の様子を監視していなかった。事故は教員が監視義務を怠った過失によって発生した」と判断。浅田さんの身長は約113センチだったのに対し、水深は最も深い所で約110センチあり、両親は当時の水深が授業時より全体的に約20センチ深かったのに、危険防止措置が講じられていなかったとも主張していた。(共同通信、3月11日)

▶〔子どもの事故死に死亡時画像診断導入〕 子どもの不慮の事故死や原因のわからない死亡について、厚生労働省はくわしい死因を究明する事業を始める。遺体をコンピュータ断層撮影(CT)等で分析する「死亡時画像診断(Ai)」を、今春から全国で試験的に実施する。死因を特定して予防につなげるほか、虐待死の見逃しを防ぐのが狙い。現在も、犯罪の疑いが強い場合は司法解剖などの制度があるが、多くの遺体は解剖されず、体表面の観察や死亡前の状況で死因を診断している。そのため、十分な調査がなされないまま「死因不詳」とされたり、暴行や虐待で死亡したにもかかわらず「病死」と判断されたりするケースもある。Aiによる死因究明は遺体を傷つけず、比較的短時間で体内の異変を確認できる利点がある。(中國新聞他、3月15日)

▶〔公園設置のおとな用健康器具で、安全指針〕 国土交通省は3月5日、公園に設置されているおとな用の健康器具で子どもが事故を起こさないようにするための安全指針をまとめた。懸垂やストレッチができる健康器具の設置数は、全国で1998年度の5690台から2010年度の20583台に急増しており、一方で子どもが落下、骨折したり、手足をはさまれたりする事故も起きている。新たな指針では、子ども用の遊具とは別の場所に設置する、年1回以上の定期点検を実施する、子どもの体がはさまれるすき間やとがった部分をなくす、下に砂やラバーを敷く、などを盛り込んだ。今月中にも各自治体に伝える。(3月5日、日経他)

▶〔乳幼児のやけど事故防止ガイド:東京都〕 東京都が「乳幼児のやけど防止ガイド」を作成。保育園にも関係のある屋外でのやけど事例も掲載されています(例:公園遊具等の金属部分、アスファルトなど)。報告書(pdf)はこちら。インターネットで実施したヒヤリハットのアンケート結果(pdf)はこちら。報告書によると、乳幼児のやけどでは20.6%が病院を受診(入院を含む)しており、やけどによるおとなの受診率7.8%の約2.6倍。子どもは皮膚が薄い、体表面積が小さいことなどから、やけどをした場合に重症化しやすく、予防が重要となります。

▶〔子どもを自転車に同乗させる時はヘルメット、ベルトを〕 読売新聞の記事です(2月26日)。4月前になりましたら詳しい情報を再掲しますので、ぜひ、自転車通園の親御さんに情報提供をしてください。ちなみにこの記事によると、2012年、自転車同乗中に死亡した6歳未満児は1人、傷害を負った子どもは1226人。頭部のケガが4割を占めたということです。掛札個人のページの「トピックス」にも掲載していますが、子どもの頭のケガはこれまで考えられていた以上に、中長期的な影響を及ぼすことがわかってきています。ヘルメットは絶対!です。

▶〔児死亡で保育ママと市を提訴〕 2010年9月27日午後、横須賀市の家庭保育福祉員(保育ママ)の40代女性が自宅で保育していた4か月児が死亡した事故で、この児の母親は2月25日、福祉員と市を相手取って約7150万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。福祉員は男児の容体が睡眠中に急変したことに気づかず死亡させたと、浦賀署はしている。司法解剖の結果、死因はミルクを詰まらせたことによる窒息死。2013年6月、福祉員は業務上過失致死の疑いで書類送検されているが、処分はまだ出ていない。訴状は、福祉員が死亡推定時刻から約1時間後に119番通報したことなどを理由に、定期的な呼吸確認などをしていない違反行為があったと指摘(「呼吸確認していれば、早く発見し、窒息死を防ぐことができた」)。また、福祉員と保育委託契約をしている市には、研修などを通じた適切な指導を怠った義務違反にあたる(「睡眠チェックの適切な指導をせず、本人が研修を欠席しても補充研修をしなかった」=代理弁護士)、などとしている。母親は「(市の担当者とも何度も話しあったが)捜査権限がないという理由で事故を検証せず、放置していると感じた。保育行政を束ねる機関として、疑問がぬぐえない」「市からいまだに誠意のある謝罪もなく、何も解決していない。日本全国で同じような事故が起き続けている。この問題をいろんな人が一緒に考えてほしい」と話した。(各紙、2月26日)

▶ 〔保育士に罰金50万円求刑〕 2011年7月、神奈川県大和市の学校法人幼稚園の室内プールで3歳児が死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた保育士(23歳)の論告求刑公判が2月25日、開かれ、検察側は罰金50万円を求刑した。検察側は「新任教諭だったことや、十分な教育指導を受けていなかったことなどを考慮しても、幼稚園教諭としての基本的な注意義務を果たさなかった過失は重い」と指摘。弁護側は過失を認めつつ、「園の安全管理に制度的な欠陥があった」などと述べ、寛大な判決を求めた。児の両親側は「懲役、少なくとも禁錮刑が妥当」と主張。判決は3月24日。(産経、2月25日)

▶〔2007年の死亡事故で和解〕 2007年11月2日、山形県天童市の無認可保育施設で4か月児が死亡(布団の上でうつぶせでぐったりしている状態で発見)、遺族が県、市に損害賠償を求めた訴訟は2月24日、山形地裁で園側と和解が成立した。訴訟は取り下げられる見込み。和解では、元園長と保育士2人が計1000万円を遺族に払う内容で、園の保険から500万円、元園長が300万円、保育士がそれぞれ100万円ずつを支払う。元園長は和解協議で遺族に「大変申し訳なかった」と謝罪した。和解後、児の母親は「誰かを憎んで生きていくことはとても悲しく、辛い6年間だった。思い通りの結果ではないが、謝罪をもらって終われたことはよかったし、娘に『やっと終わったよ』ということを報告したい」と話した。県と市への訴訟を取り下げる理由について代理人弁護士は、「死因が特定されておらず、行政の責任を問うにはさらなる立証が必要。園との和解をひとつの区切りに、将来に目を向けていくのが現実的と考えた」と説明。人手不足で十分な保育がされていないなど、園の抱えていた問題は裁判を通じて明らかになったと述べ、「行政が保育の質を下げないよう取り組んでいかなければ、こうした事故はなくならない」と指摘した。事故後、遺族側は保育士が児をうつぶせ寝で放置し、適切な注意を怠ったと主張。園側は、うつぶせ寝と死亡の因果関係が明確でないことなどから、請求棄却を求めた。一方で、双方から和解の意向が示され、調整が進んでいた。元園長と保育士2人は2010年1月に業務上過失致死容疑で書類送検されたが、「死因が特定されず、過失が認定できない」として不起訴(嫌疑不十分)にしている。(朝日、2月25日)

▶〔プール溺水事故、第1回口頭弁論〕 2012年8月、茨城県五霞町の認可外保育所のプールで3歳児が溺死した事故で、21日、第1回口頭弁論が開かれた。遺族側は、保育士は児が溺れる危険性を予見できたとし、他の職員と交代したり、児をプールから連れ出すなどの対応ができたと指摘。保育所側は答弁書で「プールの水深が浅い」「事故前に児が何度もプールに入っていた」などとして危険性は予見できず、保育士が女児を常時監視する義務はなかったと反論、請求棄却を求めた。(2月22日、東京新聞他) (
提訴の記事は2月4日をご覧ください)

▶〔保育所プール事故で提訴〕 2012年8月、茨城県五霞町の認可外保育所で水遊びをしていた3歳児が死亡した事故で、「保育士が監視を怠ったのが原因」として、遺族が約6740万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。2月21日に第1回口頭弁論が行われる。女児は8月23日午後4時半ごろ、保育所のベランダに置かれた家庭用プール(縦135センチ、横100センチ、水深約23.5センチ)で水遊び中に溺れ、翌日、死亡した。保育士が別の園児の保護者に対応するため、プールを離れたとしている(毎日、2月4日) 〔掛札コメント〕 「どうして4時半にプール? 変!」と思われた先生もいらっしゃると思いますが、そこにとらわれるとこの事故からは学ぶことができません。「水の場合、ほんの数分でも子どもから目を離したら危険」、これがポイントです。

▶〔「安全に関する指導、なかった」と証言〕 2011年7月、神奈川県大和市の学校法人幼稚園の室内プールで3歳児が死亡した事故の第2回公判が2月5日開かれ、業務上過失致死罪に問われている保育士(23歳)は被告人質問で、「幼稚園から安全に関する詳しい指導はなかった」と述べた。「担任として責任を感じている。しかし、幼稚園が(安全に関して)指導してくれていたら、という思いも正直、あります」と語った。また、「当時は安全というよりも、子どもたちが毎日楽しく幼稚園に通えるかなどについて考えていた。自分から安全面に関して(先輩らに)聞かなかった」と話した。(この事故について詳しくは、2013年のページに掲載されている後追い記事をお読みください。) (産経、2月5日)。

▶〔保育事故の原因を解明する検証委設置:愛知県碧南市〕 碧南市は4月1日、保育における重篤事故の原因解明や再発防止策を協議する「保育所等事故検証委員会」を設置する。2010年に認可施設で起きた事故を受け、県は検証委の設置を盛り込んだ「保育所事故対応指針」を作成し、昨年6月に各市町村に通達した。今回の設置はこれを受けたもの。検証委は、大学教授や医師、弁護士、管理栄養士、県職員ら7人で構成。事故発生後、委員長は速やかに委員会を招集する。委員の任期は3年。メンバーなどは未定。(事故について詳しくは、「役立つリンク」の栗並寛也くんのご両親のブログをご覧ください。) (中日新聞、2月6日)

▶〔子どもの事故死、原因検証へ:神奈川県〕 神奈川県は3月までに「子どもの死因究明研究会」(仮称)を設置する。2012年に亡くなった14歳以下の子ども302人のうち、事故などが原因の44人について専門家が調査をする。調査では、県から依頼された看護師や保健師が、死亡の診断をした医師や監察医を訪ね、事故時の状況や子どもの発育状況を聞き取る。9月までに調査を終えて再発予防策を検討し、報告書にまとめて公表。効果が確認できれば、調査を制度化する。このような取り組みは、行政で初めて。(朝日、2月2日)

▶〔連載「なくそう保育死亡事故」〕  「上:死因究明を 遺族の願い」 「中:過去の改善指導 公開せず」 「下:認可外施設 難しい補償」(読売、1月30日~2月1日)



保育全般、保育士や園の不祥事等

▶〔児童に体罰、口止めも〕 茨城県高萩市内の小学校の特別支援学級で、軽度の発達障害がある高学年の男児が1年生の時以来、担任教諭から体罰を繰り返し受けていたことが明らかになった。担任は、被害児に口外しないよう求め、学校も市教委の調査に「体罰はなかった」と虚偽の報告をしていた。児童が登校をいやがりだしたことを不審に思った両親が今年6月、県教委の専用窓口に調査を依頼。これに対し、口止めと虚偽の報告が行われた。この内容を知った両親が学校側に抗議、学校側は今月上旬、体罰と口止めの事実を認め、謝罪した。(朝日、12月24日)

▶〔幼稚園教諭が強制わいせつ〕 福岡県糸島市の幼稚園教諭(男性、30歳)が11月19日、強制わいせつ容疑で逮捕された。7月13日午後、市内の建物敷地内で女児のシャツをめくり、携帯電話で体を撮影したとされている。2人に面識はなく、話を聞いた児の保護者が警察に通報した。(11月19日、各紙)

▶〔小規模保育施設等に届け出義務づけ〕 厚生労働省の子どもの預かりサービスの在り方に関する専門委員会の議論が11月19日に終了し、とりまとめ結果が公表された。厚生労働省のサイトはこちら。「リセマム」(11月20日)の記事はこちら。

▶〔保育園の虐待通報システム〕 千葉市は、市内の保育施設で虐待を発見した職員や保護者が匿名で通報を行えるインターネット上システムの運用を11月17日、始めた。市のホームページから24時間、通報が可能。メールや電話での通報も受け付ける。このページにフォームへのリンクがある。メール(unei.CFC@city.chiba.lg.jp)、電話(043・245・5727)。7月に同市内の施設で起きた事件(8月20日のニュース参照)が発端となって設置されたもの。(毎日、11月19日)

▶〔強制わいせつ等で再逮捕〕 福島県郡山市の認可外保育施設の元経営者が、強制わいせつと児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで再逮捕された(最初の事件については10月21日のニュースを参照)。10月中旬、市内で就学前の幼児にわいせつ行為をし、その様子を携帯電話のカメラで撮影・保存した疑いがもたれている。押収した携帯電話に画像が残っていたため発覚。(11月18日、読売)

▶〔保育施設経営者が園児にわいせつ行為〕 福島県郡山市にある認可外保育施設の経営者(37歳男性)が、強制わいせつの疑いで10月20日、逮捕された。容疑者は10月中旬ごろ、施設から保育時間中に女児を連れ出し、市内にあるホームセンターのトイレでわいせつ行為、容疑を認めている。幼児の保護者から警察に被害届が出されて発覚した。(福島民報他、10月21日)

▶〔学童保育の定員増と性暴力被害〕 9月16日に報道された札幌の事件以外にも、学童保育における性暴力被害が続いていると朝日新聞(10月22日)が報道。記事によると、2011年8月には横浜市で男児が男性指導員から被害を受け、逮捕されているという。昨年夏、この男が別の学童保育施設で勤務していることがわかり、横浜市は採用時の職歴チェックなどを強化した。学童保育は今後も増員が見込まれているが、指導員全体(約89500人)の約4分の1にあたる22936人は、2007年に厚生労働省が出した通知の「保育士や幼稚園・小中高校の教諭ほか、児童福祉に2年以上携わった経験者などが『望ましい』」とした内容にあてはまらないという。同省は質の確保のため来年4月から、資格の保持を省令で義務づけるが、学童保育に「類似する事業」に2年以上従事し、市町村長が適当と認めれば有資格者とするとしており、現在の指導員の多くは追認される見通しとのこと。

▶〔保育士がひき逃げ。懲戒処分〕 名古屋市は10月21日、市立保育園に勤務する男性保育士を減給10分の1、6か月の懲戒処分にした。4月11日午後6時20分頃、市内の信号のない交差点を乗用車で右折した際、自転車の高校生と接触事故を起こし、そのまま立ち去ったため。約20分後、自分で警察署に事故を届け、市にも報告した。高校生は約1か月の軽傷。保育士は9月20日に在宅で略式起訴され、10月3日、簡易裁判所から自動車運転過失傷害と道交法違反(ひき逃げ)の罪で罰金50万円の略式命令を受けた。市はこれを受け、保育士にも改めて事情を聞いた上で処分を決めた。(中日新聞、10月21日)

▶〔1歳8か月児をドアノブにぶらさげる〕 米国マサチューセッツ州のデイケア施設で10月10日、1歳8か月児が園庭に面した扉の外側のドアノブに吊るされる事件が起き、吊るした職員と、面白がって写真やビデオを撮った別の2人の職員が解雇された。児は自分が着ていたTシャツの後ろ襟の部分をドアノブに掛けた形で吊るされており、病院へ運ばれたが、ケガはなかった。この施設で働く他の職員が警察に通報して、明らかになった。(10月17日、英語各紙他)  〔掛札コメント〕 職員にとっては「おもしろい」「かわいい」であっても、冷静に考えれば「虐待」とみなされる事例は少なくありません。「この行動は、他の人、保護者からどう解釈されるのか」「この行動は、子どもの人権を侵害していないか」を常に意識してください。

▶〔障害児施設で虐待〕 滋賀県湖南市にある知的障害児らの入所施設・県立近江学園で6月、50代の女性保育士が3人に計4件の虐待をしていたことが明らかになり、県は保護者に謝罪した。事例は「パニック状態にある児を別室に運ぶ時に髪の毛を引っ張った」「中学生が荷物の片づけ中に走り出したため、頭を1回たたいた」「同じ中学生に『何もできない。いらんことだけして』と暴言を浴びせた」「高校生に、就寝時には床の上に畳とマットを敷かなければいけないのに、畳を敷かなかった」。6月22日に別の職員が上司に「行き過ぎた支援があった」と報告、県が調査をしていた。保育士は「当時は必死に対応していたので、(何をしていたか)よく覚えていない」と説明したが、後に行為を指摘され、虐待だったと認めたという。同施設では昨年12月にも別の保育士による虐待があり、再発防止に取り組んでいた。(朝日、10月3日)

▶〔保育士の自殺で、調査特別委員会〕 高知県仁淀川市の民営保育所に勤めていた臨時保育士が自殺した問題で、町議会の調査特別委員会が9月18日、初会合を開き、遺族や保育士らから事実関係について聞き取る方針を決めた。「保育所の上司の指導や行為にパワハラの疑いがある」として、委員会の設置を9月定例会で全会一致で可決したもの。審査期間は来年3月まで。(高知新聞、9月19日)

▶〔学童指導員がわいせつ行為〕 札幌市内の学童保育所の男性・元指導員が強制わいせつの疑いで逮捕されていたことがわかった。逮捕容疑は、指導員だった2012年、夏休みの宿泊キャンプで、当時9歳だった女児の下半身を触ったというもの。男は容疑を認めている。今年5月、保護者が子どもの性的被害を保育所側に訴えた。その後、保護者らがこの学童を利用している約40世帯にアンケートしたところ、性的被害とみられる回答が6件あった。学童保育所は2010年開設。市から年約500万円の助成を受け、保護者や地元の小学校教員らがつくる委員会が運営していたが、実際にはこの元指導員とその妻が経営していた。今年6月末に閉鎖。(9月16日、各紙)

▶〔統計・分析〕 厚生労働省が出している平成25年(2013年)人口動態統計(確定数)はこちら。内閣府経済社会総合研究所の分析「有配偶女性の生活環境と就労、出産、子育てに関する分析~『少子化と夫婦の就労状況・生活環境に関する意識調査』の個票を用いて」の結果はこちら。

▶〔「声がうるさい」と住民が提訴〕 神戸市東灘区に2006年に開園した保育園(現在、園児144人)をめぐり、近隣住民の一人が防音設備の設置や慰謝料100万円の支払いを求める裁判を起こした。9月5日の第1回口頭弁論で、園側は請求棄却を求め、原告は「自由に窓を開けられる、以前の生活環境を取り戻したい。親には心地よい声も毎日聞かされる他人には苦痛です」と述べた。(各紙、9月6日)

▶〔保育士、水筒で児を殴る:
追加〕 宮城県仙台市青葉区の私立保育園で7月30日、35歳の男性保育士が5歳児の後頭部をステンレス製の水筒で殴り、1週間のけがを負わせ、逮捕された。「子どもが食べ物を吐いたことにカッとなった」と供述。傷は約1.5センチあり3針縫ったが、児の母親には「転んでケガをした」と嘘の説明をしていた。児とは別の保護者を通じて、警察に相談があったもの。(7月31日、産経) 〔追加〕 同保育士は8月19日、他の5歳児を突き倒した暴行の疑いで再逮捕された。水筒の事件の後に開かれた保護者説明会でこの児の母親が「うちの子も暴行されたようだ」と報告。園側が防犯カメラを調べると、給食中のいたずらを注意し、暴行する様子が写っていた。保育士は「体を横に移動させただけで、推してはいない」と容疑を否認している。(サンスポ、8月19日)
▶〔無理に食事を詰め込み、逮捕〕 千葉市の認可外保育施設(市が認定する「保育ルーム」)で働いていた31歳の女性保育士が7月、2歳児に対し、頭をたたき、食べ物をスプーンでむりやり口の中に詰め込み、「食べろって言ってんだよ」と脅したなど、強要の疑いで逮捕された。児にけがはなかったが、これを目撃した別の保育士から連絡を受けた児の祖母が警察に通報した。保育士は調べに対し、「夕食を食べようとせず、むりやり口に詰め込んだのは間違いないが、叩いたのは覚えていない」と容疑を一部否認。市の聞き取りに対し施設長は、「虐待を認識していたが、保育士が不足するなか、辞められたら困ると思い、強く注意できなかった」などと話しているという。(各紙、8月20日) 〔掛札コメント〕 子どもは言うことをきかない存在ですから、いらだつことも当然あると思います。保育士さん自身、いろいろなストレスを感じることも多いと思います。けれども、その感情をコントロールし、ストレスも自分(たち)で適切にマネジメントし、「プロ」として子どもや周囲のおとなに接することが必須です。

▶〔盗撮容疑で保育士逮捕〕 長野県大町市で市内の保育園に勤務する30代男性保育士が、県迷惑防止条例違反(盗撮)容疑で書類送検された。男は7月11日朝、市内のコンビニで女子高校生のスカートの下にスマートフォンを差し入れて盗撮した疑い。本人も容疑を認めているという。(読売、8月15日)

▶〔各種の子育て支援事業〕 地域子育て支援拠点事業、ファミリー・サポート・センター、放課後児童健全育成事業、乳幼児と中・高生とのふれあい事業などが網羅されている厚生労働省のサイトです。

▶〔不正流用、府が放置〕 社会福祉法人の不正流用問題で(8月8日の記事)、大阪府が2006年に監査を実施した折、一部の不正に気づき是正を指導したにもかかわらずその後の確認を怠るなど、不正を事実上放置していたことが明らかになった。原則年1回の監査がその後4年間行われず、2010年の時点でも不正流用や決算書未作成などを放置した。巨額の不正流用の疑いに気づいたのは、監査の権限移譲を受けた吹田市と府が合同監査を行った2012年だった。府の担当者は取材に対し、「担当する法人数が多く、限られた職員で毎年監査するのは難しかった。指導・監査体制が不十分だった」と話している。(毎日、8月9日)

▶〔保育園運営費を2億円流用〕 大阪府吹田市の社会福祉法人の前理事長と、前理事長の息子で認可保育園の前園長が、保育園の運営費約2億1000万円を不正に流用していたとして、法人が2人に返還請求したことが8月8日に明らかになった。前理事長は1979年以降、隣接する自宅の電気・ガスの使用料を保育園に負担させたほか、法人名義のクレジットカードで私的な飲食をしたこともあったとされ、計約4000万円を不明朗支出。正規の手続きを経ずに別事業に計約5000万円を支出した。また前園長は、法人が約400万円でリース契約した車を頻繁に個人で使用するなどした。市の調査に対して2人は流用を認めているという。(各紙、8月8日)

▶〔認可外保育施設、7834か所〕 認可外保育施設(ベビーホテル含)の数は、昨年3月31日時点で7834か所、過去最多であったと8月4日、厚生労働省が発表した。入所児童数は同時点で20万0721人と最多。また、都道府県の立ち入り調査から、調査を実施したベビーホテルのうち51%(646施設)、その他認可外施設の41%(1665施設)が指導監督基準を満たしておらず、口頭や文書での指導を受けていた。(毎日、8月4日)

▶〔京都市の報告書〕 下の事象に関する京都市の報告書はこちら

▶〔投げ出し行為とケガの因果関係認める〕 6月13日、京都市の民営認可園で5歳児が頭蓋骨を折る重傷を負った問題(下の6月13日のニュース参照)で、市は、児を投げ出したとされる女性職員が投げ出し行為とケガの因果関係を認めたと明らかにした。児の保護者は警察への被害届の提出を検討、市は同園の運営体制に関する改善勧告を行った。市が行った特別監査に基づく報告書などによると、6月13日午前10時~10時40分に、体操教室でこの児を含む複数児がふざけて棚に入った。用務員の女性職員が棚に入った子どもたちを園庭に放り投げた。置いてあった太鼓か樹脂製のカラーボックスにこの児が頭をぶつけたがその後3時間放置、病院に運ばれ、頭蓋骨陥没骨折と診断された。当初、この職員は保護者に「つまずいて転んだと思う」と説明し、園も投げ出し行為を隠していた。問題は17日に市に出された匿名の通報で発覚。また、報告書は園の運営体制の問題点も指摘。離職率が高く保育士が不足し、無資格者による保育が常態的だったという。園長の親族とされるこの職員は、実際は半日勤務のところを終日勤務とするなど不適切な勤務実態があったことも指摘した。(産経、7月24日)

▶〔保育士が運転の車、児をはねる〕 7月18日午後6時過ぎ、大阪市住吉区の市道で3歳児がはねられて死亡。自宅前で、祖父が運転する車から児が降り、幅約5メートルの道路の中央に出たところ、通りかかった車にはねられた。はねたのは近くに住む36歳の保育士で「子どもに気がついてブレーキをかけたが間に合わなかった」と話しているという。(テレ朝ニュース、7月19日)

▶〔保護者に助言をする専門保育士育成へ〕 京都府は、府内約240か所の認可保育所で、子育て中の親が抱える悩みに対応する専門保育士の養成に乗り出す。2016年度までの3年間に、各認可保育所の保育士が各1人、府が実施する研修を受講する。研修を終えた保育士は、早ければ今冬以降、各保育所で小規模の保護者グループ向けに講座を開き、ロールプレイングなどを通じて、子どもの気持ちや必要な対応への理解を深める助けをする。府は関連経費として500万円を6月の補正予算案に計上している。(読売、7月8日)

▶〔シッターの身元確認強化へ〕 ベビーシッターの身元確認のため、証明書の提出義務付けなどを検討する専門委員会を厚生労働省は近く立ち上げる。同省がインターネット上のシッター仲介サイト(主要な8業者。5業者が回答)を今年3~4月に調査したところ、登録情報について免許証など公的な証明書で確認していたのは2業者で、3業者は自己申告のみだった。住所や保育士などの保有資格を証明書で確認していたのは1業者。登録シッターのうち保育士資格保有者の割合は、5業者すべてが50%未満だった。一方、全国の109自治体を対象にした調査から、5人以下の子どもを預かるサービスを手掛ける業者や個人を把握している自治体は、住民からの連絡があったり業者からの相談があったりした15自治体(13%)のみだった。厚生労働省では近く専門委員会を立ち上げ、身元確認のための証明書提出の義務付けや、預かる子どもが5人以下でも自治体への届け出を義務付けるかなどを検討する見通し。(日経、7月1日)

▶〔認可夜間保育所〕 「認可夜間保育所、ニーズに追いつかず」(西日本新聞、6月28日)

▶〔現金盗み、解嘱処分〕 兵庫県尼崎市の市立保育所に勤務する嘱託保育士(51歳)が盗みで解嘱処分を受けた。保育士は5月12日、事務室の同僚保育士の机の上に置いてあった弁当袋の中の封筒から現金15000円を盗み、16日にも別の保育士のロッカーにあった財布から10500円を盗んだという。(毎日、7月2日)

▶〔個人情報を保存した私物PCが盗難〕 奈良県平群町の町立保育園の保育士が「自宅で作業するために」と個人情報を保存していた私物のパソコンが6月2日、車上荒らしで盗難された。車中にパソコンを置いたまま、食事に立ち寄った間にガラスを割られ、パソコンが盗まれたもの。パソコン自体は、4日に発見された。保存されていた個人情報は、以前働いていた保育園のクラスの連絡網、現在の担任クラスの連絡網と一部園児の写真など。パソコンにはパスワードが設定されていなかった。(各紙、6月9日他)

▶〔保育の質、情報提供は不十分と公取委〕 自治体が保育所についてインターネット上で提供している情報を公正取引委員会が調査した結果、利用者が保育の質を知る上で重要な情報の提供は不十分であることがわかった。定員や開所時間は約80%の自治体が提供していたが、保育士の数の情報は12%の自治体にとどまり、保育士の経験年数を情報として提供していたのは0.5%。公取委は結果をふまえ、自治体に第三者評価の実施を促し、その結果を公表することを検討するべきだと指摘。調査は全国430自治体のインターネット上の情報を調査したもの。(NHK、6月26日)

▶〔
追加・日経で「こんな親、困る」〕 日経で『現役保育士が明かす「こんな親、実は困る!」 保育士本音座談会(1)』(6月5日)。保護者の中には日経を読んでいる人も少なくありませんから、話題が出た時に備えてください。「うちの子が行っている保育園でも…?」と思う人がいるはずです。 追加:「保育士の本音 (2) 親が保育士に「疲れた」と本音を言ってもいい」「保育士の本音 (3) 保育園の連絡帳 トラブル時こそ、はっきり書く」「保育士の本音 (最終回) 短くても親と「いい時間」を持てる子は園を楽しめる」はこちら。

▶〔子育て支援員、創設へ〕 小規模な保育施設などで保育士の補助をする新たな資格「子育て支援員」を作る方針を、厚生労働省が明らかにした。5月28日、政府の産業競争力会議で発表したもので、全国共通の20時間程度の研修を受けると得られる資格。あくまでも補助的な役割にとどめ、法律に定めた人員基準などで正式な保育士の代わりとみなすことはしないと説明。来年度の導入予定。(5月28日、各紙)

▶〔社会福祉法人元理事長らを横領で逮捕〕 大分県由布市で保育園などを運営する社会福祉法人の元理事長とその元妻(当時の会計事務担当)が、480万円を横領した疑いで5月27日、逮捕された。横領は2009年に行われた疑いで、2人は大筋で容疑を認めているという。2010年、県の監査で指摘を受けて内部調査を行った結果、横領が発覚、法人が昨年5月、刑事告訴していた。(大分放送、5月27日)

▶〔学童保育30万人拡充へ〕 子育て支援の一環として、今後5年程度で学童保育の受け皿を30万人増やすという方針を政府が固めた。ただし、学童保育については実態把握も十分とは言えず、財源確保も難しいとみられている。学童保育の約4割が自治体で、残りの多くはNPOや保護者主体。同時に近年は企業による学童保育運営も増えている。(各紙、5月20日)

▶〔社会福祉法人が個人的に売買〕 非営利団体であり個人が売買してはいけない社会福祉法人が、個人的に売買されているケースが相次いでいるとの報道。補助金、各種報酬、税金免除などが目当てで買い手は多い、と。〔追加〕 過去5年間で、社福の個人的売買に対する行政処分56件。(朝日、5月19日)

▶〔896自治体が消滅の危機〕 …というニュースがあちこちに出ているようですので、その元の資料です。日本創成会議「人口減少問題検討分科会」が5月8日に発表した「全国1800市区町村別・2040年人口推計結果」の全体の要約(図表入りパワーポイント)はこちら。他の資料は、同会議のウェブサイトに掲載されています。

▶〔15歳未満人口、33年連続減少〕 2014年4月1日時点の推計によると、15歳未満の子どもの数は1633万人となり、33年連続で減少。調査を始めた1950年から1300万人以上減った。総人口に占める割合は12.8%で、世界で最低水準。(各紙、5月4日、5日)  〔掛札コメント〕 0~5歳人口の割合については、この下、4月16日の〔0~5歳児は総人口の5%〕をご覧ください。

▶〔都内の保育士、18%が「退職」考える〕 東京都が2013年夏、都に保育士登録している31550人を対象に初の実態調査を行った。約15000人(55%)から回答を得た。回答時点で保育の仕事に就いているのは53%、過去就いていた人が19%、保育士として働いたことはない人が26%。また現在、保育士として働いている人の18%が退職を考えており、理由(複数回答)として選択されたのは、「給料が安い」(65%)、「仕事量が多い」(52%)、「労働時間が長い」(37%)といった理由であった。(NHK、5月3日)

▶〔次世代育成支援対策推進法等、改正〕 次世代育成支援対策推進法、母子及び寡婦福祉法、児童扶養手当法の一部を改正する法律が4月23日に公布された。概要はこのページの別添1。

▶〔新システム資料〕 4月17日に内閣府で開かれた「子ども・子育て支援新制度説明会」の資料です。

▶〔ベビーシッター、児童ポルノ製造容疑で再逮捕〕 埼玉県富士見市のマンションで2歳児の遺体がみつかった事件に関連して、以前預かった子どもの裸を撮影して保存していたとして、被告が児童買春・ポルノ禁止法違反で4月28日、再逮捕された。容疑は、平成24年12月13日ごろから平成25年8月25日ごろまでの間、1歳女児と3歳男児をデジタルカメラで撮影し、児童ポルノを製造したもの。(各紙、4月28日)  〔掛札コメント〕 「この人が変!」で済まされる問題ではありません。児童ポルノを金銭目的で製造する人もいるからです。つまり、子どもを一人で見守る仕事をする人(ベビーシッター、保育ママ、ファミサポ等)、保育士など、同種のすべての業種が本人の性別や年齢にかかわらず疑われかねないということです。運営主体、働く人に、徹底したリスク管理が必要になっています。

▶〔追加:0~5歳児人口は総人口の5%〕 総務省が15日に発表した2013年10月時点の人口推計によると、高齢化が加速する一方で、0~14歳の年少人口が総人口に占める割合は12.9%と過去最低。(各紙、4月15日) 〔掛札コメント〕掲載されている年齢別人口(エクセル)から計算したところ、0~5歳の人口は約630万人で、総人口の5%(=20人に1人が0~5歳児)。一方、65歳以上の人口割合は25%を越えています(=20人中5人が65歳以上)。この同じページの図5を見ると、ごく数県を除き、人口減少が続いていることがわかります。〔追加〕 では、他の国は?と思って手始めに米国の人口構成を調べたところ、0~5歳は総人口の約7.5%、65歳以上は13.4%でした(2012年)。

▶〔200人分の個人情報を廃棄〕 東京都立川市は3月1日、立川市女性総合センターで職員の不注意により、約200名分の個人情報が記載された名簿を誤って廃棄する事故が発生したと発表した。2月24日、「保育室利用申込書」「保育室利用希望者名簿」の紛失に気づいたもので、2月20日に不燃ごみとして廃棄され清掃事業者が収集していたことがわかった。この書類は同センターを利用する団体で保育を希望する場合の申請書類で、幼児と保護者の名前、電話番号、住所などが記載されている。

▶〔保育写真、無断でサイトに流用〕 2歳児の死体遺棄容疑で逮捕されたベビーシッター男性が代表者と記載されているインターネットサイトに、容疑者が以前パートの「保育従事者」として勤務していた認可外保育園で撮影された写真が無断掲載されていることがわかった。写真には大勢の子どもと容疑者、園内の様子が写っており、経験豊富なように宣伝するために掲載していたと神奈川県警はみている。(読売、3月19日) 〔掛札コメント〕 園の写真管理も問題になりそうですね…。保育士の皆さん、自己防衛のためにも、園のカメラやSDカードを持ち出すことは絶対にやめましょう。

▶〔ベビーシッター預け先で児死亡〕 3月17日午前8時15分ごろ、埼玉県富士見市のマンションで2歳児と8か月児が倒れているのを、2児の母親(横浜市)からの連絡で探していた捜査員が発見した。2歳児は心肺停止状態で体にあざのようなものがあり、間もなく死亡、乳児は病院に搬送された。警察はこの部屋を使っていたベビーシッターの20代男性から任意で事情聴取、死体遺棄容疑で逮捕する方針。
母親は、14日夕方にインターネットの仲介サイトでベビーシッターを探し、16日まで男に2児を預ける依頼をした。男の都合が合わなくなったため、別の30代男性が14日午後7時ごろ、JR新杉田駅で母親から子どもを預かった。この男性は約1時間後にJR横浜駅で最初に依頼を受けた男に子どもを引き渡したという。母親は子どもを引き取る場所や時間をメールで確認することになっていたが、16日にメールを送っても連絡がなかったため、午後5時ごろ、「ベビーシッターと連絡がとれない」と警察に相談したもの。母親は男の苗字とメールアドレスしか知らなかった。その後、紹介サイトのプロフィールなどから、富士見市内のマンションが判明した。部屋から一人で出てきた男に捜査員が事情を聴いたところ、男は「話したくない。家に入られては困る」などと話したという。死亡した児について男は、「朝起きたら死んでいた」と供述。(各紙、3月17日) 〔追加〕 3月17日、この男性は死体遺棄容疑で逮捕された。神奈川県警は2歳児の遺体を解剖して死因を調べる。(各紙、3月18日) 〔追加〕 母親によると、容疑者とは平成25年、シッター関連サイトを通じて知り合い、子ども2人を月8000円で預ける契約を結んだ。しかし、長男の頬が腫れていたこと、背中にあざがあったことがそれぞれ1回あったほか、支払料金をめぐるトラブルもあったことから、心配になって契約を解消した。今回の契約の際、容疑者は偽名を使い、迎えに来たのも別の男性だったため、以前、トラブルがあった相手だとは報道があるまで気づかなかったという。(3月18日、産経) ベビーシッター紹介サイトはコストが抑えられ、保育料が派遣会社の半分ほどということもあり、利用が広がっているという。また、サイト以外にも、掲示板の書き込みなどを通じて直接、情報交換、マッチングが行われるケースもあるという。(NHK他、3月18日)  〔掛札コメント〕 「こんな所に預ける親が悪い」と思うだけで終わらせないでください。

▶〔政府、「准保育士」導入を検討〕 政府は保育士不足を補うための「准保育士」制度を作る検討に入った。子育て経験のある女性が保育所で働く経験を整え、待機児童を減らすことを目指す。政府の産業競争力会議の「雇用・人材」分科会で民間議員が提案したもの。提案は、保育士より簡単な試験や研修で取得できる民間資格(准保育士)。専門知識のハードルを下げる一方で、主婦の子育て経験を重視する。(日経、3月14日) 

▶〔保育所職員の健康被害(事例集)〕 地方公務員災害補償基金から出されている『ヒヤリハット事例集 保育事業編』です。イラストで分かりやすくなっています。保育所職員の健康被害(に関するヒヤリハット)を集めたものですが、子どもが関連している事例も複数あります。同じ取り組みの『ヒヤリハット報告活動に係る実態調査結果報告書 保育事業編』には集計値などが掲載されています。同様の報告書がさまざまな事業の労働者(例:学校職員、学校給食職員)について出されていますので、興味をお持ちの方はこちら。28以降はPDFでダウンロードできます。

▶〔保育園連盟常務理事、書類送検〕 京都市の公益社団法人「京都市保育連盟」が市の補助金の剰余金を不正流用していた問題で、京都府警は当時の常務理事(懲戒解雇)を業務上横領の疑いで書類送検する方針を固めた。元常務理事は、「剰余金を口座に移したのは、調査費として前理事長(故人)に渡すためだった。私的には使っていない」との趣旨の供述をし、犯意を否認しているという。不正流用は2007年の大阪国税局の調査をきっかけに発覚。
 その後、京都市監査委員は2009年に特別監査を実施、(不正流用とは別に)同連盟のずさんな剰余金運営が判明した。同連盟が簿外処理した剰余金は2008年度までに約6億7000万円にのぼり、予算目的外である保育士の人件費などに使っていたと認定した。目的外の補助支出を自ら決めるなど、市が積極的に流用に関わっていた実態も明らかになった。(京都新聞、3月10日)

▶〔幼稚園経営者、酒酔い運転で逮捕〕 2月19日午後10時10分ごろ、栃木県足利市内の幼稚園経営者(61歳)が酒酔い運転で他の車と衝突事故を起こし、道交法違反で逮捕された。容疑を認めているという。(毎日、2月20日)

▶〔全国児童福祉主管課長会議の資料〕 2月26日に開かれた同会議の資料です。保育課・幼保連携推進室の説明資料、別冊資料も掲載されています。

▶〔送迎時に車上荒らし〕 広島県福山市の中心部にある複数の保育園で、送迎時の車上荒らし被害が増えている。警察署によると、昨年3月から今年2月3日までで4園、6件が発生している。午後5~6時が最も多く、被害者は全員、子どもを迎えに来た母親。「すぐ戻るから」と車に鍵をかけていなかったという。6月の事件では、長男を迎えに来た母親が、寝ている次男を起こさないようにとエアコンをつけたまま施錠せずに車を離れた。かばんは座席下に隠していたが、約5分後に戻ると財布が抜き取られていたという。警察は、「無施錠であれば、1分あれば盗まれる。『ほんの少しの間だから』と油断せず、車を離れる時は必ず鍵をかけて」と呼びかけている。(読売、2月25日) 〔掛札コメント〕 きょうだいを車に残して無施錠で車を離れることには、別の危険もあります。誘拐のほか、子どもが目を覚まし、保護者を探して車の外に出てしまう例もあります。

▶〔保育士が児童に暴言〕 滋賀県が運営する知的障害児入所施設で、保育士が児童に対して「殺すぞ」などの暴言を発していたことが2月12日、明らかになった。昨年12月、30代の保育士が外で雪遊びをしていた小学生に対し、屋内に戻るよう声をかけたところ、児童が指示に従わなかった。保育士が児を取り押さえようした際に「殺すぞ」などの言葉を発したという。年末に帰省した児が保護者に相談して発覚、保育士も事実を認めている。(2月12日、読売テレビ他)

▶〔181保育所で法令違反:北海道〕 北海道労働局は1月27日、道内220(認可161、認可外59)の保育所を対象に実施した一斉調査で、181カ所で法令違反が確認されたと発表した。労働基準法や労働安全衛生法違反など。違反率は82%で、全業種の平均(60%台後半~70%台前半)より高い結果となった。対象は、道内1167(認可857、認可外310)の約18%にあたる。(朝日、1月28日)

▶〔子ども・子育て支援新制度説明会の資料〕 1月24日、内閣府で行われた新制度説明会の資料が掲載されています。

▶〔保育士の生活習慣、子どもの時の影響?〕 都内で勤務する2012年度新任保育士を対象に実施されたアンケート調査の結果から、4歳頃~10歳頃にかけて、「ゲームやビデオで夜遅くまで起きていたこと」が「多い」「ほどほど」と答えた人が約36%にのぼった。「夜、家族と居酒屋やカラオケに行ったこと」が「多い」「ほどほど」も3割近く。全体の半数以上が夜9時以降のテレビ番組を見ていた。一方、幼児期、学童期に夜遅くまでテレビを見ていたことが「多い」と答えた保育士のなかでは、「現在、午前0時以降、友だちとメールすること」が「まったくない」は1割にとどまった。ところが、子どもの頃に夜遅くまでテレビを見ることがまったくなかった人は、約25%が現在、午前0時以降のメールをすることがまったくなかった。さらに、「規則正しく決めた時刻に寝る」割合も、子どもの頃に夜遅くまでテレビを見ていた保育士のほうが低かった。
 調査は、和洋女子大(千葉県市川市)の鈴木みゆき教授らが行ったもので、363人(20~24歳、平均21.6歳)から回答を得た。近年、「保育中に(保育士が)寝ている」「朝起きられずに辞めた保育士がいる」という声を聞くようになったため、調査を実施したとのこと。記事によると、日本小児保健協会の「幼児健康度調査」で「夜10時以降に寝る幼児」の割合は、1~3歳児で52~59%。(読売、1月24日) 〔掛札コメント〕 この調査結果は、子どもの頃の生活習慣と今の生活習慣の相関関係を示したものです。子どもの頃の生活習慣や今の生活習慣が、今の仕事の問題(居眠り、朝起きられない)の原因になっている、と因果関係を結論づけたものではありません。つまり、子どもの頃、遅くまで起きており、今も就寝が不規則だけれども、仕事中に居眠りもせず、朝も起きられる保育士さんもいるわけです。逆に、生活習慣は「まとも」なのに、居眠りをする保育士さんもいる。アンケート項目を見ていないのでなんとも言えませんが、労働時間や主観的なストレスの強さなども測っていれば、別の要因(長時間労働やストレス、鬱など)が、生活習慣以上に居眠りや辞職につながっていることがわかるかもしれません(複数の要因のうちどれが強く影響しているかは、統計分析から明らかにすることができます)。居眠りや朝起きられない理由は、過去や今の生活習慣だけではありません。もっと言えば、子どもの頃の生活習慣は親が規定するものであって、子どもが自由にできるものではない。仮に今後、「おとなの生活習慣の原因はほぼすべて、子どもの頃の生活習慣だ」と明らかになったなら、まず責任を負うべきはその人の保護者でしょう。

▶〔247万円着服で逮捕〕 島根県江津市の社会福祉法人の保育園で、元経理担当職員が現金247万円を着服し、業務上横領容疑で逮捕された。この職員は1996年からこの保育所で働いており、逮捕容疑となっている着服は2008年から2010年の4回。(毎日、1月20日)

▶〔トイレ監禁で、懲役2年の実刑判決〕 2013年1月、山口県下松市のレジャー施設で、当時5歳の女児をトイレの個室に監禁したとして、未成年者略取と監禁の罪に問われている26歳の元保育士の男性に対し、山口地方裁判所は「正当な理由なくトイレに連れ込むなど、身勝手で悪質な犯行」として、求刑通り、懲役2年の実刑判決を言い渡した。この男性は、施設の男性用大浴場で児を抱え上げ、脱衣場のトイレの個室に入り、約2分間出られない状態にしたもの。弁護側は、女の子がトイレに行きたいというので被告がお世話をしただけ等と無罪を主張、全面的に争ってきた。(毎日、1月15日他)

▶〔待機児童解消策を政府広報〕 政府のインターネットテレビで「子どもたちの笑顔の為に:保育士のみなさん、あなたの力が必要です」。 〔掛札コメント〕 保育士の待遇向上(賃金だけでなく社会的地位)と、「保育士がいろいろな意味で安心して働ける職場づくり」が急務だと思うのは、私だけでしょうか…。

▶〔全国厚生労働関係部局長会議(厚生分科会)資料〕 13の「雇用均等・児童家庭局」資料が待機児童対策など、保育園に関連のある情報です。

▶〔幼稚園園長がアルバム代などを横領〕 兵庫県猪名川町の町立幼稚園園長が、保護者から集めた卒園アルバム代など約70万円を横領したとして懲戒免職処分を受けた。.町の教育委員会は、使途不明金などについて、園長を警察署に掲示告訴。園長は全額を弁済しており、教委の調査に対し、「インターネットサイトの使用料を払うため借金し、その返済に充てた」と話しているという。(読売、1月17日)

▶〔大阪市、市の保育士給与引き下げへ〕 大阪市の橋下徹市長は12月25日、市の保育士と幼稚園教員の給与体系を見直す方針を示した。官民の20代の月収で比較すると、保育士で約3万円、幼稚園教員で約5万円、市職員の方が高かったことから、民間の水準を反映させるとするもの。(毎日、1月2日)  〔掛札コメント〕 民間保育園の保育士の場合、全業種の平均賃金と比べて月額約9万円低いのが現実。保育士のなり手がいない今、「民間のレベルを反映させる」とはいかに…? 平成24年賃金構造基本統計調査の結果はこちら(エクセルシートですので、見るためにはパソコンでのダウンロードが必要です)。エクセルシートの32行目が保育士(男女を合わせたもの)です。左から5番目がそれぞれの職業の月収額。

▶〔園児の靴盗み、停職3か月〕 埼玉県所沢市の職員が、子どもの通う保育園の園児の靴や衣類などを盗んだとして、停職3か月の懲戒処分を受けた。この職員は、自分の子どもの物が紛失したことなどをある保護者の行為と思い込み、7月に盗みを行った。「同じ思いを味わわせたかった」と話しているという。(各紙、12月25日)



アレルギー、食

▶〔大根もちに輪ゴム片混入〕 東京都町田市の市立保育園で、12月15日に調理・提供されたおやつ(大根もち)に輪ゴム片が混入していた。1歳児のおやつから複数みつかり、気づいた担任が取り除き、そのまま食べさせたという。材料の小ネギを束ねていた3本の輪ゴムのいうち1本を、誤って切断、そのまま調理したとみられる。保育園は全園児の家庭に謝罪、健康被害などは確認されていない。(12月18日、読売)

▶〔ピーナッツ・アレルギーで19歳死亡:米国〕 オークランド大学のChandler Swink君がピーナッツによるアナフィラキシーで死亡。11月18日から昏睡状態だったが、26日に亡くなった。訪れた友人の家でピーナッツバターの入ったクッキーを焼いており、Chandler君はそれを食べたか、または友人の誰かがピーナッツバターのついた手でChandler君に触わったとみられる。看護学の学生だったChandler君は症状が出た時点で自分でエピペンを打ち、病院まで車を運転していったが、病院の駐車場で意識を失った。医師によると、死因はアナフィラキシーショック、喘息、心不全。Chandler君は2歳の時にレベル6のナッツ・アレルギーと診断され、ピーナッツを避ける生活をしてきた(レベル6は、Rast testで診断される最も深刻なアレルギーレベル)。(英語各紙、11月29、30日)

▶〔最近の給食の異物混入〕 ・栃木県足利市で9月8日、市学校給食協同組合が調理した小学校の給食(豚汁)の中から、長さ10ミリのネジ2本と直径8ミリのワッシャー1個がみつかった。いずれも椀の中から見つかり、健康被害の報告はない。さいの目切り機のネジ3本とワッシャー6個が脱落していたことがわかった(各紙、9月10日) ・神奈川県綾瀬市の小中学校向け給食(肉団子スープ)に9月24日、縦横約1センチのナット1個が混入。野菜を切る調理器から落ちた。配送済みのものもあったが提供を中止、給食センターで保管していた予備分のスープから発見(カナコロ、9月25日)。 ・9月26日、香川県善通寺市の幼稚園の給食に出されたみそ汁にホチキス針1本が混入。年長男児がいったん口に入れたが、すぐに気づき、ケガはなかった。給食は市学校給食センターで一括調理しているが、ホチキス類は使用していないという(四国新聞、9月27日)

▶〔ジャガイモで食中毒〕 福井県敦賀市の小学校で、収穫したジャガイモを18日の授業で食べた6年生31人中18人が体調不良を訴え、うち6人が腹痛や吐き気などを訴える食中毒が起きていたことが、24日、明らかになった。ジャガイモは収穫後2週間、段ボールに入れた状態で窓際に置かれており、青く変色したものは外して調理したという。発症状況や残りのジャガイモの検査から、ジャガイモの発芽部分などに含まれるソラニン類による食中毒と断定された。ソラニン類による食中毒は、重篤な場合、呼吸困難や昏睡から呼吸停止に至るという。(福井新聞、7月25日)

▶〔給食の異物混入事例〕 京都府亀岡市の市立小学校で3月17日、給食の米飯にハツカネズミのフンとみられる異物が混入。校長判断で、異物の周囲を除いて米飯を提供したという。京都市内の業者が炊飯・運搬したものだが、混入経路は明らかになっていない。市教委は6月30日になって混入の件を保護者に報告した(読売、7月7日他)。 ・島根県松江市は7月23日、市立保育園の同日の給食(煮込みハンバーグ)の中に長さ1センチのビニール片が混入していたと発表した。5歳児が口にしたが、すぐに吐き出した。ビニール片は、食材を入れる袋に貼られていたテープの一部とみられる(読売、7月24日)。 

▶〔カレーの牛乳でアレルギー〕 秋田市の市立小学校で22日に給食のキーマカレーを食べた小学校2~3年生3人が食物アレルギー反応を起こした。いずれも牛乳アレルギーがあり、顔面紅潮やせきなどのショック症状を起こしたという。2人が病院に運ばれたが1晩入院して退院。3人とも回復。給食は他校にある共同調理場で作られ、調理場では牛乳アレルギーの原因となる食材を使用しないことに決めていたが、職員が謝ってカレーにスキムミルクを使ったもの。(7月23日、時事通信他)

▶〔食物アレルギーで入院〕 三重県伊賀市の市立保育所で6月30日、牛乳アレルギーの1歳児にミルクを飲ませる事故が発生。おやつの時間、0、1歳児15人(保育士6人)にバナナと牛乳またはお茶を出した際、児も2口分飲んでしまった。通常、アレルギーのある子どもは一人用のテーブルを使用し、着席後におやつを配ることになっていたが、この日は欠席が多かったことから他児と同じテーブルでおやつを与えたことが事故につながった。児は、園が母親に連絡するまでの20分間に3回嘔吐、母親の到着を待ってかかりつけ医に受診、その後も顔が赤くなる症状が続いていたため、市内の病院に入院し点滴などの処置を受け、次の日に退院した。(伊賀タウン情報ユー、7月1日)

▶〔最近の給食異物混入事象〕 ・大分県日田市の学校給食センターで6月16日、調理していた豚汁用ジャガイモから長さ3ミリ、幅1ミリの金属片がみつかったため、市内の小学校10校に配送が終わっていた豚汁2689食分の提供を中止した。
ジャガイモを切る機械の金属プレートの一部から、長さ8センチ、幅1ミリの削られたような跡がみつかった。同センターでは2013年7月にも異物混入が、2014年には配送ミスが起きている(大分放送他、6月17日)
・神奈川県海老名市の市立小学校で6月6日、提供された給食(あえもの)に
直径1ミリ、長さ約2センチの金属が混入していた。2年生が盛り付ける前に気づき、ケガはなかった。市の給食センターで作り、市内6校に約3600食が配られたが、同校以外では混入はみつかっていない。給食センターの調理場の点検でも異常はなかった(日刊スポーツ、6月9日)。
・読売新聞の調査から、静岡県内の市立小中学校で2012年度以降、7市町で計22件の異物混入が起きていたことがわかった。いずれも健康被害は出ていないが、「古い調理器具などを使い続けていたため」など予防できたケースもあるという。昨年11月、ご飯から
長さ約1.5センチのネジがみつかったケース、今年5月にパンから長さ約1.7センチの針金がみつかったケースは、いずれも、古い鍋、古い金網が使われていたためとみられる。その他、ホチキスの針やスライサーの刃の欠けたものなども混入していた(6月15日)
・高松市の市立小学校で6月3日、提供されたライムギパンに直径1センチ、厚さ5ミリの鉄製のナットが混入していた。4年生児がパンを割った際に気づき、ケガはなかった。パンを製造した市内の業者が調べたところ、パンを成形する機械のナットがはずれており、混入したナットと一致したという(四国新聞、6月3日)。
・香川県三豊市の小中学校各1校で5月21日、提供されたパイナップル入りサラダの一部に金属片が混入、調査の結果、
パイナップル缶の一部
とわかった。パイナップル缶を自動缶切り機で開封する際、混入していたものと同じ形状の金属片ができる可能性があることを確認した(四国新聞、5月23日)
・三重県松坂市の市立中学校で6月12日、丸パンを割って食べようとした生徒が、パンの中に直径約12ミリの小石が入っているのをみつけた。松阪市内の業者が納入しているもので、今年に入ってから同業者の混入は3度め(毎日、6月13日)

▶〔給食に乾燥剤の袋が混入〕 4月17日、横浜市青葉区の市立保育園で、給食のきんぴらごぼうを調理した後、ゴマを加える際に同封の乾燥材の袋も誤って投入し、気づかず配膳した。乾燥材は鍋の底から見つかり、袋に破損はなく、乾燥材を食べた園児もいない。すでに給食を食べていた1、2歳児の残食を回収廃棄し、まだ食べていなかった3歳以上児については代替食を提供したという。(横浜市の報道資料)

▶〔給食に異物混入2件〕 ・滋賀県東近江市の学校給食センターで5月2日、冷凍魚を解凍していた鍋の中から刃渡り約18センチの包丁がみつかった。市は同じ加工業者からこの魚を配送された全小中学校・幼稚園でこの魚の提供を中止した(各紙、5月4日)。 ・大分県竹田市の共同調理場で4月30日、給食にナットが混入した疑いがあるとして献立2品を回収。ナットは見つかっておらず、排水口から流れた可能性もある。ナットは野菜の裁断機に付いていたもので、同日昼前、調理作業を終えた職員が紛失に気づいた。混入が疑われた2品の提供を止めるよう14施設に要請したが、幼稚園2園と中学校1校ではすでに給食が始まっていた。また支援学校には、職員の手違いで、給食が終わった午後1時過ぎの連絡となった(西日本新聞、5月2日)

▶〔加工食品の原材料表示、厳しく〕 消費者庁は4月17日、加工食品のアレルギー表示の見直し方針を消費者委員会の調査会に示した。現行では、食物アレルギー原因物質7品目について、加工食品の原材料に含まれる場合は「卵を含む」といった表示が義務づけられている。しかし、卵を主材料とするマヨネーズや、小麦粉を原材料とするうどんなど、「含まれていることが明らかなもの」については表示が必要なかった。この規定を改め、表示を義務づける。(朝日他、4月17日)

▶〔エピペンを断られ、アナフィラキシーで死亡〕 アイルランドのダブリン市内の路上で、ナッツ・アレルギーを持つ14歳のEmma Sloanさんがピーナッツによるアナフィラキシーのため死亡し、各国のニュースで取り上げられています。Emmaさんは母親と叔母、2人の姉妹と一緒に中華料理のビュッフェに行ったそうです。カレー・ソースと間違ってピーナッツが入ったサテのソースを口にしたEmmaさんはすぐにアナフィラキシー反応を起こし、「息ができない!」と訴えました。母親は近くにあった薬局に飛び込みましたが、処方箋を持っていなかったため、エピペン販売を拒否され、「病院へ行きなさい」と言われました。病院へ向かう途中、Emmaさんは亡くなりました。通りかかった医師と救急隊員もEmmaさんを蘇生しようとしましたが、無理でした。アイルランドの子ども・若年者省大臣とアイルランドの薬剤業会は、事態をくわしく調査し始めました。中華料理店のサテ・ソースの所に「ナッツが含まれています」という表示があったかどうか母親は思い出せないそうですが、「レストランの責任ではない」と母親は話しています。(英語各紙) 〔掛札コメント〕 「重症のナッツ・アレルギーがあるなら、エピペンを持っていればよかったのに」で終わらせないでください。たとえば、これまで軽かったアレルギーでも、次の時には重症の反応を起こす可能性もあり、その場合には同様の状況になるでしょう。

〔再掲:エピペンを3本打つも、死亡〕 これは2013年の8月2日に掲載したニュースの追加です。カリフォルニアの13歳、Natalie Giorgiさんが、家族と参加した市のキャンプでピーナッツ入りのデザートを食べ、すぐに気づいて吐き出したもののアナフィラキシーを発症、エピペンを3本打ったものの死亡しました。上のニュースとの関連で別のニュース・サイトの記事(CBS NEWS)を見ていたところ、次のような内容が書かれていました。
 デザート(チョコとピーナッツ・バターをかけたライス・クリスプ)を吐き出した後、Natalieさんは母親からBenadryl(抗ヒスタミン薬ジフェンヒドラミンの錠剤、市販)をもらって飲み、様子を見ました。しかし、20分後に呼吸困難に。医師である父親がエピペンを打ち、合計3本、打ちましたがNatalieさんは気道閉塞で亡くなったということです。本人はアレルギーを意識しており、疑わしいものを誰にも訊くことなく口にすることはなかったそうです。
ここから学べることはいくつもあります。1) 抗ヒスタミン薬を飲んで一見落ち着いているようでも、急変することがある、2) 医師がいて、エピペンを3本打っても亡くなる可能性はある(「エピペンがあれば大丈夫」ではない)、3) それまで気をつけていても、「うっかり」口にしてしまうことはある(まして未就学児では?)。

▶〔食物アレルギー対応:文部科学省〕 今後の学校給食における食物アレルギー対応について(通知)が3月26日、示されました。

▶〔つみれでアレルギー性食中毒〕 埼玉県草加市のNPO営保育園で3月24日、給食を食べた園児ら22人がアレルギー性食中毒を発症。全員、当日中に回復しているが、県は食品衛生法に基づき、同園に27日から2日間の給食停止処分を下した。イワシのつみれ汁を食べた70人中、0~3歳の20人と職員2人が食後10~20分で赤みやかゆみを訴えたもの。草加保健所で調べたところ、アレルギー反応を引き起こす高濃度のヒスタミン物質がイワシのすり身などから検出された。(3月27日、各紙) 〔掛札コメント〕 昨年9月19日にも都内の保育園でつみれによるアレルギー性食中毒が起きています(2013年のニュース参照)。アレルギー性食中毒に関する横浜市の資料を再掲します。

▶〔過去の食中毒統計〕 厚生労働省の食中毒統計のページです。「過去の食中毒発生状況」のエクセルファイルには、「施設別発生状況」のシートがあり、保育所の件数をみることができます。

▶〔発注ミスでアレルギー発症〕 神奈川県相模原市の市立保育園で3月24日、5歳児が小麦の含まれたクッキーをおやつに食べ、10分後に嘔吐、かゆみを発症。男児は携帯していた薬を飲み、病院で点滴治療を受けた。通常、小麦除去をしていたが、今回は発注段階で誤り、提供前の最終確認も怠った。賞味期限のチェックもせず、児が食べたのは期限切れのクッキーだったという。(各紙、3月26日) 〔掛札コメント〕 しつこく言います。「何それ! 信じられない」で終わらせないでください。上にリンクを貼ってある600件事例集でも、同様のミスは複数起きています。「馬鹿みたい! うちは大丈夫」と思うのか、「うちは大丈夫かな」と思うのか。それが子どもの命にかかわる事故を防げるかの分かれ道です。「小麦食べても、けっこう大丈夫なんだ」もナシです(これまた、上の事例集にしっかり書きました!)。

▶〔食物アレルギー対策で最終報告書〕 「学校給食における食物アレルギー対応に関する調査研究協力者会議最終報告」が出ました。リンクはこちら

▶〔エピペン持参72人:千葉〕 県内の幼稚園と保育園(認可外を除く)でエピペンを持参している子どもは72人いることが、千葉県教育委員会の調査で明らかになった。千葉県内で未就学児のエピペン持参の実態が明らかになったのは初めて。(毎日、3月14日)

▶〔給食に金属片〕 香川県丸亀市の保育所で3月3日に出された給食(穴子ご飯)に、約1センチの細い金属片が混入していた。市が発表した。2歳児が口に入れたが、すぐに気づき、ケガはなかった。金属片は金たわしの一部とみられるが、保育所の調理室で金たわしは使っておらず、業者が納入した食材に混入していた可能性が高いという。(3月4日、四国新聞他)

▶〔ピーナッツで救急搬送:小3児〕 1月30日午後4時半ごろ、板橋区立の学童クラブでおやつのピーナッツ・チョコレートをひと口食べた小学3年生児が、直後に喉の違和感を訴えた。持参していたエピペンを自分で打った後、救急車で病院に搬送され、点滴を受け、帰宅したとのこと。(毎日、2月1日) 〔掛札コメント〕 詳細は、同紙の「有料版」にしか掲載されていないのでわかりません(有料版に、どのくらいの詳細が載っているのかも不明)。他の新聞、ウェブニュースはこれを報道していません。このように公共性が高く、あまり報道されないニュースまで「有料」にするというのは…。

▶〔小麦アレルギーで2児搬送〕 愛知県刈谷市は2月5日、昨年12月16日、市の学校給食で小麦アレルギーによる救急搬送が2件起きたと発表した。搬送されたのは、小学校1年生児と4歳の幼稚園児。小学生は食べて間もなくアナフィラキシーショックで呼吸困難となり、救急搬送。幼稚園児は帰宅途中に体調が悪くなり、家で保護者が薬を飲ませた後、救急搬送。2人とも現在は回復している。食材は豆腐ハンバーグ。昨年9月から小麦を使わない新商品が納入されていたが、県学校給食会が、賞味期限が迫り特別価格となっていた旧商品(小麦入り)を納入していた。2か月前の給食には新商品が納入された実績があり、市は「小麦入りではない」と認識していた。同じ学期に納入される商品については、原料配合表の提出を省略できる内規があり、市と納入業者双方の連絡が不十分だったことが原因とみられる。市では、2月の給食から原料配合表を毎回提出させ、再発防止に努めている。一方、保護者から早急に周知するよう求められていたが、市は年明けまで対応せず、1月5日に、アレルギーを持つ子どもの保護者向けに説明。市教委の教育総務課長は「今思えば、早く公表すべきであったのかと思う」と話している。(中日新聞他、各紙、2月5日) 〔掛札コメント〕 納入段階で配合表がないのでは、現場でどんな努力をしても予防は無理です。賞味期限が迫っていてもまったくかまわないわけですから、配合表を毎回提出する、現場にもコピーを届ける、という方策が必要だと思います。

▶〔ピーナッツ、ソバ、9割が離乳食で与えず〕 ソバとピーナッツについて9割の母親が、子どもが1歳を超えても離乳食として食べさせていなことが環境省の大規模調査(「エコチル調査」)のデータから明らかになった。重篤なアナフィラキシーを起こすことから、保護者が摂食時期を遅らせている状況がわかったが、調査を担当した大矢幸弘医師(国立成育医療センター)は、「アレルゲンとなる食物の摂取開始時期は遅らせないほうがよさそうだが、皮膚に湿疹のある子はそうとも言えず、一概には言えない」と、今後の研究の必要性を指摘している。調査によると、離乳食開始時期は「6か月」が45%と最も多く、「5か月」が40%。食品を食べさせ始めた時期では、米は8割が「6か月より前」だったが、小麦は7割が「7~8か月以降」、鶏卵や牛乳は8割以上が「7~8か月以降」だった。ソバは88%、ピーナッツは95%が1歳を超えても食べさせていなかった。海外の研究では、離乳食の開始が遅いほど2歳児のアトピー皮膚炎や乳児喘息が多いことが明らかになっている。また、食物についても摂取開始が遅いほうがアレルギーになりやすいとする研究結果が、ピーナッツについて出されている。(2月5日、産経)

▶〔食物アレルギー事故防止:文部科学省〕 アレルギーに対応した給食が必要な児童生徒の保護者に対し、医師が注意点を書いた書類の学校への提出を徹底してもらうよう求めることを文部科学省は決めた。3月にもとりまとめる有識者会議の最終報告書に盛り込み、各学校に通知する方針。(各紙、2月4日)



アレルギー、食

▶〔大分市でノロ集団感染〕 大分市内の保育園で、職員6人を含む32人がノロウイルスに感染していたことがわかった。11月14日に感染性胃腸炎が集団発生したとの連絡があった。(11月17日、大分放送他)

▶〔ノロ集団感染32人〕 千葉県船橋市の保育所でノロウイルスの集団感染が発生。11月4日に園児11人、職員1人が嘔吐・下痢症状を訴え、ノロウイルスが検出された。13日現在で32人。いずれも軽症で快方に向かっている。(千葉日報、11月14日) 〔掛札コメント〕 この事例と上の大分の事例が、2014年、最初にみつけた集団発症事例でしたので掲載しました。

▶〔北九州の幼稚園で赤痢〕 北九州市八幡東区の幼稚園で細菌性赤痢の集団感染が発生(28日の時点で園児と家族の計12人)。まず10月9日、6歳児が下痢や血便の症状を訴えて14日に入院、16日に赤痢菌感染が確認された。市と園は17日、協議した上で「混乱を避ける」(保健福祉局)のため同園の保護者全体に事実を伝えなかった。その後、他の園児や家族から菌の検出が相次いだため、市は24日に初めて事実を公表し、25日に保護者向け説明会を開いた。この点について市長は29日、「感染が拡大したことは申し訳ない」「早く公表すれば(拡大を)防げた可能性がある」として、市の内規で定める感染症公表基準を見直す方針を明らかにした。(各紙、~10月30日)

▶〔子どもの予防接種等の啓発用リーフレット〕 厚生労働省が、各種予防接種のリーフレットを作成、サイトに掲載しています。

▶〔園児からO157検出〕 兵庫県姫路市の保育園に通う2~3歳児13人が下痢・発熱を発症、腸管出血性大腸菌O157が検出された。原因は不明で、全員回復に向かっているという。(神戸新聞、8月11日) 

▶〔保育所でO145集団発生〕 千葉県市川市内の保育所で、園児4人が腸管出血性大腸菌(O145)に集団感染した。重症者はなく、全員回復に向かっている。感染経路は特定されていない。(千葉日報、8月9日)

▶〔保育園でO157感染〕 埼玉県入間市の保育園で、園児と職員が病原性大腸菌O157に集団感染した件で、県は29日前後に出された給食が原因と断定し、5日から3日間、調理室を使った給食提供を停止とする行政処分を下した。5日までに園児40人と職員6人が下痢などの症状を訴えており、3歳児1人と5歳児1人は、腎臓機能低下等の合併症を起こすなど重症だという。(各紙、8月5日)

▶〔夏の感染症、拡大〕 東京都は7月17日、ヘルパンギーナの患者数が都の警報基準を超え、大きな流行になっていると発表した。また、手足口病、咽頭結膜熱(プール熱)も患者報告が増えているという。(東京新聞他、7月18日)

▶〔猫の唾液で髄膜炎〕 英国サマセットで、生後3週間の児が急性髄膜炎を起こし、命の危険に陥った。奇跡的に回復、退院したが、原因は飼い猫の唾液に含まれていたパスツレラ菌だとのこと。同菌はイヌやネコの口腔内の常在菌だが、免疫力が低い状態の人には重い全身症状を発症する。この事例は3年前に起きたということだが、母親は飼い猫が哺乳瓶をなめていたことがあると話している。(テックインサイト、4月18日

▶〔病原性大腸菌感染症、一部地域で増える〕 東京や埼玉などを中心にO157などの病原性大腸菌感染症の事例が急増しているとして、自治体、国立感染症研究所が注意を呼びかけている。保育園ではたとえば、熊本市内の認可保育園で腸管性出血大腸菌O111に園児や職員、保護者などが感染している。(東京新聞、産経新聞、7月14日他)

▶〔保育園における感染症事例〕 群馬県内の医療機関や保育施設で乳幼児の「
ヒト・メタニューモウイルス」感染が相次いでいる。発熱や咳が主症状だが、子どもや高齢者などは重症化するケースもあるという。6月ごろまでが流行期。(上毛新聞、4月21日)  ・埼玉県によると、所沢市の市立保育園で4月15~21日にかけ、園児2人と保育士1人、感染している児の保護者1人が腸管出血性大腸菌О157に感染した。重症化している患者はいないという。同園では0歳児、1歳児の計6人にも下痢症状がみられたことから、19日、通園自粛を保護者に要請した。(埼玉新聞、4月22日)  ・新潟県上越市の私立保育園でノロおよびロタ・ウイルスの感染が確認された。21日の時点で10人が感染性胃腸炎の症状で欠席、1人が入院。園は22、23日の登園自粛を保護者に要請。(新潟日報、4月22日)

▶〔はしか患者が急増中〕 今年のはしか患者数は3月30日までに計231人で、昨年1年間の総患者数(232人)とすでにほぼ同数。患者数は昨年の同時期の3倍以上。春から夏にかけての流行期、さらに患者が増える恐れがあるとして、厚生労働省は注意を呼びかけている。(4月8日、朝日他)

▶〔インフルエンザ流行、収束せず〕 国立感染症研究所が28日に発表したデータによると、3月中旬1週間の1医療機関あたりインフルエンザ患者数は前年比の3倍近い。1月下旬~2月上旬に一度ピークは過ぎたものの2月下旬に再び患者数が増加。複数タイプのウイルスが同時に流行しているため、シーズン中に複数回かかる場合もあるという。(3月30日、朝日)

▶〔空間除菌グッズは根拠なし〕 空気中に放出される二酸化塩素により「首からぶら下げるだけで」「部屋に置くだけで」空間除菌ができるとうたうグッズについて消費者庁は3月27日、効果を裏付ける根拠がないとして、景品表示法に基づき(同法違反)、表示変更などを求める措置命令を出した。命令の対象となったのは製薬会社など17社。企業名、製品名などはこちら〔掛札コメント〕 保育園でも使用が見受けられますので。保護者から「使って」と言われた時に説明できるよう、リンクの文書を読んでおいてくださいませ。

▶〔ロタウイルスのQ&A〕 ロタウイルスについての新しい情報を厚生労働省がまとめました。(2月12日)

▶〔ノロウイルスによる食中毒の発生予防について〕 食パンを原因とする学校給食のノロウイルス食中毒発生に関連して、厚生労働省が通知を出しました

▶〔子どものインフルエンザ治療指針〕 日本小児科学会は、15歳以下の子どもの季節性インフルエンザ治療指針をまとめた。今冬に増えている型のウイルス(H1N1)は重症の肺炎を起こす恐れがあるため、幼児や呼吸器の持病がある場合には、早めに抗ウイルス薬で治療するよう呼びかけている。1~9歳はタミフルが推奨されている。(朝日、2月1日) 小児科学会の推奨文書はこちら(一覧表は2ページめ)。新型インフルエンザに関する学会の情報は、こちら

▶〔インフルエンザの感染拡大〕 国立感染症研究所の24日発表によると、全国5000か所の定点医療機関から報告された1月13~19日の医療機関あたりインフルエンザ患者数が「注意報レベル」の10人を越え、11.78人となった。全国の推計患者数は約66万人。厚生労働省によると、休校や学年・学級閉鎖をした保育所、幼稚園、小中高校は全国で698施設と、前週の15施設から急増した。(各紙、1月24日)。この記事には、都道府県別の色分けがあります

▶〔ワクチン接種の園児が風疹罹患〕 国立感染症研究所などの調査から、島根県の保育園で、風疹ワクチン接種後の園児に風疹の集団感染が起きていたことが明らかになった。2013年4月、接種を受けていない1歳児が発症、この児を含む1~5歳の園児22人、職員1人、家族7人の計30人が感染した。少なくとも18人の園児は風疹の予防接種を受けていた。ただし、接種した園児の症状は、1人を除いていずれも軽かった。感染研によると、ワクチン接種をした幼児の風疹集団感染例は国内で初めて。唾液がついた玩具を他の子どもがなめるなどしてウイルスが広がった可能性が高いということで、「妊娠した女性が出入りすることも多い保育園などは注意を」と呼びかけている。(読売、1月16日)



その他の安全、健康

▶〔保育園で保管している土から放射線〕 横浜市内の保育園1園で保管している土砂から、市の空間放射線量の基準(毎時0.59マイクロ・シーベルト、距離1センチ)を超える0.62マイクロ・シーベルトが検出された。福島第一原発事故後、局所的に高い線量が測定された土砂を倉庫などに保管していたが、市が昨年から今年にかけて測定・再測定をしたところ、発見されたもの。(読売新聞、11月27日)

▶〔外来種毒グモみつかる:
さらに追加〕 〔セアカゴケグモ、保育園ではこんな場所に注意〕 ・排水口の側面やふたの裏、・花壇のまわりのブロックのくぼみや穴、プランターと壁とのすき間、うつぶせにした空の植木鉢の中、・クーラー室外機の裏など人工的な熱源のまわり…。なぜかというと、セアカゴケグモの繁殖条件は「日当たりが良く、暖かい」「昆虫や小動物などのエサが豊富」「巣を張る適当なすき間がある」のためです。 〔こちらは古い記事です〕三重県松坂市の保育園と小学校の近くで特定外来生物の毒グモ「セアカゴケグモ」計16匹がみつかったことが、9月10日、わかった。松阪市内での確認は初めて。市は「みつけたら素手で触らず、踏みつぶすか市販の殺虫剤で駆除を」と呼びかけている(中日新聞、9月12日)。他紙によると、広島県福山市内のサービスエリア付近でも多数みつかったいる模様。セアカゴケグモに咬まれた時の対応は、こちら 〔追加〕 東京都三鷹市内でも9月24日、セアカゴケグモ10数匹がみつかり、駆除された。(9月25日、各紙)

▶〔石綿対策で専門委員会〕 神奈川県藤沢市の市立保育園で、過去に石綿(アスベスト)の飛散が疑われた問題で、市は元園児や元職員の健康対策を検討する専門委員会を新設する方針を決めた。1972年に開園した同園は遊戯室の天井に吹付の石綿を使用。84年の工事やその後の作業中に石綿が飛散した可能性があるという。石綿が社会問題化した後、市は責任を認め、2007年11月、定期健診や発症した場合の補償を保護者らと約束してきていた。(カナコロ、9月19日)

▶〔児童虐待の対応件数〕 厚生労働省が発表した「平成25年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数等」はこちら。図表のまとめはこちら。事例はこちら。

▶〔子どもの貧困率、過去最悪の16.3%〕 平均的な所得の半分を下回る世帯で生活する18歳未満の子どもの割合(子どもの貧困率)は、平成24年で16.3%と過去最悪。厚生労働省の国民生活基礎調査から明らかになった。

▶〔最新の家計調査〕 統計局が毎月調査している家計の収入・支出,貯蓄・負債など。

▶〔学校における子どもの心のケア〕 『学校における子供の心のケア:サインを見逃さないために』を文部科学省が公表。

▶〔日本の各種統計〕 統計局が出している各種統計をまとめたページ。2の(3)が子どもと若者に関する統計です。

▶〔くる病が乳幼児に増える〕 1990年代にはほとんどみられなかった子どもの「くる病」が、2000年頃から目立ち始めている。たとえば、東京大学病院がこの10年ほどで診断したり他施設から相談を受けたりしたケースは100件以上にのぼるという。くる病は、ビタミンDが極端に不足することで血中カルシウム濃度が下がり、骨の変形や成長障害などを起こすもの。くる病増加の原因として考えられているのは、母乳栄養の推進(母乳は人工乳に比べビタミンDが少ない)、日光浴不足(紫外線対策のため。ビタミンDは太陽光に当たることで体内で産生される)、偏った食事(食物アレルギー等で、卵や魚などビタミンDの摂取を制限している場合)など。(毎日、5月1日)

▶〔児童虐待の通告、過去最多〕 平成25年の1年間に警察から児童相談所に通告した虐待(18歳未満)の人数は21603人となり、前年比31.8%増で過去最多となった。摘発は467件(前年比5件減)、人数は482人(同4人減)。通告理由の内訳は、心理的虐待が12344人で、うち8059人が児童の目の前で配偶者に暴力をふるうなどしたもの(面前DV)、身体的虐待6150人、子育て放棄など2960人、性的虐待149人。(各紙、3月6日)。

▶〔入園前後の子どもの健康について調査〕 ファイザー株式会社は2月17日、「お子さんの入園準備と健康」に関するアンケートの調査結果を発表した。0~5歳の子どもを持つ母親2470人が対象。入園前後で子どもの健康にどんな変化があるか、入園前にどんな準備をしたかなどを調査した。たとえば、入園後は入園前に比べ、平均通院回数が1.6倍に増えた(2013年4~12月の9か月間で、入園前の通院平均4.4回に対し、入園後は7.2回)。また、「入園前にワクチンの予防接種を確認した」母親は全体の77%だったが、確認した母親のうち96%が「自分で確認」しており、「子どものかかりつけ医で確認」は11%だった。このため、場合によってはワクチン接種の情報や変更を知らないまま入園する子どももいると懸念される。図表等のpdfはこちら

▶〔日本の「人口ピラミッド」の変化〕 総務省の人口ピラミッドのページです。大正9年(1920)平成22年(2010)平成62年(2050年・予測)を比較してみると…。

▶〔『子ども虐待医学』、翻訳出版〕 これまでの研究データをもとに、子どもが虐待を受けたかどうかを見分ける専門書『子ども虐待医学』(明石書店、B5版877ページ、39900円)が翻訳出版された。翻訳したのは、済生会前橋病院(群馬県前橋市)の小児科医・溝口史剛氏。2008年に米国で刊行された原書は、小児科、外科、婦人科、皮膚科、精神医学等の専門家49人がさまざまな研究データを紹介し、虐待の見分け方を解説している。(東京新聞、12月27日