2 附 (1) 置き去り、取り残しの事例(過去のニュースから)

 置き去りや取り残しだけで子どもの命が奪われることはまずありませんが、命を奪う危なさ(暑熱、息ができなくなる環境要因、自動車や電車等)があるときわめて危険です。こちらの資料の中に「取り残し、置き去りの予防」があります。熱中症(8-2)、息ができなくなる危なさ(2-2)、散歩(5-2)、および該当する事例集をご覧ください。


【バス内取り残し。対称的な2件】●2021年11月29日の下校時、栃木県茂木町で町が業者に委託して運行する通学バス(マイクロバス)の車内に小学生女児を約1時間、取り残した。眠っていた児に運転手が気づかず、バスを車庫に入れ、点検しないまま施錠し、車庫のシャッターも閉めて帰宅した。約1時間後、目を覚ました児はバスの窓から飛び降り、車庫の窓から外に出て徒歩で自宅に帰ったという。脱出した際、足に軽いけがをした。運転手は「点検をおろそかにしてしまった」とミスを認めているという。
●滋賀県野洲市の市立幼稚園で3月11日、送迎バスが登園中の園児1人を降ろさず、車庫に戻ってから気付くミスがあった。発表によると、午前8時50分頃、園児26人を乗せたバスが園に到着。添乗員2人が前から3列目で眠る4歳園児に気付かず、車庫へ戻ってしまった。運転手が車内点検中に園児を発見、午前9時5分に園に送り届けた。市のマニュアルでは、送迎時に複数の添乗員が名簿と目視で車内を確認することになっている。この日は、送迎のお礼に園児から添乗員へプレゼントを渡す恒例行事に当たり、確認がおろそかになっていたという。〔掛札コメント〕誤食であれ、取り残しであれ、ヒューマン・エラーは必ず起こるから、(可能な場合には)複数回チェックをするのです。滋賀県の事例は、複数回チェックをしていたから見つけられたものであり、「まさか残っているわけはないと思っても、運転手が最後にもう一度、点検をする」というルールに意味があり、実際、運転手が実行していた!(拍手!)という事実が確認できるわけです。一方、栃木県の事例は、「まさか残っているはずがない」とすべき点検をしなかった結果です。
 もうひとつ、「添乗員2人が気づかず」の部分は「2人で見ていて?」と思うかもしれませんが、2人で話しながら見ていたら、気が散っているので、見えないことは十分にありえます。この種のチェックは、子どももいなくなった後に1人でチェック。そして再度(またはバスを閉める時に)別の1人がチェック、です。

▶〔園バスに取り残し、死亡〕2021年7月29日午後5時半頃、福岡県中間市の私立保育園から、「送迎バスの中で児が倒れている」と通報。搬送されたが、午後7時頃に死亡確認。着衣等の乱れはなく、車内に長時間閉じ込められていた可能性がある。児が帰りのバスに乗っていないことに母親らが気づき、連絡を受けた園関係者が園駐車場に停車中の送迎用バスの車内で児を発見した。同園には送迎用のバスが複数あり、迎えと帰りに使うバスは別だった。

▶〔送迎バスに取り残し〕2020年9月3日、福岡県久留米市の送迎保育事業で、市中心部と保育園を結ぶ送迎バスの担当保育士らが2歳児を降ろし忘れ、車内に置き去りにした。午後4時頃、児は園から保育士2人に引率され、他の園児16人と乗車。同27分頃、市中心部の送迎保育ステーションの駐車場に到着。下車後、子どもが1人足りないことに気づき、施錠された車内に戻り、同40分頃、チャイルドシートに座っていた児を見つけた。児に熱中症の症状などはなかった。

▶〔5歳児が80分間、所在不明〕島根県松江市の市立幼保園で2018年4月20日、5歳児が80分間、行方不明になっていたことがわかった。午後3時20分頃、園舎2階にいた児の姿が見えなくなった。担任が1人で園舎や園庭などを探したが見つからず、約50分後に職員室に連絡。その後、複数の保育士らが園外を見回ったが、4時40分頃、数キロ離れた自宅に一人で帰っていると母親から電話があるまで所在を把握できなかった〔掛札コメント〕園の外に出る、家に帰るなどはひんぱんに起こりますが、まず、担任の先生だけで50分間さがしたところが大問題です。「いない!」と気づいたら、園内ですぐに共有してください。園敷地内にいないようであれば、警察と保護者にもすぐ連絡を。死亡等の結果になった場合、「連絡がなかった」「遅れた」ことが問題になります。一方、見つかれば「お騒がせしました」ですみます。

▶〔送迎バスに2時間置き去り〕2018年10月23日、北海道西興部村の村営保育所に通う2歳児が送迎バスの車内に約2時間、放置された。体調不良などはなかったという。午前9時半頃、園児6人を乗せたバスが保育所に到着。保育士は5人を降ろしたが、最後尾座席のチャイルドシートに座っていた児に気づかなかった。運転士も気づかず、休憩のためエンジンを切って自宅敷地内に駐車してバスから離れた。児の保護者の知人が同日午前11時半頃に保育所を訪れ、児がいないことに気づき、連絡を受けた運転士が車内で幼児を発見した。

▶〔園児を一時、園庭に「置き去り」〕神奈川県横浜市内の認可保育所で、3歳児が園庭に一時的な置き去り状態にされたとして、市が児童福祉法に基づいて同園を立ち入り検査し、園側を口頭で注意した。2017年3月24日、園庭で遊んだ後にこの児が保育室に戻らなかったことから、保育士が児を残して1~2分程度、保育室のカーテンや窓を半分閉めるなどしたため、置き去りの形になったという。通報を受けて4月1日に立ち入り検査を実施した市は「安全管理上の心配があり、不適切だった」としている。園は取材に対し「カーテンの生地は薄く、声がけを続けるなど様子は確認していた」とする一方、「柔軟性が足りなかったことは事実で、指導方法を改善したい」としている。〔掛札コメント〕え、園庭でしょう? 見渡せないほど広い園庭なんでしょうか。これも「園庭に一時的に置き去りにした」事態なのでしょうか。うーん。

▶〔送迎バスに取り残し〕2017年9月、さいたま市岩槻区の私立幼稚園で、3歳男児が送迎バスに5時間放置される。健康上の異常なし。

▶〔送迎車の中で熱中症死亡〕2017年7月13日午後3時20分過ぎ、埼玉県上尾市の障害者施設の送迎車内で、19歳の男性利用者が倒れているのが見つかった。搬送されたがその後、死亡。約6時間にわたって車から降ろし忘れ、熱中症が死因とみられる。朝、車で利用者を迎えに行き、午前9時頃、施設で利用者を車から降ろしたが、その際、降ろし忘れたとみられる。男性は知的障害があり、自分で車のドアを開けることができないという。

▶〔人数確認せず置き去り。保育課も事実を共有せず〕新潟県新潟市江南区の市立保育園で2017年6月23日、職員3人が園児13人を連れて散歩した際、立ち寄った公園で園児の人数を数えず、1人を置き去りにした。通行人が園児を園に送り届けて無事。新潟市長は7月の定例会見で「たとえ素人やボランティアでも、子どもを外に連れて行く時に人数を確認しないというのはあり得ない。認識の厳しさが足りない」と非難した。また、市の保育課がこの3日後、市内の保育園などに人数確認を徹底するよう注意喚起文書を送った際、置き去りの事実に触れなかったことについても「(文書で事実を)伝えなければ、ほかの園は状況を把握できない」「間違った対応だった」と述べ、関係者に注意したと明らかにした。〔掛札コメント〕起きた事実を詳しく言わずに注意喚起だけをしたのでは、まったく無意味です。事実を伝えるのは、事故を起こした人を責めているわけではありませんし、そのような書き方をしてもいけません。責められると思えば、人間はミスを「隠そう」とするからです。

▶〔送迎バスに約5時間放置〕埼玉県さいたま市岩槻区の私立幼稚園で2017年9月11日、送迎バス車内に3歳児1人が約5時間放置された。児の健康に大きな問題はなかったが、園側は「乗車していた園児を全員降車させたか、確認しなかった」と話しているという。最初の運行が終わった午前9時半頃、駐車場に回送。児が発見されたのは、再び運行を開始する午後2時半頃だった。バスは扉が閉まっており、児が開けられない状態になっていた。気象台によると、この日のさいたま市内の最高気温は30度。

▶〔送迎用ワゴン車内で死亡〕2007年7月、北九州市小倉北区で、保育園の送迎用ワゴン車に2歳男児が放置され、熱中症で死亡。

▶〔不明の生徒、4時間捜さず〕茨城県結城市の市立中学校の教諭らが、宿泊学習中、行方不明になった特別支援学級2年生を4時間近く捜していなかったことが明らかになった(2015年5月)。約200人で訪れ、標高1701メートルの山に登山。昼食後、下山途中の午後3時45分頃、この生徒がはぐれた。宿泊先に戻った後、引率教諭は別の生徒からこの生徒が戻っていないと報告を受けたが、所在確認をしなかった。夕食後、生徒の一人から再度申し出があり、午後7時45分頃に110番。山中で足首を捻挫し、動けなくなっていた生徒は午後9時頃に発見された。学校のホームページでは一時、夕食の写真とともに「全員、無事下山」と伝えていた。

▶〔送迎バスに取り残し〕2003年3月、岐阜県羽島市の私立幼稚園で、通園バスに3歳女児が4時間放置される。けがなどはなし。