B-2. 手紙、掲示、その他のひな型(2021/6/15 PDFも含め、ほぼ全項目を更新)

 ひながたはPDFまたは画像です。ご自身の施設に合うよう内容を加筆・修正してください。それぞれのコメントにある通り、理由があって書いている内容、文章の順番ですので、内容や文の流れを大きく変えることはお勧めしません。
自由に使っていただくことを前提にしていますので、「このサイトをもとにした」等と記載する必要は一切ありません。


概論

 下の掲示や手紙は、だいたい3つに大別できます。

1)「園はリスクを認識している。園はできる取り組みをしている」と保護者に伝え、保護者にも協力や理解を求める。たとえば、感染症関連や食物アレルギー関連が該当します。

2)「園はリスクを認識している。だが、園としての取り組みは難しいか、できない」と保護者に伝え、保護者に注意喚起し、行動をするよう呼びかける。たとえば、マダニ対策、駐車場や門扉/玄関の開閉に関するもの、子どもが家から持ち込むもの等です。

3)「園がリスクを新たに認識した。園は取り組みをしていく」と保護者に伝え、家庭にも同じ、または類似のリスクがあると注意喚起するもの。例としては、ミニトマトやトマトの栽培を中止する際の掲示/手紙。それ以外にもたとえば、
・家庭における事故と類似のヒヤリハットが園で起き、改善等の対応をした時 、
・遊具等、玩具、園内環境の危険をみつけた時、
・散歩経路で危険箇所をみつけた時。
 園におけるリスクと安全だけでなく、それを家庭にも情報提供していこうという姿勢を示すものです。「今まで気づかなくて恥ずかしい」とこっそり改善、対応するのではなく、「気づきました! こう直しました/変えました。ご家庭でも…」と言う方法です。

 これ以外にも、「魚の骨」のように保護者の考えを把握しつつ、リスクを伝えるというタイプもあります。

 こうした掲示や手紙を通じてリスクを伝え、「~してください」と伝えた結果、保護者が危険な行動をやめない、安全な行動をしないとしても「効果がない」と思わないでください。そもそも紙切れ1枚で人間の行動が変わるなら苦労はしませんし、健康心理学なんて要らないのです。では、なんのために伝えるのか。

1)「園として、保護者に伝える責任」は果たした。
2)「〇〇さん(保護者)、あんなことをしている。大丈夫なのかなあ。危ないのに…。園はわかっているのかな。なんで言わないんだろう」と思っている保護者に、「園はリスクを認識しています」「注意喚起をしています」と伝える。

 心配している保護者は何も言わないでしょう。でも、園と子どもたちのことを心配している「園の味方」です。こうした味方が「あ、掲示が出てる。よかった、園はわかっているんだな」と感じるようにすること。伝えずにおいてその危なさで深刻な結果が起きた時、味方であったはずの保護者は「やっぱり起きた。心配していたのに!」と感じてしまい、味方ではなくなってしまうリスクがあるからです。

 リスクを伝えることは「寝た子を起こす」ではありません。「目が覚めている保護者(=園の味方)」に園のリスク認識を伝えるためでもあります。危険なことをし続ける保護者はどんな時でもいますし、その人たちはそう簡単に変わりません。でも、リスクを伝える伝えれば、わかっている保護者をさらに育て、園の味方である保護者をいっそう強い味方にする効果はあります。(2017年5月。2021年6月14日改訂)


ひな型に共通する注意点

0)以下の内容はすべてリスク・コミュニケーション、つまり「自園で起こるかもしれないと、見越してするコミュニケーション」です。自園でなにかが起きた後に出しても効果はないどころか、 「言い訳?」「責任転嫁?」とすら言われかねません。ニュースで園の事故/事件報道があった時、近隣園でなにかが起きた時には、「こんな事故/事件がありましたので、(再度)お伝えします」と言えます。

1)掲示や手紙を一度に何種類も出さないこと! 誰も見なくなります。まとめて出したいなら、最初から「入園のしおり」等に入れておきましょう。それでも、時期ごとに「『入園のしおり』でお知らせしてある通り…」と伝える必要はあります。しおりに書いても読むとは限らないから(「どうして読まないの?」…あなたはそういう書類や取扱説明書、読みます?)。こうしたコミュニケーションの理由は、まず「お伝えしましたよね」と言うためであって、「読んで理解してるはずですよね」と言うためではありません。

2)掲示は風景の一部になってしまいます。時々、出したりしまったり、場所を変えたりしましょう。

3)「伝えた証拠」なのだから、発行日を書く。「〇月吉日」はダメ。

4)園名、園長名(理事長名、社長名等)を入れる。つまり責任者の明記。

5)冒頭に、「日頃からご理解ご協力をいただき」云々を入れない。この文章を入れることで「協力しろと言っている感じ」が醸(かも)しだされてしまう。なにより、前置きが長いと読む気が失せる(メールの場合は特に)。

6)内容がわかるタイトルにする。「お願い」「お知らせ」はダメ。なぜか。その内容を理解している保護者(=園の味方)はタイトルを見た瞬間に「ああ、そういうことね」とわかるから。

7)できる限り、結論(リスク、取り組み)を最初に大きく書く。なぜか。タイトルを見て「なんだろう?」と思った保護者の中には、結論を読むだけでわかる人がたくさんいるから。

8)結論を読んでも理解できない、あるいは理解しない保護者に向けて、結論の後に説明を書く。

9)よほどの理由がない限り、末尾に「ご理解ください」「ご迷惑をおかけします」「申し訳ありません」等の下手(したて)に出る言葉を書いてはいけない。その言葉を書くから、読んだ側に「迷惑をかけられている」という意識を生む。

10)園でできないことは「できない」「しない」とはっきり書く。できないことを「できる」と言うのは無責任。


手紙、掲示、他のひな型

他のページにあるひな型は以下の通り。(6/15時点)
  • 新型コロナウイルス関連:Facebookページの「ひな型の目次」
  • プール活動関連: 7-1. 「プールを始めよう」という前に
  • 熱中症関連:8-2. 暑さ、熱中症(暑熱災害)
  • 災害関連:8-3. 災害想定時の体保護者リスク・コミュニケーション
▶緊急連絡先は、連絡がとれる番号を
 入園時には必ず伝えていることだと思いますが、年に数回、確認をしたほうがよいでしょう。携帯等を持ち込むことができないエリアで働いている人もいますし。こちらの手紙。(2018年4月6日改訂)
▶服薬や事故などについて毎朝、必ず伝えて
 体調が良くない状態で子どもが降園した次の日、「体調はいかがですか? お薬など使っていませんか?」と聞くのは気が重いものです。一番簡単なのは? 毎日必ず聞く、必ず言う習慣にお互いしてしまうこと。人間、ふだんしていないことをする(=保育者がその日だけわざわざ聞く)のは気が重いもの。また、ふだんはされていないことをされる(=保護者が服薬について訊かれる)のも、「解熱剤を使っていると思われているのでは?」「隠さなくちゃ」というような、よけいなエネルギーを使ってしまう。なにかあるなら「ある」、なにもないなら「ない」を毎朝、やりとりする習慣にすればよいのです。
 新年度には、「これからは毎朝、必ず聞きます。必ず言ってください」と伝える手紙を出しましょう(しばらくは部屋にも掲示しておくのも一手)。体調不良をめぐる保護者コミュニケーションについては、B-1
▶体調が悪化する時、した時のために
 この手紙/掲示には、体調が悪化しそうな時や、悪化した時に重要なことだけを書いています。「ご家庭でも手洗いやうがいを」「園に入る前に消毒を」などはありません。重要性が薄まってしまうので、感染症予防に関する内容はここには書かないでください。特に「ご家庭でも手洗いやうがいを」等は園の責任外なので、園が独自に書くのではなく、保健所などが配るポスターを貼るようにしましょう。また、登園許可書などのことも、ここで細かく書いてはいけません。目的が違うメッセージをごちゃごちゃ載せれば載せるほどわかりにくくなり、読まれなくなります。
 黄色で示した部分(実際には色を変えたりしないでください)は、「連絡をこまめにする理由」「早いお迎えをお願いする理由」「出る時に電話をしてほしい理由」です。理由がわかれば(それも自分の子どものためだと思えば!)、保護者は納得するはずです。「おどかすようなことを書かないほうがいいだろう」ではありません。自分たちが「~する理由」は明確に書きましょう。電話で伝える時も、電話をする人が丁寧にやわらかく言うことができるなら、子どもの体調がかなり悪い時は同じように(一度は)言ったほうがいいと思います。電話をする人が、きつく冷たく言ってしまいそうなら、言ってはいけません。そうすると、保護者は「おどかされた」としか感じず、迎えに来て「なんだ、これくらいであんな言い方をして」と思ったら、後がこじれるだけです(B-2. 体調不良の時の保護者コミュニケーション)。
 ただし、熱が上がり続けるなど、体調が明らかにどんどん悪化している時には、電話をする度にいちいち、「お迎えをお願いします」と言う必要はないでしょう。保護者が「何時ごろに迎えに行きます」と最初に言ったのであれば、その後は「体調のご報告です」という形だけで十分です。そして、体調を伝える時もお迎えを依頼する時も、いちいち「申し訳ございません」と謝る必要はありません。そもそも園が「謝る」必要のあることではなく、(意味もなく)謝れば謝るほど保護者をいらだたせ、「園に迷惑をかけられている」という感情をつくってしまいます。「丁寧にやわらかく」、でも、「対等に、謝りすぎず」です。
 そして、体調が明らかに悪くなっている場合は、ビデオで子どもの様子を撮って保護者に見せることも大事かもしれません。保護者に伝えられそうであれば電話連絡の中で、「体調が悪くなっているようですので、今日じゅうに受診なさったほうがよいかと思います。なので、体調の変化をこまめにご連絡しますね」と伝えましょう。当日中に受診するのであれば、早く迎えに来る必要がありますから。実際、体調が何時間もずっと悪い状態(=園で過ごしている)を目にしていない保護者は、「ああ、これくらいなら大丈夫」と受診しない可能性もあります(受診時間外だと特に)。
 保護者には保護者の都合があり、すぐ迎えに来ることができない場合も多々あります。自分の子どもことだと納得していても、その場では、電話の向こうで保護者が不機嫌になることもあるでしょう(『保育者のための心の仕組みを知る本』61ページ~)。その点は理解して、職員皆で声をかけあい、心理的な距離を保ちましょう。(たいていの場合)園が怒られているわけではありません。「怒られちゃった」「電話したくない」「私たちでなんとかしよう」ではないのです。園として「すべきことをする」、つまり子どもの体調の記録をこまめに取りながら、保護者に連絡をして体調の報告とお迎えのお願いをする、そして連絡したという記録も取っておくことが重要です。(2017年9月7日初出)
▶連絡帳の内容が必要最低限になります(感染症流行期)
 職員も感染症にかかります。でも、連絡帳はしっかり書かないと…。いえいえ、先生たちの健康と安全が確保されていなければ、子どもの安全も保育・教育もありません! …ということで、インフルエンザが流行している時などは、こちらの掲示を。手書きでかまいません(手書きのほうが切迫感が感じられます)、全クラスのドアに貼ってください。
 手が足りなければ、どう頑張っても連絡帳の内容は薄くなり、連絡ミスも増えます。こういった掲示で先に知らせておかないと、「どうしてこれしか書いてない?」と思う保護者が出てきます。でも、知らせておけば「そうか。先生たちも大変なんだ」と(大多数の)保護者は感じるはずです。もちろん、何を言おうが「うちの子の様子をもっと書いて!」と言う保護者はいます。そのような保護者には、ていねいに「今、職員がインフルエンザで休んでいるものですから」と伝えておしまい。「申し訳ございません」と謝る必要はどこにもありません。(2016年1月26日初出)
▶感染症時期の衣服に関するお願い
 感染症の時期、「最悪、捨てても惜しくない服で…」と伝える手紙/掲示です。他児の吐しゃ物がついた服の扱いは園によって対応が異なるようですが(その部分は変えてください)、まず「保育時間中は」が基本です。(2017年12月21日初出)
▶保育時間中は新しい服、高価な服を着せないで
 この内容は「しおり」に入れるなどして、新年度に伝えておくべきことです。高価な服や新しい靴は本当に盗難が起こりますから。(2021年3月26日)
【おまけ】
 人間は間違える生き物です。連絡帳は個人情報ですから、入れ間違いがないよう絶対に「声出し指差し確認」(2-3)しながらバッグに入れる。でも、それ以外は間違いが起きて当然と考えていないと、先生たちがつらくなります。あるいは、下のような連絡プレートを個人のロッカーなどにつけることで、保護者に持ち帰りの責任を手渡す方法も。洗い物以外に「お渡しする書類があります」などのプレートもあると便利です。プレートの形や色を変えると、保護者もわかりやすいでしょう。とにかく、「職員がなにもかも責任をもって、間違いのないようにしなくちゃ!」ではないのです。


▶与薬票のひな型
 園内研修(リモート)をしている園で「与薬票が使いにくい」という声が先生たちからあがったので、一緒に同園で研修会をしている並木由美江先生にも意見をたくさんいただき、見直してみました。この紙を縦に2つ折りして透明なウォールポケットに入れれば、大事な情報(だけ)がパッと見えます。
 それでも与薬ミスは起きます。当たり前です、人間のすることですから。なので、「入園のしおり」等にこちら(A-3)の5)の文章を入れておくことをお勧め。「ミスをしません」と言ってはいけません。まず、「薬は預かりません」が基本であり、地域の医師会とも協議しておくべきことです。(2020年11月2日)

▶マダニ予防と対策について
 マダニは命にかかわります。でも、園でできることは限られています。マダニ刺咬のリスクを保護者に伝え、「チェックは家庭で」と明確に。「園でもチェックします」と書きたい? そう書いたら、あたかも園で咬まれた(咬まれる)かのような意味になってしまいます。マダニは、家屋裏の藪にでもどこにでもいます。「園でもチェックする」とは書かないでください。これは「園が責任を手放す」典型的な事例です。ひな型はこちら
▶虫忌避(虫よけ)剤について
 まず、この手紙/掲示は、子どもが蚊に刺されないようにするためのものではありません。この項目は本来、Bではなく、上のAに入れるべきものです。「子どもが遊ぶのだから(価値)、蚊にも刺される(リスク)」。そして、あなたの園では毎夏何回、「うちの子が蚊に刺されないようにして」という言葉を保護者から聞きますか? それは多数派ですか?(もし多数派だと言うなら、園内を毎朝燻煙して、子どもには朝昼晩と忌避剤を塗布しなければなりません。この手紙はそもそも無意味です。そして、そのような保護者は園に子どもを預けるべきではありません。保育の価値とリスクをわかっていないのですから)。
 この手紙は「子どもが外で遊ぶ」という価値を明確にするためのものです。そう伝える気持ちがないのなら、子どもたちが蚊に刺されないよう、ありとあらゆる手段を講じるしかありません。
 虫忌避剤については園によって方針も方法が違うでしょうから、ひな型も少しややこしくなっています。園に合うものをお作りください。「園で忌避剤を使う」という場合の理由はそれぞれなので書いていません。
 今回の手紙/掲示はA4に1枚ではおさまらないと思います。無理に小さい字にして1枚に詰め込まず、大きめの字でゆったりめに、2枚(表と裏)にしてください。見にくい手紙/掲示は誰も読みません。
 内容は、あくまでも一般的な園庭や公園等、屋外環境を想定しています。マダニ等がいる林ややぶに入る場合は、長そでと長ズボン。そして、使用するリスクをわかったうえで(保護者にも伝えたうえで)有効性が証明された忌避剤を注意書きに従って使用するべきです(上のひな型参照)。
 また、蚊や虫には「刺される」が前提ですので、刺された時の対応も別途明示しておくべきでしょう。水で洗い流すだけで塗り薬も使わないという園や自治体もありますが、かゆみを止めなければ子どもはかき続けます。あとも残るでしょうし、とびひなどの原因にもなります。刺されることが当然である以上、「何もしません」「薬は塗りません」ではなく、子どもの体質に合わせた対応をする必要があります(レスタミンのような成分が必要な人もいます)。「自治体(園)の決まりだから、薬は塗りません」で終わらせたのでは、「虫忌避剤は使いません」という論理に合わず、「それなら、刺されないようにしてください」という要望を強くしてしまうだけです。
 保護者がどうしても虫よけパッチをつけてくる場合には、「名前を書く」。これは、ホクナリン・テープ等の場合も同様です(次のひな型)。
 アロマ・オイルのリスクについては、医療情報専門のウェブサイト(英語)からとっています。「自然のものは安全」は間違いです。天然であれ人工であれ、化学物質は化学物質ですから。
ユーカリ油:「子どもの皮膚への使用は、安全ではないであろう」「ティートリー油等との交差アレルギーがある」
シトロネラ油:「子どもが口から摂取することは安全ではない。虫忌避剤を誤飲して亡くなった幼児例あり」(医療情報専門のWebMD)
 ピレスロイド系農薬が使われている市販の忌避剤では「息苦しい」等の訴えも起きています。アロマ・オイルであれ、植物由来の化学成分であれ、誰にとっても無害と言い切れるものはなく、特に乳幼児は自分で不快や不調の訴えをできない以上、園が「大丈夫」と言うのは危険です。
 そして、いわゆる「虫よけ製品」の中には、消費者庁から措置命令(2015年、日経新聞)を出されているものがあります。こうした製品の説明を読むと、人間を刺す蚊ではないものが対象になっているとわかります。「虫よけをしろと言われるから」…、待ってください。科学がわかっている保護者は「効果ないのに、お金をかけてなにしてるんだろう」と思いますよね。園の強い味方にしたいのは、どちらのタイプの保護者ですか? 「虫よけをしろ」と言われたら、措置命令が出たという新聞記事を貼って、余白に「だから、使いません」と書いておきましょう。
 「蚊取りボトル」については、ネット検索してください。(2018年6月4日初出)
▶テープやパッチ、絆創膏等を貼ってきた時
 「貼ってこないでください」と言っても、貼ってくる人は貼ってきます。貼らなければいけない場合もあるでしょう。だから、理由を説明して「名前を書いてきて」です。気管支拡張剤のテープ、虫よけパッチ、絆創膏などのテープ類の誤嚥、誤飲についてはこちら(4-3)にあります。(2017年6月18日改訂)
▶園内に食べ物を持ち込まないで
 食べながら登園する、お迎え時に自分の子どもにおやつを渡す…だけでなく、子どもが自分でお菓子を持ってきて配ることもあるようです。なので、こちら。(2016年4月16日初出)
▶保育中はパンツ(ズボン)で。あるいは活動用の置きパンツを
 新年度向けの掲示の形をとっていますが、「入園のしおり」等にも入れられますし、それ以外の時期でも使えます。フードやヒモのついた服も同様の注意が必要。かといって、保護者が常に新品の服を買えるわけではありませんので、「禁止」は無理。リスクをきちんと伝え、保護者の責任も伝え、代替案(活動用の置きパンツ。外遊び用の上着等)も伝えることが不可欠です。(2016年3月6日初出)
▶子どものバッグにキーホルダー等をつけないで
 こちら。落としたら他の子どもが誤嚥、誤飲するリスク(解説はこちらの各項目)があるからです。「登園前、子どもの服のポケットやバッグに園で必要なもの以外が入っていないかを確認して」と伝えるのも大事。
▶においの強いものについて(+生乾き臭と体臭)
 柔軟剤や消臭剤の他、タバコ、アロマをしみこませたテープ状の虫忌避剤など、強いにおいが増えています。強いにおいも騒音などと同様、害になりかねません。まず、「このにおい、嫌い」「気持ち悪い」「頭痛がする」とは言えないのが子ども(特に乳児)です。
 そこでこのお手紙/掲示。保護者自身は「強いにおい」と思っていないでしょうから、こちらから「このにおいは強いですよ」と言えるようにすることが目的です。また、この手紙/掲示の最後の1行が功を奏して「私もそう思っていた」「うちの子の服ににおいが移っていた」という声が出てくれば、園も保護者も対応しやすくなると思います。
【おまけ】
 一方で問題になるのが、職員の体臭や衣服の「生乾き臭」です。なかなか言いづらいものですが、保育は子どもと接する職業(一種の「接客業」)であることを考えれば、香水をつけないのと同様、体臭や衣服のにおいにも職員がお互いに気を配り、言えるようにするべきでしょう。生乾き臭をおさえる方法は、ネット上でもいろいろと紹介されています。制汗剤もかなり強い塗布式のものが売られています。においに敏感な子どもたちと接する以上、「言えない」はナシです。ただし、他人の体臭に対する感じ方には個人差があります。「この人のにおいは大丈夫か?」ではなく、基本、「誰でも体臭はある」(汗をかくのですから!)「私の体臭は?」という考え方で…。(2018年5月14日初出)
▶職員の顔がわかる写真をSNSに掲載しないで
 こちらは下のものと一緒に、まず「入園のしおり」に入れておくのがおすすめ。子どもと一緒に写っている職員の写真が掲載されてしまうことがあるようです。中にも書いていますが、園としても玄関先に職員の顔と名前が一致するような紹介ボードは置かないでください。実際、そのボードで名前がわかり、ストーカー事件につながってしまったことがあります。当然ですが、子どもの顔と名前が一致するものも、外来者の目につく所には掲示しない! 下のお願いをしていない園は今どきはないと思いますが、この掲示とセットで。
▶他人の子どもの顔がわかる写真を掲載しないで
 これは手紙形式ですが、「入園のしおり」にも。ただし! 必ず自園の取り組みも併記してください。たとえば、カメラやビデオ、SDカードは鍵のかかる場所に保管、データを個人のUSBメモリ等にコピーしない、データを園から持ち出さない等です。「園はプライバシー保護に具体的な方法で取り組んでいます。保護者の皆さんもよろしくお願いします」という意味です。
 情報処理推進機構の記事を手紙でも紹介していますが、このような公的な情報(省庁、自治体、病院、研究機関等)を入れることで掲示や手紙の信頼性は高まります。その時、必ず引用元、参照元を書いて入れてください。引用元、参照元を入れずに、他者が言った/書いた言葉を引くのは「盗用」です。検索キーワードやURL(サイトのアドレス)も入れて、保護者が自分で見ることができるようにしましょう。検索キーワードのほうが親切です。アドレスは1文字でも入力ミスをしたら出てきませんから。(2015年10月4日初出)
▶お弁当に関する注意
 この手紙はこのままか、行事のお知らせに入れていただくかしてお使いください。保護者が参加しない行事のお弁当を想定しています。保護者が参加する時は、保護者が子どもを見ているのが基本ですから。
1)まず、食べ物の危険について。掲載しているものは、いずれも窒息死が起きています(4-2)。「こんにゃくゼリー」以外のカップ・ゼリーも、上を向いて口に入れるから危ないという声を聞きます。「上を向く=気管に入りやすい姿勢」です。子どもが喉に食べ物を詰まらせるリスク(2-2)は、「急に息を吸い込む(=んぐ)」時に高まりますが、特に遠足などの行事中は、歩き食べ、ふざけるなど、リスクが上がります。
2)プラスチックのピックをかじる子どももいます。類似の形状のものを隣の子の耳に突き刺して鼓膜を破った事例(保育園)もあります。串が喉の奥に刺さって死亡した例は有名です。ピックは比較的小さいので、箸などに比べて保育者に見えにくく、より危険になります。そして、ピックがなくてもお弁当は作れます。
3)酸性の飲料については、こちら。保護者にもこの資料を伝えましょう。
4)「キャラクター弁当を作ってこないで」とは言いにくい。でも、「めんどうだけど、作らないといけないのかな」と感じている保護者も少なくないようです。そういう方たちからプレッシャーを取り除く意味で、ひと言を足しておくのは大事でしょう。一方、キャラクター弁当を作りたいという方に「ダメなんですか?」と訊かれたら、「いえ、ダメというわけではありませんが、インターネットで調べると、衛生の専門家の方が食中毒のことをずいぶん書いているようですから…」と。(2017年10月24日初出)
▶食物アレルギー:「おつきあい除去」を知らせる
 この掲示/手紙は、私(掛札)が「おつきあい除去」と呼んでいるものを保護者に伝えるためのものです。ヒューマン・エラーを減らすために複数の除去食材をまとめている場合、本来は食べられるものを(おつきあいで)食べていない子どもが出ます。牛乳や卵のような栄養源の場合は、やはり保護者に知らせて家庭で積極的に食べるようにするべきでしょう。それ以前に「なぜ、言ってくれなかったんですか?」という不信感を生まないためです。
 「食物アレルギーのある子どもの保護者にだけ出せばいいのでは」? いいえ、下の手紙のように、アレルギーは「ある」「ない」の二分法ではなく、「発症している」「まだ発症していない」「ない」の3つであり、「まだ発症していない」のか「ない」のかはわかりません。すべての保護者に園の取り組みを伝えるべきです。
 手紙の内容は、ヒューマン・エラーをできる限り減らす(「なくす」ことはできません)努力の一環として行っている、という肯定的な枠組みになっています。「食べさせることができなくてごめんなさい」という謝罪の枠組みにしないでください。(2018年7月9日初出)
▶食物アレルギー:家で食べていたら必ず伝えて
 この手紙は、食物アレルギーのお子さんの保護者の方に「家で摂食していたら必ず言ってください」と伝えるためのものです。
 「園では除去、家庭では食べている」というケースが少なくありません。実際、「園では除去、家庭では食べていい」という奇妙な指示書も出ていますし、家庭で気づかないうちに食べていることもあるでしょう。また、「経口免疫療法」でアレルギー食材を少しずつ食べる治療をしている子どももいます(小児アレルギー学会のガイドラインのダイジェスト版)。医師が「少しずつ家で食べて」と指示している場合もあります。つまり、園で除去していても、園で発症する可能性はあるのです。
 また、食物アレルギーは「ある」「ない」の二分法ではなく、「発症している」「まだ発症していない」「ない」のいずれかであり、「まだ発症していない」のか「ない」のかは、わかりません。「うちの園(クラス)にはアレルギーの子どもはいない」という考え方は危険です。「うちの園(クラス)には、アレルギーを発症している子どもはまだいない」という認識で、「いつ、誰が、どの程度の症状を呈しても不思議はない」、そう考えるべきです。
 除去には取り組む、でも、ヒューマン・エラーはゼロにならないから混入等は起こりうる。子どもたちも拾って食べたり、他の子どもの皿に手をのばしたりする。家で食べているかもしれない。これまで症状のなかった子どもが突然、発症するかもしれない…。そう考えて、「症状優先」で取り組み、「これは食物アレルギーの症状に違いない」「これはアナフィラキシーだ」と思ったら受診する、エピペンを打つ、119番要請をする。そうすることで、子どもの命を確実に守ることができます。
 「家で少しずつ食べさせているようだが、危険だからやめさせたい」という意見も聞きます。看護師やかかりつけ医が間に入れば可能かもしれませんが、「やめたほうがいいですよ」と園が言ってしまうと、保護者が隠れてするということにもなりかねません。子どもの命を守るためには、どんなことであっても保護者が園に話せる関係をつくるほうが重要。保護者に働きかけるのは信頼関係ができてから、であっても遅くはないと考えます。お互いになんでも言える関係がなければ、どんな働きかけをしても誰も変わりませんから。(2018年7月9日初出)
【おまけ】
 保育所における食物アレルギー対応ガイドラインの43ページに、園では「完全除去」か「解除」か、どちらかの対応だけをすべきと書かれています。つまり、園で少しずつ食べさせることはしない。たとえば、「卵は1日何グラムまで食べていい」と言われても、オタマですくう卵スープの中に何グラムの卵が含まれているかは、はっきりしませんから。量の加減はあくまで家庭で。
▶ミニトマト、トマトの栽培中止または網かけ
 「食べ物による誤嚥窒息等」(4-2)に関連した掲示/手紙です。ちなみに、網をかけるなら子どもの指が入らない、でも、空気は十分に通るものにしてください。空気が通らない素材ではトマトが腐ってしまいますので…。(2017年5月28日初出)
▶睡眠中の安全確保をするための業務等見直し
 うつぶせ寝をいちいちひっくり返し、睡眠チェックをするなんて無理…。そこで作ったのがこの手紙です。厚生労働省のリーフレットと一緒に渡してもよいかと。「幼児の行事は関係ない」と言う保護者の方もいるとは思いますが、行事等の準備、製作等は園全体でするものですから。なにより、未就学児施設は「子どもを楽しませ、保護者のシャッター・チャンスを作るイベント施設」ではありません。
 ここに書いた以外にも、おたよりを簡素化する、貼り出す写真の枚数を減らす(=撮影枚数を減らす)など、業務全体の中で減らせるものはいくつもあります。人間は「起きるはずがないと思っていること(睡眠中の死亡)」より、「目先の用事」を優先させます。あおむけ寝と睡眠チェックの30分より、作り物30個の達成感のほうが嬉しいのです。でも、お子さんが亡くなったら? 「深刻事故の予防は、なにも起きないことが取り組みの成果」「なんのためにしているんだろう?と思って当たり前」と考えて、あおむけ寝と睡眠チェックに取り組んでください。(2016年7月18日初出)
【おまけ】
 千葉県の死亡事故検証委員会で作った睡眠の安全のリーフレット:保護者向け園向け
▶睡眠モニターは使用しません
 睡眠中のモニター、センサーについて、「導入を見送りたいのだが、導入しないと『睡眠の安全確保に取り組んでいない』と思われないだろうか」というご相談をいただき、この手紙を作りました。日本SIDS・乳幼児突然死予防学会の意見書、さらに、厚生労働省のリーフレット(上のひな型)と合わせて0歳児、1歳児の保護者の方にお配りになってはいかがでしょうか。実際、書いた内容以外にも、機器のリコールが出た場合や耐用年数後、メンテナンスの問題、モニターやセンサーを使っていたのに子どもが睡眠中に亡くなった場合のことなども懸念材料なのですが、そこまでは書いていません。
▶お迎えの保護者の確認、お迎えリストの更新
 「この人、誰だろう?」、そう思ったら声をかけるべきですから、この手紙/掲示を。1の内容は特に新年度ですが、ふだんも「あぶないなあ」と思うことがあったら、2と3をくりかえし掲示するべきでしょう。私(掛札)も、園内研修にお呼びいただくと、お迎えの保護者さんたちに紛れて侵入(?)を試みますが、9割がた成功します。園の敷地に入るのは簡単。その後も堂々と歩いていれば、先生から声をかけられることもありません。これでは、DV、親権争いなどをしている片親が園内に入ることを許してしまいます。
【おまけ】
 言うまでもありませんが、「どなたですかあ?」とぶっきらぼうに聞いてはいけません。笑顔で「ごめんなさい」とひと言かけてから、「どちらさまですか」とやわらかい声のトーンで尋ねてください。まずはこの言い方ができない保育士さんもいると思いますので、この練習から。これができないのでは、保育もできません。どうすればいい? 「きつい声のトーン」は、語尾が強く、語尾が上がる傾向があります。意識的に語尾を弱め(語尾で言葉を止めて飲み込む感じ。語尾を投げ出さない)、語尾を下げてください。「どちらさまですかあ?(怪訝そうな目つき)」ではなく、「どちらさまですか(にっこり)」。(2017年4月18日初出)
▶門扉、玄関ドアから出る時の注意
 これは掲示用です。送迎時、門扉や玄関ドアから子どもが出ていってしまう…、多発します。門扉の所に貼れないならばドアでもかまいません、おとなの目の高さに大きく貼ってください。そして、「ここに書いてありますよ!」という感じで、「〜さん、手をつないであげてくださいね」「先にドアを開けてあげてください」と声をかけましょう。「〜しないで!」ではなく、明るく「〜してくださいね!」。そして、言える時は子どもにも保護者にも「ありがとう(ございます)」。
1)危なさを伝えても、人間は「だから?」「そんなこと、起きない」で終わってしまいがち。「危ない」よりも「何をするか(行動)」をはっきり書きます。
2)「~をしないで」と書くと、「そんなこと、してません」「大丈夫です」というネガティブな反応につながりがちです。「~をしてください。なぜならば、~だからです」が基本。安全には理由があり、理由を伝えなければ相手は納得しません(納得しても行動しないのが人間ですが、納得すれば行動する人もいます)。
3)玄関や門扉の鍵を子どもに開けさせる保護者、開錠ボタンを子どもに押させる保護者はごく普通にいます。「子どもだけじゃ開けられるないから、大丈夫でしょ」と言われたら、「開錠ボタンを傘で押したお子さんもいます」「ものを投げて開錠ボタンに当てて開けたお子さんもいます」と。子どもはおとなが思っているよりもできるんですよ、という意味では肯定的な伝え方ですので、「ああ、うちの子もそれくらいできるかもな。じゃあ…」という意識につながるかもしれません。
4)「目を離さないで」という言葉が使われていますが、保育者と違って保護者にまで「人間は見守ることができないんですよ」と伝えるわけにはいきません。注意を喚起して、園側が手を離すための文章ですので、ここは「目を離さないで」としています。
5)「手つなぎは子どもの命綱」は、こちらの『赤ちゃんとママ』第4回にあります。
【おまけ】
 もうひとつの工夫。ドアの横の子どもの高さに「子ども専用鍵」「子ども専用開錠ボタン」をつけてみては? もちろん、形だけの偽物。たとえば、押すと「ブー」っと鳴るもの(ぬいぐるみのおなかに入っているもの)などを壁につけて、その上に子どもが好きなキャラクターを貼り、「おとなと一緒に子どもがここを押すと、ドアが開くんだよ」と、子どもの注意をそちらに向けます。実際、これをつけていた保育園で、保護者が忘れて先に開錠してしまい、ドアはすでに少し開いているのに、子どもが「ダメだよ、私がこれを押さなくちゃ」と言った事例もあります。保護者の方は「そうだったね」と言ってドアをもう一度閉め、子どもに専用ボタンを押させてあげたそうです。子どもは「習慣の生き物」ですから、こういう方法は大事です。(2017年7月22日初出)
▶送迎時に園庭で遊ばせないで
 「園庭、玄関や門扉周辺の子どもの安全は、保護者の責任」と呼びかける掲示です。特に、園庭に面したデッキやテラスで送迎をする園(園庭で受け入れ、受け渡しをするのは危険です。下の「受け入れ時に名前の記入を」参照)は、ラミネートして保護者に見える位置に貼る、朝夕、目立つ場所に掛けておくなど、しておきましょう。掲示する場所に合わせて紙の大きさを変えてください。文字はもっと大きい方がいいと思います。
 これを掲示しておけば園の責任がゼロになる、というわけではありません。けれども、「保育士が見ていると思っていた」「先生、うちの子があんなことしている。叱ってください」というような保護者の姿勢に対しては、毅然とした態度をとるべきです。(2017年2月26日初出)
▶駐車場の安全と園の前の路上駐車(3種類)
 いずれも掲示、「駐車場内における注意事項」(手をつなぐ、子どもの存在を意識した運転)、「駐車場を譲り合って使う」、そして、「園の前の路上駐車禁止」です。園の状況に合わせ、改編して使ってください。サイズはもっと大きいほうがいいと思います。
 こういった掲示は、できる限り、「~してください」と書くこと。「~しないでください」ではなく。「~しないでください」と言われても「うるさいなあ」「じゃあ、どうしたらいいの?」と感じるのが人間。できるだけ、「こうすればいい」という方法を「なぜならば」という理由と一緒に具体的に書くことです。
 手つなぎの大切さや車の安全等をお伝えになりたい時には、『赤ちゃんとママ1、2、3歳』の連載(こちらにすべて掲載)も参考になさってください。(2016年8月17日初出)
▶行事の時の園周辺、駐車場の安全
 こちらは行事の時に使う掲示です。 大きく印刷してカラーコーンや白板に貼りつけ、玄関先や駐車場の入り口等に置きます。交通整理の職員が出ていて事故が起きた場合には、「職員がいたのに、どうして見ていてくれなかった!」という話にもなりかねません(そのあたりの責任の問題については、園の弁護士にお尋ねください)。駐車場や登降園の安全は保護者の責任である点を明確にするため、職員や園にできないことは「できない」とはっきり書くべきです。保育士の姿が見えれば、保護者は「子どもを見てくれている」と思ってしまうのですから。(2016年8月31日初出)
▶散歩の際、信号や道を渡る時の掲示用カード(2種類)
 「信号の時間が短すぎて、渡り切れない」「信号がなくて、途を渡るのが怖い」…。急いで渡るのは危険、左右の車線の間で待つのも危険。とにかく落ち着いて渡りましょう。信号が緑になったのだから歩行者をはねていい、というルールはどこにもありません。正々堂々と渡るために、こうした掲示(プラカード)をA3サイズ、またはそれ以上に印刷して巻いて持ち歩きましょう(ラミネートしてもよいかも)。信号がある場所用信号がない場所用。もちろん、地元の高齢者の方たちと一緒に、自治体や警察に「あの信号をもっと長くしてください」と言うのもお忘れなく。
 最初の行を赤い字にしたいと思うかもしれませんが、おやめください。色覚多様性(2-5)を持った方には、赤い字が見えにくいのです。赤字にする代わり、ゴシック体にして文字を大きくしました。また、前後に★印をつけ、★印を赤にしました。色が見えにくくても★は見えますから。(2019年)
【おまけ】
 このような方法もあります。左は柏鳳保育園(「はくほう」と読みます。我孫子市)、右はつくしんぼ保育園(日野市)。
▶自転車や自動車の安全全般
 自転車用幼児椅子で危ない使い方をしている、幼児椅子に子どもを座らせたままにして園内にお迎えにくる、左右を見ないで飛び出す、ヘルメットをかぶらせていない、チャイルドシートを使っていない…。いずれも完全に保護者の責任範囲です。へたに「園として」注意喚起をすると「〇〇先生だって~してない!」など、妙なこじれの原因になります。やぶへびを防ぐためにも、警察や交通関連団体が出しているポスターを貼るにとどめましょう。ですから、ひな型はありません。(2017年9月7日初出)
▶受け入れ時に名前の記入を(災害準備)
 避難訓練時、いつ、子どもの人数確認をしていますか? 避難(集合)後? 災害発生のその時(不審者侵入時も同様)に「子どもが何人いるか」がわからなかったら、避難後、集合後に数えても意味はありません。ですから、まず発生時に何人いるかを把握。ところが、朝の受け入れ時は出入りが多く、子どもを玄関においていく保護者や、保育者に声をかけずに出かけてしまう保護者も少なくないようです。そこでひとつの方法として、朝の受け入れ時、受け入れる部屋に紙を一枚おいておき、そこに保護者が子どもの名前を書いてはどうかと考え、そのための手紙/掲示を作りました。特に、ICカードやパスワード等で電子的に登園管理をしている園で必要だと思います。
【おまけ】
 受け入れを園庭でしている園もありますが、これはおやめになったほうがよいと思います。保育者も子どももばらけてしまいがちで子どもに目が届きにくい、保護者が園庭に子どもをおいていってしまう(=職員は登園を認識できない)可能性が高くなる等の理由からです(いずれも事例が複数あります)。受け入れは部屋を決め、受け入れ担当の職員も決めるべき。担当を決めれば、保護者から聞く情報も集約できます(伝言の責任が明確になる)。担当職員は腕章等をつけ、受け入れの部屋から離れず、他の保護者が待たないよう、視線を配ってください。「長い話になりそうだな」と思ったら、「ごめんなさい。他の親御さんがお待ちなので」「今日は受け入れ担当なので…。〇〇にお話しいただけますか(お迎えの時でも大丈夫でしょうか)」とはっきり伝えてください。(2018年8月14日初出)
▶地震が起きた時、Jアラートが鳴った時のために(放送)
 運動会等で、体育館内やホール、校庭など比較的広い場所に子どもも保護者もいる…、そういう時に地震が起きたら? Jアラート(全国瞬時警告システム)が鳴ったら?
 行事が始まる前に、会場のレイアウトや保護者、子どもの位置を考えた上で以下の手順を明確化して、行事の冒頭に必ずアナウンスしておく。研修会等の前にも「地震が起きた時には」というアナウンスを必ずする自治体もあります。それと同じです。非常に大切ですから、「皆さん、必ず聞いてください」と言うのも忘れずに。
1)子どもが保護者と一緒に座っている時は、地震やJアラートの際、保護者が自分の子どもの責任をもってもらう。
2)幼児が保護者と離れて座っている場合や、乳児でも運動会の種目の前などで保護者と離れている場合は、子どもは絶対にその場から動かさず、保護者が自分の子どもの所へ来てもらうようにする。両方が動いてしまうと混乱が生じるため。職員は、子どもを動かさないことに専念する。運動会の場合、種目ごとに職員の位置が変わるので、どの職員がどこへつくかというルールをだいたい決めておき、職員のつかない子ども集団ができないようにする。
 行事冒頭のアナウンスでは、「皆さん、大事ですから必ず聞いてください」の後、「子どもと保護者が一緒にいる時は、保護者が責任をもってみること」「子どもと保護者が別々の時は、職員は子どものそばを離れず、子どもが動かないよう専念するので、保護者が自分の子どもの所へ来ること」を明確に伝えてください。保護者と子どもがその後、どのように行動するかは、地域の防災ガイドラインなどに基づいて。(2017年9月17日初出)
▶心付けやおみやげは遠慮します
 保護者から心付けやおみやげをいただくと、気も重くなりがちです。他の保護者が「自分(たち)もしなければいけない?」と感じてしまうこともあります。旅行のおみやげは、大きな荷物を持って帰っていただくことを考えれば(たいていは食べ物であることも考えれば)、100%固辞はできないかもしれません。けれども、こうした掲示をしておけば、「皆さんにお願いしていることですから、今回限りになさってくださいね」と、お礼を言いつつ明言できます。一方、クーポンや割引券は金券にあたりますので、絶対に受け取ってはいけません。保護者が働いている店舗や企業等の金券や金券と等価のものであれば、使わなければいけない(=行かなければいけない)というプレッシャーにもなります。職員全員が「決まりですので。遠慮させてください」と。(2016年8月11日初出)
▶尋ねて、保護者の選択を求める(魚の骨を例に)
 「情報を提供して、選択させる」は重要です(8-3)。わかりやすい事例「魚の骨」で、お手紙(アンケート)を作ってみました。他にも使える事例があると思います。
 「季節を感じる給食」ということで、秋にサンマを焼いて食べる園があるそうです。「保護者に聞いたほうがいいか」というお尋ねをいただく度に、「もちろん、聞いたほうがいい」とお答えしています。魚の骨が喉、気道、食道に刺さることを軽くみてはいけないからです。刺さったままにしておくと感染を起こしたり、穴があいたりもしかねません。刺さった骨が取れず…というケースは、未就学児施設でも起きています。
 小骨のある魚を食べない家庭が増えている現状からも、「家で食べているか」「園で食べさせてよいか」を事前に聞くべきです。「尋ねて、考えさせて、選ばせる」という過程自体が重要ですから。人間は尋ねられれば考え、自分なりの答えを出します。そして、自分で出した答えにはそれなりの責任を持ちます。「家では食べていないけれども、園では食べさせて」と言った保護者の子どもで、骨が刺さった場合、保護者には「自分が『食べさせていい』と言った」という記憶が残るのです(そう言ったという証拠も残る)。
 一方、何も聞かずに、全員に丸ごとのサンマを提供して、誰かの喉に骨が刺さったら? 家庭で食べていようといまいと、「なんでそんなことに?」「聞いてくれていたら、『食べさせないで』と言ったのに」となりかねません(事前に聞いていたら「食べさせて」と言っていたかもしれない保護者でも。これが「後出しじゃんけんバイアス hindsight bias」という認知の歪み)。このアンケートを実施してみれば、「家では食べている。でも、園では食べさせないで」「家では食べていない。でも、園では食べさせて」、どちらもいるはずですから、園は提供方法を具体的に考えることができます。そして、保護者側も「自分で選択できた」という気持ちも手伝って、リスクを開示する園に対する信頼感は上がるはずです。
 実際に骨が刺さったら? 刺さったかなと思ったら? すぐ受診してください。ご飯を丸呑みさせてはいけません! (2018年11月29日初出)
▶組体操に関する保護者アンケート
 組体操については、このアンケートを作った2016年と今(2021年)とで、かなり状況が違います。現状では組体操でケガが起きた場合、その責任を園が問われる可能性は高いと言えるでしょう。ですが、このアンケートは、人の意識を把握しようとする時、単純に「賛成ですか、反対ですか」と聞けばよいものではないという点を示す典型例のようなものなので、残しておきます。(2016年4月28日初出)
▶子育て広場等用の掲示:保護者が子どもを見守って
 子育て広場や支援センターなど、保護者と子どもが一緒に訪れる場所で基本となる掲示、「保護者が子どもを見守ってください」です。A4サイズ横版に大きく書いてありますが、もっと大きくしてもかまいません。ただし、子育て広場や支援センターの場合、保護者の話を支援員が聞くこと自体を目的としているケースもあり、「この子はセンターの職員がみているのに、どうしてうちの子どもはみてもらえない?」と不満を感じる保護者もいるようです。こればかりは、ひとつの場所に大きく異なる機能を持たせてしまっている「多機能化」の弊害でありまして、なんとも…。(2016年7月18日初出)
▶子育て広場等用の掲示:プライバシーは自分で守って(勧誘等の対策)
 不特定の親子が利用する場所で起こる勧誘などの問題について、利用者に注意喚起する掲示文です(A4サイズですが、B4ぐらいに拡大したほうが見やすいと思います)。
 勧誘する側を止めることはできませんし、「LINEを交換しよう」という会話を止めることもできません。「ベビー講座、良かったから一緒に行かない?」は、勧誘かどうかさえもはっきりしません。ですから、声をかけられた側が自分で自分を守る以外に方法はなく、センター側にはなにもできないのです(その場でカタログを開いていたりしたら別かもしれませんが)。センターとしては万が一の時に「注意喚起をしました」と言える必要がありますし、まずもって注意喚起は大切なのです。
【おまけ】
 「〇〇さんから勧誘を受けて大変です」という相談自体、その人(「勧誘している」と指摘されている人)に対するいやがらせである可能性もゼロではありませんから、相談自体をすぐにうのみにするのは危険です。一方、センターや広場も、保護者や子どもの名前(特に苗字)を大きな声で呼ばない、書類などを見える場所に置かないといったプライバシー保護の取り組みを厳密にすることが重要です。(2015年8月24日初出)
▶ファミリーサポートさん用のリーフレット
 ファミリーサポート(ファミサポ)提供会員向けに研修会をしていた時に出てきたさまざまな事例をまとめて、提供会員さん保護者に渡すことのできる一枚にまとめたものです。提供会員と利用者(保護者)をつないでいる自治体はあくまでも紹介窓口であり、事故が起きた時の責任主体は提供会員になります。果たして、すべての自治体はこの点をはっきり提供会員に伝えているのでしょうか?